独裁者の聖杯戦争   作:マルルス

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十二話 攻撃

冬木市街から遠く離れた場所に深い森がある。そこはアインツベルンが仕掛けた結界が張られた場所で奥に日本には馴染みのない欧州風の城が建っている。それはアインツベルンが冬木の聖杯戦争で自分達の拠点にするべく資金力を物にいわせて作成した城であり陣地である。

 

アインツベルン城の一室で衛宮切嗣と久宇舞弥、切嗣の妻であるアイリスフィールと最優のクラスのセイバーがいた。

 

「切嗣…。 もう躰は大丈夫なの?」

 

アイリスフィールは切嗣の体調を心配して声をかけた。

 

「あぁもう大丈夫だよアイリ。心配をかけたね。それに一日も時間を潰してしまったんだ。すぐに後れを取り戻さないとね」

 

切嗣はアイリスフィールを安心させるために微笑んだ。昨夜、切嗣と舞弥は傷だらけの状態で城に入ってきた。

二人とも全身を血で濡らし手や足など骨折してあちこちの骨が罅が入っていた。アイリスフィールは急いで治療を施し二人を部屋に休ませた。

それでもまだ全身が痛むが切嗣は体に鞭打って動いた。本当ならまだ休んでいけなければいけないのだが敵は待ってくれない。

 

「それで…どうするの…? 切嗣と舞弥さんはもう町を歩くことが出来ないんでしょう…」

 

あのホテル爆破は朝から大ニュースとして放送された。

現在、切嗣と舞弥は指名手配され二人の顔が冬木どころか日本全国に知れ渡ってしまった…。アイリスフィールは城に設置してあるテレビでそれを知ったがこれを見た時、アイリスフィールはショックが大きすぎて気を失いそうだった。愛する夫が犯罪者としてテレビで放送されるなど堪ったものではない…。

 

「僕と舞弥は指名手配されるし敵陣営の中に僕達の作戦に気が付いてる奴がいる。だから君とセイバーが表で華々しく戦って僕と舞弥が背後から襲撃するという作戦だったけどはもうコレは使えない…。」

 

敵にバレてる作戦を使い続けるのは自殺行為だからね、切嗣はそう言いその顔は僅かに歪めていた。

切嗣がこの奇襲戦術を練ったのは魔術殺しの自分を特性を生かすためと()()()()と一緒に行動しないためだ。 何故なら切嗣はセイバーを嫌っている、いや英雄そのもの憎んでいると言っても過言ではない。

しかし、そうは言ってられない状況だった。昨夜の襲撃者の事だった、奴らの武装はもはや軍隊並みだ。セイバーを連れずに今度襲われたら確実に死ぬだろう…。

 

「ここは特に使う予定がなかったが計画を変更してこの城で相手を迎え撃つ事にする。アイリとセイバーと一緒にここに居てくれ。もう二手に分かれるのは危険すぎる。」

 

「分かったわ。貴方もそれでいいセイバー?」

 

「はい。私もそれがいいかと。」

 

セイバーも同意する。だがアイリスフィールは不安があった。この会議中、切嗣はセイバーを一切目を合わせなかった…。あらゆる手段を使って敵を倒そうとする切嗣と騎士道精神が溢れ正々堂々と尋常な戦いに望むセイバーは正に水と油の関係だった。だからこそアイリスフィールは二人の間の緩衝材として役目を務めてる事にした。

この機会に切嗣とセイバーの溝がなくなるきっかけになればと思うアイリスフィールだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインツベルンの森に目指して二人の男性が歩いていた。

 

「情報ではアインツベルンはあの森に潜んでいるそうだな。」

 

ランサーのマスターで時計塔のロードの称号を持つ男、ケイネスは自身のサーヴァントを連れて進撃していた。

 

「ランサー 埠頭での失態をここで晴らせ。 失敗は許さんぞ」

 

ケイネスは己のサーヴァントであるランサーに目を向けた。

 

「はっ このディルムッド。 必ずやマスターに首級を捧げます。」

 

ランサーはケイネスに頭を下げ闘志を燃えただせた。ランサーは埠頭では決着つけられなかったセイバーの再戦を喜んでいた。

 

情報では御三家の一角であるアインツベルンはこの森の奥に拠点を構えているというものだ。ケイネスはホテルの爆破で用意してきた魔術礼装を失ったがまだ切り札とも言える礼装があった。

ケイネスがこの聖杯戦争に参戦したのは己の経歴に武勲という箔をつけて完全なものにすることだ。

これから戦う相手は長い歴史を持ち錬金術に秀でたアインツベルン。ケイネスにとって相応しい相手だ。

 

「不愉快な出来事があったがこの私の秘術をとくと見せてやろう。待っているがいいアインツベルン」

 

これから起きる戦いにケイネスは意気揚々と踏み出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬木市街。

 

アサシンのマスター言峰綺礼は深夜の町を走っていた。

目的はアインツベルンの拠点がある森だ。

アサシンの諜報でケイネスが森に向かっている事を確認した綺礼はこれをチャンスと見て教会から飛び出した。

彼の目的はアインツベルンに雇われた傭兵である衛宮切嗣だ。彼と会い彼の出した答えを聞くためだ。

自分の空虚の人生に答えが見つかるかもしれない…。 長きに渡る苦悩に終止符がつくかもしれない…。

言峰綺礼は答えを得るためその突き進む。

 

 

 

 

 

 

 

しかし彼らは自分達が逐一監視されてる事に気づいていただろうか?

そして()()()()()刻々と近付いてるのが…。

 

 

 

 

 

 

 

アインツベルンの森から少し離れた場所で連邦軍の精鋭部隊である()()()()()と連邦の魔術協会に所属する魔術師達の戦闘部隊が戦いの準備を進めていた。

 

総司令官のリカルド

 

ジオダットを指揮するロドリゼス

 

魔術師達を指揮するのはカロリーザ

 

そして各部隊の隊長達

 

それらがテントの一室で集まりブリーフィングを行っていた。

 

「聖杯戦争が始まって二日目だ。ようやく敵のマスターが穴倉から出てきた。

アサシンのマスター言峰綺礼とランサーのマスターケイネス・エルメロイ・アーチボルトの二名で今夜、最低でも一人は仕留める。ミスは許されん… あらゆる手段を使って仕留めるのだ」

 

リカルドは一同を見渡しながら話す。

待ちに待ったチャンスである。これを逃せばいつ仕留められるか分からないからだ。

すでに()()()()()()()が始動しており時間は掛けられない。迅速に動かなければならない…。

 

「ロドリゼスのアルファ部隊はケイネスをカロリーザのブラボー部隊は言峰綺礼だ。

アルファにはバーサーカー ブラボーにはアヴェンジャーを付ける。

相手がサーヴァントを出して来たらこちらもサーヴァントで迎え撃て。

念を押してブラボーには私の護衛部隊の内、()()()()もつけさせる。」

 

「アインツベルンは如何しましょう? セイバーは片腕が使えませんがそれでも脅威です」

 

「理想としてはセイバーもここで仕留めておきたい。ケイネスと言峰綺礼を手早く始末しアヴェンジャーとバーサーカーの二体で叩き潰したいところだが…

奴らも自分達が置かれてる状況を理解してるはずだ。無理に掛ればこちらに犠牲が出るかもしれん…。

今夜はケイネスと言峰をどちらかを仕留めればいい。」

 

アインツベルンには衛宮切嗣がいる。今や日本中にその顔を知れ渡ってるいるがあの男の事だ。何か用意してるに違いない。奴らのテリトリーを侵さなければ攻撃はしてこないだろう。

 

「攻撃はアインツベルンのテリトリーの外で行う。

以上だ。諸君の幸運を祈る」

 

会議が終わりそれぞれが自分の持ち場についていく。

 

聖杯戦争が始まって二日目… 連邦軍の本格的な攻撃が始まろうとしてた。

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