どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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話が進まない…


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アリーナの管制室に到着した俺はまず、今日の担当だった山田先生に挨拶した。

 

「お疲れ様です、山田先生。今日担当だったんですね」

「あ、上代君。今日は別の先生が担当だったんですけど、急用が入ったらしくて私が変わりました」

 

アリーナの担当は、1日ごとに教師達で交代で回していることは事前に聞いていた。知らない先生だったらいちいち自己紹介とかからしなくちゃいけなかったから、山田先生が担当で良かった。

 

「話は聞いています。ボーデヴィッヒさんのことですよね」

「はい、今日から数日は俺と楯無とで待機しておきます」

 

俺と刀奈がアリーナの監視につくことは刀奈が事前に教師達にも伝えて貰っていたようだ。いろいろと説明しなくて済む。

 

「もし何かあった場合は至急織斑先生に連絡してください」

「分かりました」

 

 

正直俺や刀奈の言葉は今のラウラは素直に聞くとは思えない。教師の言葉も、一応聞くとは思うがそこまでの効果はないだろう。やはりラウラに最も効果的なのは織斑先生だ。なので問題が起きた場合は織斑先生に丸投げすることにする。俺たちがやるのはそれまでの時間稼ぎだ。

別に俺や刀奈もやろうと思えばラウラを無力化させることはできるだろうが、立場上一人の生徒にやりすぎてしまうのはいただけないので、そういう意味でも織斑先生に任せるしかないのだ。

ちなみに俺が思うに、俺とラウラの相性は俺にかなり有利だろう。ベンダバール本体に加えて複数のビットが個々に攻撃するのだから、AICで停止させる対象を絞ることができないはずだ。本体を停止させようものなら他のビットに滅多打ちにあう。反対も然り。ラウラには悪いが一対一では俺に負ける要素がない。油断はしないけど。

 

 

「今日は更識さんとは一緒じゃないんですね」

 

 

やることがなくて生徒会の書類仕事を少し持ち込めば良かったと思っていたら、暇していることを察してくれた山田先生が話しかけてくれた。

 

「生徒会は人手はあまり足りてませんからね。さすがに別行動になりました」

「あ、そうなんですか?何だかいつも一緒に行動している気がします」

「き、気のせいじゃないですかね?」

 

確かに同じ部屋に住んでるけど、学年違うんだしさ…。まぁ今更なに言ったところで根付いた印象は変わらないんだろうけど。

 

「ほんと、羨ましいです。私も出逢いが…」

 

ボソッと言って溜息をつく山田先生。出逢いさえあれば山田先生なら彼氏の1人くらいすぐ作れそうだけどな。やっぱここで教師やってたら出逢いなんて無いんだ。

暗い表情になる山田先生を見て、これからは山田先生にそういう話題を振るのはやめようと考えていると、アリーナ内に見知った顔が入ってきた。

 

「…お」

「あれは、オルコットさんと凰さんですね」

 

あの2人が来たということはこっちが当たりだったようだ。

 

「今日は織斑君は一緒じゃないみたいですね」

「デュノアがいるからそっちといるんじゃないですかね」

「やっぱり男子生徒同士で行動してるんですね」

 

あれ?山田先生はシャルロットの正体知らないの?てっきり織斑先生から話いってるんだと思ってたけど。デュノア呼びしといて良かった。

てか、今日一日あいつらの様子見ていたけど、どうもシャルロットの正体が一夏にバレたらしい。早すぎるんじゃないだろうか。シャルロットの普段の様子見ていたらバレて当たり前だとは思うけどさ……。後で刀奈に報告しとかないと。

 

さて、あのセシリアと鈴が来たということは…と考えた瞬間、2人の元に突如砲弾が飛来した。ラウラのご登場だ。

 

「ボーデヴィッヒさん、危ないですね」

「不意打ちでしたからね」

 

普通に考えて、学園のアリーナで他の生徒に不意打ちで攻撃を仕掛けるのは問題行為だ。いくら軍所属で相手は代表候補生といってもここは学園、やっていいことではない。

そんな問題児は、会話は聞こえないが明らかにセシリアと鈴を煽っていて、2人がラウラが放った言葉でブチギレたのが分かった。あぁ、一夏をネタに煽られたか。あいつら本当に一夏が話に絡むと単純だよな。…人の事言えないけど。

そして始まった2対1の戦闘が始まった。

 

 

「山田先生、織斑先生に連絡を」

「分かりました。上代君はどうしますか?」

「とりあえず、セシリアと鈴にもプライドがあるでしょうからしばらくは様子見します」

 

2対1であるのに明らかにラウラの方が優勢になると予想する俺の物言いに、山田先生も疑いなく頷いた。どうやらラウラの実力は山田先生も把握しているらしい。

 

織斑先生への連絡を山田先生に任せて俺は管制室からアリーナのピットへと移動する。移動中に刀奈にラウラがこっちのアリーナに来たこと、セシリア・鈴と戦闘を始めたことをメールで報告しておく。

ピットに到着して、ISスーツに着替える時間が勿体無いので制服のままベンタバールを展開し、管制室にある山田先生と連絡を取る。

 

「山田先生聞こえますか」

『はい、聞こえます』

「織斑先生とは連絡つながりましたか?」

『繋がりました。今こちらに向かっています。ボーデヴィッヒさんの対応については上代君に任せるとのことです』

「分かりました。ではセシリアと鈴のISのダメージレベルがBになったら教えてください」

『了解しました』

 

ダメージレベルがBであれば、学年別トーナメントにも間に合うだろう。多分今止めに入ったところであの2人は納得しないだろうから、このまましばらくは戦わせることにする。

 

そうして始まった2対1の戦いは、原作通りラウラ優勢で進んだ。セシリアも鈴も弱いわけではないが、ラウラの方が頭1つ抜けている。やはり単純な力量では簪を除けば1年の代表候補生の中ではラウラが1番か。原作だったら1番だったんだろうけど、ここでは簪がヤバいくらいに実力つけてるからな。姉妹で仲直りしてこうまで変わるとは思わなかった。

 

しばらく手を出さずに見物していると、ピットとは別の一般の出入口から騒ぎを聞きつけたらしい一夏とシャルロットがアリーナに入ってくるのが見えた。

そのタイミングでセシリアの至近距離でのビットのミサイル使用という結構無茶な特攻を行った。が、ラウラは上手く避けて最小限のダメージだけに済ましていた。ああいうところの咄嗟の判断と回避能力は実戦じゃないと身に付かない。流石は軍の部隊長といったところか。

 

「さて、そろそろ止めるか」

 

2人のダメージもかなり溜まってきているだろう。何より一夏が今にも割って入りそうで怖い。あいつが介入したら面倒臭いことになりそうなので、その前に止めに入ろう。

そう考えていると、ちょうど山田先生から通信が入った。

 

『上代君、2人のダメージレベルがBを超えました』

「分かりました。じゃあ止めに入ります」

『織斑先生もあと少しで到着するそうなので、それまではお願いします』

「了解です」

 

山田先生との通信を切り、シロガネとクロガネを展開する。そのままピットからアリーナに入り、セシリアと鈴を袋叩きにしようとしているラウラに牽制の意味合いを込めて直撃しないように、シロガネとクロガネで銃撃する。途端にラウラのヘイトが俺に向けられる。めっちゃ睨まれたよ。

目の前に格好の獲物が転がっていて、それを今からリンチしようとしていて邪魔されたからまぁ当然か。

 

「貴様、邪魔をするな」

「生徒会として、流石にそれ以上は見逃せない」

「ふん、なら貴様から先に潰してやる」

 

そう言ったと同時に、俺は身動きが取れなくなった。これがAICかぁと呑気に思いながらも、前もって展開しておいたライフルビットでラウラを牽制して、AICの支配下から逃れる。今は織斑先生が到着するまでの時間稼ぎなので、ラウラに攻撃を当てる必要もない。立場的に俺が一般生徒攻撃しちゃうのはあまりよろしくない。

けど、そんな事情など関係ないラウラは俺があえて攻撃を外していることに大層ご立腹のようだ。

 

「貴様!!なぜ攻撃を当てない!?」

「別に、俺がここでお前とやり合う理由も無いからな」

「ふざけるな!!」

 

俺が攻撃を外していることから俺に舐められていると判断したらしいラウラは冷静さを失いながら闇雲に攻撃してきた。レールカノンから放たれる砲弾を避けつつ、AICに干渉されない間合いを保ちながら時折牽制しつつ旋回を続ける。ラウラの専用機のシュヴァルツェア・レーゲンが相手なら、間合いさえ保てばAICとプラズマ手刀にやられることはない。もし瞬時加速で接近してこようとしても、先程までのセシリア・鈴との戦闘を見ているので、モーションで大体分かる。来ると分かれば対処は容易だ。

 

ラウラからの攻撃を捌きながら、俺は床から立ち上がったセシリアと鈴に通信を繋げる。

 

「お前ら動けるか?」

『翔平さん!!』

『ちょっと、邪魔しないでよ!!』

 

やっぱりというかなんというか、通信が繋がった瞬間に2人から非難の声があがる。

 

「2人ともISのダメージレベルがBを超えてる。これ以上やったら月末の学年別トーナメントに影響が出るぞ」

 

2人は「でも」とか「しかし」とか言ってなかなか引き下がらない。強情な奴らめ。

 

「トーナメントには国の人も来るんだろ?代表候補生が私闘が影響でトーナメントに不参加はマズイんじゃないのか?」

『…分かりましたわ』

『…分かったわよ』

「じゃあさっさと動け。アリーナの端に一夏とデュノアがいるからそっちまで退避しててくれ。あと一夏がアリーナのバリアー勝手に破壊しないように見張っててくれ」

 

ここまで言ってようやく2人は引き下がった。渋々といった様子でアリーナの端、一夏とシャルロットの方へと退避していった。

 

さて、だいぶ時間も稼いだし、そろそろ織斑先生も到着する頃だろう。正直、ラウラの攻撃はこのままずっと捌いていられるが、このままいったらVTシステムが作動しそうで怖い。俺がラウラに攻撃しなかった理由の1つにVTシステムの存在がある。捌きつつ攻撃して、シールドエネルギーを減らしてしまえば、VTシステムが作動する可能性がある。流石にかなりのダメージを与えなければ作動はしないだろうが、何が起きるか分からない以上、警戒するに越したことはない。少なくとも頭に血が上ってる今のあいつなら、精神状態だけなら作動しそうだし。

 

レールカノンの砲弾を避けてワイヤーブレードを捌き、瞬時加速のモーションに入ったので、俺も瞬時加速でその場を離脱。その後牽制で少し銃撃しようとしたところで、アリーナにスピーカーも何も使われない地声が響き渡った。

 

「そこまでだ!!」

 

声の主を見ると、そこにはIS用の近接ブレードを素手で持っている織斑先生が立っていた。うわ、この人マジで近接ブレード素手で持ってるよ。人間じゃないだろ絶対。

そんな風に考えていたら織斑先生に睨まれた。やべぇまじで怖え…。蛇に睨まれたカエルの気持ちが分かった。

 

「模擬戦をやるのは構わんがやり過ぎだ。他の一般生徒を巻き込みかねない状況を教師としては見過ごせない。この続きは学年別トーナメントでやれ」

「教官がそう仰るなら」

 

目論見通り、ラウラはすんなり織斑先生の言うことを聞いてくれた。一応周りにいる一般生徒はみんな退避しているけどそこら辺の細かいところはラウラは気にしなかった。

 

「お前らもそれでいいな」

 

そう言って、織斑先生はアリーナの端に待機していた4人にも同意を求める。その言い方だと、はいって返すしかないだろ。誰がここで嫌と言えるだろうか。

 

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

言葉とともにパン!という織斑先生の手の音が響き渡った。

 

 

 




「ここで話すネタっていつも限られてるよね」

「そりゃあだって、私たちの出番が少ないから…」

「私なんて9話以降台詞がないんですよ!?」

「虚はまぁ…」

「お姉ちゃんは学年が違うからね…」

「あんまりです…」


虚の出番を用意できない…。


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