ヨダ爺ことヨダルラーハと、ナルメアが問答するだけの短編です。
強キャラ爺ってかっこいいですよね!ね!!ね!!!

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ヨダ爺ことヨダルラーハと、ナルメアが問答するだけの短編です。
強キャラ爺ってかっこいいですよね!ね!!ね!!!


グラブル短編 〜ヨダルラーハ〜

伝説は、人々の心を浮かれさせる。

語り継がれた伝承を肴に、人々は酒を酌み交わし称え合う。

このファータ・グランデにも伝説はいくつか存在する。

全空を股にかけた伊達と酔狂の騎空士、山を砕き、谷を生み出したという古今無双の格闘家、強大なる龍を一人で倒した龍殺しの騎士…

そして、変幻自在の剣技で名を馳せた妖剣士。

真偽はどうであれ、それらの伝説は今なお人々の心に刻み付けられ、語り継がれている…

 

「ヨダルラーハさん、お願いがあるの。」

ヨダルラーハはそう言われ、頭をぽりぽりとかく。

「なんじゃ、ナルメア?年寄りに何か用かの?」

二人は騎空艇グランサイファーの看板にいた。晴れ渡る空の下、ヨダルラーハは自前の釣り道具を整備しており、ナルメアはその時に声をかけたのだった。

「ええ、私に剣術の指南をしてもらいたいの。」

それを聞いた妖剣士ヨダルラーハは困ったようにして答える。

「わしが?お前さんに?」

「ええ、伝説の妖剣士と言われてるあなたに教えて貰えば何か…私の求めてる物のヒントになるかもしれないって思って…」」

「きーちっちっちっちっ!」

ヨダルラーハは愉快そうに笑った。

「お前さん程の剣豪がわしの指南を受けたいとはのう!随分光栄な話じゃ。」

 

「じゃがそいつは無理だ。悪いがお前さんには教えられん。」

「え…?」

思わず何故、といった表情を浮かべるナルメアにヨダルラーハは言う。

「正確には、お前さんに教えられるような事はわしにはないんじゃよ。大体お前さんはもう十分強い、わしの教えなど必要なかろう。」

「つ、強い?そうなのかな…でも私まだ全然ダメダメだし…あの人にだって、まだ…」

ナルメアのこぼした言葉にヨダルラーハは思わず眉をひそめる。

「ほう?お前さんは誰かに認められるために剣を振っとるのか?」

その質問にナルメアはうつむきながら答える。

「ええ…私、どうしてもある人に認めてもらいたくて、それで強さを求めて…」

「で、気付いたらこうなってたというわけか。全く、お前さんは相当な奴を目標にしたようじゃな。」

そう言われるとナルメアは少し嬉しそうな顔をした。自分を卑下しがちな彼女は、その分知人の事を良く言われる事が嬉しいらしい。

「ええ、あの人はとても強くて、でもずっと前を向き続けているの。だから私も強くならないと、あの人に見て貰えないの…」

ヨダルラーハは大分困ってしまっていた。ナルメアの事情は、老練の妖剣士でも答えに困るタイプのものだった。しかし、老剣士はしばらく唸り、やがて彼女に話し出した。

「ナルメアよ、お前さんの事情はどうもわしにはちぃっと難しい。わしは誰か個人に認められたかったわけじゃあなかったからのう。」

「…そう、そうだよね…やっぱり私ってめんどくさいよね…」

「あー、違う。そういうことではなくてな。ナルメア、ちょっと爺いの昔話に耳を傾けてくれんかのう?」

「昔話?」

「なあに、ちょっとした、ためになる話って奴じゃ…昔々、あるところに一人の若者がいた。その若者は剣の道を志したんじゃ、武人の生き方っちゅーのに心うたれてな。

ただ、その若者はハーヴィンじゃった。戦いにおいてハーヴィンの小さな体は不利な要素が多い…ましてや剣士となるとな。お前さんも知っての通り、剣において重要なのは速さと重さ…ハーヴィンの体躯では他の種族と同等に剣を振るうのも難しかったんじゃ。」

「ヨダルラーハさん、それって…」

ナルメアの質問に微笑みで返し、ヨダルラーハは話を続ける。

「だから、誰もがそのハーヴィンの事を馬鹿にした。一緒に弟子入りした同期達は誰もがそいつを馬鹿にしたし、師匠でさえ、そいつが剣士になれるとは信じていなかった。

実際、そのハーヴィンは大して強くなかったし、大した才能もなかった。だからそいつは毎日毎日差を埋めるために必死に鍛え上げた。どんな日でもな。

一年続けると、そいつを馬鹿にしていた奴は皆いなくなった。代わりに、皆そいつを認め、対等に話すようになった。」

「………」

「三年続けると、そいつを認めた奴も少しいなくなった。

五年続けるとまた減っていった。

十年経つ頃には、あれだけたくさんいた同期達はいなくなり、そいつ一人になった。」

老師は寂しそうに笑って言った。

「これが強さって事じゃよ、ナルメア。強くなる為の道は長く、厳しい。認め合った仲間でさえも途中で消えたり、いなくなったりしてしまう事さえある。強さを求める物は皆、孤独と戦わねばならんのじゃよ。」

「孤独と…戦う…」

「そうじゃ、お前さんが目標としている奴…そいつもまた孤独なんじゃ。」

ナルメアの脳裏にある男の姿が浮ぶ。この世界でたった10人しか身に付けることのないマントを羽織い、三本の刀を携えた剣客。彼もまた孤独だった。彼はさらなる強さを求め、自身の名すらも忘れ、自ら己を孤独の沼に沈めていた。

「強くなってもその先はない…?強くなっても…認めてくれた人は、いなくなってしまう…?」

「勿論力を買ってくれる人間はたくさんいるじゃろう。だが、自分を認めてくれる人間は数少ないもんじゃ。」

ナルメアはもう一人、自分を認めてくれた男の事を思い出した。彼は三刀の剣客とは全く違うタイプだった。彼は仲間を重んじ、旅の中で絆を紡いでいった。

「団長ちゃん…」

「なあ、ナルメアよ。わしは思うんじゃ、強さを求める物は道を踏み外してしまう事が多い。自分の目的を見失ってしまうんじゃ。何かの為に強さを求めたはずが、その理由を忘れてしまう。そして得た強さを何に使えば良いのか、それが分からなくなってしまう…」

ヨダルラーハは自分の弟子達の姿を思い浮かべる。彼の思い届かず、外道へと落ちた若者達の姿を。

「じゃからな、ナルメアよ。お前さんは目標を見失うなよ?お前さんは何の為に剣を振る?」

「私、私が剣を振る理由…」

ナルメアはしばし俯いて考え込む。

やがて顔を上げ、ヨダルラーハに告げる。

「昔の私は、あの人…オクトーに認められる事が目標だった。気高く、強く、そして暖かかったあの人に…」

一旦言葉を止め、ナルメアは自身の考えをまとめる為大きく息をする吸う。

「でも、今は違う。こんな私の事でも認めてくれる人がいる。一緒にいて、私の事を分かろうとしてくれる人がいるの…

団長ちゃん、ビィちゃん、ルリアちゃん…そして団の皆。」

ナルメアの頭に今までの風景が浮かぶ。オクトーの影に苦しんでいた自分を認めてくれた団長、おせっかい焼きに苦言を呈しつつも笑顔を見せてくれたビィとルリア。彼らの事を一つ一つ思い出し、そして自分が本当は何がしたいのかを考えて行く。答えは、自ずと一つだった。

「だから、今の私の目的は皆を守ること。皆の笑顔を、皆と一緒に過ごす楽しい時間を守ること。それが…今の私の目的。」

思案の末のナルメアの答えに、ヨダルラーハは顔を背け、そして愉快そうに笑い出した。

「きーちっちっちっちっ!」

 

「それがお前さんの出した結論じゃな?ナルメアよ。」

「…うん。」

「ならそれを見失わんようにする事じゃ。自分の目的を見失うということは、即ち自分を見失うという事じゃからの。

わしは、自身を見失い外道に落ちた者もたくさん見てきた…お前さんは決して見失うんじゃないぞ?自分のやりたい事を、そしてどんな空の下にいたとしても…」

 

「自分を信じ、思ってくれている者達の事を忘れるんじゃあないぞ。」

 

___…ナルメアとの会話の後。

妖剣士はあいも変わらず釣り道具の整備に精を出していた。

(自分を信じ、思う者達を忘れるなよ、か…)

妖剣士は自分の過去に思いを巡らす、出会い、喜び、別れ、悲しみ。そして後悔。自身の過去と共にかつての思いを省みる。

「ヨダルラーハさーん!どこですかー!?」

「ジィちゃーん!約束の釣りの時間だぜー!!」

思いに耽るヨダルラーハとは対照的な明るい声が甲板に響く。ビィとルリアが彼を呼んでいるようだ。

「きーっちっちっち!全く、若者は元気で羨ましいのぉ!」

(過去の事など、後悔した所で変わるわけではない。大事なのは…今どうするか、か…)

「こんな老いぼれにも、まだ守ってやれる物があるというのなら、いっちょくたばるまで働いてやろうかの。」

釣り道具を担ぎ、ルリア達の所へ歩き出すヨダルラーハ。

この老剣士はこの先、どこまで生きて行くのか、そしてどんな伝説を生み出して行くのか。その答えをまだ知る者はいない、ただもし唯一それを知っている者がいるとすれば…

 

「この空、かの。」

 




ヨダ爺最終解放してくださいアレ爺でもいいです。
後セワスチアン引けなかったです。

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