バカとAクラスの日常   作:ゴリ霧中

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合宿編第一夜です!



第二十話

「はあ、ひどい目にあったよ・・・」

 

「…………濡れ衣」

 

ボロボロに調教され終わった明久たちがうなだれている。

 

「すまんな、俺もなんとか反論しようとしたんだが…」

 

「さすがの刹那も状況が悪かったようじゃの」

 

「まあ明久たちの日頃の行いが悪かったせいでもあるからな。ある意味自業自得といえなくもない」

 

「それは確かにそうかもしれないけど、今回の件については本当に何も知らないよ…」

 

俺もさすがに今回はこいつらを信じている。

ここに来てから明久はずっと寝てて雄二と秀吉はその付き添い。

ムッツリーニは明久と雄二の件で捜査に出ていたはずだ。

まあムッツリーニがその過程でカメラを仕掛けたという可能性もないわけじゃあないが、この時間は脱衣所がそもそも立ち入り禁止のはずだ。

こいつだって来て早々そんなリスクは負わないだろう。

 

「………だ」

 

「え?雄二、何か言った?」

 

「上等だ!」

 

うちの代表の折檻で完全に死体と化していた雄二がようやく復活した。

こいつ、また何かしでかすつもりだな?

 

「さすがにやりすぎかと思ってやめておくつもりだったが、あいつらがそう来るんだったら本当に覗いてやろうじゃねえか!」

 

「覗くって、女子風呂をか?」

 

「ああそうだ!」

 

「雄二ったら、そんなに霧島さんの裸が見たいんなら本人に直接言えばいいじゃないか」

 

「ば、ばかっ!別にあいつの裸なんざ興味ねえよ!例の脅迫犯のことだ」

 

「脅迫犯…ってことはさっきムッツリーニが言ってたことか」

 

やつの話だと犯人は女子生徒で、お尻にやけどの痕があるはずだ。

今ある情報だとそれが犯人を探す上で唯一の手がかりになるだろう。

 

「ああそうだ。例のやけどの痕を俺たちで直接見て犯人を捕まえる!」

 

「…………さっきのカメラとマイクは脅迫犯が使っていたものと同じものだった」

 

「なんじゃと?それは本当かの?」

 

「…………間違いない」

 

「そりゃいい。好都合じゃないか」

 

「ああ、そうだな。とは言ってもそこのバカはわかってないみたいだがな」

 

雄二にそう言われて明久の方を見てみると、案の定頭の上にはてなマークを浮かべていた。

 

「どゆこと?」

 

「つまりだな、その犯人を捕まえれば俺たちの目的も果たせるし、俺たちの疑いも晴らせる」

 

「まさに一石二鳥ということじゃ」

 

「なるほど!要するに僕たちは女子風呂を覗けばいいってことだね!」

 

…うん。明久にしてはよく出来たね。

あながち間違ってないからそういうことにしておこう。

 

「にしても覗きか…」

 

「あれ?刹那も手伝ってくれるよね?」

 

当たり前でしょ?みたいに明久が言ってきた。

 

「俺たちAクラスは入浴時間がお前らと違うしな。そもそも覗きって行為がちょっとな…」

 

「そんなあ~。刹那がいてくれたら心強いのになあ」

 

「明久、あまり無理を言ってはならんのじゃ。刹那にも立場というものがあるのじゃ」

 

「ま、そういうわけだ。どうしてもダメだったら言えよ。直接手を下せるかわわからないけど、俺はお前たちの味方だからさ」

 

俺の予想が正しければ、こいつらだけじゃあ脱衣所にたどり着くのは無理そうだな。

さっきの隠しカメラの件は既に学園側に知られているだろうし、そうなれば教師陣も動かないわけにはいかない。

向こうにはあの鉄人・西村がいる。

 

さらに言うなら…

 

「雄二、お前はどこまで予想してる?」

 

明久たちには聞こえないように、雄二に話しかける。

なんで内緒かって?

明久が俺たちの話についてこれるとは思えないからな(笑)

 

「そうだな…おそらく教師陣が脱衣所の見張りについてるだろうな。あの鉄人と一緒に」

 

「ああ、それは俺も同感だ」

 

「この旅館は学園が建物を買い取って合宿所として改造したらしい。それなら…」

 

「召喚獣システムも用意されている。そう考えるのが妥当だよな?」

 

そう。この召喚獣が厄介なんだ。

教師の召喚獣は明久の召喚獣と同じく、物に触れる。

もとより召喚獣は人間の何倍ものパワーがあるのに、それが教師クラスとなると、突破するのは容易ではないだろう。

 

「ま、ここで考えていても埒があかねえ。一度俺たちで突入してみてこの身で確かめてくるさ」

 

雄二の表情は去年まではしょっちゅう見ていた例の表情になっていた。

 

そう、悪巧みをしている時の顔だ。

 

「まあ頑張りな。陰ながら応援させてもらうよ」

 

そう言って自室へと帰る刹那だが、結局最後はこいつらと一緒にバカ騒ぎするんだろうなあ、と考えていた。

 

 

 

 

時は変わって夕食。

 

俺たちAクラスは旅館にある宴会場へと来ていた。

どうやらクラスごとに食事の場が違うらしい。

 

「ふう、やっと夕飯か…」

 

俺の席は隣に久保、正面に木下さん、工藤さん、そして代表といった、いつものメンバーが集まっていた。

 

「倉木くんったら、初日から疲れてるねー」

 

「ああ。ちょっとね」

 

「例のFクラスね?また何かしでかしたみたいね」

 

「正確に言えば違うかな?今回のことはあいつらじゃない。ただの冤罪だよ」

 

もっと正確に言うなら、「これからしでかす」なんだが、ここは黙っておこう。

 

「なんでも女子更衣室に隠しカメラを仕掛けたみたいだね。まったく、異性の裸を見たいと思うなんて…どうかしているよ」

 

「そ、そうだな」

 

久保の今の発言は真面目ゆえ、だよな?

それ以上の意味なんてないよな?

 

「………浮気は許さない」

 

先ほどの折檻ではまだ足りなかったのか、代表から黒いオーラが立ち込めている。

にしても雄二が絡むと本当に性格が変わるよなー。

 

「倉木くんはお疲れのようだけど、食事のあとは入浴時間だし、お風呂にでも入ってゆっくりしてきたらいいよ♪」

 

「そうだな、露天風呂ってのも久しぶりだし」

 

部屋の露天風呂を思いだし、このあとは絶対に風呂に入ろうと決めていたその時。

 

「優子も一緒に入ってきたら?」

 

案の定というか、工藤さんが爆弾を落とした。

 

「は、はあ!?な、ななな何言ってるのよ、愛子!」

 

「あれれ~?優子ったら、顔が赤いよ~?」

 

にやにやと笑いながら工藤さんは食事時でもからかう手を休めなかった。

 

「せっかく部屋に露天風呂が付いてるんだし、二人で一緒に入ってくれば?」

 

「そ、そんなことっ…」

 

なんとか恥ずかしさに耐えていた木下さんだったが…

 

「そうだね。そうなったら僕は大浴場でゆっくり時間を潰してこようか」

 

ここで久保がさらなる爆弾を投下する。

 

「久保君!?久保君も敵なの!?」

 

普段の久保からは到底想像できない会話に、木下さんだけでなく俺も驚いていた。

意外と久保もこの合宿でテンションが上がってるのかな?

 

「異性との恋愛の何がいいのかは理解できないが、『愛』というのはいいものだ…」

 

久保よ、なぜそこまで「異性」を強調するんだ…

俺には久保の本心が理解できない!

 

「………旅先ではみんな開放的になる」

 

ぼそっと代表がつぶやいたが、おそらくこの合宿中に雄二と接近するために何か企んでいるのだろうか。

心の底から応援させてもらおう。

もちろん、雄二の幸せのために(笑)

 

と、ここで木下さんからのSOSが飛んできた。

 

「倉木くんからも何か言ってよ!」

 

「木下さんは湯船にタオル付ける派?付けない派?」

 

「なんであんたもあたしの敵なのよー!!」

 

そこはほら、場の空気を読んだ結果ですんで。

 




おそらく次話で第一夜を終わらせます。

本当は今話で終わらせようかと思っていたんですが…
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