バカとAクラスの日常   作:ゴリ霧中

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第十三話

「それではこれより試召召喚大会を開始します」

 

校庭には参加者が集まり、自分の試合が始まるのを待ちわびている。

 

「いよいよか」

 

「心配ないとは思うけど、足引っ張らないでよね」

 

「心配ご無用。ところで、この大会って優勝したら何かあるの?」

 

「あら?そんなことも知らないの?」

 

だって木下さんに誘われてきたわけだしなあ。

そんなに興味もなかったし。

 

「まあいいわ。大会に優勝すれば副賞として如月ハイランドのプレオープンペアチケットがもらえるらしいわ」

 

「ああ、そういえばあそこってもう少しでオープンするって宣伝してたっけ」

 

「そのチケットを代表がほしがってるみたいなのよ。だからあたしたちも協力しようってことよ」

 

「なるほど」

 

十中八九雄二と行くつもりだろうな。

てことは雄二もそれを阻止するために参加するかもな。

 

「っと、そろそろ俺たちの番だな」

 

話しているうちに順番が回ってきたようだ。

 

「対戦相手はっと」

 

「どうやらBクラスのようね」

 

「Bクラスなら楽勝だな」

 

「でも油断は禁物よ」

 

「わかってるって」

 

「それでは第一回戦を開始します」

 

「「「「サモン!」」」」

 

Bクラス 佐藤香里 数学 152点

     飯塚詩織 数学 149点

 

「ほお、さすがはBクラスってところか。まあ敵じゃないな」

 

Aクラス 倉木刹那 数学 885点

     木下優子 数学 347点

 

「相変わらずでたらめな点数よね…」

 

「数学ならね。悪いけど木下さんの出番はないよ」

 

「そのようね。向こうの女子二人はあんたのその格好に見とれてるみたいだし…」

 

言われてみれば全然試合に集中してないな。

 

「ではお嬢様方。ごゆるりとお休みください」

 

一礼して召喚獣が剣を振り下ろした。

 

今気づいたんだが、なんで召喚獣まで執事服着てんだ?

木下さんの召喚獣もメイド服着てるし。

 

「そこまで!勝者、倉木・木下ペア!」

 

「ふう、楽勝楽勝」

 

「そのようね」

 

「「ありがどうございました~」」

 

負けたBクラスの二人は、なにやら幸せそうな顔をしていたが…

まあ気にしないでおこう。

 

 

 

***

 

 

 

「おおー、ずいぶんと忙しそうだなー」

 

「さっきよりも人が来ているわよ。教室の入り口に行列ができているもの」

 

試合が終わり、教室に戻ってきてみると、Aクラスのメイド喫茶は大分繁盛していた。

 

「さて、俺たちも仕事しますか」

 

「そうね。抜けていた分もがんばらくちゃいけないし」

 

「あ、二人ともおかえりー♪」

 

「ああ、ただいま」

 

「その顔は無事勝ってきたみたいだね」

 

「そう言う愛子はどうなの?代表とペアで出場してるんでしょ?」

 

「もっちろん勝ってきたよー♪」

 

「だよな」

 

この二人が組んだらこの学園で勝てる奴はそうそういないだろ。

 

「お?あれは明久たちか?」

 

ふと入り口をみると、Fクラスの面々が来店してきた。

どうやら代表が応対しているようだ。

 

「…………おかえりなさいませ。今夜は帰らせません、ダーリン」

 

さすがは代表だ。

仕事とプライベートはきっちり分けれる「できる女」だな。

ちなみに今はプライベートのようだ。

 

おそらくつっこんだら負けなのだろう。

 

さて、他に女子の客もいないみたいだし、明久たちと一緒にきた姫路さんや島田さんの相手でもしに行くか。

 

「おかえりなさいませ、旦那様にお嬢様方」

 

「あっ、刹那だ!何その格好?」

 

「察してやれ明久。どうせメイド喫茶に合わせて執事の格好させられてるんだろう」

 

雄二は話さなくても事情をわかってくれて助かるなあ。

 

「………ぜひ一枚(すちゃっ)」

 

ムッツリーニは相変わらずどこから出したかわからないが、カメラを構えていた。

 

「旦那様のお望みなら何枚でも」

 

「………これは高く売れる」

 

ムッツリ商会め。

最近では女子の顧客もついてきてるみたいだからな。

 

「それではお嬢様方、ごゆるりと」

 

「おお、そうだった。刹那、あいつ等なんだが」

 

「あの方々がどうかなさいましたか?」

 

雄二が指を指す方には、坊主頭とちょびモヒカン頭の男子生徒が大声で何かを話していた。

 

「あーあ、この店はきれいだよなー!」

 

「ああ、さっき行ったFクラスの喫茶店とは比べものにならないぜ!」

 

どうやらFクラスの営業妨害のようだ。

 

「あいつらっ…!」

 

「落ち着け、明久」

 

「雄二、どうして止めるのさ!」

 

「落ち着いてください旦那様。今ここであの方々に暴力を振るえば悪評が広まるばかりでございますよ?」

 

「その通りだ。安心しろ、俺に考えがある」

 

「ならば私も及ばずながらお力になりましょう。旦那様のご所望となるのはこちらですか?」

 

即座に裏方から予備のメイド服を持ってくる。

 

「さすがだな。何も言わなくても俺の考えがわかったか」

 

「主人の望むことをするのが執事でございますから」

 

にこっと微笑みながら服を渡した。

さて、俺も一枚噛ませてもらうとするかな。

 

そのあと明久を説得してメイド服を着せた。

にしても女装か…

明久、同情するぞ…

 

 

 

***

 

 

 

「ご主人様、足元を掃除させてもらいます」

 

「ん?こんな可愛いメイドいたか?」

 

「失礼します」

 

「お?おっ!?な、なんだ?急に背中に抱きついて。まさか俺に惚れて…」

 

「くたばれ~!」

 

「ごばあぁ!」

 

バックドロップ成功。

こうも簡単に行くとは、明久には女装の才能があるな。

ちっともうらやましくは思えないが。  

「なにしやがる!」

 

「きゃー!この人痴漢です!」

 

「何言ってやがる!お前が勝手にぐぶあ!」

 

「失礼ですがお客様。我が家のメイドに手を出さないでもらえますか?」

 

すかさずフォローにはいる。

悪漢許すべからず。

 

「て、てめえ!執事の分際で客になんてことをふがっ!」

 

「こんな公衆の面前で痴漢行為とは、このゲス野郎が!」

 

「何を見ていたんだ!?俺達は被害者だぞ!」

 

「黙れ!たった今お前たちはこのメイドの胸を揉みしだいていただろうが!」

 

「私の目は節穴ではございませんよ?」

 

自分で言っといてなんだが、正直節穴だと思う。

 

「くそ!逃げるぞ夏川!」

 

横に倒れていた夏川という男子生徒は起き上がり逃げ出した。

 

なぜか頭にブラジャーをつけながら。

 

「こ、これ、外れねえじゃねえか!」

 

どうやら明久が接着剤でつけたようだ。

わー、はずかしい。

 

「逃がすか!追うぞアキちゃん!」

 

「了解!でもそのよびかたはかんべんして!」

 

「邪魔したな、助かったぜ刹那」

 

「行ってらっしゃいませ旦那様」

 

会計は島田さんたちにもらうとしようか。

どうやら代表がもらっているようだ。

 

「…………お会計は、夏目漱石を一枚か、坂本雄二を一名のどちらかとなります」

 

「坂本雄二を一名でお願い」

 

「…………ありがとうございます」

 

ふむ。

雄二の単価は千円か。

ずいぶんと安く見られたものだな。

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