彷徨く女の子の1日   作:馬汁

3 / 3
この作品には、私の個人的な「ゆめ2っき」の解釈が含まれています。
まあ、ゆめにっきやその二次創作のプレイヤーの考察や解釈というのは、基本的に十人十色ですし。


懐かしい世界と緑色の病室

 ……今日も何時もの場所に行こうかな。

 

 そんな事を考えながら、今日の夢は始まった。

 

 

 ―――

 

 

 夜景の見えるベランダから、いつものように自室へ入っていった。

 独りでに付いているパソコンや、貯金している覚えなど無いのに、何故だか落ちている豚の貯金箱がある。

 一見すれば変な状況なのだろうけどけれど、”こっち”の自室では当たり前の光景だった。

 

 そう、ここは夢の世界。そんな場所に、私はやってきた。

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 独りでに付いた「自室」のパソコンの電源を切り、気まぐれにテレビを付けてみたりしてから、部屋を出る。

 分かれ道を迷いなく選び、かつ寄り道せず……まるで歩き慣れた道を行く学生やサラリーマンの様に、私はある場所を目指して行った。

 

 歩き慣れた、とは言っても、実際は歩いているんじゃなくてバイクで走っているんだけれど、それもあって割と早い時間で目的地の一歩手前にまで辿り着いた。

 

 これまたのぼり慣れたハシゴを上がっていくと、マンホールから地上に出てくる。

 

「~~」

 

 やっぱり、ここは落ち着く。まるで空気にそういう成分でもあるかの様。私は深呼吸した。

 挨拶代わりに看板人間に手を振りつつ、あの町へ入っていく。

 

 ああ、いつも通りの風景だ。

 良いとも悪いとも言えない感想を抱きつつ、白服の紳士の座るベンチを見る

 

 少し考えると、バイクから降りて、今度はそっちのベンチに腰を下ろす。勿論、白服の紳士の隣に。

 

 彼が何時も読んでいる新聞を、横から盗み見てみる。残念ながら、私には読めないみたい。

 諦めて視線を前に戻すと、目の前を赤い服の少女が横切る。何かを転がしているような様子だったけど、あの球体の正体は未だに不明。

 

 不明、と言えば、あの郵便局の青い人も色々と不明だ。

 人とは言っても、もはや人型とは言えない1頭身の姿をしている。もしかしたら1.5頭身かもしれない。

 

 試しに郵便局の方に立ち寄って、カウンター越しに青い人に手を振ってみるけど、郵便局に吊るされた風鈴がチリンとなるだけだった。

 

 まあ、これが普通だ。特定の行動やエフェクトに反応を示す夢の住民は居るには居るけれど、この程度で反応を示す住民は確認していない。

 

 ふと、別の世界にいる“彼”のことを思い出す。

 あの一匹狼は元気にしているだろうか。いや、例に違わず何時も通りにしているだろうな。

 どうして彼の事を思い出したのか、理由は定かではない。

 

 彼の事を思い出したせいか、なんだか遠吠えしたくなったから、上に向けて声をあげてみる。

 

「ワォーン」

 

 ……しまった、エフェクトを変えていないから、思ったより声が響かない。

 けど遠吠えし直すのもあれだから、特に気にしていないフリをして脇道に入る。

 

 脇道、と言うよりは建物と建物の隙間だ。この道の奥にはゴミ袋が積まれているが、私は特に気にせずに壁に手を滑らせる。

 

「……」

 

 見つけた。

 手から伝わる感覚に、それを迷いなく引っ張る。すると、あの青い人が居座る部屋が出てくる。さっき手を振った所のカウンターの裏だ。

 

 この裏口からどかどかと入り、ちゃぶ台の横でゆっくりしている青い人に手を振る。そうすると、その人は一度だけ瞬きをした。

 それがなんだか、手を振った事に対する返答のように見えて、嬉しくなった。私は悠々として対面する形で座る。

 

 風鈴が、またチリンと音を鳴らした。

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 座布団の上でしばらくゆっくりした後、適当に旅館で受付の仕事をうば……貰って小遣い稼ぎをしつつ、適当な所へいってみる。

 あのバーに通うのも良いかもしれないけど、今日は特にそんな気分じゃない。

 この前これでもかってぐらいに浪費したし、余裕もないのだし。おのれ甘味。

 

 ところで今、私はこの病院にお邪魔しているところであります。病院らしく真っ白な内装に、鮮やかさを感じさせない無色のドアが並んでいます。

 

 その内一つの扉を開けて入って、ふくらみのあるベッドへ一直線に近づく。

 

 膨らみに手で触れると、それは水気の残ったスポンジの様にシーツが緑色に滲み始めた。

 そこから手を離しても、それは増殖を繰り返す細胞の様に()()は増えていく。

 

 すると、今度はこの部屋の空気が緑色に淀み始めた。特に異臭はしない。

 ぼんやりとその様子を眺めていると、あっという間に部屋が緑色に染まる。

 これ以上緑色増えないだろうと、私はゆっくりと右横へ顔を向けた。

 

 この空気の色に染まった様な緑の髪の毛。

 この病室の無機質な壁の様に白い肌。

 

 そんな男の子が、車椅子に座って私を見ている。

 

 その白い肌も緑にしてやろうかと言わんばかりに、緑色の点滴に繋がれた彼だけれど、私の独断と偏見により“青汁くん”と呼ばれている。

 

 といっても、そう呼んでいるのは私だけ。

 彼には私が呼んでいるのとは別に名前があるかもしれない。

 

 一歩だけその男の子に近寄ると、私の腕が無意識に“何か”を握ろうと力が入り始める。

 右下に視線を向けて、その“何か”の正体を確認してみる。それの正体は分かりきっているけれど、一応。

 

 それは一般的には伐採道具として認識され、一部のホラー好きには凶器として認識され、そして両者共通してチェーンソーと呼ばれている。

 

 私は片手に持った凶器(チェーンソー)を両手でしっかりと構え直すと、内蔵されたエンジンがギャインギャインと鳴き始めた後に、()()()()()に従うまま、真上から真下へと、青汁くんに向けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 □day73.txt

「今日は7回目の私が青汁くん色に染まった日……って言うと少女漫画みたいだ。普通に血を被っただけだけど。それで、他は普通にうろうろして、まあいつも通りだった。あとお金が欲しい」




青汁くん:
彼とうろつきは夢の中だけの関係、現実では会ったこともないし、実在するかも分からない。

世界の感情:
きっと、その世界には誰かにとっては深い思い入れが込められているのかもしれない。時には来訪者の体を操る程の、強く深い思い入れが。

後書きの意味深で厨二な書き方:
気にしないでください。

なんか内容が薄い:
無目的にうろうろしてるだけですから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。