どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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簪が使ってる眼鏡型ディスプレイを使ってみたい。


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俺がISを動かしたことは、その場にいた人達と更識家の一部の人間以外には極秘扱いになった。幸い、施設の人も更識家関連の人なので、そこは大丈夫だった。これは刀奈と槍一郎さん、俺の3人で話し合った結果である。

 

"せっかく俺がISを動かしたのだから、更識家として有効活用しよう。あ、でも世間に公表したら色々と面倒だよね?ならもう黙っとこう。どうせ裏社会で動くんだし、フルスキンのIS乗るか、まぁ最悪女装したら大丈夫でしょ。日本政府?口止めしとけ"

 

ということになった。

……女装は嫌だから是非ともフルスキンにしてもらいたい。

といっても、知識はあっても実技に関しては全くの素人の俺がいきなり任務につくはずもなく、当分は訓練機でひたすら操縦や武装の扱いに慣れることになった。

何でも刀奈と簪を教えていた人が、マンツーマンで教えてくれるらしい。そのことを知った2人が俺の肩に手を置いて、「無事に…生きて帰ってきてね」と言ってきた。

え、何それ凄い怖いんだけど。

 

 

この日から約1年間は俺にとって地獄の日々だった。

 

 

 

 

俺のIS起動時間から1年後、俺と刀奈が世間一般で高校生となるこの年、俺は当然高校は通わないが、刀奈はIS学園に入学した。虚も去年IS学園に入学している。

したがって、家に残ってるのは俺と簪と本音だけだった。簪と本音もIS学園に入るらしいので、来年には俺1人になってしまう。……別に寂しくないし。

でもやっぱり、刀奈がいないのは寂しかった。

 

「もう、だからお姉ちゃんが学園に行く前に告白しちゃえって言ったのに」

「いや、分かってたけどさー」

 

俺が刀奈が好きということは完全に簪にバレていた。

刀奈が学園に向かう1週間前に、簪から突然「お兄ちゃん、このままでいいの?お姉ちゃんのこと好きなんでしょ?」と言われた時は驚いた。バレてるかもとはうすうす感じていたが、面と向かって言われるとは思わなかった。

ちなみに今この場には俺と簪の2人がいる。場所は居間で、夕食食べた後の時間だ。本音は皿洗い当番なので今はいない。

京子さんが亡くなってからは、自分達で当番を決めて食事を用意していた。今日は俺が作る担当で、本音が片付け担当である。

俺は前世で一人暮らししていたので、ある程度料理ができる。刀奈達も、料理に関しては京子さんという鬼教官がいたので、かなりのレベルとなっている。

俺と簪で話していると、洗い物を終えた本音も戻ってきた。

 

「お兄ちゃんは、ほんとお姉ちゃんとのそーいう話になったらダメになる」

 

はぁっと、このヘタレは…とでも言いたげに溜息を吐く簪。

 

「まぁ、しょうちゃんはヘタレだもんねー」

 

本音はどストレートに言ってくる。

この2人と話していると、簪が心を抉り、本音が確実にトドメを刺してくる。昔から一緒なだけあって、会話での連携も完璧だ。無駄に殺傷能力が高い。

俺は致命傷を受けて何も言い返せなかった。

 

 

「お、ここにいたか翔平」

「あ、仁さん」

 

俺は助けを求めて、仁さんとの会話に逃げる。

 

「明後日の俺の任務、ちょっと手伝ってくれ」

「明後日ってそんなハードでしたっけ?」

「規模が規模だから、IS使っちまおうって話になった。楯無と姉上からも了承は得た」

「うわぁ、容赦ねぇ」

「それが仕事だからな。あ、そういえばさっき姉上が探してたぞ」

「えぇ……」

 

逃げた先にも地雷があった。

仁さんの言う姉上とは、五十嵐(あおい)--更識家IS特別顧問であり、刀奈と簪のISの師匠、そして俺にとってトラウマとなっている地獄の1年間の元凶である。仁さんの呼び方や苗字で分かるように、仁さんの実の姉でもある。この人、もともとは凄腕のIS操縦者だったらしく、あの織斑千冬と互角かそれ以上の実力を持っていたと噂されている。つまり、実質的なブリュンヒルデということになる。しかし、第一回モンド・グロッソが行われる前に、訓練中の事故で大怪我を負った影響で選手として引退した。

教官としての厳しさとか、普段の口調とか性格とかいろいろひっくるめて、原作で知っている織斑千冬にそっくりである。出席簿持ってないから普通に拳骨してくるが、これがめちゃくちゃ痛い。

 

そんな葵さんからの呼び出しは、俺にとって恐ろしいものだった。この前の任務の戦闘ログを昨日提出したから、多分それに関するダメだしだろう。……正直行きたくない。しかし、無視したら後で殺されるのは分かっているので、行くしかない。

 

「仕方ないか……」

「頑張って」

「ふぁいとー」

 

ため息をつきながら立ち上がると、さっきまで俺に精神攻撃を仕掛けてきていた簪と本音がサムズアップしながら声をかけてくれる。…俺は今から戦場にでも行くのだろうか?…行くんだろうな。

 

居間を出た俺は葵さんの部屋に向かう。その道中に、明後日の任務に関する軽い打ち合わせをしようと思ったが、仁さんは煙草片手に外に行ってしまった。仁さんはかなりのヘビースモーカーである。任務の前後や、なんなら任務中でも隙を見ては吸っている。前に一度、家の中で吸っているのを京子さんに見つかって、かなり怒られていた。

正座させられてさらに足の上に重石を置かれるという半ば拷問のようなお仕置きを受けていた仁さんを思い出していると、葵さんの部屋の前に到着した。

 

「葵さん、翔平です」

「入れ」

「失礼します」

 

中から許可をもらってから入室する。仁さんが一度、何も言わずに入ったら葵さんがちょうど着替え途中だったということがあったらしい。仁さんは鼻の骨を折ったのと前歯が折れただけで済んだ。

 

「明後日の件は聞いたか?」

「はい」

「そういうことだから、後で愚弟と打ち合わせをしておけよ。あと、昨日提出したログを見させてもらった」

 

葵さんの言葉に、俺は体を強張らせる。

 

「そう、身構えるな。今回は特にミスもなかったようだし、まぁ合格点だ」

「……へ?」

 

俺は体から力が抜けていくような気がした。……この力が抜けた時に出る間抜けな"へ"は、恥ずかしいからやめたいと思っているが、癖なので中々消えてくれない。

 

「なんだ?そんなにダメ出ししてもらいたかったか?」

「い、いえ!!……そういうわけじゃ」

 

慌てて答える俺を見てフフッと笑う葵さん。何か今日はいつもより機嫌がいい。

 

「あぁ、そうだ。さっき出雲から連絡がきたぞ。整備が終わったらしい」

「分かりました。明日取りに行きます」

 

 

 

 

出雲(いずも)技研は、更識家と提携している企業であり、俺がISを始めて動かしたり、地獄の1年間を過ごした施設でもある。そこまで規模は大きくなく、公式では倉持技研の子会社という扱いになっている。

しかしここは少数精鋭で、凄腕の技術者が2人いるのと、所長のマネジメント能力が異様に高い。多分、その気になれば世界進出も余裕だと思うが、更識家のサポートというのが企業としての運営方針なので、そこまで目立たないようにしてくれている。こちらとしてはありがたいが、ちょっと申し訳ない。

そのことをこの前、所長の出雲藤丸(ふじまる)さんに聞いてみたことがある。

 

『僕たちがそうしたいからやっているのだから、君が気にする必要は皆無だよ。それに、僕たちは京子さんや楯無、あぁ今はもう槍一郎君だったね、あの2人に助けられているんだ。だから僕たちは恩返しのためにここにいる。多分、ここで働いている人はみんな同じ考えだと思うよ』

 

藤丸さんにそう言われて、俺は納得した。やはりここでも京子さんが話に出てくるのだ。もう頭が上がらない。今度京子さんが好きだった柏餅をお供えしておこう。

 

俺の専用機も出雲で作ってもらった。俺や刀奈や簪も開発は手伝った。

簪の専用機もそろそろ開発を始めるらしい。コアのストックがなかったので、扱いは倉持での開発ということになるが、簪が自分で作りたいと言い出したので、倉持と出雲の技術者に見てもらいながら開発を進めることになった。この時俺は少し心配していたが、俺と刀奈に協力してほしいと言ってきたので安心することができた。

結局、俺たち3人の専用機は、全て3人が開発に携わったということになった。まぁ俺の専用機だけは時間に余裕がなかったということもあって、出雲の人達に任せたが。

ちなみに藤丸さんと葵さんは昔からの付き合いらしい。本人たちは腐れ縁だと言っていた。そのことについて、出雲の技術者トップ2である、(くすのき)(はな)さんと楠 (あや)さんの双子姉妹と議論したことがある。白熱した討論の結果、"昔付き合ってた、元恋人同士"という案が採用された。事実かどうかは知らないけど。

 

 

 

 

 

 

「そういえば翔平、うちの愚弟を見なかったか?」

「煙草片手に外行きましたよ」

「……そうか」

 

葵さんから連絡事項を聞いた俺は自室に戻ろうと部屋を出ようとしたとき、葵さんに仁さんの居場所を聞かれた。ここで変に誤魔化しても、とばっちりを喰らうだけなので正直に答える。すると、さっきまで良かった機嫌がいっきに氷点下まで落ちていくのを感じた。これはやばい…。

 

「あの馬鹿め、翔平を呼んだら話があるからお前も一緒に来いと言ったはずなのに…」

 

完全に、仁さんのミスだった。俺は知らない。

 

「見つけたら言っておきます。それじゃお休みなさい、葵さん」

「あぁお休み、藤丸によろしく言っておいてくれ」

「分かりました」

 

この部屋の空気に耐え切れなくなった俺は、早く逃げることにした。その後、ボロボロになった仁さんが発見されたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は簪とともに出雲技研に向かっていた。

俺は定期メンテに出していた専用機の受け取り、簪は自身の専用機、"打鉄弐式"の開発についてダブル楠博士に質問をするためである。

 

「弐式はどんな感じだ?」

「去年、お姉ちゃんのを手伝ってたのが大きいかな。今のところは順調だと思う」

 

簪に専用機を自分で作ってみないかと提案したのは俺である。倉持の仕事を奪ってしまったのは申し訳ないと思っている。

理由は、一夏との因縁が起こらないようにするためである。初めから、自分で開発を始めておけば一夏の白式開発の影響を受けることもないし、一夏のことを嫌うこともなくなる。簪が一夏のことを好きになるのかもしれないと考えると、兄として少し複雑ではあるが。

 

出雲技研に到着し、施設内に入る俺と簪。もはや顔パスでオッケーなので受付のお姉さんも警備員の人も、挨拶をかわすだけで通してくれる。

その後も、すれ違う人々と挨拶を交わしながら施設内の奥へと進んでいく。目指すのは第一研究室。

 

「「やぁ来たね」」

「こんにちは華さん、彩さん」

「こんにちは」

「「はいはい、こんにちは」」

 

無駄にシンクロ率を披露する双子の挨拶を聞きながら、俺と簪も挨拶を返す。

この2人、双子なだけあって見た目も声も本当に似ている。俺や刀奈、簪はもう何度も会っているから見分けがつくが、初見ならまず間違いなく分からないだろう。

 

「とりあえず、翔平君は専用機返すね。特に問題もなしだから大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

 

俺は華さんから専用機を受け取る。俺の専用機は待機形態が眼鏡になっている。別に眼が悪いわけではない。簪が携帯用のディスプレイとして眼鏡を使っているのを見て便利だと思って、待機形態は眼鏡にしてもらった。専用機の待機形態ではあるが、ディスプレイとしても使えるので非常に便利である。

 

「簪ちゃんは弐式についてだったよね」

「はい」

 

簪が自身の専用機について話すのを、俺も横で聞く。が、刀奈や簪ほど詳しくないので、話している内容は半分ほどしか理解できない。

暇だなぁと思っていたら、彩さんが声をかけてきた。

 

「あ、そうだ翔平君。所長が話したいことがあるって言ってたからそっち先に行ってきちゃって。終わったらまた戻ってきてね。武装に関して相談があるから」

「分かりました」

 

 

楠姉妹はそれぞれ技術者としてかなりの実力を持っているが、それぞれ専門がある。華さんが機体本体の専門で、彩さんが武装全般の専門となっている。といってもあくまで専門であって、2人とも両方が一般水準をはるかに超えるレベルとなっている。

 

簪の話はまだまだ続きそうだったので、彩さんに言われた通り先に藤丸さんのところへ向かうことにした。

 

「藤丸さん、翔平です」

『あぁいらっしゃい、入っていいよ』

「失礼します」

 

所長室の前に到着して、扉の脇にあるパネルを操作して中にいる藤丸さんに挨拶をする。すると返答があったので一言言って入室する。

 

「やぁわざわざ来てもらってすまないね」

「いいですよ、ちょうど暇してたんで」

「そうかい」

 

微笑みながら立ち上がった藤丸さんは部屋の隅に移動して、コーヒーか紅茶かと聞かれたのでコーヒーと答えていただくことにした。この人の淹れるコーヒーと紅茶はとても美味しいので、この部屋に来るときは必ず貰うようにしている。俺は両方とも好きなのでその日の気分でコーヒーと紅茶を変えている。以前、藤丸さんの紅茶を飲んだ虚が衝撃を受けて、しばらくの間弟子入りしていた。

 

「それで、今日はどうしたんですか?」

 

淹れてもらったコーヒーを飲みながら、藤丸さんに本題を聞く。

 

「まぁ大した話じゃないだけどね。君は君がIS操縦者であるということを世間に公開することがあると思うかい?」

「……何とも言えないですね」

 

現状では、俺がISを動かすことができるということは更識家の中で極秘事項となっている。他に知っているのは、日本政府のごく一部ぐらいである。

しかしこれはあくまで現状であって、これからの状況によっては変わってくる可能性もある。簡単に言えば、他に男性操縦者が現われた場合、その対応として俺を使う可能性もあるということである。俺としては、そのうち一夏がISを起動させることを知っているので、俺のことも公表されるだろうと予想している。しかし、それは今現在では当然誰も知らない話である。

そんな中で目の前に座っている、いつもニコニコしている男は公表の可能性を聞いてきた。それがなぜか、俺は何となく分かってしまった。

 

「夢でも見ましたか?」

「そうなんだよ」

 

適当に言っているように聞こえるが、俺はある程度確信をもって言った言葉である。

この出雲藤丸という男は、時折正夢を見るのだという。普段は生活の中のどうでもいいところの夢なのだが、たまに世間でも重大なニュースとなる出来事を夢で見るのだ。

 

「君がIS学園に入学している姿を、今朝の夢で見てね。これが正夢になるのなら凄いことだと思ったんだよ」

「そりゃ、大変なことになりますね」

 

未来を知っている俺からしたら、あんたの夢の方が凄いことだよと思った。口には出さなかったが。

 

「君の予想では、僕のこの夢は正夢になると思うかい?」

「……何とも言えないですね」

 

 

俺はそう返すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

しかしその数か月後、藤丸さんの見た夢は正夢だったということが分かる。

 

織斑一夏がISを起動させた。

世界で初めての男性操縦者(正確には2番目だがそれを知る人はごく僅かである)が発見されたというニュースは瞬く間に世界へと拡散された。

 

そんなニュースを見て俺が思ったこと、それは----

 

 

 

 

 

あ、ようやく原作始まるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリ主の専用機に関しては、名前も含めてそのうち紹介していきます。

立て続けにオリキャラが登場してきましたが、それぞれモデルとしているキャラがいます。分かる人には分かるかもしれません。


感想評価等よろしくお願いします。
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