どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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お待たせしました。
前回の投稿から期間が空いてしまい申し訳無いです。

…麻雀したいなぁ。


32

「海だ!!」

 

誰かが言った言葉に、バスに乗る多くの人が反応した。

各々が海が見えた感想を言っていくのを聞きつつ、俺は目を覚ました。

隣を見ると俺の肩に寄りかかるようにして、刀奈が眠っていた。可愛い。

 

今日は臨海学校初日で、今は移動のバス。

なぜ刀奈が俺の横に座っているのかというと、今回の臨海学校において、刀奈は主に山田先生のサポートということになったからだ。

昨日は夜中まで、俺は生徒会と更識の、刀奈は臨時講師関連の書類仕事をやっていたので、バスに乗るなり爆睡してしまった。朝は朝で早かったし。

 

ちなみに、刀奈が1組のバスに乗車が決まった後、刀奈の座席は自然に俺の隣となった。別に刀奈が圧を掛けたとかではなく、本当に自然にそうなった。クラスメイト曰く、「彼女さんの前で、上代君の隣には座れないかなぁ……。後が怖くて」とのことだった。別にバスで席が隣になるぐらい大したことじゃないと思うんだけどな。まぁこっちとしては嬉しいから有り難く座らしてもらうけど。

 

俺の隣に座ろうとしていた一夏の隣が空席となり、ヒロイン達の争奪戦が始まったが、織斑先生の「それ以上揉めるのなら出席番号順にするぞ」という一言で、ヒロイン達は大人しくじゃんけんを始めた。

 

 

 

「起きたか」

 

バスの通路を挟んで隣に座る織斑先生が声をかけてきた。

その隣に座る山田先生はニコニコしながらこっちを見てきている。

 

「もうすぐ到着だ。そろそろ更識を起こせ」

「こんなに気持ち良さそうに眠ってるのにですか?着いてからでもいいんじゃ…」

「生徒ならまだしもこの臨海学校では更識は臨時とはいえ講師だ。着いてからも仕事があるから早めに起こしておけ」

「まぁ…それなら仕方ないですね」

 

もう少し刀奈の寝顔を堪能したかったが、仕方がない。

渋々、俺は俺にもたれかかっている肩と反対の肩を揺すって刀奈を起こした。

 

「楯無、そろそろ到着だから起きろ」

「……んっ」

 

色っぽい声を出しつつ、刀奈は目を覚ました。可愛いんだけど、…心臓に悪い。山田先生が微妙に顔赤くしてるし。

 

 

「おはよ」

「おはよう、翔平。肩ありがとう」

 

入学当初は寝顔を俺に見られて恥ずかしそうにしてい刀奈だが、最近ではもうそんな事はない。毎日同じベッドで寝ているんだから、俺も刀奈ももう慣れた。今更寝顔1つで俺も刀奈も動揺しない。

…寝起きの刀奈がやたらと色っぽいのは、慣れないけど。

 

 

刀奈が起きたのを確認した織斑先生は、クラス全体にも降車の準備をするよう伝達した。

後ろの方の、主に一夏の席辺りが騒がしいが、座席が離れている俺達には状況は分からない。

ある意味、俺達がぐっすり眠れた要因は、あの連中から離れて座れたからかもしれない。

 

 

目的地である花月荘に到着した後、バスから降車して旅館の前に整列した。

織斑先生の監視下なので、みんな動きが早い。ものの数分で整列が完了した。

 

「3日間お世話になる花月荘だ。従業員の方々に迷惑をかけないように!お前達、挨拶しろ」

「「よろしくお願いします」」

 

織斑先生の言葉と共に学生達が挨拶する。

 

 

 

「今年の1年生もみんな元気ね。花月荘の女将をやっています、清洲景子です」

 

従業員が並ぶ中心に立っていた女性が、従業員を代表して軽く挨拶をした。

…まぁ俺、景子さんと初対面じゃないんだけどね。花月荘って更識がよく使う旅館だし。京子さんがここ、凄い気に入ってたから。

 

後で挨拶しておこう。

と思っていたら挨拶を終えた景子さんと目が合った。そして、凄い穏やかな目で微笑まれた。

……うん、これ直感で分かったよ。俺と刀奈が付き合っているの知ってるな、あの人。

それで刀奈が帯同しているのを見てあの顔なんだろう。面倒臭そうなので、あの人には出来るだけ近づかないようにしよう。絶対根掘り葉掘り聞かれる。

 

 

その後、教師陣からの諸注意や今後の流れが説明されて、この場は解散となった。

この後は各自、自分の部屋に荷物を置いて、夕食まで自由時間となる。まぁ刀奈は講師として任せられてる仕事があるし、俺もそれに付き合うつもりだから自由時間はもう少し後になるのだけど。

 

「ねぇ上代君、上代君と織斑君の部屋が書いてないけど」

「上代君は聞いてる?」

 

部屋割りに俺と一夏の名前がない事に気付いたクラスメイトの女子数人が話しかけてきた。

 

「俺と一夏の部屋はまだ発表されてないんだよ。俺も今から聞きに行く」

「え、なんで??」

「バレたら女子生徒が押し寄せるだろ。旅館側に迷惑だ」

「……あー、そっか」

 

俺と一夏の部屋の前に多くの女子生徒が集まる光景を想像したのだろう、クラスメイトが苦笑いを浮かべた。

 

「じゃあ上代君は織斑君と同じ部屋なの?」

「いや、俺らは別々の部屋だ」

「え、じゃあ上代君は誰と同じ部屋なの?」

「楯無」

「成る程」

 

俺の回答にすぐさま納得といった表情になった。普通だったら、異性で同じ部屋にする事は問題だと思うけど、俺と刀奈は普段から同室で生活してるから特に問題にならない。

 

「上代」

 

話していたら織斑先生に呼ばれたのでそっちに向かう。その場には織斑先生の他に、刀奈と山田先生、一夏、それと景子さんがいた。

 

「久しぶりね、翔平君。3年ぶりぐらいかしら」

「お久しぶりです、景子さん。それぐらいになりますね」

 

久しぶりに話す景子さんと握手する。

 

「そうか。更識と面識があるのだから、お前も当然面識があるか」

「えぇ、まぁ」

 

織斑先生は去年の臨海学校も参加していたそうだから、その時も刀奈と景子さんで似たような光景があったのだろう。

事情を知らない山田先生と一夏が不思議そうにしている。後で教えておこう。

 

「すみません、直前に部屋を追加してほしいと頼んでしまい」

「いえ、空き部屋はあったのでこちらとしましては問題ありませんでした」

 

刀奈が急遽、この臨海学校に参加することになって、部屋が一室追加で必要となったが、無事に用意してもらえたようで良かった。

 

「この2人が使う部屋みたいですし、後で色々と聞かせていただきます」

 

並んで立つ俺と刀奈を見ながら、そんな事を言ってくる景子さん。俺と刀奈は目を逸らした。

 

「でも、良かったんですか?異性の学生を同室にしても」

「大丈夫です、学園でもこの2人は同室で生活をしていますので。節度を持った行動をしてくれるはずです」

 

そう言って俺たちを一瞥する織斑先生。それに内心動揺するも絶対に顔には出さないようにした。

……言えない。実は付き合ってから学園の自室でもうやる事やってます、なんて言えない。

 

その後軽く話して景子さんは仕事に戻った。

 

俺達も一度部屋に移動して荷物を置き、任されている仕事を行うことにした。

 

「翔平は生徒だから遊んできてもいいのよ」

「いや、付き合うよ。俺も館内設備と非常経路は確認しておきたいから」

「やっぱり心配?」

「……まぁな」

.

あの篠ノ之束が仕掛けてくるのだ。

恐らく仕掛けてくるのは海上だと思うが、警戒するに越した事は無いだろう。

 

「まぁ、今からうだうだ考えてもどうしようもないし、出来ることだけやっておくか」

「それもそうね」

「学園の行事なんて1回限りだからな」

「私は2回目だけどね」

「俺と一緒なのは1回目だろ?」

 

ニッ、っと笑って見せると照れた刀奈に、何も言わずに肩を叩かれた。

こういう時は、刀奈はまだ照れるんだよな。

照れたからって物理攻撃はやめてほしいんだけど。

まぁ軽くなので痛くないし、可愛いだけなんだけどね。

 

その後は、2人で色々と話しながらも仕事はしっかりとこなした。

館内設備と非常経路の確認が終わった俺たちは、別の教員の仕事を手伝おうと織斑先生に報告したところ、もうほとんど仕事は終わっていて、俺達も刀奈も自由時間に入っていいとのことだった。

 

「上代、お前は既に自由時間のはずだが?」

「そうですよ。だから自由に時間を使ってます」

「フッ、成る程」

 

あ、今鼻で笑われた。自由時間に彼女と行動したいと思うのは当然だと思うんだ。

 

「上代は浜辺にでも出て更識以外の学生とも交流しておけ」

「…了解です」

「更識も、臨時講師と言っても最低限の業務をこなしていれば後は自由にしていい」

「分かりました、ありがとうございます」

「私と山田先生も後で向かう」

 

そう言って、織斑先生は業務に戻った。と言っても、あの言い方だとそれもあと少しで終わるのだろう。

というか、この臨海学校って一応は課外学習のはずなんだけど、丸1日自由時間って大丈夫なんだろうか。

 

 

織斑先生と別れた俺達は一度部屋に戻った。

 

「織斑先生にもああ言われた事だし、俺達も海の方行くか」

「折角だしね」

 

というわけで、お互いこの前のデートで買った水着を持って海へと向かった。流石にペアルックのラッシュガードは持って来るのを自重したけど。

 

 

旅館の外へ出て隣接している海水浴場に向かう。

その道中で簪と本音に出会った。

今回の臨海学校は、簪も参加している。原作では確か、弍式の開発に専念するために臨海学校は不参加だっはず。

しかし現在の弍式の開発は順調に進んでいるため、簪も特に臨海学校を不参加にする理由も無くなったので、こうして参加している。

 

 

「お兄ちゃん達も自由時間?」

「おう、お前達もまだ中に居たんだな」

「うん。移動疲れあったし、人多そうだったから…」

「よく言うよかんちゃん。ゆーくんと電話してただけなのに」

「本音!!」

 

あっさり主人を裏切る従者。仲が良いのは良い事だとして、主人が黙っておきたい事をさらっと言ってしまうのはどうなんだろう?

 

「上手くいってるみたいね」

「お兄ちゃんとお姉ちゃんには負けるけどね」

 

繋いでいる俺と刀奈の手を見ながら簪がボヤいた。

 

「かんちゃん、お嬢様が臨海学校の参加が決まって凄い羨ましがってたもんね」

「〜〜〜〜っ!?」

 

またも従者にカミングアウトされる簪。そろそろ怒って良いと思うぞ。

そんな事を思っているとき、俺は1つの案を思いついた。

 

「じゃあさ、夏に4人でどっか行くか?」

「それってダブルデートってこと?」

 

刀奈の問いに俺は頷く。

俺達4人は面識があるし、そう言う事も一回ぐらいはやってみても良いと思う。まぁ豊がオッケーかどうかになるだろうけど。

 

「いいわね、それ」

 

どうやら刀奈も賛同してくれるらしい。

 

「簪はどうだ?」

「うん、私もやってみたい。後で豊にも聞いてみる」

 

更識姉妹の了承が取れたので、後は豊次第か。

 

「いいなぁ、かんちゃん。楽しそうなイベント決まって」

「そう言うのなら貴方も恋人作れば?」

「出会いがないから困ってるんじゃん」

 

確かに、今の本音の周りにいる男って一夏ぐらいか。

学園がほぼ女子校だから仕方がないけど。

 

俺と刀奈も簪と豊も、更識関係で自然に知り合ったからなぁ。俺は半分無理矢理だけど。

 

「そのうちお前にも出会いかあるだろ」

「…しょうちゃん他人事だね」

「他人事だからな」

 

他愛の話をしつつ、俺達は浜辺へと向かった。

 

今の、この平和で幸せに感じられる時間を大切にしたいな。

 

 

 

 




「私は1人、学園で留守番ですか…」

虚さん、申し訳ない。


SAOととあるの三期が始まって久し振りにアニメ見ようかと思ったりしたけど、忙しくてそれどころじゃない。でもリーナ先輩とキャーリサ様は見たいなぁ…。

感想評価等よろしくお願いします。


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