Pの日常SS   作:天河 龍汰楼

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フレちゃんもよしのんも欲しいけどジュエルが足りないのでムリポ。



幸せモノ探し(複数人)

ここは110プロダクション。

9階建てのビルを丸々使っている、ちょっと大きめのプロダクションです。

何よりの特徴は、所属しているアイドルの多さ、と言われています。

が、わたしとしてはプロデューサーの多さを挙げたいところです。

サラサラと書類に目を通して、気になるところにチェックを入れ、付箋を付けます。

 

183人のアイドルとそれと同数のプロデューサー。

それだけの人間がいれば、ある程度の仕事の量は何とかなります。

しかしながら、質についてはどうにもならず、事務員だよりです。

全員分の書類を見終えて一息つけば、昼下がりも過ぎていました。

 

「フンフン……あ、ただいまー♪」

 

後ろで楽し気に鼻歌を歌いながら揺れていた担当アイドルが、何事もなかったかのように言葉をかけてきます。

がり、と真っ白な髪で覆われた頭皮をひとかきして、彼女に向き直りました。

 

「おかえり、フレデリカ」

 

そう言うと、明るい金髪にも負けないほどの笑顔で、もう一度「ただいまー♪」と言いました。底抜けに明るい笑顔に、わたしも頬が緩みます。

 

「今日は、どうしたんだい? 良いことがあったのかな」

「うん! あったあったー♪ 今日に限らないけど、いっぱいあったんだー」

 

ともすれば親子のように見える会話ですが、実際には孫ほど年が離れています。

彼女の話を聞きながら、ほんの少しだけ寄る年波に思いをめぐらせました。

 

「それでねー、いまから芳乃ちゃんと幸せ物探しに行くんだー♪」

「依田さんと? そういえば、彼女は失せ物探しが得意と聞いたことがあるね」

「ノンノンノン、失せ物探しならぬ、幸せ者探しー♪」

 

ふむ、幸せモノ探しですか。

なんとも、フレデリカらしい発案ですね。

 

「はっはっは、それは良い。きっと、すぐに見つかるよ」

「だよねだよねー! プロデューサーもそう思うよねー。だってこのフレちゃんがもう世界一の幸せ者だし!」

 

にこやかに笑顔で話す彼女はまったく恥じる気配もありません。

とても真っすぐで、器用なのに不器用に生きている彼女が世界一の幸せ者だと言えるのは、それは例えようもなく尊いことのように思えます。

 

「あ、もうそろそろ時間みたい! 行ってくるねー」

「はい、いってらっしゃい」

 

ぱたぱたと手を振って、彼女はCu事務所を出ていきました。

依田さんはPaですから、4階に行くのでしょう。

どういう経緯かは語りませんでしたが、彼女には彼女なりのポリシーがあります。

彼女が何を思っているにせよ、その成功を願わずにはいられませんでした。

 

__________

 

 

「やっほー! パッションデリカの討ち入りだー!」

「Cuの事務所は2階だぞ」「よくいらっしゃいましてー」

 

相変わらず宮本がキュート属性なの信じられない。

私の担当がパッションにしては大人しいのを差し引いても、属性詐欺だと思うが……。

 

「フフーン、今のフレちゃんは情熱でファンファンしているから大丈夫なのだー! 元気印のフレデリカー♪ 芳乃ちゃんもおひとついかがー?」

「ふむー、わたくしには持ち前のあふれ出る情熱がありますゆえー」

「ちょっと待て、待ってください。お前だけは味方だと信じていたのに」

 

私をこのパッションの渦中に置かないでください。

周りの娘たちが段々と集まってきたのを、ニコニコと対応していくフレデリカは流石だなー、と思いつつ、その間に芳乃に事情を聴くことにした。

 

「どゆことでしょう?」

「幸せ者探し、とのことですー。わたくしもー、楽しみでしてー」

 

このマイペースをPaとは思えないとぬかす奴は出てこい。

もっと細かい説明が欲しいところだったが、芳乃が楽しそうだし、それでいいか。

 

「それじゃあ早速!」

「れっつ、ごー。でしてー」

「まぁ……いってらっしゃい」

 

あわただしく、嵐のように過ぎ去っていったフレデリカもすごいと思うが。

やっぱ、あのエネルギーは真似できないなぁ……。

 

「あ、宮本担当Pさん、知ってるのかなこのこと」

 

一応確認に行くか、書類も受け取らないといけないし。

 

__________

 

 

「あぁ、知っているよ」

「あ、それならいいんです。あの様子だと外まで行きそうなんで、一応」

 

初老の男性と大学生ほどの青年が、事務所で話している。

二人ともプロデューサーだが、今日は仕事が少ないらしい。

 

「はいこれ、PaPくんたちの分ね」

「いつもありがとうございます。ほんと、事務員には頭が上がらないですね」

「はっはっは、事務員の仕事があるからいいのさ」

 

がさがさと書類を受け取りながら、軽い世間話を交わす。

「そういえば」と、書類に目を通していた青年が口を開いた。

 

「芳乃と宮本ってどこで会ったんでしょう? 一緒の仕事ってありましたっけ?」

「ふむ? どうもここ最近物忘れが激しくてね、わたしはあてにならないよ」

「いやいや、まだまだお若いですよ」

 

真っ白な髪を撫でつけながらボケたような返事を返す男性。

こうなると強情なのは担当アイドルとよく似ている。

青年も答えを期待していた訳ではなさそうだ。

二人で朗らかに笑い合った後、青年が申し訳なさそうな顔をする。

 

「なんていうか、ありがとうございます」

「はっはっは。私は何もしていないさ、あの子に言ってやりなさい」

「そうは言いますが……宮本は受け取らないでしょうから――」

 

貴方と同じように、という言葉を飲み込んで、青年はそれだけ告げた。

男性はまた特徴的な笑い声を漏らすと、目じりのしわを深めて青年を見つめた。

 

「それでもいいのさ。彼女が選んだ道だろう?」

「それも、そうですね」

 

どこか嬉しそうに微笑む男性と対照的に、青年は悲しそうな笑みを浮かべた。

 

__________

 

 

「今日も、楽しかったかい? フレデリカ」

「もっちろん! アタシが楽しくない日は存在しえないのだー。あったとしたらー? 地球最後の日かも! ワォ、フレちゃん大役ー♪」

「はっはっは。そうだ、フレデリカ。依田Pからね、お礼の言葉を言われたよ」

「ワォ! さっすがフレちゃん、何もしてないのにもちの下の力モチー♪ かもちーじゃないよ、ちからもちー♪」

「…………あぁ、本当に。いつもありがとう、フレデリカ」

 

 




110プロダクションの初お披露目です。346じゃないです、別の世界です。
読みは【いっとう】。ひゃくとーばんじゃないですよ。
なんとアイドル一人にプロデューサー一人という大所帯。
もちろんと言っては何ですが、全員は出せません。
183人もキャラ考えてたら絶対キャラ被りが出ますからね。デレマスってすごい。
一応設定集も作ってますよ、基本後付けですけど。
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