ジャブロー降下作戦その3
アマゾンの大地と空で共和国軍と連合軍互いの使命を賭けた激闘が繰り広げられている中、一方で沿岸部に配置された共和国軍は敵洋上艦隊に逆襲を掛けるべく出撃していた。
ドダイSFSに膝立ちになり背中にフライトユニットを装備したハイザックJ型は、海面スレスレを飛行して敵のレーダーを掻い潜って接近しようとする。
「敵艦隊はもうすぐ目の前だ、情報では連合軍に水中用MSは無い。空中の新型機だけに注意しろ」
編隊の先頭を飛行する隊長機から後方の部下達に向かって指示が飛び、フライトユニットを同時に起動させたハイザックの編隊は速度をあげていく。
このフライトユニットは共和国地上軍がザフトの空中用MSディンに対抗すべく開発した、所謂飛行補助ユニットである。
共和国お得意のホバー技術を応用し、巨大な2枚のファンを*1バックパックの左右に装備しており、これによりジャンプ力の上昇やホバー性能の向上並びに洋上での短時間移動が可能となっていた。
ドダイと連携すれば、擬似的な三次元戦闘も可能とするがそのクラスの技量を持つパイロットは残念ながら地上軍には少ない(凄腕は大概、本国部隊に引き抜かれてしまうからだ)。
精々が飛び上がって再度着地するのに有利、と言った具合であり本格的な空戦MSであるディンやレイダーには到底敵わなかった。
それを分かっているからこそ彼等は敵に見つからない様に低く飛行し、一撃離脱で手に持ったバズーカやミサイルランチャーに175mmマゼラトップ砲を叩き込もうとしていたのである。
敵艦隊まで後少しと言った所である、突然波が高くなったかと思うと先頭を飛行する隊長機を飲み込んだ。
そのまま波と共に姿を消した隊長機、突然の事態に後続の部下達は驚き慌てて速度を緩め海中に転落したと思わしき隊長機をその場で旋回しながら探そうとする。
しかし次の瞬間彼等の目の前で再び波が盛り上がったかと思うと、その中から隊長機とその胴体を三又の銛で貫いた正体不明機が姿を現した。
正体不明の敵は隊長機“だった“物を投げつけ、突然のことに不運なハイザックがそれと衝突しドダイから振り落とされる。
海中から姿を現したのは地球連合軍が開発した試作水中用MSフォビドゥンブルー、そのコックピットの中でパイロットのジェーン・ヒューストン少尉は吠えた。
「艦隊には手出しさせないよ、全機攻撃開始!」
海中から続々と姿を表すフォビドゥンブルー達は、海面スレスレを飛行するハイザックJ型に向けてフォノンレーザー砲や115mm機関砲「アルムフォイヤー」を放ち、奇襲を受けた共和国軍は次々と撃墜されていく。
何とか機体を上昇させ攻撃を回避しようとする機もあったが、当然ながら連合軍洋上艦隊のレーダー網に引っかかり、艦隊から発射された対空ミサイルや迎撃機に襲われ逃げ帰る羽目となった。
艦隊への逆襲を防いだヒューストン少尉らフォビドゥンブルー部隊は、そのまま水中に潜りアマゾン川河口より内陸へと遡上していく。
PiPiPiとコックピット内にけたたましいアラーム音が鳴り響き、機体の音響ソナーが水中に浮く危険物を察知する。
共和国軍は当然河口からの侵入を警戒しており無数の機雷を配置していた、しかしヒューストン少尉等は全く怯む事なく寧ろ速度を上げて海中を突き進んでいく。
「怯むな、ゲシュマイディッヒ・パンツァーならあれしきの機雷痛くも痒くもない」
先頭を行くヒューストン少尉は機雷原の隙間を縫う様に海中を疾走する、時折海流に流されて機雷と接触するがしかし機体には傷一つつかない。
この試作水中用MSフォビドゥンブルーに搭載されているエネルギー偏向装甲こと「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」は、先のオーブ戦で連合軍が用いたGAT-X252フォビドゥンに搭載された物と同じである。
ミラージュコロイド技術の応用により原型機はビームを完全に防いだが、それの応用で本機は水圧や水の抵抗を減らす機構を備え理論上はエネルギーが続く限り潜航深度を伸ばせる画期的な機構であった。
反面水中用機としては耐圧殻を持たず、エネルギーが尽きれば直ぐ圧壊することからパイロット達からは「フォビドゥン・コフィン(禁断の棺桶)」と言う忌み名を頂戴している。
しかしそれ等を差し引いても性能は圧倒的であった、ヒューストン少尉に続く部下達は彼女の動きを完全にトレースは出来ず機雷原に接触してしまうも、先の機構と機体のTP装甲により全機が機雷原を突破する事に成功していた。
この機体が量産された暁にはザフトの水中用MSは海洋より駆逐され、連合が再び自由な海を取り戻すだろうと、テストパイロットとして機体の設計に関わってきたヒューストン少尉は、そう豪語して憚らないのも頷ける。
アマゾン川の水中を100ノットで航行するフォビドゥンブルー達は、潜入した工作員やスパイからの情報に従ってジャブローに張り巡らされた迷路の様な水路を進んでいく。
今回の情報提供者は先のザフトによるアラスカ攻撃の情報を掴んだ凄腕だと言う話であり、連合軍の諜報網も捨てたものではないとヒューストン少尉等は素直に感心していた。
最もその情報提供者とは「仮面の男」ことラウ・ル・クルーゼーであり、彼はゾルゲの一員としてクライン派が南米に設けたコーディネイターとハーフ及びナチュラルの隠れ里、その人員をスカウト(脅して)し取引材料として、ジャブローの内実を探らせていたのである。
まさか自分達の敵であるザフトからの情報提供とも知らず、ヒューストン少尉等は水路を抜けて目標の上陸地点に差し掛かった。
「いよいよジャブローと初対面だ、全機準備はいいな!」
一方その頃、河口に仕掛けた機雷原を突破された事を知った共和国軍は敵が水中より攻撃を仕掛けてくると気づき、ソナーやセンサーを総動員して敵の侵入経路を探り当てようとしていた。
「第8水路異常なし、続いて第9、第10水路も異常ありません」
「工業用水取水ポンプ、並びに汚水浄化槽でも敵を発見できませんでした」
「敵の標的は宇宙港では無いのか?では一体どこに?」
ジャブロー地下作戦司令部で戦況を見守っていた参謀達は、敵が何処から上陸してくるのかと焦燥感に駆られていた。
当初は地上の連合軍と共同して宇宙港への最短経路を取るのではと、その方面にセンサーを収集させたが、依然として敵の姿を掴む事が出来なかったのである。
「!?敵を発見しました」
「何処に隠れていた!いや、それよりも詳細を報告せよ」
「は、現在敵は第3水路を経由してダム湖に侵入してきます」
オペレーターからの報告に途端に参謀達はざわめく、そのコースはつまり敵の潜入部隊は直接ここ、ジャブロー地下司令部に攻撃を仕掛けようとしていたのだ。
「急ぎ防衛部隊を回せ!司令部周辺には殆ど無防備なんだぞ」
「第6、第8戦車小隊を急行させます、並びに水際防衛のマリンハイザック隊を出撃させます」
参謀達からの指示に従いオペレーター達が、敵潜入部隊の上陸地点に付近の部隊を移動させていく。
その中には、共和国地上軍が開発した水中用MSマリンハイザックもいた。
マリンハイザックは地上軍が開発したハイザックのバリエーション機の1機であり、その名の通り水中での活動が可能とし機体各部の関節にシーリングが施され、ジャブローなど水が豊富な環境で活躍する物と思われていた。
しかし所詮はハイザックの改造機でしかなく、ザフトの本格的な水中用MSグーンやゾノとは比べ物にならず、まして今彼等が戦おうとする相手は、連合軍がそのザフト水中用MSを上回るべく開発した機体である。
ヒューストン少尉等は水中から出したカメラで敵の様子を確認し、その殆どが少数のMSと大多数が戦車である事を確認すると、敵を水浸しにするべくダム湖の堰の一部を魚雷で破壊して水を溢れさせた。
破壊されたダムから猛烈な勢いで水が流れ込み、戦車の車高よりも高い波が襲い慌てて戦車部隊は後退を余儀なくされる。
その隙に水中に潜り込んだヒューストン少尉等潜入部隊は、水の中に隠れて残る共和国MS達を背後から強襲した。
「て、敵は一体どこだ!?何処にいる」
水の勢いに押されて後ずさったハイザックの背中から水柱が立ち上りその中からフォビドゥンブルーが現れて、敵を水中の中に引きずり込む。
突然の水中に共和国軍のパイロットは機体を暴れさせるも、連合軍は容赦なくフォノンレーザーで切り刻み破壊していく。
「敵の姿が見えない!?」
「だ、誰か助け…」
「クソ、水のせいで身動きがとれない」
味方が次々と水の中に引き摺り込まれ、恐怖に駆られたパイロットがライフルを乱射するも虚しく水柱を立ち上げるだけであった。
満足に反撃できない他のMSに変わってマリンハイザックは水中に潜る、手には水中用のハープンガンとロケットを発射するサブロックガンを持ち、果敢に敵に挑みかかったのである。
しかし、結果は火を見るよりも明らかであった…。
単に水に潜れるだけのマリンハイザックと、水中を自在にしかも100ノット以上で航行出来る相手では、土台勝負にすらならない。
ヒューストン少尉等は不恰好な機体で、無謀にも自分達に挑戦して来た敵を、容赦なく冷たい水の底へと叩き込んでいく。
発射された魚雷は回避できず、トライデントの穂先で串刺しにされあるいはフォノンレーザーで切り刻まれていき、反撃のハープンやサブロックガンは簡単に回避されるか、TP装甲やエネルギー偏向装甲で防がれた。
元々が沿岸警備程度の性能しか無く、本物の水中用MS相手には全く手も足も出ない。
こうして防衛部隊は呆気なく壊滅し、潜入に成功した連合軍は悠々とジャブロー地下司令部を目指し進撃していくのであった。
一転して地上では降下に成功した連合軍MSストライクダガー部隊が、共和国地上軍の切り札である陽電子砲フラックタワー、その最後の1基を破壊すべく総攻撃を仕掛けていた。
「アレを倒せばもう怖くないぞ、総員命を惜しむな」
隊長機を先頭にバラバラに突撃する連合軍MS達、ジャングルと言う地形で部隊間の連携も取りにくい事もあるが、何よりも敵陽電子砲に纏めて吹き飛ばされない様、敢えて部隊を大きく分散させていたのである。
対する共和国軍は、フラックタワーを守るべく最終防衛ラインを敷き、激しく抵抗していく。
「敵を近づけさせるな!1機でも多く減らすんだ」
「投擲弾を投げ込んで連中を丸裸にしてやる」
下半身を掩蔽壕に隠したハイザックD型は、トーチカと共に敵に激しい攻撃を加え、塹壕の中から飛び出した機がクラッカーを投擲して空中で弾け、周囲に爆発と共に破片が飛散する。
連合軍のMSはそれらをシールドを掲げて防ぎつつ、反撃にビームライフルで応射しながら着実に近づいていく。
地上軍は共和国本土とは違い、ビームライフルが配備されておらず、その為連合軍に対して数でも火力でも劣勢であった。
これは本国から派遣された各社企業の研究員や技術者達が、この少し前に本国へと帰還し、その為地上軍は技術進歩から取り残されてしまった為である。
しかしその代わり地上軍には豊富な火器が貯蔵されており、ハイザック達は弾が切れると新しく武器を構えては、それを敵目掛けて撃ちまくっていく。
宇宙では使われなくなって久しい280mmバズーカや、試作兵器にロケットなど実体弾が中心であるものの、TP装甲を施された上空のレイダー制式仕様以外には、これで十分役に立つのである。
特に地上軍最大の火力であるDK-対MS用汎用重機関銃の威力は凄まじく、127mmの砲弾が金切り声を上げながらジャングルの樹々ごと敵MSを薙ぎ払っていった。
元が対空砲から派生したこの銃機関砲は、射程は元より発射速度や命中精度装弾数共に優れ、弾幕を張って敵を寄せ付けず連合軍を大いに苦戦させる。
その威力と被弾した機が着弾した箇所から、千切れる様に破損する事と特徴的な発射音から、「電動ノコギリ」の異名を頂戴していた。
このDK重機関銃のお陰で前進を阻まれた連合軍MS部隊は、ジャングルで立ち往生しそうこうしている内に、また頭上より赤黒い破壊の光が地表を薙ぎ払っていく。
「何としても、最後のフラックタワーを守るのだ。ここさえ守り抜けば、まだなんとかなる目はある」
ジャブロー防空司令部指揮官アントニオ・カラス大尉は、オペレーター室から地上で戦う友軍を鼓舞し、同時に反撃の指示も出していた。
「地下に待機させていたMS部隊の地表展開はまだかかるのか?敵を逆包囲できるチャンスだぞ」
「それが、敵がジャブロー地下水路を通って内部へと侵入した模様です。作戦司令部はその対応に追われて…」
オペレーターがそう言っている内に、突如として部屋の照明が落ち、直ぐさま非常灯に切り替わる。
突然の事態に騒然となるも、アントニオ・カラス大尉は速やかに原因究明を命じようとしたが、その前に緊急事態が彼に知らされる。
「電力パワーダウン!?フラックタワーへのエネルギーが急速に減少しております」
「陽電子砲へのチャージ維持できません、フラックタワーそれ自体が機能を停止していく!?」
「原因は何か!」
「不明です、しかし地下発電所で何かあったとしか原因は考えられません」
少なくともジャブロー地下都市で何かがあった事は確かであり、アントニオ・カラス大尉にはそれはどうしようも無い領域に属した。
彼は一先ずはエネルギー復旧を最優先させつつ、まだ生きている防衛装置で敵を何とか食い止める以外、方法はなかったのである。
その地上で起きた原因を起こした張本人である、ジェーン・ヒューストン少尉率いる連合軍ジャブロー潜入部隊は、ダム湖近くの発電所と変電所を完膚なきまでに破壊していた。
NJによって原発が使えなくなった地球では、電力を得るのに太陽光や太陽熱を利用するソーラー発電か、地下都市の場合ダムによる水力発電や地熱発電を利用するしかない。
如何に巨大で鉄壁を誇る地下大要塞とて、電力を喪失してしまえば、丸裸も同然であった。
無論これ程の巨大な施設である、ダム湖以外にも複数の発電所はあるがそれ等を使って、復旧するまでの間潜入部隊は動きたい放題である。
「作戦の第一目標は達成した、これで地上も少しは静かになるだろう。続いて私の部隊が第二目標を、ショーンの部隊は半分を率いて敵宇宙港の奪取を図る」
「ここから先は時間との勝負だ、各員素早く行動せよ」
事前のブリーフィングで説明された通り、ヒューストン少尉達潜入部隊はこれから先2部隊に分かれて、それぞれの目標の確保に動く。
当然敵の激しい抵抗も予想され、またこれまでは得意の水中戦でこれと言った被害も無く進めていたが、ここより先は地上戦となり厳しい戦いが予想された。
その為、彼らは発電所を破壊して敵が混乱する内に、素早く移動する必要があったのである。
ヒューストン少尉の指示に従い2隊に分かれた潜入部隊は、ジャブローの地下を走りながらそれぞれ定められて目標を目指すも、当然の事ながらその動きはジャブローの地下各所に設置された監視カメラが捉えていた。
今まで作戦司令部にて参謀達の指揮に任せていたマ・クベ大将は、ここに来てその重い腰を上げて、自ら敵潜入部隊の撃退作戦の指揮を執る。
「敵は予想以上にこちらの事を知っているようだ、しかしそれが逆に油断につながると言うもの」
マ・クベ大将の指示に従いオペレーター達が敵の進路上や、或いは予想される経路の防壁シャッターを下ろし進路を制限していく。
当然ヒューストン少尉達はこれが敵が自分達を誘い込もうとする罠であると見抜いており、敵の意表を突こうと最初の内は無理やり隔壁を破壊して進んではいたものの、しかしその度に潜入部隊の前には分厚い隔壁が落とされた。
「クソ、邪魔な壁だね、まだ破壊はできないのか?」
「ヒューストン少尉、このままでは手持ちの爆薬を使い切ります。それに帰りのエネルギーも無ければ、我々は敵中で立ち往生してしまいます」
「ちっ」とコックピットの中で部下達に聞こえないようヒューストン少尉は舌打ちをした、今回の作戦にあってフォビドゥンブルーを使う際、どうしても機体の特性上バッテリーの残量は常に頭の片隅に入れておかなければならなかった。
潜水も航行も全てエネルギー偏向装甲に頼り切な為、実際の量産機にはヒューストン少尉達テストパイロットの強い要望で、チタン性の耐圧殻が設計当初から備えられているが、しかし今乗っている機体にはそんな上等なものは無い。
現場を見ない上層部と、ザフトのコーディネイターに負けたくないという技術者の自己満足により、犠牲になるのは常に自分達前線の兵士達であると、ヒューストン少尉は常々そう思っていた。
無論今の連合軍でそんな事を口にすれば、直ぐさまブルーコスモスの思想教育センター送りにされるのがオチであるから、彼女は決して人前ではその不満を口にはしないのである。
「仕方ない、ショーンの部隊とも通信が取れない以上迂回して先に進むしかない」
結局敵の思い通りかと、ヒューストン少尉は不安に駆られるも、しかし今は任務達成が最優先であった。
先を急ぐ潜入部隊は、時折敵の散発的な抵抗を受けつつも、それまでの苦労が嘘の様に順調に進んでいく。
部下達は「共和国軍も戦力が尽きた」だの「別働隊が上手くやった」だの、口々に楽観的な意見を出すもしかしヒューストン少尉だけは油断せず、敵が何を考えているのか探り当てようとした。
そうこうする内に部隊は巨大なホールの様な場所に出る、事前情報の地図によれば建設途中で破棄された採掘場跡の様であるが、異様なのはその広さである。
宇宙戦艦の雄に2〜3隻は横並びに出来る程の広さを持ち、また天井も高くメインカメラを暗視モードにしてもその全容は窺い知れなかった。
「あ、ヒューストン隊長!別働隊の連中です」
「何!?」と部下乗る機体が指し示す先を、カメラを最大望遠にして覗き込むヒューストン少尉。
そこには確かに、宇宙港確保を命じたショーン等別働部隊の姿があった。
彼らは通信機が不調なのか機体を大きく動かしたり、両手を振ったりして何かを伝えようとするが、しかしヒューストン少尉達も地下環境のせいで通信が不調のため、彼らが一体何を伝えようとしているのかが分からない。
ふとヒューストン少尉は天井方向に機体のメインカメラを向けて、高い天井に何か大きな文字が書かれているのに気がついた。
最大望遠にしてレンズの感度も最大限にして文字を読み取るヒューストン少尉、そこにははっきりとこう書かれていた。
その意味する所を理解する前に、突如として地面全体が揺れ天井が迫ってきていた。
「マズイ、全機元きた道を戻れ!!」
一体何機その通信が届いたのかは分からない、ただ何とか機体を横穴に滑り込ませた彼女の目のまで、地響きと共に天井が崩落しホールにいた部下達を押し潰していく。
如何に深海の圧力に耐えるフォビドゥンブルーであっても、硬く重い岩盤に機体ごと圧迫されては長くも持たない。
振動が収まると同時に、別の横穴から共和国軍MS部隊が高所からホールを囲むようにずらりと並び、何とか生き埋めを免れた機体や岩盤を押し除ける事に成功した機体を狙い撃ちにしていく。
生き残った機も先程の岩盤崩落でエネルギーを使い切っており、その身を守はずのTP装甲もエネルギー偏向装甲も無力となり、ライフルの砲弾やロケット弾で吹き飛ばされていった。
横穴から飛び出し部下達を助け出そうと、機体を操作するヒューストン少尉であったが、偶然か悪戯か流れ弾が彼女が逃げ込んだ横穴に飛び込み、ホールへの出入り口を崩してしまう。
こうして部下達が虐殺されるの指を加えて見ている事しか出来なかったヒューストン少尉は、生き埋めになった部下達の救出を諦めざるえず、彼女が復讐を誓った相手にまた一つ名前が刻まれるのであった。
こうしてマ・クベ大将直々の指示により連合軍の潜入部隊は撃退された、しかし地下に潜入した敵が起こした混乱は確実にジャブローの守りを弱めていたのである。