桜舞うこの季節、この文月学園では新学期の始業式が行われていた。
この俺倉木刹那も、新二年生として新たな春を迎えていた。
「ふう、やっと学園に着いたか」
校舎までは長く続く坂道があり、通学にはそこそこの時間を要する。
校門までくると、そこには冬にもタンクトップが似合いそうな超絶筋肉だるま、鉄人こと西村先生の姿が見えた。
「おはようございます、西村先生」
「ん?おお、倉木か。今日は早いな」
「新学期初日くらいは俺だって早起きしますよ。そう言う先生はこんな所で何をしているんですか?」
この時間帯、教師は始業式に向けて準備があるはずだが。
「俺はここで新二年生に新たなクラス分けを知らせている」
「クラス分け?」
「ああ。ここにお前の行くべきクラスが書かれている」
そう言って、西村先生は一通の封筒を手渡した。
「わざわざ生徒一人一人に手渡しているんですか?そんなことをしなくても掲示板に張り出せばいいのに…」
「俺もそう思うが、これは学園長の趣向なんだ」
「ふーん。まあいいや。そんなことより俺のクラスはどこかなー」
まあ見なくても大体の予想はつくけどな。
『A』
封筒の中の一枚の紙には、でかでかとそう書かれていた。
「お前はやればできる奴だったんだな。あのバカどもと一緒につるんでいたときからは想像もつかんぞ」
「明久達ですか?ふぅ、俺をあいつ等と同じにしてもらっちゃ困りますね。それじゃあ西村先生、クラスの提示作業頑張ってください」
簡単な挨拶を終え、いよいよ新しいクラスへと向かう。
***
「ほおー、これがAクラスか…」
開いた口が塞がらないとはこのことを言うんだろうな。
システムデスクにリクライニングシート、さらには個別に冷蔵庫やエアコンまでついてやがる。
どんだけVIP待遇なんだ…
「突っ立ってても仕方ないな。俺の席は…」
と、席を探そうと周りを見渡そうとした、その時
「…………席」
「うおっ!?な、なんだ!?」
不意に死角から一人の女子生徒が顔を出してきて、不意にも驚いてしまった。
「えーと、どちらさん?」
「…………このクラスの代表の霧島翔子」
「代表っていうと、このクラスの成績一位ってことか」
「…………(こくり)」
つまりそれはこの学年でトップだと言うことにほかならない。
「…………席」
「ん?ああ、座席表見せに来てくれたのか」
代表の持つ一枚のプリントにようやく気づき、席を確認する。
「俺の席は…よし、一番後ろの席だな!」
こりゃ思う存分に寝れるぜ!
代表に一言お礼を言ってから、早速席へと向かった。
すると、隣の席の人はもう来ていたようだ。
「あら?あたしの隣なのね。よろしく」
「これはどうもご丁寧に…って秀吉じゃないか」
「あいつと知り合い?あたしはその秀吉の双子の姉、木下優子よ」
「ほお、話には聞いていたが、本当に似てるなあ」
「そりゃそうよ。双子なんだから。…なのにどうしてあいつの方が女のあたしよりも男にモテるのかしら…」
「ん?何か言ったか?」
なにやら木下さんに黒い影が差したような気がしたが…
「ううん、何でもないわ。それで、あんたの名前は?」
「俺か?俺は倉木刹那。よろしく」
「ふーん、よろしく」
あまり興味なさそうに、あくまでも社交辞令だと言った感じで返事を返してくる。
そんな木下さんの興味を向けてやろうと、少し、いたずらめいた考えがよぎった。
「木下さんのことは弟の秀吉からいろいろ聞いているよ」
ほんの少しだが木下さんの耳がぴくっと反応した。
「…へえ、例えばどんな?」
「んーと、家では常に下着姿でうろついているようなずぼらな性格で、趣味はBl小説の愛読、だったっけ?」
「んなっ!?…(秀吉のやつ~!)」
さすがにこの情報は聞き捨てならなかったようで、反応が激しかった。
だがすぐに調子を取り戻し、口調は冷静を取り戻そうとしていた。
「あの子、そんなことを言いふらしていたのね」
「んーや、俺しか知らないと思うぞ?俺があいつにあまりそう言うことは言わない方がいいと口止めしといたからな」
それは去年の出来事だった。
俺は秀吉の双子の姉のことが気になり、秀吉に話を聞くと、ペラペラと先ほどのことを話してきた。
言い終えて俺が忠告すると、「そう言うものなのかの?」と、本気でわからないといった感じで話していた。
あいつはかなりの天然だからな…
「そ、そうなの?それは…一応お礼を言っておこうかしら?」
ずいぶん上からものを言うんだな。
「ああそれと、別に俺は人の趣味についてとやかく言うつもりはない。趣味なんてのは人の目を気にせずにのびのびとやるもんだ」
「それは…フォローのつもりかしら?」
「まあ、な。ほら、ホームルーム始まるみたいだぞ?」
教室にはちょうど、学年主任の高橋先生が入ってきたところだった。
とりあえず書き出しとしてはこんな感じかな?
文章量は短いですが次からもっと増やします