独裁者の聖杯戦争   作:マルルス

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お待たせしました。ようやく二話が出来ました。

結構、難産でした…。

タグに追加しましたが大統領陣営はオリジナルサーヴァントです。


二話 準備 英霊召喚へ

聖杯戦争が始まるまであと一か月半となった。

 

「失礼します 大統領」

執務室の扉を開け入ってきたのはペノルティーモとロドリゼス、カロリーザだった。

「何か御用でしょうか?」

 

「ペノルティーモ。 来月には日本に来日する。 そこで忠蔵《ただくら》首相と会談する。

そのためのセッティングを頼む」

 

「かしこまりました」

ペノルティーモは準備のため部屋を出ていく。

 

部屋に残ったのはリカルドとロドリゼスとカロリーザの三人。

口を開いたのはリカルドだ。

「ロドリゼス、 部隊と装備の準備はできたか?」

 

「すでに現地に先行として50人ほど送っている。 武器・弾薬も同じくだ

日本政府の協力もあってスムーズに進んだよ」

 

「同じく我が国の魔術部隊も30人にほど送り込んでいます。 ただ冬木は遠坂家のテリトリーですので用心を重ねて隣の町に待機させてます」

 

「そうか。 ご苦労だった」

 

聖杯戦争の参加する事にしたリカルドはまず行ったのは日本政府の協力を取り付けることだった。

聖杯戦争ではマスターとなった人間が日本に集まるのだが…。 ここで問題がある…リカルドはこのザンディアナ連邦の大統領なのだ。向こうの政府に知らせないまま来日するのははっきり言って大問題だろう。 何より他国にこの国の軍隊である「ザンディアナ連邦軍」を大隊規模まで兵士達を送り込むのだからどの道、協力は必要不可欠だった。

 

「それにしても特殊部隊を200人も動員するとはな。 冬木市を魔術師ごと焼き払うつもりか?

こういっては何だが魔術師共なんざ時代遅れの遺物……… あっ…いや お前にいったわけじゃない そう怖い顔しないでくれ」

ロドリゼスはいくら何でも過剰ではないかと思っていた。魔術師とは何度かやり合った事があるが、確かに最初は魔術というものに面食らったが今はどういう種なのか理解できてる。 そして近代兵器の前では魔術などカス同然だという事も。

ただロドリゼスの言葉に気に障ったのかカロリーザは怒気をこめてロドリゼスを睨みつける。

 

 

「それは油断ですよロドリゼス。魔術は時として近代兵器を上回る事もあります。舐めてかかると命取りになりますよ」

 

魔術師を甘く見るロドリゼスにカロリーザは釘をさす。

 

「確かに魔術師だけならここまで動員はしない しかし今回、奴らには英霊がサーヴァントとしてついているのだ

こちらも相応の準備もしなければならない」

 

英霊の強さは文字通り一騎当千と言ってもいい強さだ。たった一騎だけで一国の軍隊を壊滅させることができる。

200人程度の兵だけではハトの豆鉄砲にもならないだろう…。

 

「だがマスターは別だ サーヴァント… 英霊とい言っても無敵の存在ではない。サーヴァントはマスター無しでは現界し続ける事は出来ない」

 

魔術師は魔術を使える事を除けば人間とは大差ない。 頭部や心臓を破壊されれば確実に死ぬ。

聖杯戦争は一対一で戦う決闘ではない。 生き残りをかけたバトルロワイヤルだ。アサシンを召還しマスターを狙うのも立派な戦術のひとつだ。

 

そしてサーヴァントは魔力で構成されている。 つまり魔力がなければ現界が維持できずに消滅してしまうのだ。

中にはマスターを失っても現界し続ける事もあるがそれも所詮、ほんのわずかの間のだけだ。

故にサーヴァントにとってマスターの存在はどれほど大切なのか分かるだろう。

 

「カロリーザ。 今夜、私は英霊召喚を始める。 準備をしてくれ」

 

リカルドの言葉にカロリーザは驚く。

 

「しかし閣下… まだ触媒となる聖遺物はまだ見つかっておりません

それに聖杯戦争が始めるまでまだ一か月半です。 急ぐ必要はないかと…」

 

「いや、聖杯戦争は英霊とマスターのチーム戦だ… ならば互いにどういう人物なのか知っていた方が後々のためになる」

 

サーヴァントは道具ではない 彼らは意志と心を持った存在だ。互いに教え合いコミュニケーションを行い信頼を築いてく… そうして初めてお互いの背中を任せられるのだ。

リカルド自身、一人では一国のトップにはなれなかった。信頼する同士と自分に忠誠を誓ってくれる仲間がいたからここまでこれたのだ。 それは例えサーヴァントでも変わらない…。

 

「そして触媒なのだが問題はない。これを使う」

 

リカルドは後ろに置いてあった細長い木箱を机の上に置く。 ガコンと音がなり蓋が開けられる。

中に入っていたのは大きな長剣だった。

 

「これは… 相当な業物だな… 引き寄せ寄せられてしまうほどの美しさだ」

 

感嘆したように剣に見とれるロドリゼス。

 

「そんな… なんという神秘…… これほどの物は見たことがありません」

 

カロリーザは驚愕に染まった顔で剣を見る。

 

「この剣は大昔、ベルブランコ家の祖先が見つけた剣だ。 この剣は1000年以上の前にも作られらたもので多くの騎士または王が使っていたそうだ」

 

「馬鹿な! これが1000年前のものだというのか!」

 

ロドリゼスは先ほどと打って変わって驚愕した。 普通、剣は千年も経てば跡形なく消え去っているはずだ…。

だがこの剣は傷どころか刃こぼれすらしてないのだ。にわかに信じられないと様子のロドリゼスだった。

 

「いえ… これほどの神秘を持つ剣はもはや一種の概念… 朽ちる事はないかと…」

 

逆に冷静に分析するカロリーザ 。 魔術師として数多くの超常現象を見てきた彼女は落ち着いてた。

 

「これを使えばこの剣に縁がある英霊を呼び出せるでしょう。 これほどの剣を使っていた者です。 その強さも相当なものなのかも知れません」

 

「という事はセイバークラスか。 最優のクラスを引けるぞ!」

 

ロドリゼスは興奮したようにしゃべる。 何せセイバーは七つのクラスで最強と呼ばれる存在だ。過去の聖杯戦争では最後まで生き延びたことを見れば疑いようがないだろう

 

「しかしセイバークラスで呼ばれる英霊は誇り高く卑怯な事を嫌うでしょう…。我々の戦術についてきてくれるのでしょうか?」

 

剣の英霊は騎士だった英霊が多い… 彼らは卑怯を嫌い相手と正々堂々と互いに全力を尽くす事を好むかもしれない。

対しこちらは主にマスター殺しを目的とした暗殺や不意打ちを中心とした作戦なのだ。 現代戦は正々堂々なんてものは全くない… 如何に相手を出し抜くかの化かし合いなのだ。

誇り高い英霊はそんなやり方に賛同してくれるだろうか…? 反発して座に帰ってしまうか… 最悪、こっちが殺されるかもしれない…。これはもう価値観の問題だ。

それためカロリーザは心配で仕方なかった…。

 

「カロリーザ。 君が心配するのはよく分かる

しかし召喚される英霊は聖杯に願い事があるからこちらの召喚に応じて現世に来るのだ。

彼らだって聖杯が欲しい。 我らのやり方にある程度は容認するはずだ。そしてこちらも向こうの戦い方にある程度は容認する 勿論、魔力供給や治癒、令呪のサポートもする。

さらに言えばそういった問題をなくすために早めに召喚して信頼関係を築かなければならない」

 

「なるほど、そうでしたか。そういう事でしたら我々は閣下を全力でサポートします。

では召喚の準備に行って参ります」

 

カロリーザはリカルドに一礼して部屋に出て工房に向かう。

 

部屋にはリカルドとロドリゼスに二人だけになった。

 

「随分と楽しそうな顔だな。リカルド

そんな生き生きとした君を見るのは久しぶりだ」

 

リカルドは笑み浮かべていた。この顔を浮かべる時はこれから起きる戦いに高揚してる証拠だ。

これは長い間、死線を共にしてきたロドリゼスしか分からない事だった。

 

「当然だ。 この聖杯戦争は今までやってきた戦いとはわけが違う。 歴史上の英雄、または神話や御伽話に出てくる英雄がこの世に現れ互いの武を競う。こんな夢のような出来事に興奮しない者などいない。」

 

「それもそうだな。

だが、忘れないでほしい。 君はこの「ザンディアナ連邦」の大統領なんだ。

君の代わりなどいないんだ… 傭兵時代のような突撃は出来るだけ控えてくれ」

 

リカルドは大統領になる前はロドリゼスと共に傭兵として世界各地の戦場を駆け巡っていた。

彼らの戦い方は、特にリカルドの戦い方は無謀を通り越して超人とも言えるものだった。

 

まず敵の野営地または基地にリカルドが単身で突撃し敵を次々と倒していく。 ロドリゼスは敵がリカルドに注目をしてる間に狙撃手として敵兵士を始末していく。 そうして敵軍の損害を出していった。時には壊滅させた事もあった。

さらにリカルドは顔を常に覆面して隠していたため相手は敵が何者であるかも分からなかった。そのため相手はリカルドを「悪魔の化身」として恐れた。

そうした戦いをこなして金を荒稼ぎしてその資金でリカルドは軍隊を作り上げていった。

軍隊を出来た後もリカルドは後方ではなく常に味方の兵と共に最前線で戦い続けていった。ロドリゼスは彼の為に後方でサポートしていった。

 

「それは分かっている。

だが…正直に言えば敵マスターとの殺し合いを興じたい気持ちはある」

ナイフで剣で相手の心臓を穿ち、首を断ち切り、拳で骨を砕く… そう言った気持ちもある

フッ… しばらく戦いから離れていたがこればかりは治らんな。今の仕事もそれなりに気に入ってるが、やはり互いの命の削り合う戦いこそ面白い」

 

獰猛な笑みを浮かべるリカルド。 それを見たロドリゼスもまた笑みを浮かべる。

 

「変わらないな君は…。 だけどそれでこそリカルド・ベルブランコだ」

 

「ありがとう友よ。 さて今夜は忙しくなるぞ

そっちの準備は怠るな」

 

「わかっているよ。 それじゃまた」

 

ロドリゼスは部屋に出て行った。

 

一人だけになったリカルドは椅子に深く腰を下ろし思考する。

 

(いよいよ始まる… 今夜、私は最初の一歩を踏み出す…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈み夜中の一時頃になった。

 

リカルドはロドリゼスと共にこの国の魔術組織「ティニエブラス」のもとにヘリコプターで移動していた。

 

ティニエブラスは山奥にあり周囲は鬱蒼としたジャングルで覆われ大昔に建てられた遺跡と洞窟を再利用して使っている

ヘリコプターが本部に着きヘリから外へ出ると遺跡の入り口にカロリーザと彼女の背後に20人程の魔術師がいた。

 

「お待ちしておりました。大統領閣下」

 

カロリーザと魔術師達はリカルドに向けて拳を左胸に当て頭を下げる。

 

「準備は?」

 

リカルドも彼女らに向けて敬礼する。

 

「はい閣下。すでにできております。

こちらへどうぞ」

 

カロリーザの先導の元、リカルドとロドリゼスは彼女に着いていく。

 

中に入り地下に深く潜っていく。 中に入り数十分は経っただろうか?

大きな扉がある部屋に着き重厚な音を立てて開いていく。

 

「ここです」

 

カロリーザに案内され部屋の中に入っていく。

大きく広い部屋だった。 中には魔術師達が更に50人程いた。彼ら彼女らは外でカロリーザ達がやったように

リカルドが部屋に入ると拳を左胸に拳を当て礼をする。リカルドもまた彼らに敬礼をする。

 

「ご苦労だった諸君。いよいよ英霊召喚を行う。

今夜、我々は… この国は大いなる偉業への最初の一歩を踏み出す」

 

リカルドの言葉に周囲に緊張が走る。一体どのような英霊が来るかは分からないからだ。

 

「今の時間は1時50分… 10分後の2時に召喚を行う。

カロリーザ。英霊召喚の手順を教えてくれ」

 

「はい。 ではまずコレを覚えてください」

 

カロリーザはリカルドに召喚するための詠唱が書かれた紙を手渡す。

 

「あとは魔法陣のそばに立ち、その紙に書かれた詠唱を行って下さい」

 

「それだけか? 随分と簡単なんだな…。」

 

英霊を召還するのにしては簡単な手順にリカルドは少々、呆気にとられる。

 

「英霊を招き寄せるのは聖杯で閣下は現れた英霊が現世の留められるように魔力供給するだけです。

 

「なるほど」

 

そもそも英霊という規格外の存在をただの魔術師が呼び出すなんて不可能だ。 聖杯の力をもって初めて成せるのだ。 そう考えればこちらがやる作業が簡単なのは当然なのだろう。

 

「閣下。 五分前となりました。」

 

そばにいた魔術師が報告する。

 

「わかった。 では諸君、私の補佐を頼むぞ」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

 

リカルドは魔法陣のそばに立ち、詠唱の準備を始める。

 

「10秒前です。 9、8、7、6、5、4、3、2、1… 二時です」

 

リカルドは詠唱を始める。 体の魔術回路を起動していく。

 

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

「告げる――」

「――告げる。

汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。

聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ――」

「――誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者――」

「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――」

 

陣の中心に眩い光が集まっていく。そして突風が吹き荒れていく… それは聖杯の力を通して英霊の座に繋がっていく。 大きくなっていく光にロドリゼスとカロリーザと周囲の魔術師達は腕で顔を覆う。

光が結束し今度は突風が吹き荒れる。 徐々にだが光が消えていく…。 そしてこの場に尋常なる存在が現れる。

 

リカルド達は魔法陣の中心に何かがいる事を感じた。

まず最初に目に付いたには馬だった。

滑らかさを感じる美しい黒毛を持ち、黒い体格に反してその眼は燃えるような宝石でいうルビーのように赤々と輝いていた。

目を凝らして見ると何かが馬に乗っている…。 それは重厚な鎧を身に着けていてよく見ると所々、美しい装飾が施されている。肩には赤いマントを羽織り腰には長剣を携えている。

 

そして顔を見ようとしたその時、リカルドを初め全員が驚愕した。

何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その騎士には顔が…頭部が… 首がなかったのだ…。




ちょっと解説

Q 主人公の単身突撃について

A これは後々、小説で明かしますが傭兵時代のリカルドは単身突撃の際、自分の身体能力を大幅に強化する魔術を使用しています。いくら彼でも何にもしてない状態で突撃するのは無謀ですから。
その時の彼の戦いは「鋼の錬金術師」のキング・ブラットレイみたいな動きをイメージしてます。

Q 主人公のサーヴァントについて

A これが一番、悩んだ事です…。当初はキャスタークラスでメディアさんを召還しようと思いましたが他のzeroのSSだとすでにメディアさんを召還していて「なんか被るな…」と思いメディアさんは諦めました。それで誰をどのクラスで召還しようかずっと悩んでいましたが一向に決まらない…。
そこでSSを書いてる友人に相談したら「ならいっその事、オリ鯖にしたら? 二次小説って自分が思うように書けばいいんだし」その言葉で吹っ切れました。
ならば自分が大好きなキャラを出そうと思いました。そう首無し騎士です。
以前、ティム・バートン監督の映画「スリーピーホロウ」で首無し騎士のカッコよさに惚れ込んでしまい、それ以降、首無し騎士というキャラクターが大好きになりました。
ただFateの設定では首無し騎士は「幻霊」ですから英霊には至らないとの事でしたが
まぁそこらへん無視して大統領のサーヴァントとして出しました。

長々書きましたがこんな感じです。

次回はキャラ設定などを投稿しようと思っています。
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