原作と展開は変わりませんが投稿優先しました。
アーチャーは去ったが不気味で得体のしれない二騎のサーヴァントが残っていた。そう、バーサーカーと首無し騎士だ。誰もが緊張する… 特に緊張していたのはセイバーだ。なぜなら彼女はランサーとの戦いで右腕に治癒できない傷を負ってしまっている。この場にいる中で不利な状態だ。もしも誰かがセイバーに襲い掛かったら他のサーヴァント達も一斉にセイバーを潰しにかかってくるかもしれない。だからこそ彼女は最大限の警戒をしていた。
そんな中、アーチャーが去ってからユラリと佇んでいたバーサーカーだったが何故かセイバーを凝視していた。そして小さく「■■……■■■■」と何かをつぶやいた瞬間、一目散にセイバーに襲い掛かった!
「くっ…!」
ガキン!と剣でバーサーカーの攻撃を防いだがいかんせん、ランサーにつけられた傷が響いて防戦一方だった。
驚くべき事にバーサーカーが使っている獲物は先ほどアーチャーが立っていた外灯の鉄柱なのだ。そんな
「なるほどな… 奴が手にした物は何であれ宝具になるということか」
ライダーの分析通り、バーサーカーが持ってる鉄柱を見ると鉄柱がどす黒く赤い血管のようなものが浮かんでいる。
さらに言えばそのようなガラクタを手にしてもまるで自分の使い慣れた得物のように扱ってる事であろう。バーサーカーは思考能力をないクラスだがそれを感じさせない洗練された武の極みだった。
一方、セイバーは片腕が封じられている中、必死にバーサーカーの猛撃を防いでいるが心中、焦燥に駆られていた。
今、ここで誰かがバーサーカーに加担すれば間違いなく自分は脱落する。勿論、自分だけなら撤退することが出来るが己のマスターの妻であるアイリスフィールがいる。だからこそセイバーは引くわけにはいかなかった。
「でやぁぁ!!!」
セイバーは自分に気合を入れてバーサーカーに剣を打ち込む。確かに自分は窮地だ…。 だがこのような危機など自分は何度でも乗り越えてきた。故国の救済、王としての責務、騎士としての誇りをかけて負けるわけにはいかなかった。
動かない片腕を魔力放出で補い、先ほどの防戦一方だったセイバーだったが今度は自分から斬り込んでいく。
セイバーの猛攻撃に今度はバーサーカーが防戦に回った。
「はぁっ!!」
セイバーは魔力放出から渾身の一撃を放つ バーサーカーはそれを防ぐが大きく跳ね飛ばされる。
(隙あり!)
僅か一点の隙… セイバーはバーサーカーに一撃を討ちこむために突進する。
だが…
隙を晒しているのはバーサーカーだけではなかった…。
「ッ!」
セイバーは咄嗟に剣を前方に突き出し風を出しその反動で急ブレーキを掛ける。
その瞬間、横回転しながら斧が飛んできた。もしもこのまま突進などしてたらセイバーの首は斧によって切断されていただろう。
「首無し騎士…!」
斧を投げたのはあの首無し騎士だった。そして彼は剣をクルリと回しセイバーに襲い掛かった。
セイバーも迎撃するが首無し騎士の剣の腕はセイバーと互角または匹敵していた。
一撃、一撃が重く早い… 例え両手が使えても苦戦は必須だった。
「■■■■■■!!!」
「うっぐぅ…!」
最悪な事に態勢を立て直したバーサーカーが再びセイバーに襲い掛かる。
只でさえ一対一でも苦戦するというのに二人同時に襲い掛かってきたらいくら最優のセイバーでも敗北は確実だった…。
「アイリスフィール… 私が出来るだけ時間稼ぐのでその間に貴方は逃げてください」
故にアイリスフィールだけは助けなくては… セイバーも覚悟を決めた。
そしてバーサーカーと首無し騎士は同時にセイバーに襲い掛かる。 セイバーは一秒でも時間を稼ぐために奮起しようとした時だった…。
ガキーン!!
首無し騎士の剣が弾かれ、バーサーカーが持っていた鉄柱が切断された。
「そこまでにしてもらおうぞ バーサーカー! 首無し騎士!」
セイバーを救ったのは先ほど命のやり取りを交わしたランサーだった。
「そこのセイバーにはこの俺との先約があってな… これ以上、つまらん茶々を入れるようなら俺は黙っていないぞ?」
「ランサー…」
ランサーを見たセイバーは感極まるものだった。 バーサーカーと首無し騎士と協力して自分を倒す事が出来るはずなのに彼は騎士道に誇り高く奉じていた。
更に言えばランサーに赤の長槍
しかし… そのランサーの行動にイラついていたのは他ならぬランサーのマスターであるケイネスだった。
「何をしている ランサー! 今がセイバーを討つ好機ではないか!」
何もない空間からケイネスのイラついた怒声が響き渡る。 今なら強敵であるセイバーを脱落させることができるはずなのに、それを無視してセイバーの助太刀をしたのだ。一体、何をかんがえているのか? ケイネスにはランサーの行動が理解できなかった。
「このセイバーは! 必ずやこのディルムッドの誇りを懸けて討ち果たします!」
この騎士王とは尋常な勝負で勝ちたい。だからこそランサーは声高に叫んだ。
「お望みなら先にこの狂戦士と首無しを仕留めてご覧に入れましょう。 故にセイバーとの勝負はどうか尋常に…」
「ならぬ! もういい。 令呪をもって命ずるバーサーカーと首無し騎士と協力してセイバーを殺せ」
「主よ…!」
ランサーの悲痛な声が出る。令呪はサーヴァントに対して出来る絶対命令… これを使われた以上、もはや本人の意志など関係ない。 ランサーの槍はセイバーに襲い掛かる。その顔を屈辱と無念に染まっていた。
「くっ…!」
「すまん…セイバー…」
首無し騎士・バーサーカー・ランサーの三騎に囲まれるセイバー…。 もはや彼女の敗北は確実になった。
「アイリスフィール! 早くお逃げを!」
「セイバー…!」
三騎がセイバーに襲い掛かる。セイバーは最後の抵抗を試みる
しかし…
「アァァァァラララライッ!!」
地表から稲妻が走った。それはライダーの戦車の疾走だった。ランサーは間一髪で避けたがセイバーに集中してた首無し騎士とバーサーカーは戦車に轢かれてしまった。
「■■■■■■……」
バーサーカーは唸り声をあげて立ち上がろうとするがダメージが大きいのか立ち上がれずそのまま体がぼやけていきスゥーと消えていった。霊体化して退散したのだろう。
一方、バーサーカーと同じく戦車に轢かれた首無し騎士だが何事もなかったかのように服に着いた埃をパンパンと払いながら立ち上がった。
「神牛に踏みつぶされ戦車に轢かれたいうのに何ともないとは… 全く呆れた奴だのう…」
対軍宝具並の威力があるというのに首無し騎士はそれすらも効かない…。
「まぁ黒いのにはご退場してもらったが…」
ライダーは空に向けてギロリと睨むと威圧するようにランサーのマスターに問いかける。
「ランサーのマスターよ。何処から覗き見てるかは知らんが下衆の手口で騎士の戦いを汚すではない…だが魔術師風情では言っても分からんか…」
威圧するかのように含み笑いを見せながら続ける。
「ランサーを引かせろ。それでもこいつに恥をかかせるなら余はセイバーに加勢するが… どうする?」
「ッツ…!」
ライダーの挑発にケイネスは怒りに包まれるが…。
「撤退しろ ランサー。 今宵はここまでだ…!」
それを聞いたランサーは安堵の息を吐いて得物を下げた。
「感謝する征服王…」
「なぁに、戦場の華を愛でるはタチでな… それで」
ライダーは視線をランサーから首無し騎士に向ける。
「貴様はどうする?首無し騎士よ。 暴れたいならこちらも付き合うが?」
首無し騎士=アヴェンジャーは考える。この肉体は文字通り不死身だ。戦えば負ける事はないが…同時にライダーを確実に仕留められるかはまた別だった。朝日が昇る前に決着つけられるか分からなかった。
またライダーだけではなくセイバーもこちらに剣を向けている…。二人掛りだと正直、厄介だった。
どうするか悩むアヴェンジャーだったが念話が届く。
『アヴェンジャー。我らもここらで引き揚げよう。拠点に戻ってくれ』
マスターであるリカルドの指示を受けてアヴェンジャーは撤退を選んだ。指をパチンと鳴らすと彼の愛馬の漆黒の馬が寄ってくる。
アヴェンジャーは馬に跨り手綱を振るうと愛馬は走りだし闇に消えていった。
こうして英霊達の最初の戦いは終わった。誰も彼も皆、強敵だった。そして次なる戦いに備えてつかの間の休息を取るのだった…。
埠頭編 終了です。次回から大統領陣営を本格的に動かしていきたいです。
原作キャラを動かす・喋らせるのは難しかったです。特にランサー…
漫画版と小説のzeroを読みながら書いてますがランサーが良くわからないキャラです…。
彼はケイネスに忠誠を誓うと言いながら何故かケイネスに言う事を聞かなかったり自分の感情を優先してないか? 本当にケイネスに忠誠を誓っていたのか? と疑問に思いながら書いてました。