怠慢な博愛主義者が誰かを救いに来るそうですよ? ………誰かって誰さ   作:ファルコン・Σ

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第三話「助けたい気持ちに理由なんて必要無い」by五月雨

ーーー“六本傷”のカフェ。

一息ついていた一行が声の方向を見ると、二メートルは超える巨体にピチピチのタキシードを着た変な男がいた。

 

「僕らのコミュニティは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」

 

「黙れこの名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだーーーそう思わないかい?レディ達」

 

この言い争いの時点でガルド・ガスパーと名乗る男とジンの関係がかなり険悪である事が分かる。

そんなガルドに話を振られた飛鳥は不愉快そうに応じる。

 

「失礼ですけど、同席を求めるならばまず氏名を名乗り一言添えるのが礼儀ではなくて?」

 

「おっと、これは失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ"六百六十六の獣"の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧ぉぉぉ!!」

 

途中で声を割り入れたジンの言葉にブチ切れたガルドの体が急激に変化していく。

皮膚は盛り上がり、剛毛の縦縞が生え、二メートル超えの巨躯が虎の姿に変わった。

この男はどうやら虎のギフトを持っているらしい。

 

「口を慎めや小僧…………紳士で通ってる俺にも聞き逃せない言葉もあるんだぜ?」

 

「森の守護者だったころの貴方なら少しは相応の礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「ハッ、そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうが。自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解出来てんのか?」

 

「少々よろしくて?」

 

険悪な言い合いを遮るように星が凜とした声を上げた。

可憐な表情の中に鋭く細められたその視線はしかし、ガルドではなく、

 

「ジンさん、貴方は自分をコミュニティのリーダーと言いましたわ。なら新たな同士の私達にコミュニティとはどういうものなのかを説明する義務がある筈。先程からガルドさんが言う仰っている“誇りを奪われた”ということや“過去の栄華”について詳しく教えてくださりませんこと?」

 

「そ、それは…………」

 

刃物のように鋭い目線を向けられ詰まるジン。それを見たガルドはニヤリと笑って代弁した。

 

「レディ、貴女の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士にこの箱庭のルールを教えるのは当然の義務。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。よろしければこの私がコミュニティの重要性と小僧ーーーではなく、ジン=ラッセル率いる"ノーネーム"のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

 

「あら。ご親切にどうも。お二人もそれでいいですね?」

 

「別に構わない」

 

「そうね。お願いするわ」

 

了承を受けたことを確認したガルドは説明を始めたーーー………。

 

*********

 

「な、何のことでございましょう……?」

 

十六夜に訪ねられた黒ウサギは僅かに動揺していた。

 

「なんなら核心的な聞き方するぜ。黒ウサギ達は“どうして俺達を呼び出す必要があったんだ”?」

 

「それは……言った通りです。十六夜さん達にオモシロオカシク過ごしてもらおうとーーー」

 

「ああ、そうだな。俺も最初は純粋な好意か、もしくは与り知らない誰かの遊び心で呼び出されたんだと思っていた。俺は大絶賛“暇”の大安売りしていたわけだし、他の三人も異論が上がらなかったってことは、箱庭に来るだけの理由があるんだろうよ。だからオマエの事情なんて気にかからなかったがーーーなんだがな。俺には、黒ウサギが必死に見える」

 

その言葉で隠していた動揺が一気に顔に出た。

まるで、悪戯がバレた子供か、真相を暴かれた犯罪者のように。

所謂、秘密がバレた表情が。

 

「これは俺の勘だが。黒ウサギのコミュニティは弱小のチームか、もしくは訳あって衰退したチームじか何かじゃねぇのか?だから俺達は組織を強化するために呼び出されたーーーどうよ?満点だろ?」

 

「なんだ。そんなことになってんのか?」

 

「なんだってなんだ五月雨。お前は気付いてなかったのか?」

 

「お恥ずかしながらな。ただまぁ俺らがコミュニティに入るのは嫌だ、とか断る、とか言った時に黒ウサギが激怒したのは気になったけど」

 

それだけの事実のみで真相に辿り着いた十六夜の頭の回転の速さに内心驚いていた。

ただの脳筋バトルジャンキーという評価は改めなければならないかもしれない。

 

「ん?てことはなんだ? 俺らにはまだ他のコミュニティを選んでもいいのか?」

 

「や、だ、駄目です!いえ、待って下さい!」

 

「だから待ってるだろ。ホラ、いいから包み隠さず話せ」

 

しかし黒ウサギにとって今のコミュニティの状態を話すのは余りにもリスクが大き過ぎた。が、

 

「なあ黒ウサギ? 同じコミュニティで暮らすってんならそれは家族と同義ってことだろ? そんな関係に迎え入れるなら自分達の状況を一切話さないなんてのは不義理だとは思わないか? 少なくとも俺は“重大な隠し事をしているかもしれない”なんて疑いながら寝食を共にするのは嫌だな」

 

その五月雨の言葉でハッと気付いた。

 

「(そうでした…………この方々を呼んだ上にコミュニティに入って欲しい時点で我々の身勝手です。なら、黒ウサギ達はまず信頼を得なければならなかったのですね)」

 

決心の着いた黒ウサギは二人の前に立つと真剣な声音で話し始める。

 

「分かりました。それではこの黒ウサギも凄絶オモシロオカシク、我々のコミュニティの現状を語らせて頂きます」

 

此処からは嘘も偽りも無し。黒ウサギが四人を呼んだ本当の理由を語り始める。

 

「まず私達のコミュニティには名乗るべき“名”がありません。よって呼ばれる時は名前のないその他大勢(ノーネーム)という蔑称で称されます」

 

「へえ……その他大勢扱いかよ。それで?」

 

「次に私達にはコミュニティの誇りである旗印もありません。この旗印というのはコミュニティのテリトリーを示す大事な役割も担っています」

 

「なる程。それで?」

 

「“名”と“旗印”に続いてトドメに、中核を成す仲間達は一人も残っていません。もっとぶっちゃけてしまえば、ゲームに参加できるだけのギフトを持っているのは一二二人中、黒ウサギとジン坊ちゃんだけで、後は十歳以下の子供ばかりなのですヨ!」

 

「もう崖っぷちだな!」

 

「いや既にチェックメイトの王手だろこれ」

 

「ホントですねー♪」

 

十六夜と五月雨の冷静な言葉にヤケクソ気味で笑う黒ウサギだが笑いたくなる気持ちも分かる。真面目にヤバい状況だった。

 

「で、どうしてそうなったんだ? 黒ウサギのコミュニティは託児所でもやってんのか?」

 

「託児所にしてもおかしいだろ職員一人って。まあ、妥当なのは壊滅させられたってとこ?」

 

五月雨の解答に黒ウサギは力無く頷く。

 

「はい。彼らの親も全て奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災ーーー“魔王”によって」

 

 “魔王”という単語を聞いた途端、適当に相槌を打つだけだった十六夜が声を上げた。

 

「ま………マオウ!?」

 

「うおう!? いきなり大声だすなどうした十六夜?」

 

「どうしたもこうしたもあるか! 魔王! なんだよそれ、魔王って超カッコイイじゃねえか! 箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれる奴がいるのか!?」

 

…………やっぱり脳筋バトルジャンキーかもしれない。

戦闘意欲全開の十六夜を見て五月雨はそう思った。

 

「え、ええまあ。けど十六夜さんが思い描いている魔王とは差異があると…………」

 

「そうなのか?けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも咎められることの無いような素敵に不敵にゲスい奴なんだろ?」

 

「おい十六夜偏見偏りすぎだ。世の中いい魔王もいるかもしれないだろ?」

 

仮に此処に星が居たら「悪いことをするから“魔の王”なのですわよ?」とツッコミを入れていただろうが居ないのでそのまま説明は続く。

 

「魔王は“主催者権限(ホストマスター)”という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたら最後、誰も断ることはできなせん。私達は“主催者権限”を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは……コミュニティとして活動していく為に必要な全てを奪われてしまいました」

 

成る程、と納得する。

恐らく黒ウサギのコミュニティは卑劣な魔王に無理難題に近いギフトゲームを無理矢理強制され、その結果、土地や幼い子供達を除いた、文字通り全てを奪われたのだろう。

 

「けど名前も旗印も無いというのは不便な話だな。何より縄張りを主張できないのは手痛いだろ。黒ウサギ、新しく作ったりとかはできないのか?」

 

「そ、それは」

 

「あのなぁ十六夜。そりゃ確かにそうした方が理には叶ってるけどそうじゃないだろ? 奪われた嘗ての家や仲間を取り戻したいっていうのは誰だって思うさ。だからこそ俺らっていう新戦力を呼んだんじゃないか?」

 

改名は即ち、コミュニティの完全解散。

それをしてしまえば、仮に嘗ての仲間が帰ってきた時、彼等の家は何処にも無い。

 

「茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……いつの日か、コミュニティの旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さん達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか……!?」

 

深く、深く頭を下げて懇願する。しかし、必死の告白にも関わらず十六夜は気のない声で、五月雨は完全に口を閉ざす。

黒ウサギは頭を下げたまま肩を落とし、泣きそうになっていた。

 

十六夜は組んだ足をだるそうに組み直し、たっぷり三分間黙り込んだ後、

 

「いいな、それ」

 

「ーーー……は?」

 

「HA?じゃねえよ。協力するって言ったんだ黒ウサギ」

 

 不機嫌も露わに言う十六夜。

呆然と立ち尽くす黒ウサギ。

可笑しそうにクスリと笑う五月雨。

 

「え、あ、あれ。そんな流れでございました?」

 

「そんな流れだったぜ。それとも俺がいらねえのか?失礼なこと言うと本気で余所行くぞ」

 

「だ、駄目です駄目です、絶対に駄目です!十六夜さんは私達に必要です!」

 

「じゃあ俺はいらないと」

 

「なんでですか!! 五月雨さんだって必要です!!」

 

「冗談だっての。ま、俺は現状聞いた時点で黒ウサギのその、ノーネームだったか? そこに入るつもりだったし」

 

「ま、とにかくあの蛇起こしてさっさとギフトを貰って来い。その後は川の終端にある滝と“世界の果て”を見に行くぞ」

 

「は、はい!」

 

嬉しそうに跳躍した黒ウサギは蛇神の上に乗り、顎の辺りに移動する。遠巻きに様子を見ていると、直後に青い光が周囲に満ちた。

 

「きゃーきゃーきゃー♪見てください!こんな大きな水樹の苗を貰いました!これがあればもう余所のコミュニティから水を買う必要もなくなります!みんな大助かりです!」

 

余程嬉しいのは分かったが水にすら苦労していたのかと思うと素直に喜べない。

よほど、というよりは洒落の通じないレベルで困窮していたのだろう。

 

「な、一つ聞いて良いか? 黒ウサギはなんでギフトゲームに参加しなかったんだ? 身体能力高そうだし結構ゲームで戦えそうだけどな?」

 

「ああ……そのことでございますか。それはウサギ達、“箱庭の貴族”と呼ばれるコトに由来します。ウサギ達は“主催者権限”と同じく“審判権限(ジャッジマスター)”と呼ばれる特権を所持できるのです。“審判権限”を持つものがゲームの審判を務めた場合、両者は絶対にギフトゲームのルールを破ることができなくなり……いえ、正しくは違反者の敗北が決定します」

 

つまり完全なる公平な審判である。

魔王が完全な不可能ゲームを仕掛けることや、市場の詐欺に等しい不平等なギフトゲームが行われないようにする為、彼女達の存在意義があるのだ。

 

ただし、ギフトゲームの審判を務めた日より数えて十五日間はゲームに参加できない。

“主催者”側から認可を取らなければ参加できない。

箱庭の外で行われているゲームには参加できない。

他にもあるがそのような制約が課せられているのだ。蛇神のゲームに挑めなかったのもそれが原因である。

 

「その、黒ウサギも一つお二人に御聞きしたいことがあります」

 

「却下。嘘。どうぞ」

 

「え?ああ、はい。お二人はどうして黒ウサギ達に協力してくれるのです?」

 

その質問に五月雨が十六夜に先にどうぞと目配せする。

それを受けてまず十六夜が話し始めた。

 

「んー…答えてもいいけど、ただ答えるのはつまらんな。質問を変えるけど黒ウサギはどうして俺が“世界の果て”を見てみたいのだと思う?」

 

「やっぱり……面白そうだからでしょうか。十六夜さんは自称快楽主義者ですし」

 

「半分正解。なら、どうして俺は面白いと感じたんだろうな?」

 

この質問には本気でつまる黒ウサギ。

それを見かねたのかどうか、五月雨がボソッと答えた。

 

「ロマンとか未知とかそんな感じか?」

 

「お、よく分かったな。さてはお前俺のファンか?」

 

「サイン書いてくれるか? 焚き火のいい火種紙になりそうだ」

 

相変わらず妙に息のあった掛け合いをする二人。

とんとん拍子で面白いようにからかいあっている。

 

「俺の居た世界は先人様方がロマンというロマンを掘りつくしして、俺の趣向に合うものがほとんど残ってなかったんだよ。だからここじゃない世界なら、俺並みに凄いものがあるかもしれないと思ったのさ。だからつまり“世界の果て”を見に行くのは、生きていくのに必要な感動を補充しに来たってとこかな」

 

「な、なるほど。十六夜さんはロマンのあるものを見て感動したいのですね」

 

「ああ。感動に素直に生きるのは、快楽主義の基本だぜ?」

 

「そうですか…………で、では五月雨さんの理由もお聞かせくださいますか?」

 

「えー」

 

「この流れで面倒とか言うなよ? つか俺も聞きたいな」

 

出会って二時間か其処らの関係だが、十六夜は五月雨が結構な面倒臭がりだと把握していた。

こう言ってはなんだが、彼が誰かの為に力を尽くすというのは想像できない。

 

「そうだな………まあ、特に理由は無いかな」

 

へ?と呆ける黒ウサギ。

十六夜ですら軽く呆れてる。

 

「おいおい五月雨。お前は理由も無しに助けるって決めたのか?」

 

「まあな。強いて言うなら助けたいって思ったから、だな」

 

「は、はあ………で、ですが、そんな、まだ出会って二時間程度しか経ってないのにそんな簡単に、無条件で信用してくれるのですか?」

 

黒ウサギの当然の疑問。

それに対し五月雨はさも当たり前のように告げる。

 

 

 

「当然さ。だって黒ウサギと俺はもう二時間前からの長い付き合いじゃないか」

 

 

 

ポカーンと呆ける黒ウサギの横で十六夜は、さも可笑しそうに、愉快そうに大声で笑い出した。

 

「く、くは、は ヤハハハハ!!! なんだそりゃ!! いや俺もお前のこと嘗めてたぜ。面倒臭がりかと思えばとんでもないお人好し野郎じゃねぇか!!」

 

「どうとでも? 面倒臭がりなのは事実だけどな」

 

決して五月雨本人の前では口にしないが、長い付き合いである星が居ればこう言うだろう。

 

『確かにマスターは重度の怠惰性格ですわ。けど、それは“自ら”に対する事のみ。他者の苦労や苦しみには、どんな困難でも手を貸すことができますの。ーーーだからこそ、私も彼に従っておりますのよ』

 

と。

何故なら。それが彼の本質。

お人好しで困っている人を助けずにはいられない。そんな博愛主義が彼の根本なのだ。

 

「柄じゃないが、希望になってみるよ。俺に出来ることなら可能な限り力を貸す。だからーーーコミュニティを必ず再建すると約束してくれるか?」

 

「ッーーーはい!!」

 

そんな会話をしている内に、目的地である世界の果てーーートリトニスの大滝に着いた。

 

「お…………!」

 

夕焼けにより朱色に染め上げられ、跳ね返る激しい水飛沫が数多の虹を作り出す。

楕円形のように見える滝の河口は遥か彼方にまで続いている。流れる水は“世界の果て”を通ってどこまでも続く無限の空に投げ出されていた。

 

「どうです?横幅の全長は約2800mもあるトリトニスの大滝でございます。こんな滝は十六夜さんの故郷にもないのでは?」

 

「………ああ、素直にすげえな。ナイアガラのざっと二倍以上の横幅ってわけか」

 

十六夜の感想を聞きながら滝の下を覗き込む五月雨。

滝壺は見えず、遥か彼方何処までも落ちていく滝を眺めて疑問を漏らした。

 

「底が無い……? この土地は浮いてるのか?」

 

「残念ながらNOですね。この世界を支えているのは“世界軸”と呼ばれる柱でございます。何本あるのか定かではありませんが、一本は箱庭を貫通しているあの巨大な主軸です。この箱庭の世界がこのように不完全な形で存在しているのは、どこかの誰かが“世界軸”を一本引き抜いて持ち帰った、という伝説もあるのですが…………」

 

「いや誰だよ。つかどんな巨大があんな馬鹿デカ過ぎる柱を持って帰るんだよ。何に使うんだ」

 

「家の柱とかじゃねぇか?」

 

「そんな家あるなら一度見てみたいぞ十六夜………」

 

呆れる五月雨にヤハハと笑いつつ絶景ポイントを探す十六夜は黒ウサギに忠告した。

 

「ま、こんなデタラメで面白で面白い世界に呼び出してくれたんだ。その分の働きはしてやる。けど他二人の説得には協力しないからな。騙すも誑かすも構わないが、後腐れはないように頼むぜ。同じチームでやっていくなら尚更な」

 

「………はい」

 

「ま、大丈夫だとは思うぜ? 感だけどな」

 

なんとも微妙な五月雨の励ましを聞きつつも黒ウサギは心の中で深く反省する。

先程五月雨が言った通り、彼等はこれから仲間として共に過ごすのだ。

騙して勧誘など、やはり許されることではないだろう。

 

「(初めからちゃんと説明すればよかったな…………ジン坊ちゃん、大丈夫でしょうか)」

 

箱庭に残してきたジンを心配する黒ウサギ。

 

ーーーーー彼と共にいる少女達がとんでもない問題を起こしているなどとは夢にも思わず。

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