始まりの記憶
その事件は突然起こって、わたしの人生を滅茶苦茶にした
––––え?火?火事!?
獣の様に駆け巡ってきた火が目の前で揺れていた。
––––待って!ねえ待って!
視界が眩む。家の柱が後ろに焼け崩れてきた。
––––お父さん…!
ここにお父さんはいない。遠い街に出かけているから。
––––お母さん…!
どこにいるんだろう。さっきまで手の届くところにいたのに。火の粉がわたしの頬を
––––柱の下敷きになってる!?ねえ!?お母さん…!
駆け寄って、声をかける。熱気に喉を塞がれながら、恐怖に喉を押しつぶされながら、叫んだ。
「ねえ!起きて!しっかりしてええ!」
––––どうしよう!どうしよう…!
死んでいるのだろう。反応が全くなくて、
––––嫌だ。死ぬなんて嫌だよ、お母さん…!
燃え盛る炎が死神の様にわたしたちを
わたしも死ぬんだ。嫌だ!熱い…!苦しい…!
「誰かああ…!助けてええええ…‼︎」
しんどい…。もうだめだ。
「誰かいるのかあっ!?」
誰の声…?幻聴かな。
「そこにいるんだなっ!」
天使かな。神様かな。それとも悪魔?死神?わたしは死ぬんでしょ…。
「待ってろっ!今助けるからっ!」
人だ…!人の声が聞こえる!
「ここっ…!たあっ…!助けてええええ…!」
「大丈夫か!?」
手が繋がった。その人の手はこの悪魔の様な熱さより暖かくて、優しくて…。
「−−!−−−−−−!」
ありがとうと言おうとして。口も身体も動かずに地面に崩れ落ちた。
「−−−−!?」
わたしは助かったんだ。意識が遠のいていく。
お母さん…。ごめんなさい…。わたしだけ助かって…。
未だに見る夢の中のお母さんは、いつも美しく死んでいく。
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朝だ。
鳥の囀りが明るく響き俺の頭の中を爽やかにする。これほど朝早く起きたのは久しぶりだ。朝日に照らされたベッドの上で背伸びを楽しんでから…
「…狩りの準備でもするか。」
俺は朝の陽気を浴びようと服を着替え始めた。
ここは悠久の風が吹き抜ける街、ドンドルマ。シュレイド王国最大級。人の往来もかなり多く、施設も整っている。俺が幼い頃、初めてここに来たときは、三日ほど眠らずに街中を散策した。十歳になりたて、田舎育ちの純心な少年の好奇心だ。抑えられるわけがない。
そしてその頃からだった。俺がハンターに憧れ始めたのは。
『ハンター』
自然界に君臨する強大な存在、モンスターを狩猟することを
物心ついた頃から夢見ていた職業だった。ハンターだった父をずっと見ていた俺の目には、ハンターというものがとてもやり甲斐のある仕事なのだという風に映り込んでいた。
幼い俺に狩人の基礎を教えてくれたのは父だった。採取、調合、武器の構え、防具の選び方、モンスターへの対し方。父はできる限りのノウハウを教えてくれた。
父は俺がハンターになることを受け入れてくれていたのだろう。ハンターになろうと意気込んでいた俺にあまり口出しをしなかった。ただハンターとしての責任と心構えは静かに教えてくれた。
命を落とす危険がいつも死神として隣に控え、一歩踏み間違えれば、死へ追いやられる、なんてことは百も承知であった。だがもしかすると、「だからこそ」この狩人の世界に惹かれたのかもしれない。
「安全で確実」という言葉から最も遠い、しかし未だ俺を魅了してやまないこの世界に俺は今、立っている。
俺はクレヤミ ゼロ、正真正銘の狩人だ。
これは、全力で狩場を駆け抜けた、とある世界のとあるハンター達の軌跡。
オープニングなので短めです。ぼちぼち投稿していきます。