どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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現在、俺は授業を受けている。といっても、すでに家で学習した内容なのでほとんどが復習のようなものだ。

山田先生の授業は分かりやすいのだが、やっぱりすでに知っている内容を聞いていると眠くなっている。しかし、俺の後ろには金棒(出席簿)を持った(織斑千冬)が立っている。ここで寝たら、その鈍器が振り下ろされてしまう。

欠伸を噛み殺しながら授業を聞いていると、山田先生が一番前に座る一夏に質問がないかを聞いた。すると、途端に動揺しだす一夏。後ろからなので分からないが、多分顔は真っ青なのだろう。後ろの(織斑千冬)も、弟の態度に疑問を持ったのかクラスの前へと移動を始める。そして、俺の横を通り過ぎる際に出席簿アタックを喰らった。俺が頭を押さえて唸っていると、「次はないと言ったはずだ」と呟いて行った。……これもバレるのか。

 

結局、一夏は「ほとんど全部分かりません」という言葉で山田先生を混乱させ、織斑先生からの質問で入学前の参考書を間違って捨てたことを自白した。当然、出席簿が振り下ろされた。

 

「後で再発行してやるから、1週間以内に覚えろ」

 

さすがブリュンヒルデ、1週間も期間を与えてあげるなんてなんて優しいんだろう。

その参考書がどれほどの内容量なのかは分からないが、とても1週間で覚えられる量ではないことは分かる。

 

 

……昔から思っていたけど、結局一夏は1週間でちゃんと覚えられたんだろうか?

 

その後、わざわざ後ろまで戻ってきた織斑先生監視の元、俺はひたすら眠たいのを我慢しながら授業を受けた。

……正直俺個人の話だったら気にせず寝るのだが、ここで寝たら更識家の信用問題、というより楯無である刀奈の信用問題になってしまう。それは駄目だという気持ちだけで、俺は何とか授業を乗り切った。

 

 

 

 

「ふぁぁぁぁぁ」

「しょうちゃん眠そうだね。まぁ分からないこともないけど」

 

休み時間に入り、俺は全く隠すことなく大きな欠伸をしていた。

さて、俺の記憶が正しければこの休み時間では一夏が面倒くさいのに巻き込まれるはずである。そして、その巻き込まれる予定の一夏がこちらに向かってきているということは、必然的に俺も巻き添えを喰らうことになる。

となれば、俺がやるべきことは1つだ。

 

「本音、ちょっと簪の様子見に行かね?」

「いいよ~」

 

戦略的撤退である。

 

「あ、おい」という一夏と、「ちょっとよろしくて」と一夏に話しかける金髪縦ロール。

それらを聞かなかったことにして、俺と本音は教室から移動した。

 

 

1組から廊下に出て、簪が在籍している4組へと向かう。道中、廊下を歩く女子生徒からまるでパンダでも見るかのように、視線を浴びせられる。こそこそ話しているのを聞いてみると、「あれが世界で2番目の男性操縦者?」であったり「自己紹介で好きな人がいるってぶっちゃけたらしいよ」などと話している。

……パンダになっているのは自業自得だった。というか噂広まるの早いな。

 

「お、ここだここだ」

 

4組の前に到着して本音が中を覗き、俺もそれに続く。

突然、世界に2人しかいない男性操縦者の片割の登場に、4組内の女子生徒は困惑する。

 

「え?何で例の男性操縦者がここに?」

「ていうか、あれってどっち?」

「多分、自己紹介でカミングアウトしたほうだと思うよ」

「なーんだ、じゃあ脈なしじゃん」

「いやいや、奪い取ってこそ本当の恋愛じゃ…」

「あんたは昼ドラの見過ぎよ」

 

4組の女子生徒たちもまた、こっちを見ながらこそこそと会話していた。

というかこの学園の女子達、こそこそ話すんならせめてこっちに聞こえないようにしようよ、だだ聞こえだよ。そしてやっぱりここでも噂は広がってるんだな。というか最後のほう奪い取るとか聞こえたんだが?まぁあり得ない話だがな。俺が刀奈以外を好きになるなんて、織斑先生が明日から山田先生みたいな性格になるぐらいあり得ない。……想像したらなんか悪寒がした。

 

「あ、かんちゃーん」

 

本音が簪を見つけて手を振る。

簪はクラスメイトと話をしていた。てっきり一人で読書でもしていると思っていたからちょっと意外だった。今の簪は原作での簪より、少しコミュ力が上がっているような気がする。自分一人で何とかしようとする考えが無くなった好影響なのだろう。兄として嬉しいものだ。

 

本音の声に気付いた簪が話していた友達に何か一言伝えて、こちらにやってきた。簪と話していた友達は、興奮しながら何かお願いしていた。……嫌な予感しかしない。

 

「2人ともどうしたの?」

「しょうちゃんがかんちゃんの様子を見に行こうって。それにしても、かんちゃんが友達作ってるのが意外だよ」

「本音……失礼よ」

 

俺も思ったことではあるが、それを直接簪に言うとは…。最近分かったことだが、俺も含めた仲間内で一番毒舌なのは本音なんじゃないだろうか。まぁでも相手が本当に傷つくことは言わないか。……あれ?でも俺って結構本音の言葉で傷ついているような……。

 

「それよりおに、……翔平。自己紹介で好きな人がいるって言ったのは本当なの?」

「本当だけど、噂広がるの早すぎじゃね」

「それだけのカミングアウトだと思う。というか、何でそれができてお姉ちゃんに告白ができないの?」

「……何でなんだろうな」

 

簪がお兄ちゃんと言いかけたが、一応学園内では名前で呼んでもらうようにしている。簪が俺のことをお兄ちゃんと呼べば、それを聞いた女子たちが詳細を聞きに群がってくるだろう。それは勘弁してもらいたいし、俺が更識に関わっていることは基本的には内密にする方向である。まぁ極秘にとまではいかないので、そのうち知る人も出てくるだろうが。

 

俺への口撃を続けようとする簪だが、俺は時計を見てそろそろ休み時間が終わるということで、退散することにする。

 

「あ、じゃあ最後に一つ。クラスの子が、翔平の言った好きな子って誰か聞いてきてって言ってるんだけど」

「……プライベートの質問はノーコメントでと伝えてくれ」

「分かった」

 

聞いて俺が答えるとでも思ったのだろうか?というか教えてもまず刀奈のことを知らないだろう。

 

「早く告白しないとダメだからね。もう今日お姉ちゃんに会ったら告白して」

「いや、今日会うかわからない…」

「じゃあ次会ったら」

「2人きりじゃないと無理…」

「次に2人きりになった時に必ず告白して」

「……分かったよ」

「もし今回も後回しにしたら、私にも考えがある」

「え?」

「じゃあ私席に戻るから」

 

そういって簪は自分の席に戻っていった。そして、すぐさま4組の女子たちに囲まれている。まるで餌に群がる鯉だ。……というか、さっきの"考え"ってのがめちゃくちゃ怖い。最近俺に告白させるためには手段を選ばなくなっている簪が、何をしてくるかと考えると、とても怖くなった。

 

1組に戻ると、一夏の席で金髪縦ロール改めセシリア・オルコットが一夏に詰め寄っていた。入試で教官を倒したどうこうの話をしている。あぁ俺はあれ倒せなかったんだよな。……相手が織斑先生だったから。

 

……やっぱり俺、この初期のセシリアの態度って苦手なんだよな。というか嫌い。4組のほうへ逃げたのもそれが理由である。とりあえず、絡まれないように後ろの席からそっと自分の席に帰還する。本音は普通に後ろを付いてきたが。

 

俺が席に座った瞬間、チャイムがなり休み時間が終了する。セシリアは捨て台詞を吐きながら、自分の席へと戻って行った。

 

 

 

次の授業、織斑先生は授業の前にまずクラス代表を決めなければならないと言った。そういえば、そんなイベントあったな。自推他推問わないと言われた瞬間、瞬く間に俺と一夏が推薦されていく。一夏は「え、俺!?」みたいなリアクションをしているが、俺は別にどうでもいい。どうせ決闘が行われるのだから、その後に上手いこと一夏に丸投げすれば万事解決である。しかし、俺は例のクラス代表決定戦に出てもいいのだろうか?正直なところ、一夏はもちろんセシリアとも試合にならない(・・・・・・・)と思う。

元から転生能力でセンスとか感覚がチートだし、このクラスの中ではISの稼働時間は俺が圧倒的に多いと思う。実戦でも使ってたんだから、経験値からしたらかなりのものだ。そして、何より五十嵐葵と言う名の鬼教官に1年間しごかれてきたんだ。成長しない方がおかしい。国家代表になった刀奈との模擬戦もようやく通算成績は五分だが、最近は俺の方が勝ちが多い。そんな俺が、代表候補生に負けたら刀奈に合わせる顔が無いし、何より葵さんの恐怖のお仕置きが待っている。あれだけは何としても回避しなければならない。

そんなことを考えていると、セシリアが話に噛み付いた。

そうして始まる一夏とセシリアの醜い言い争い。これは何度見てもいい気はしない。俺は日本もイギリスも好きなんだけどな。前世でイギリスのサッカーとか結構好きだったし。なんならその中のチームの熱狂的なファンだったし、俺。

でも、自分の国を侮辱されるのはいい気がしない。俺たち更識の人間が、というか刀奈が必死に支えている国を侮辱されるのは我慢ならない。

故に、ちょっと怒ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「おい金髪、あんまり調子に乗ってんじゃねぇぞ」

 

 

 

 

 

俺は静かに、しかしクラス全員に聞こえるように言った。もちろんセシリアに向けての殺気込みで。セシリアは俺の殺気を受けて震えていた。

俺の雰囲気に気づいた周りの女子生徒も怯えているのに気づいた織斑先生が止めに入る。

 

「やめろ、上代」

「………すみません」

「まぁ、お前の怒りも分からなくはない」

 

織斑先生にまさかのフォローをいただいた。これは意外だ。まぁ、織斑先生も日本人だし、セシリアの発言には思うところがあったのだろう。

 

「お前達、ここはIS学園だぞ?言い争うぐらいならISで勝負を付けたらどうだ?」

 

織斑先生が一夏とセシリアを煽る。すると、2人とも見事に喰いついた。「決闘ですわ!!!」とか「いいぜ、やってやろうじゃねえか」とか言ってる、熱いなぁ。冷静に実力把握してる俺からしたら、まぁ何とも言えないな……。

ここで、一夏からハンデ発言が飛び出す。一夏の言葉にクラスは笑いに包まれるが、俺はどうしようか。

 

「織斑先生、俺はどうしましょうか??」

「………」

 

黙って考える織斑先生。そして、何とも言えない顔をする。多分脳内シミュレーションで、俺がセシリアを瞬殺したんだろう。

 

「オルコット、ハンデはいるか?」

 

織斑先生は純粋に善意で聞いたんだろう。だが、俺のことを知らないセシリアは馬鹿にされてると思ったようだ。

 

「な、…ハンデなどありませんわ!!!むしろ、その男の方が必要なんじゃなくて??」

 

そんなことを言ってくるセシリア。やっぱりうぜぇ……。

 

「分かった。ならばお互い全力でやるように」

 

そんな事を言う織斑先生、そして俺の方を見た。その目はこう言っていた。

 

『構わない、全力で捻り潰せ』

 

…やっぱり日本に対する侮辱発言で、この人も結構怒ってるみたいだ。俺と織斑先生の入試での模擬戦を見ていた山田先生は、苦笑いしてる。多分セシリアに対する同情も入っているのだろう。

 

 

こうして、俺もクラス代表決定戦への参戦が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 




「ねぇ何でお姉ちゃんの出番ないの?」

「筆者が言うには、思ったよりも文字数いったから一回区切ろうと思ったらしいよ」

「この作品お姉ちゃんが出ないと意味ないじゃん」

「それは、確かにそうだよね」

「あと、本音……私にだって友達できるからね」

「いやー、あの時はつい思ってたことが口に出ちゃったんだよ」

「それ、余計ダメなやつ」

「ごめんごめん。そ、それより……次しょうちゃんが告白しなかったらどうするか決めたの?」

「うん、とりあえず決めた」

「どうするのどうするの??」

----説明中----

「それは……さすがに酷くない?」

「お兄ちゃんがちゃんと告白すればいいだけ」

「それはそうなんだけど……」

「そういえば、お兄ちゃんがクラスでキレたって本当?」

「うん、クラスメイト2人の言い争い聞いてたら急にキレた」

「その言い争いって?」

「日本とイギリスの悪口言い合ってた」

「……多分お兄ちゃん、それ遠回しにお姉ちゃん侮辱したことだと思ったんじゃない?」

「あ、あぁ……」

「昔からお兄ちゃん、お姉ちゃん関連でキレたら本当に怖いから」

「うん、クラスみんな怯えてた」

「………早く告白すればいいのに」

「………ほんと」




刀奈に出番を与えてあげることができなかったことに心が痛む…。

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