独裁者の聖杯戦争   作:マルルス

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四か月もほったらかしにして申し訳ありません…。
仕事が忙しかった事と書く気力が湧かなかったのが原因です…。

結構飛ばし気味ですがどうぞ。



五話 埠頭

イスカンダル。またはアレクサンドロス大王。世界征服をするため小国だったマケドニアを巨大帝国までのし上げた大王だ。まさかの真名を暴露したライダーに呆気に取られる一同の中、ライダーの独走は止まらない。

 

「聖杯に招かれし英雄達よ! 今ここに集うがいい!! それでも顔見せが出来ない臆病者はこの征服王の侮蔑を免れぬものと知れ!!」

 

周囲に響き渡るようにライダーは声高く叫んだ。

 

 

 

ヒヒーン!!!!

 

雄々しい馬の鳴き声が周囲に響いた。倉庫の上から何かが下りてくるのを全員が見た。新たなサーヴァントか…?

全員が警戒し身構える。そして月明かりに照らされて徐々に乱入者の全貌が見えてくる。

黒い毛と赤い目を持つ馬。それに乗るのは騎士だった。全員は顔を見ようとして戦慄した。

 

「なぁ…! く、く、首が…首が…!」

 

「首が…ない…!」

 

ライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットとセイバーの仮のマスターであるアイリスフィールはその異形に震えていた。

 

「これはまた… 何とも面妖な奴だのう…」

 

流石のライダーもこればかりは呆気に取られてしまう。

セイバーとランサーもこの不気味な乱入者に冷や汗が流れる。

 

「征服王。 アレには勧誘しないのか?」

 

「かけようにもありゃあ…首がないからのう…」

 

ランサーの冗談を律義に答えるライダー。さてどうしたものかと全員が考える中、新たなサーヴァントが現れる

 

「フン… 王を名乗る不埒者が一夜にして二匹も現れるとな」

 

不機嫌そうな声を出し外灯の上に黄金の鎧を纏う赤い目を持つ男が現れる。遠坂家のサーヴァントでアサシンを倒したアーチャーの英霊だ。

 

「そこまで言うなら名乗ったらどうだ? 貴様も王と名乗るならば自信をもって告げたらいいではないか?」

 

ライダーは黄金の英霊にそう言うと黄金の英霊、アーチャーの真紅の目は怒りに包まれていく…。

 

「この我に問いを投げるか? 我が拝謁の栄を前にしてこの面貌を知らぬというならそのような愚か者なぞ生かしておく価値はない」

 

アーチャーの周りの空間から次々と武器が出てくる。 一目見ればどれこれも伝説級の武器ばかりだった。

それらをライダーに向け今まさに発射されようとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時臣のサーヴァント…! 殺せ…! あのアーチャーを引き裂け! バーサーカー!!」

 

明かりが差さない下水道で一人の男の…間桐雁夜の憎悪が籠った声が轟く。

 

 

 

 

 

 

 

突如、周囲から荒れ狂う魔力の暴風が一か所に集まりそれが徐々に一つの形に変わっていく。

 

「■■■■■!!!!」

 

狂気に呑まれた獣のような荒々しい咆哮が轟く。 間桐雁夜が召喚したサーヴァント「バーサーカー」が乱入した。

 

 

凶獣バーサーカーの登場で倉庫街は混沌が深まる。 何せ今、六騎の英霊が集結しているのだ。 こうなっては迂闊に動けない…。誰も彼もが互いに隙を見せないように神経を張り巡らせる。

 

しかし… その硬直はすぐに途切れた。

 

「狂犬。誰の許しをえて我を見ている? そこの亡霊もだ」

 

動いたのはアーチャーだった。 バーサーカーは兜越しにその赤く不気味に光る眼でアーチャーを凝視し首無し騎士はアーチャーに剣の切っ先を突き付けていた。

 

「せいぜい散りざまで我を楽しませろ そして疾く失せよ。 雑種共」

 

アーチャーから数本の剣・槍がバーサーカーと首無し騎士に向かって解き放たれる。 ただ適当に放たれたものだがその威力は凄まじかった。 コンクリートでできた地面が大きく抉り周囲は粉じんと煙に覆われた。

 

煙が晴れ誰もがバーサーカーとあの首無し騎士は消滅したのではないかと思った。

だがバーサーカーは健在だった。右手にはアーチャーが放った剣を持ち地面には剣と共に放たれた槍が突き刺さっていた。

 

「理性無いというのになんと芸達者な奴よの」

 

「なんて奴だ… 本当にバーサーカーか…?」

 

「一体何が起きたんだ…」

 

ランサーは驚愕しウェイバーは何が起きたのか分からなかった。

 

「なんだ? 見えなかったのか。 奴は最初の一撃を難なくつかみ取りそこから第二撃を防いだのだ」

 

正に神業と言っていいほどの精工な動きだった。狂化で思考が無くなるバーサーカーとは思えない動きだった。

 

「だが、奴はそうでもなかったようだがな」

 

ランサーが目を向けた先には放たれた剣と槍に体を貫かれて落馬し地面に倒れた首無し騎士だった。

ここにいる誰もが首無し騎士は脱落したと思っていた。

 

しかし… 首無し騎士は何のこともなく起き上がった。

 

「えっ…?」

 

誰のつぶやきなのか分からない…。 いや、誰もが目を疑った。

間違いなくアーチャーが放ったのは間違いなく一級とも言える武器だった。 それに体を貫かれて無事なわけがなかった。間違いなく致命傷だったはずだ。

なのに…あの騎士はまるで何ともないように起き上がったのだ。

 

「一体どうなってるの…」

 

「分かりません… アレほどのものに貫かれて無事な訳はないはずです」

 

誰もが困惑している。一体どうなっているのか…。 しかしただ一人、アーチャーは怒りを隠せてなかった。

 

「汚らわしい手で我が宝物をつかみ取る狂犬に我の決定を無視する亡霊が!」

 

先ほどとは更に倍になった宝具がバーサーカーと首無し騎士に殺到する。しかしバーサーカーはそれすらも先ほどと同じように華麗に捌いていき、騎士の方はただ何もせずアーチャーの攻撃を受けながらゆっくりとアーチャーに近づいていく。

 

「一体どうなってんだよ!!あの首無しは! 何であれだけの攻撃を食らっているのに平然してるんだよ!」

 

「むぅう… 恐らく宝具なのかもしれん じゃなければ説明がつかん…」

 

ウェイバーは叫びライダーは唸りながら考察する。一方アーチャーはすっかり頭に血が昇っていた。

 

「おのれ! ならば磨り潰してくれるわ!!」

 

アーチャーの怒りに合わせるように彼の背後から先ほどは比べ物にならない数の宝具が現れる。

だがいくら数を増やしてもバーサーカーは先ほどと同じく次から次へと飛んでくる宝具を捌いていき、首無し騎士は手に持った剣でアーチャーの宝具を叩き落としてる。バーサーカーのように全ては防げないがこちらもまた体が貫かれも平然としアーチャーに向かって前進してる。

 

「あの金ぴか…融通が利かん奴だな。どんなに量を増やしても奴らには効果がないと分からんのか」

 

無駄だというのに同じ事を繰り返すアーチャーの工夫のなさにライダーは呆れていた。

アーチャーもまたバーサーカーと首無し騎士に己の攻撃が通じない事に怒りが燃えていた。ここで引いたら自身のプライドと己の沽券に関わるからだ。

更なる猛攻を繰り出そうとしたその時だった。

 

「ぐッ!」

 

突如アーチャーの顔面に何かが飛来した。それはアーチャーが投擲した戦斧だ。アーチャーはすぐに身をかわすが僅かに遅れた。戦斧はアーチャーの頬を斜めに長く薄く斬って闇に消える。

戦斧を投げたのは首無し騎士だ。更にバーサーカーもアーチャーが乗ってる外灯を奪い取った宝具を投げて切断した。

顔に傷を負ったが切断された外灯から難なくコンクリートの地面に着地したアーチャーだが…その体はワナワナと震えていた。勿論、恐怖だからではなく怒りだ。

 

「痴れ者共が… 天を仰ぎ見るこの我を同じ大地に立たせるばかりかこの貌に傷をつけるか!!!!」

 

アーチャーの背後から空を埋め尽くすほどの宝具が現れた。倉庫街にいる全員が戦慄した…先ほどは完全に手加減していたと理解する

 

「雑種共!! 貴様らの塵ひとつ残さぬと思え!!!」

 

首無し騎士とバーサーカーの絶大なる侮辱に怒り狂うアーチャーの苛烈なる攻撃が始まら…なかった

 

「貴様如きの諫言で我の怒りを収めろというのか時臣…!」

 

都市がある方角に首を向けるアーチャーだったがその顔に怒りと屈辱に塗れてた。おそらく令呪で命令されたのだろう。

不機嫌な表情のアーチャーだが殺意が無くなったのだろう 手を翳すと彼が放った宝具が金色の粒子に変わり消えていった。

 

「雑種共。次までに有象無象を間引いておけ 我と見えるのは真の英雄のみでよい。だが!」

 

アーチャーは怒りを隠さず顔を向けた。そこにいたのは首無し騎士だ

 

「貴様はこの我自ら消し去ってやる! 覚えておけ!!」

 

そう言いアーチャーは霊体化した。

 

「フム どうやらアーチャーのマスターはそう剛毅な者ではなかったようだな」

 

アーチャーは去ったが厄介な存在が二騎もいた。そうアーチャーの攻撃を圧倒的な技量で捌き切ったバーサーカーと攻撃を受けても何ともなかったあの首無し騎士だった。

 

 

 




独裁者の聖杯戦争はまたチラ裏にしました。やっぱりチラ裏の方がふさわしいかと思いまして…
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