ジュエルのためにコミュを見ていたのでデレ風味。
落ち着いた時間だった。
もともと、オフの日なのにやり残した仕事をしに来ただけなので、昼前には暇になってしまった。
なんとなく帰る気にもならず、文香から借りた本を読みながら過ごしていた。
「プロデューサーさん……?」
そんなところに、文香がやってきた。
今日は文香もオフのはずだが……。
「私……ですか? 私は、皆さんに本を渡しに来ました」
あぁ、デレぽのあれか。
皆から頼られて嬉しそうな文香はとても可愛かったが。
「それは……忘れてください。いえ、あの時は助けていただきましたが……それとこれとは、話が別です。写真? あぁっ、消して……消してください」
スマホを奪おうとする文香と戯れた。
さすがにアイドルの体力にはかなわず、写真は消されてしまった。
ぷんすこと聞こえてきそうな文香の機嫌を取るために、外出を提案する。
「外に……ですか。どこに、でしょうか?」
警戒心をあらわに聞き返してくるが、別に悪いところじゃない。
文香の趣味に付き合うだけだ。
「なるほど、本屋めぐりですか。それなら、いいでしょう」
さすがに徒歩だと暑いので、自動車で遠出をすることにした。
郊外に出て、大きめの本屋を訪れた。
「やはり……品ぞろえが素晴らしいですね」
最近はオンライン書店のほうが強いけれど、思わぬ出会いを期待するなら、やはり本屋が良い。
というわけで、まずは一回りしてみるか。
「はい、まずはレイアウトの確認をしましょう」
本屋によって何がどこに置いてあるのかは違う。
おおよその傾向のようなものはあるが……まぁ、当てにはならない。
なんとなく見て回るだけでも、時間がどんどん過ぎていく。
「雑誌売り場は、どこでしょうか……? あっち、ですか。行ってみましょう」
何をするわけでもなく、あっちへフラフラこっちへフラフラ。
文香がアイドル雑誌を見ている間に、ラノベの新刊を確認する。
そういえば、文香はケータイ小説にうといのだったか。
よく考えたら、文香も相当のアナログ人間だなぁ。
デジタル派の自分としては、それはそれでもったいないと思うが。
「……はい? ネット小説、ですか? 興味は、あるのですが……いかんせん、アナログな人間なもので。ページをめくる感覚がないと、落ち着かないのです」
気持ちはわかる。
というか、文香にネット小説を与えたら、寝食を惜しんで耽りそうだ。
それは俺としても困るので、これ以上の提案はしないでおこう。
「プロデューサーさんは、詳しいのですか? でしたら、少しご教授願いたいのですが」
電子書籍と同じで際限なくなるからダメ。
「そこを、なんとか」
今でも寝不足なのに、徹夜になったらどうするの。
「……プロデューサーさん」
なんと言おうとダメなものはダメ。
「パソコンにもデータが残っていましたね」
何でも教えてあげよう。
まぁ、結局のところ。担当に勝てるプロデューサーはほとんどいないのである。
嬉しそうな文香の顔を見て、そんなことをしみじみと思った。
すべてを捨ててガシャっ……
美玲ちゃんが来てくれました。