どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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更識邸で目を覚ました後、俺は記憶喪失という事で病院に連れて行かれて検査を受けた。当然どこにも異常は見られず、医者は精神的なものではないかという結論を出した。

それを小学生のふりをしながら聞いていた俺は、某名探偵の苦労を実感した。小学生のふりしながら生活とかキツすぎる。

 

そうこうしながら検査が終わり、ひとまず俺は再び更識邸に連れて行かれる事になった。

しかし、俺はある事に気がついた。

更識家なら1人の子供の個人情報を調べるなど朝飯前なんじゃないか。……俺の個人情報あるのだろうか?

転生後の条件として、赤ん坊からやり直すのは面倒なのである程度成長している状態がいいとは紙に書いたが、それ以前の設定など全く書かなかった。というか書く時間がなかった。全てはあの自称神様のせいだ。

 

どうなっているのだろうと考えていたら、更識姉妹の父親で現楯無の人に、君のことが分かったぞと言われた。さすが更識、仕事が早い。

 

小学生状態の俺にも分かるように説明してくれた楯無さん曰く、俺は兄弟姉妹はいなくて両親は事故で他界し、近しい親戚も病気などで既に他界していて遠い親戚とは疎遠状態で俺は施設に預けられたらしい……所謂天涯孤独という状況のようだ。

 

そうそうこんな状況になるとは思えないけど、あのおっさんの能力でこうなったのであろう。

施設に預けられた数日後に突然姿を消し、その次の日に更識家の正門前で倒れているところを刀奈と簪に見つけられたとのことだった。俺が記憶喪失(という事にしている)という事で何故施設を抜け出したかは分からないことになった。しかし、大人達はどうやら記憶喪失の原因が分かっているらしく、小声で話している会話に聞き耳をたててみると、どうやら人体実験やらなんやらを裏で行なっていた施設だったらしく、俺の個人情報を調べる過程でそのことが更識家にバレ、今はもう既に施設もそこのデータも職員もこの世には存在していないようだ。さすが更識、仕事が早くて容赦無い。

 

そういった状況の中で、俺の事をどうするかという話し合いが行われた。当初は別の施設に預けるという意見が出ていたが、それに待ったをかけたのは刀奈と簪の姉妹にその母親の京子(きょうこ)さんだった。

施設に預けるなんて可哀想、うちで引き取ろう!!

という話を楯無さんに話した。楯無さんは初めは「だが…」とか「しかしだな…」だとか渋っていたが、女性陣の有無も言わさぬ雰囲気に最後は根負けした。さすが現楯無、よくあんなに粘れたと思う。楯無さんに詰め寄る3人の威圧感は凄まじかった。俺が精神年齢も小学生なら泣いていただろう。

 

こうして俺は更識家に居候することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔平くーん、朝よー」

「ん、…おはようございます、京子さん」

「はい、おはよう。朝ご飯出来てるから顔洗ってきなさい」

「分かりました」

 

更識邸で暮らし始めた俺の朝は、京子さんに起こされることによって始まる。顔を洗い、目を覚まして居間に向かう。ちなみに更識邸は本当に広い。初日に家の中を案内してもらったが、正直暮らし始めて一月たった今でも、未だに気を抜けば迷いそうである。刀奈や簪からは慣れるしか無いと言われたが慣れでどうにかなるものだろうか。自分の生活に必要な部屋だけは覚えられたが、それ以外は微妙である。

居間に到着すると、既に楯無さんが着席していた。

 

「おはようございます、楯無さん、虚さん」

「おはよう、翔平君」

「おはようございます、翔平君」

 

楯無さん、更識家に仕えている布仏家の人間で刀奈の従者の布仏虚に朝の挨拶をする。楯無さんは新聞を読みながら、虚さんは朝食の準備を手伝いながらそれぞれ挨拶を返してくれた。そのタイミングで、刀奈と簪も居間へと入ってきた。

 

「おはよう刀奈、簪」

「おはよう翔平」

「おはよう、翔平」

 

簪の従者である本音はまだ来ていない。俺がこの家に来てからは、本音が最も起きるのが遅いのは毎日のことである。従者がそれでいいのだろうか。

 

ちなみに更識の調べによると俺は刀奈と同じ小学3年生となるらしく先週から通っている小学校でも同じクラスとなっている。

 

「「「「「いってきます」」」」」

「はい、いってらっしゃい」

 

朝食を食べ終え、学校に行く準備を整えて刀奈、簪、虚、本音と共に更識邸を出て小学校へと向かう。本音は毎日起きてくるのは遅いが何だかんだで準備は間に合っている。

 

「ここの問題は……じゃあ上代君、お願いします」

「はい」

 

先生に当てられたので前に出て問題を答える。間違えたら恥ずかしいレベルの問題を…。

 

「はい、正解です」

 

見た目小学生で中身成人の俺にとっては全く勉強する必要も無い内容だった。見た目だけ真面目に授業を受けつつ、先生の授業を勝手に採点しながら退屈に授業を受けていた。

 

 

 

「次、上代君、更識さん」

「「はい」」

 

退屈な授業で溜まったストレスを発散できるのは、体育の授業だった。転生の特典能力で身体能力を上げてもらってる俺は、体育の授業でも3位以下を大きく離してクラス1位の成績を出していた。

 

「今日は負けないんだから」

「今日も勝たせてもらうよ」

 

俺は隣にいるクラス2位の刀奈といつも無駄にいい勝負をしていた。

今日の勝負は50m走、計測は出席番号順なので俺達が一緒に走ることは無かったはずが、毎回の授業で名勝負を繰り広げる俺達を、授業のトリとりとして、計測されることになった。

 

「いちについて」

 

さすがに小学生でクラウチングスタートはしないので普通に構える。

 

「よーい」

 

横目で隣の刀奈を見ると真剣な表情で目の前を見ていた。

 

ピッ!!

 

笛の合図で俺達はスタートした。

お互いにスタートダッシュを成功させ、ぐんぐんスピードに乗って行く。最後は振り切り、俺の勝利となった。ちなみに俺のタイムは8秒フラットだった。

 

「また負けたー、悔しい!!」

 

俺に負けて悔しがる刀奈だが、神様からチート能力もらってる俺といい勝負している時点で、化け物じみた身体能力だと思う。

そう思いながら刀奈と勝負後の握手を交わし、辺りから惜しみない拍手が送られた。

 

 

 

「翔平って何でもできるよね」

「そうか?」

 

授業が終わり学校から帰る最中に刀奈から言われた言葉。実は20歳超えててチート能力貰ってます!!…などと言えるわけもなくうやむやに言葉を返す。

 

「勉強も運動も出来るし、1週間でもうクラスの人気者だし」

「お姉ちゃんが負けたって聞いた時は、驚いた」

 

最初の体育で刀奈との一騎打ちを制した事を簪に伝えた時、本当に驚かれた。でもな、俺も驚いたんだよ。ぶっちぎりの1位と思ってたら僅差だからね。俺いなかったら刀奈がぶっちぎりのクラス1位じゃん、しかも女子で…。クラスの男子は女子に負けてそれで良いのか?でもあいつら…俺と刀奈の勝負の時はほとんどが刀奈の応援なんだよなぁ……。

 

「勉強で言えば2人の方が凄いだろ?もう中学の範囲入ってるじゃん」

 

刀奈も簪も更識家の人間という事で、小学校低学年で既に6年生までの内容を習得している。学校とは別で、自宅で京子さんに教えて貰っているらしい。ちなみに俺も京子さんに教えて貰っている。

 

「それはそうだけど……」

「ウチに来てまだ一月なのに、もう小学校の内容終わった翔平に言われても……」

 

刀奈と簪は俺を見て複雑な顔をする。ごめんな2人とも、俺これでも大学生だから。まぁ復習しないと忘れてるところは多々あるだろうけど……どうせなら天才的な頭脳とかも貰えば良かったな。

 

「お父さんに武術とかも教えて貰ってるでしょ?」

「翔平は筋がいいってお父さん褒めてたよ」

 

更識の人間という事で刀奈と簪も楯無さんから剣術やら槍術やら武術を教わっている。興味本位でそれを見学していた俺だったが、体育の授業での出来事を刀奈が楯無さんに話したところ、俺も試しにやってみないかと聞かれたので、チート能力がどんなものかを試したくて楯無さんの提案を受け入れた。そうしてやってみた楯無さんとの稽古では、俺は驚きの連続だった。自分の身体に対して……。

自分の身体とは思えないほど動くんだよ。転生前はごく平凡な大学生だった俺からしたら、このデタラメな身体能力はこれはこれで慣れが必要だった。楯無さんも俺の動きは予想外だったのだろう、驚いた表情をしていた。しかし、次の瞬間にはとても良い笑顔で俺を見ていた。あれは……面白い玩具を見つけた様な顔だった。

結局それからは刀奈と簪に混じって、俺も稽古をつけてもらうこととなった。まぁ将来ISに乗るんだから、教えてもらえることは教えてもらっておこう。ちなみに転生前、ちゃんと俺がISに乗れるという設定を書いておいた。この世界に来てISに乗れないのは、あまりにもつまらない。自殺してもう一度選び直したいレベルだ。

 

 

 

「「「ただいまー」」」

 

色々と話していると、更識邸に帰って来た。……ここ正門から玄関までの距離も意外とあるんだよなぁ。ほんと、立派な建物がだよ。ちなみに更識家が特殊な家系であることは、居候することが決まった時に教えてもらった。といっても小学生に対暗部用暗部なんて説明してもちんぷんかんぷんだろうから、本当に簡単に説明された。

 

「今日は翔平君は小学校の範囲の認定テストね」

 

帰ってきてから夕食までの間、勉強か修行を日替りで行う。今日は勉強の日であった。そして、俺は昨日小学校の範囲を全て学び終えたため、今日は中学の範囲に入るための認定試験を受けることになった。この試験を作ったのも、普段家で勉強を教えてくれるのも全て京子さん1人である。この人そこらへんの教師よりも教えるのが上手い。性格が原作の刀奈そっくりだから、作るテストも絶妙な引っ掛け問題とか混ぜてきて気が抜けない。さすが親子だ。

 

無事にテストも合格し、一息ついたところで夕食。今日は楯無さんは仕事でいないため、刀奈と簪、虚、本音、京子さんに俺という男1人の食卓となったが、この状況にも慣れてきた。初めの頃はガールズトークが繰り広げられる中で本当に居づらかった……。

 

夕食を食べ終えてからの時間は今日は自由時間。夕方が稽古の日だった場合は夕食後に勉強となる。

とりあえず学校の宿題を終わらせてから、特にやる事も無いので貸してもらっているノートパソコンでテキトーにネットサーフィンでこの世界の情報を集める。テキトーにポチポチしてたら刀奈と簪が部屋にやってきて、一緒にテレビを見ようという事でそちらに合流。そうこうしているといい時間になるので、風呂に入って歯を磨いて寝る。

大学生で21時就寝はキツイと思っていたけど、身体は子供だから普通に寝れました。

 

 

こんな生活を送っていたある日、更識家に重大事件が発生した。

 

 

京子さんが倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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