まだリセマラ終わったところだけど…。
アリーナでの一件が織斑先生の言葉で片付いた後、俺は織斑先生と共に管制室に移動して、ちょうどそのタイミングでこちらに到着した刀奈に事の顛末を報告した。
織斑先生には、「アリーナの被害をもう少し抑えて欲しかった」と言われた。いや、被害って言ってもほとんどバリアーが防いでたから精々地面が所々抉れたぐらいじゃん。
そもそもレールカノンでバンバン撃ってくるんだから仕方なかったって。介入したはいいものの立場的に真っ向からやり合うわけにもいかず、かといって直撃を受けるわけにもいかず……。
どうしろってんだ……と思って織斑先生を見てたら、フッと笑って「冗談だ」と言われた。この人って冗談言えたんだ。その瞬間振り下ろされる出席簿。……痛い。
「アリーナでの件も含めてだ」って言われたけど、人外呼ばわりしたことをまだ怒ってたらしい。事情を知らない刀奈が首を傾げながらも出席簿で殴られた頭を撫でてくれた。すごく嬉しい、嬉しいんだけどやめて刀奈、意外と恋愛面の話と無縁な事を気にしてる織斑先生がめっちゃ睨んでるから。これまた後日に仕返しされるやつだから。
事後報告だけさっさと済まして刀奈と一緒に管制室から逃げ出す。出て行く時に織斑先生に「今回は助かった」って言われたけど、相変わらず睨まれたままだった。多分刀奈の手を掴んで出たのが悪かったんだろうな。
どうしてこう、この学園の大人はみんな恋愛に飢えてるんだろうか。学園がもし共学だったら男子生徒が何人か喰われてるんじゃないか。
時は流れ、学年別トーナメント当日となった。
昨日教師達によってトーナメントの組み合わせ抽選が行われたらしいが、俺はそれには関わることはできなかった。まぁ当然そうなるよね、選手として出るんだから。
ロシア代表として、刀奈は出場を免除されていた。俺もそうして貰えば良かった…。昨日の夜、部屋で刀奈に1回戦の俺達の相手を同じ専用機持ちにしてもらえないか頼んだんだけど、「勝ち進めば当たるんだからいいんじゃない?」という至極真っ当な正論を返されてしまった。言えないよね、このトーナメントは1回戦しか行われないんだ、なんてさ……。
ということで、俺と簪のペアの1回戦の相手は一般生徒ペアとなった。ちなみに一夏・シャルロットペアとラウラ・箒ペアは普通にくじ引きで1試合目での対戦に決まったらしい。外的要因なしにそういう組み合わせになる一夏は流石としか言えない。
そういえば、この前生徒会室で書類仕事してる時に知ったんだけど、学園に在籍している1年生の国家代表候補生で俺の知らない人が何人かいたんだよな。タイとかオランダとかカナダとかギリシャとか、刀奈と同じロシアもいたな。カナダは双子だっけか?
一応、専用機は開発中でまだ持ってないようだけど夏休みから二学期以降を目処にそれぞれ完成していくらしい。
専用機持ちじゃ無くても、その代表候補生達の誰かと当たれば良いなと思ってた俺の願いは叶うことはなかった…。
さて、いよいよ始まる学年別トーナメントなのだが、1年生の1試合目はさっき言った通り一夏達の試合で、まぁ当然注目の試合となる。
生徒会として元々組み合わせを知っていた俺は簪、本音とともに他の生徒達が組み合わせを確認している間にアリーナの座席を確保することに成功した。トーナメントに参加しない生徒会として、トーナメントの運営をサポートしている刀奈と虚の座席も確保しておく。刀奈と虚は運営のサポートといっても、あくまでサポートな訳で、実際には開催までの準備を手伝っただけでこれから行われる試合自体は教師陣のみで執り行われるらしい。なので刀奈達ももうしばらくすれば、こちらに合流するらしい。
「1回戦から派手な組み合わせだよな」
「片方は世界に3人しかいない男性操縦者のうちの2人…」
「もう片方はドイツの代表候補生とIS開発者の妹…」
「「「派手だねぇ…」」」
簪、本音と声を合わせる。さっき本人に聞いたら、『グダグダ考えずに済むからラッキー』とか言ってたけど、あの前向きな考え方は尊敬するよ。まぁ俺や一夏の試合ってなったら試合順なんか関係なく注目されるんだろうから、気にしたところで意味が無いんだろうな。
仕事を終えて合流した刀奈と虚にあらかじめ確保していた座席を譲り、5人で並んで座る。最近では一夏とかクラスの人と行動することも増えてきたが、やっぱり何だかんだ言ってもこの5人で行動することが多いんだよな。座り順は虚、刀奈、俺、簪、本音と、これも昔から変わらない。
「翔平はどっちが勝つと思う?」
アリーナの観客席も人で埋まり、選手である一夏達がアリーナへと出てきて歓声が上がる中、隣の刀奈が俺に聞いてきた。他の3人も興味があるようで俺の方を向いている。
「そりゃ、一夏とデュノアだろ」
「即答ね」
「いくらボーデヴィッヒの実力があってもこれはタッグ戦だ。あいつのパートナーが同じレベルならまだしも箒は一般の学生レベルだからな」
「なるほどね」
「性格的にボーデヴィッヒも一夏も真っ先に1対1に持ち込むだろう。そうなったら後の2人も1対1になって、デュノアが負けるはずがない。この試合は2対1になる事が確実なんだよ」
俺の解説に4人は納得したようだ。
ちなみに、シャルロットとラウラに関してはまだ名前で呼んでいない。シャルロットに関しては名前で呼ばないと本人が嫌がるから、本人に対してのみシャルルと呼んでいる。それ以外はふとした時につい、本名で言ってしまいそうなので、デュノア呼びにしている。どうせ、このトーナメントが終われば男装も終わるんだし。
ラウラは単純にまだ仲良くなっていないからボーデヴィッヒで呼んでる。
注目の中開始された第1試合は、俺の予想通りの展開となった。
「やっぱり一夏は突っ込んで行ったな」
「試合が始まる前に何か話していたようだったけど」
「大方、織斑先生をネタに煽られたんだろうよ」
それにしても、一夏は煽り耐性なさすぎじゃないだろうか。ヒロインは鈴とかを中心に短気な奴が多いけど、一夏も負けず劣らず短気なんだよなぁ。
俺がもし一夏と試合でもするなら、まずは言葉で煽ってキレさせるな。冷静じゃない相手の対応ほど楽なものはない。
そのことを言ったら、周りに引かれた。
「翔平君、それは…」
普段あまり他人にジト目など向けない虚も、少し身を引いて俺を見てくる。いや、相手の弱味を突くのは闘いの基本だろ?何もそこまでドン引きしなくてもいいじゃんか。
周りの反応に俺が落ち込んでいたら、突っ込んでいった一夏がAICに捕まるも、シャルロットの援護で事なきを得たところだった。
「あれが、AIC…」
隣に座っている簪が目を輝かしている。自分のISを開発しているためか、元々興味があったのかは分からないけど、最近の簪は初めて見るISの武装、特に今のAICと言った特殊兵装を見ると目を輝かせて見ている。原作と違って、比較的気楽に自身のISの開発を進めている中で、開発関連に興味を持ち始めているようだ。
「一夏君はパートナーがデュノアちゃんで助かったわね」
「今のもデュノアがいなかったら至近距離からの砲撃喰らってたからな」
今もシャルロットは箒の相手をしつつ的確に一夏のサポートをしている。ああいう万能型がパートナーだとやりやすいだろう。
そんな風に思っていたら、隣に座る簪が何かを思い出したらしく声をあげた。
「そういえばお兄ちゃん、試合は前衛後衛どうする?」
「あぁ…俺が後衛でいいんじゃないかな」
「分かった」
基本的に俺と簪のペアは1対1という状況はあまり想定しない。
タッグ戦なのだからある程度は相手が固定されるかもしれないが、前衛が相手の1人を攻撃し、反撃を受けそうになったら後衛が援護。援護を受けた前衛は相手を切り替えて攻撃し、また反撃を受ける前に後衛が援護……。これを繰り返す予定だ。
このやり方だと前衛が目立ってしまうので、立場的にあまり派手にやり過ぎてはいけない俺は今回はあまり前衛向きではない。
その事を分かってくれている簪もすぐに了承し、すんなりと前衛を引き受けてくれた。
「相手の一般生徒が可哀想…」
虚の呟きを、俺も簪も聞かなかったことにした。
試合はその後、時折一夏の援護もしながら様子を見ていたシャルロットが、箒への攻撃に集中するためにラウラ、一夏から距離を取ったことにより、純粋にラウラと一夏の1対1の状況となった。そして、すぐさまフルボッコにされ始めた。
「ここだな」
「一夏君がこの攻撃を耐えきることができれば、一夏君達の圧倒的優位になり」
「一夏が撃破されたら、ボーデヴィッヒの優位になる」
「「「ふむふむ」」」
いつのまにか俺たちの周りに座っている生徒達が、俺と刀奈の会話を解説代わりに聴いていた。実況席でもあれば、俺たちが解説として呼ばれるかもな。
ラウラのワイヤーブレードを使った攻撃に為すすべもなかった一夏だが、ギリギリのところで箒を倒したシャルロットが間に合い、何とか2対1の状況に持ち込むことができた。
「一夏は今のでかなりシールドエネルギーを削られたな。零落白夜を使うにはキツい状況だ」
「使うのにシールドエネルギーを消費するんだっけ?」
簪の問いに頷いて肯定する。俺が思うにあれを使うのはかなりリスキーだと思う。確かに決まれば強力だが、当たらなければそれまでだし、逆にシールドエネルギーを消費して自分の首を締めることになる。攻撃を当てる瞬間のみ零落白夜を使えるのであれば関係ないのだが、そんな器用な芸当が一夏にできるはずがない。
それが分かっているのかどうかは分からないが、2対1と優勢な状況となった中で、一夏はすぐさま零落白夜を使うことはなかった。
「2対1になっても互角にやりあってるわね」
「まぁこんなところだろう。一夏とデュノアのコンビネーションもまだまだだし」
俺の評価に周りから疑問の声があがる。
確かに一見、コンビネーションを取りながら上手く戦えてるように見えるが、あれはシャルロットが合わせてるだけだ。一夏は大して連携の役にたってない。
その事を解説したら苦笑ともに、「上代君って織斑君に結構厳しいよね」と言われた。仕方ないじゃん、あいつがまだまだなのは事実なんだし。クラス代表にはちゃんと成長してもらわないと。
互角の状況が続いた中、一夏の性格的にそろそろかな?と思った辺りで一夏は零落白夜を展開した。恐らく、このままじゃ埒があかないと思ったんだろう。
一撃必殺の零落白夜を展開した一夏だったが、それでもラウラはそれを回避しつつ、シャルロットからの攻撃も捌きつつ、2人に攻撃を仕掛けていた。一夏の動きを読みやすいことを差し引いても、ラウラの実力は流石としか言いようがない。
しかし、ここでようやく数の有利が出てきた。一夏をAICで捉えたラウラだったが、シャルロットに至近距離までの接近を許して、ショットガンによってレールカノンを破壊された。ここで一夏が決めれば試合終了だったのだが、ここぞと言う時にエネルギー切れで零落白夜が消滅した。
絶好のチャンスが一転、最大のピンチになってしまった。やはりここが零落白夜を使うリスクだと思う。
援護に入ろうとしたシャルロットがラウラからの攻撃で被弾し、それに気を取られた一夏の隙をラウラが見逃すはずもなく、一夏は地面に叩き落とされた。
ラウラの勝利かと思われた瞬間、シャルロットが瞬時加速でラウラに接近した。これには俺や刀奈も驚いた。これまで使ったところを見ていないので、隠していたのか、この試合中に覚えたのだろう。あいつの器用さを一夏に分けてやってほしい。いや、本当にそう思う。
接近を許したラウラだが、AICでシャルロットを拘束する。しかし、それは長く続かなかった。地面に落ちたはずの一夏がシャルロットが使っていたアサルトライフルで援護したため、AICは解除された。アサルトライフルにしては絶望的な命中率だったが奇襲だったこともあり、ラウラを驚愕させるには十分だった。
そしてその隙をシャルロットは見逃さず、これまで隠していた奥の手を出現させた。
「最後の最後まで隠していたのね、奥の手を」
「決まれば必殺だからな、あれは」
またとないチャンスにシャルロットは、隠していたパイルバンカー、
第2世代最強と謳われたその威力は流石のものだった。それに加えて連射が可能という点もあり、この武装を凶悪なものとしている。
シャルロットも当然一撃で終わるはずがなく、続けて3発をラウラへと打ち込んだ。
「あああぁぁぁっ!!!」
この試合の勝敗は決まった。誰しもがそう思った瞬間、ラウラの絶叫と共に異変が起きた。
さて、ここからは俺の仕事だ。
「久しぶりにみんな台詞があったねぇ」
「本当、久しぶり」
「もう10話以上も台詞なかったんですね、私…」
ISAB始めたってことで、そっちのヒロインを出すフラグだけ一応…。
本格的に内容に絡めていくかはこれから考えます。
というか、あの新しいヒロイン達ってみんな学年は1年なんだろか??
筆者はまだ刀奈本命狙いのリセマラしかしてないので詳しい設定とかをまだ把握できてません。
あと、正直ぶっちゃけると筆者は一夏があんまり好きじゃありません。めっちゃくちゃ嫌ってるっていうわけじゃないけど、なんかなぁ……って感じです。
作品の内容には影響を与えないようには心がけますが、もしかしたらこれからタグが増えるかも…。
今後は忙しくなるので、投稿ペースがさらに遅れる可能性が高いです。気長に待ってもらいたいです。
感想評価等よろしくお願いします。