どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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昔はビットって言われるとストフリのドラグーンを想像したけど、最近はどっちかというとケルディムのシールドビットを想像するようになった。


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刀奈と晴れて恋人同士になれた日から1週間が経った。今日はクラス代表決定戦が行われる。

 

一夏に専用機が与えられること、俺がすでに専用機を所持していることは、入学から2日後にクラスで発表された。一夏もそうだが、俺が専用機を持っていることに対してかなり驚かれた。

まぁ普通は驚くだろうな。専用機を持つということがどういうことなのかいまいち理解していない一夏は、クラスの反応を不思議がっていたが、きちんと勉強している人からすれば、この時期に専用機を持つだなんてありえない話だと分かる。

俺の場合は企業所属のテストパイロットということで納得してもらった。

 

 

 

代表決定戦の試合順は、

第1試合 一夏 対 セシリア

第2試合 俺 対 セシリア

第3試合 俺 対 一夏

という順番になった。

 

 

 

時間がなくて一夏の白式がまだ一次移行(ファースト・シフト)できていなかったので、俺が先にセシリアとの試合を行えばいいかと思って織斑先生に提案したが、「お前との試合の後では、オルコットの機体の蓄積ダメージで織斑との試合ができなくなる可能性がある」と言われた。そこまで派手にやるつもりはないが、よくよく考えてみると、一夏と試合をするまではあのふてぶてしい態度のままだったことを思い出し、そのセシリアと試合をすれば確かにやりすぎてしまうかもと思ったので、織斑先生に従うことにした。

一次移行(ファースト・シフト)もできていない状態で初心者に代表候補生と試合させるのも、それはそれで酷い気がするが、まぁ原作でもそうだったし気にしないことにした。

 

今から第1試合が行われるのでそれを観るために、現在俺は管制室にいる。この場にいるのは俺と織斑先生、山田先生、そして刀奈である。

 

俺と刀奈が付き合っていることは一部の人しか知らない。そもそも1年生はまだ刀奈のことを知らないだろうし。ただ、寮の部屋が同室だったり、よく2人で行動していることからうすうす気づいている人はいるようだ。

ちなみに織斑先生と山田先生は気づいていた。織斑先生からは、「お前たちの関係にいちいち口は出さないが、ここが学園であることを忘れるなよ」と言われ、山田先生からは「おめでとうございます!!」と言ってもらえた。

あと、仁さんに告白して付き合うことになったことを報告したのだが、瞬く間に更識家全体にその話が広がった。その日のうちに槍一郎さんから電話がかかってきて、いろいろと言われた。まぁ別に反対されたわけではなくて、「ようやく告白したらしいな」とか「これで俺も心置きなく引退することができるわ」とか「しっかりやれよ」とか言われた。この人療養中だけど、意外と元気なんだよな。まだまだ現役でやれそうな気がする。

楠姉妹からも連絡が来たが、面倒臭かったので無視した。

全体的に、「あ、やっとか」という反応が多かったようで特に驚かれることもなく、すんなりと受け入れられた。葵さんから、「今度、京子さんの墓に行って報告しておけよ」と言われた。更識家では、京子さんの命日の日には関係者は全員集まるというのが決まりごとになっている。昨年からは、楯無である刀奈がIS学園に入学し、今年は俺も含めた5人全員が学園にいることもあり、命日の日の前後の土日で集まることになった。全員で墓参りを行い、その後屋敷に戻って朝までどんちゃん騒ぎをするのが大抵である。京子さんに失礼かとも思うが、もともと京子さんがそういう宴とかパーティーが好きだったので、大丈夫だろうということになった。この行事は、更識家関係者のほとんどが1年で最も楽しみにしている。正月などにも関係者が集まることはあるが、いろいろと堅苦しい行事となっている。だがこの行事では堅苦しいのは抜きで、みんな楽しむことができるのだ。俺も刀奈も、この日は毎年楽しみにしている。

 

 

いろいろと考えていたら、一夏とセシリアの試合が始まった。

 

 

「ねぇ、翔平はどっちが勝つと思う?」

「まぁ順当にいけばセシリアだろうが……」

 

最近、原作の知識を大分忘れてきている。この試合で勝つのはセシリアだっていうのは何となく覚えているが、試合の内容はほとんど覚えていない。さすがに転生してきて約8年が経ったので、記憶もあいまいである。

 

「あら、言い切らないのね」

「一夏って面白いやつだからな。何かやってくれそうって期待してしまう」

「ふーん、意外と評価高いのね」

「この試合で急落する可能性もあるけどな」

 

この試合で見るのは、一夏の"可能性"である。経験値なんてものは今のあいつじゃほぼ0だ。ならば、この試合ではあいつのセンスや感覚を見ることができる。

 

「まぁ乗ってる機体があれだけどな」

 

そう言って織斑先生を見る。微かに反応したが、俺や刀奈でなければ見逃していただろう。

 

 

試合に目をやると、セシリアのレーザー攻撃から一夏が逃げ回っていた。

一次移行(ファースト・シフト)が完了していないので、持ってる武装もただの刀剣の形をした武装のままだ。名前忘れたけど、確かあれバリアー無効化とかできたはず。

 

「思ったよりは動けているわね」

 

どうやら刀奈の予想ではもっと酷いのを想像していたらしい。確かにダメージは徐々に喰らっているが、慣れてきているのか少しずつ避けることができるようになっている。

セシリアの最初の猛攻を一夏が耐え、2人が一言二言話した後に、セシリアがビットを展開した。それを見て思い出したことがあった。

 

「織斑先生、この後の試合なんですけど。俺って本当に全力でやっちゃっていいんですか?」

「あぁ構わない」

「ビットも使いますよ?」

 

そう、俺の専用機にはセシリアのブルー・ティアーズ同様、ビット兵器が搭載されている。ちなみに初めてISを動かした当時の俺の適正は、IS適正もBTシステム適正も"A"だった。さすがにチートすぎる気もしたが、気にしないことにした。

俺の適正を見て、専用機にビット兵器を搭載させることが出雲で決定された。

 

「あいつにビットの使い方を教えてやれ」

 

織斑先生の言葉につられて試合を見ると、一夏がビットの攻撃を避けていた。

 

「なるほど、ビットの制御は集中しなければならないから必然的にビットでの攻撃中は自身は動けないのか」

「……その時点で、翔平との勝負はついてる気がするわ」

 

もちろん俺は、移動中でもビットの制御はできるし、どちらかといえばそれが俺のスタンスでもある。

 

偏向射撃(フレキシブル)はどうしましょう?」

「翔平、あなたがそれを使えば10秒で試合が終わってしまうわよ」

 

俺は偏向射撃も習得している。さすがに使用すれば疲れるが、短時間でなら全てのビットを動かしながら戦える。ちなみに俺の専用機には2種類4基の計8基が装備されている。

 

俺に全力で戦えというのであれば、偏向射撃も使って半ば蹂躙することもできるが……、それをすれば本当にセシリアが立ち直れなくなってしまうだろう。

 

「さすがに偏向射撃まで使うのはやめておけ。オルコットが可哀想だ」

 

セシリアに対しての怒りがまだあるようだった織斑先生も、俺がセシリアを瞬殺する姿が想像できたのだろう。自分の教え子が精神的に立ち直れなくなるのはよろしくないと判断したのか、俺は偏向射撃の使用は許可されなかった。まぁなくても全然勝てるんだけど。

 

試合は、一夏が無理矢理の特攻でセシリアの懐に入ろうとしていた。

 

「油断しすぎだろ」

 

俺がそう言った瞬間、セシリアが残していた2基のビットからミサイルが発射された。何とか避けようとしているが、追尾型のミサイルを躱しきることはできずに直撃した。

ミサイルが直撃、爆発したことで一時的に一夏の周りは黒煙で視認できなくなった。

 

「なるほどね。確かに彼、面白いわね」

 

刀奈が呟く。俺の言っていたことが理解できたようだ。

 

「まさかここで一次移行だなんて、彼ってパフォーマー向きじゃない?」

「そうかもな」

 

刀奈の一夏への評価はパフォーマーだった。これはウケる。織斑先生もちょっと笑ってるし。

 

 

試合はその後、一夏が小っ恥ずかしい台詞を放って、一次移行で使えるようになった零落白夜(織斑先生が教えてくれた)を使って責め立てた。

 

「織斑先生、あいつその零落白夜のことをちゃんと理解してるんですか?」

「理解していないから、今ああして突っ込んでいるんだろう」

「……理解してないのね」

 

あぁなるほど。あいつには猪突猛進という言葉をくれてやろう。

 

俺と刀奈、織斑先生の予想通り、試合は一夏がシールドエネルギーを使い果たしてセシリアの勝利で終わった。

 

 

「さて、俺もそろそろ準備始めるかな」

「あ、手伝うわよ」

 

恐らく30~40分程度でセシリアの準備は整うだろう。その間に俺はウォーミングアップを行う。俺のISの特性を最大限に引き出すためには。身体の柔軟性が結構重要になってくる。そのため、搭乗前には必ずストレッチを行うようにしている。任務では何度も乗ったことはあるが、公式の試合で、というか人前でISに乗るのは今回が初めてである。緊張はしていないが、気合は入る。

 

刀奈に手伝ってもらいながらストレッチを行い、着替えてアリーナの搭乗、発進を行うピットに向かう。

そこでは、先ほどまで試合を行っていた一夏と織斑先生、山田先生、それと箒がいた。セシリアは反対側のピットで機体整備を行っているだろう。

 

ちょうど、織斑先生から白式に関する説明を受けているところだった。……試合前に教えておいてやれよ。

 

山田先生からISの教則本を渡されげんなりしていた一夏が、入ってきた俺と刀奈に気付いた。

 

「お、翔平。それと…」

「初めまして、織斑一夏君。私はこの学園の生徒会長を務めてる更識楯無よ。よろしくね」

「織斑一夏です。でも、生徒会長さんが何でこんなところに?」

「もちろん、生徒会副会長の応援のためよ」

 

そう言って俺の方を向いてウインクしてくる。やばい超可愛い。

 

「え、翔平って副会長なのか!?」

「そうだけど、言ってなかったっけ?」

「聞いてねぇよ!!あれ、でも入学したばかりの1年生が副会長っていいのか?」

「その人物が有能であれば問題ないわよ」

 

つまり俺は有能っていうことですか、ありがとうございます。

まぁ桜才学園でも1年生で生徒会副会長やってたからな。………なんで覚えてんだろ。

 

話していると、反対側のピットから連絡がきて山田先生が対応した。

 

「上代君、オルコットさんの準備が整ったようです」

「分かりました」

 

さて、いよいよ俺のデビュー戦だ。

 

「ベンダバール」

 

そう呟いた瞬間、俺は自分の専用機-vendaval(ベンダバール)を身に纏った。

少し濃いめの緑色を基調に所々のポイントに白色、そして黒のラインが走っている。

 

「おぉそれが翔平の専用機か!!格好いいな」

「ありがと」

 

これは後日、華さんに報告しなければ。ベンダバールのデザインは華さんが作ったものだ。このデザインにはかなりのこだわりがあったらしく、初めてベンダバールを受け取った時は鼻息を荒くしながら「ねぇ!どう!!このデザインどう!?」と聞いてきた。その異様に高いテンションに若干引いて、「い、いいと思います」と答えたらかなりの上機嫌になった。

仁さんが「なんかダサくねぇか」と言った瞬間、そばに置いていたバールで殴られていた。……その時の華さんの動きは早すぎて見えなかった。

多分、先ほどの一夏の言葉を伝えると飛び跳ねて喜ぶだろう。

 

「じゃあ行ってくる」

「あ、翔平」

「ん?」

 

今俺はISに乗っているので、必然的に刀奈よりも目線が高くなる。

 

「頑張ってね」

 

上目遣いの刀奈にそんなことを言われてしまった。

 

「……おう」

 

サムズアップして俺は発進口まで移動を開始した。

 

 

 

 

「更識、あいつを本気にしてどうする」

「え?」

「お前にそんなことを言われたら、あいつさっきまでの会話全て忘れるぞ」

「さすがにそんなことは……」

 

 

 

俺は器用に、ISに乗った状態でスキップしながら発進口まで進んでいった。

 

 

 

「……ちょっと、応援しすぎちゃいましたかね」

「……オルコット、死ぬなよ」

 

 

さぁ、デビュー戦だ。

 

 

 

 




「かんちゃーん、私達の出番は!?」

「無かったわね」

「何でそんなに冷静なの!?」

「仕方ないじゃない、話の流れ的にどうせ次話も出番はないわ」

「そ、そんな……」

「私はお兄ちゃんに買ってもらったプラモでも作ってる」

「それは!!私のお菓子と引き換えに買ってもらったやつ!!」

「あなたの自業自得なんだから仕方ないじゃない」

「その通りだから何も言い返せない……」




ベンダバールはスペイン語で"疾風"という意味です。
カラーリングに関してはOOのケルディムガンダムのようなイメージです。

次回セシリアフルボッコ予定。



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