バカとAクラスの日常   作:ゴリ霧中

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第二十六話

「ふむふむ、状況は随分と悪くなったみたいだね」

 

「ああ。このバカのせいで俺たちは危機的状況に陥っている」

 

「ご、ごめん…」

 

現在は放課後。

俺は今Fクラスに来ている。

事の真相を雄二から聞き、面白そうなことが起きていると思い駆けつけた。

 

「まあまあ、すぎたことは仕方ないのじゃ」

 

「…………今はこの状況をどうするか考えるべき」

 

どうやら朝のキスの一件でDクラスの清水さんの怒りを買い、Fクラスに宣戦布告をしてきたらしい。

とはいえ俺の流した情報のおかげで清水さんはクラスで孤立しており、今回の宣戦布告は独断で行ったようだ。

 

「今の清水美春にDクラスでの発言権はない。だが合宿での一件でFクラスを粛清する大義名分が出来た今、その程度はどうとでもなるだろうな」

 

雄二が渋い顔をして言葉を吐く。

 

「今の俺たちの点数状況じゃ戦争を仕掛けられたら間違いなく負ける。せめて補給試験を受けるだけの時間を稼ぐ作戦を考えなきゃな」

 

「まあそのへんは雄二に任せればなんとかなるだろ。今回ばかりは俺は手を貸せない。せいぜい頑張ってくれよ」

 

冷たいようだが、俺がAクラスに所属している以上は他クラスの戦争には介入できない。

この件は雄二に任せよう。

 

これ以上ここにいてもできることはないと思い、俺はAクラスに戻ることにした。

 

「ちょっといいかしら?」

 

Aクラスに向かう途中、突然声をかけられた。

 

「久しぶりね。合宿の初日以来かしら?」

 

声の主はCクラス代表・小山優香だった。

 

「これはこれは、Cクラス代表の小山さん。俺に何か用かな?」

 

正直この人とはあまり関わりたくはなかったが、あくまでも紳士的に対応する。

 

「合宿の時にもいったでしょう?あなたと話がしてみたいって」

 

そーいえばそんなことも言われた気がするな。

ほかのことで忙しくてすっかり忘れてたよ。

 

「今からちょっといいかしら?」

 

「えっと…」

 

実際このあとは特に用事もなく、Aクラスに戻って帰り支度を整えるだけ。

 

「部活にも入ってないみたいだし、これからデートでもどう?」

 

「えっ!?」

 

小山さんからまさかのお誘い。

 

しかしデート。デートかあ…

 

思春期真っ盛りの男子としてはこれは魅力的なお誘いだ。

それもルックスだけならこのハイレベル女子の集まる文月学園でも上位にくるほどの美少女からの誘いだ。

これがFクラスの男子たちなら二つ返事でOKしていただろう。

 

だがこの小山という女子、内面に少し問題がある。

なにせ元彼があの根本恭二だ。

その彼と付き合っていた以上はまともな性格をしているとは思えない。

 

故に俺はこのお誘いを(残念ではあるが)断るつもりだ。

 

「いやあ、せっかくのお誘いだけど…」

 

「あら?お気に召さなかったかしら?特に断る理由もないと思うのだけど」

 

「それはまあそうなんだけど…」

 

「前も言ったけど、あたしは頭のいい人が好きなのよね。とは言っても勉強が出来るだけじゃなく、頭のキレる…ちょうどあなたみたいな感じね」

 

目を細め、艶やかな視線を送ってくる小山さん。

めちゃくちゃストレートだよ!

獲物を前にした猛獣みたいな目でこっち見てくるよ!

 

何かこの場を逃れるては無いかっ…

 

ん?あれは!

 

「やあ木下さん、そういえば今日は木下さんと数学の勉強をする約束だったよね!」

 

「えっ?」

 

ちょうど帰り支度を終えて、Aクラスから出てきた木下さんを確保!

これを機にこの場から脱出を試みよう。

 

「えっと…」

 

「(たのむ、はなし合わせて!)」

 

事情が飲み込めていない木下さんにアイコンタクトで伝える俺。

なんとか気づいてくれたようで…

 

「そ、そうだったわね。倉木君ったら来るの遅いから迎に行こうと思っていたところよ」

 

ナイスだ木下さん。

あとはこのまま小山さんが騙されてくれれば…

 

「あなた、木下優子ね!あたしの邪魔をしたいのかしら?」

 

先日のCクラス戦での記憶が新しい中、木下さんに罪はないものの、小山さんにとってはやはりあまりいい印象はないようだ。

 

「前の試召戦争の時はあたしの勘違いだってけど、今回はあたしも譲れないわね」

 

「えっと、Cクラスの小山さんよね?何の話かしら?」

 

いまいち状況についていけない木下さん。

だが小山さんの方は既に頭に血が昇っているようだ。

 

やば、地雷踏んだか?

 

「あたしは今、倉木くんをデートに誘いに来たのだけど、あなたはそれを邪魔したいのかしら?」

 

「で、デートですって!?」

 

「ええ、そうよ。倉木くんにあたしのことをもっとよく知ってもらいたくてね」

 

いいご迷惑ですよ小山さん。

別に知りたいわけでもないです。

と思ったが、口には出さない。

 

「そ、そんなのダメよ!」

 

「あら、どうしてかしら?あなたにあたしと彼の仲をどうこう言うことはできないと思うのだけど?」

 

「だ、だって…」

 

「それともあなたも彼が好きなのかしら?」

 

「す、好き!?…ってそんなわけないでしょ!」

 

顔を真っ赤に染めながら否定する木下さん。

そこまで否定するか…

 

「じゃあいいわよね。さあ倉木くん、行きましょうか」

 

「へ?いやだから俺は今から木下さんと…」

 

「彼女もあたしとあなたのことを応援してくれるそうよ。ねえ木下さん」

 

「そ、そうね。別にあたしにはそれを邪魔する権利はないわ。倉木君、勉強についてはまた今度にしましょ…」

 

「ええっ!?」

 

まあ一緒に勉強しようという話は俺のとっさな嘘なわけで、それは別にいつだっていい。

だがこの場を逃げ出す理由がなくなってしまった!

 

「じゃあまた明日ね、倉木君…」

 

少し元気がなさそうに見えたが、とうとう木下さんが帰ってしまった。

 

「え、ええ~…」

 

「さーて行きましょ。ちょうどこの前美味しい喫茶店を見つけたところなのよ」

 

にこにこしながら俺の手を引く小山さん。

 

「は、はい…」

 

さすがの俺も逃げ場はないと悟り、観念してついて行くことにした。

 

なお、途中でFクラスの団体(死神)に囲まれたが、小山さんが睨んで一蹴。

さすがCクラスの代表、覇○色の覇気まで使えたとは…。

 

 

 

 

「はあ…どうしてあたしってこうなるかな…」

 

「ホントだよね。優子ってばここぞって時に素直になれないんだから」

 

「って愛子!?い、いつのまに…」

 

「いつって、ずっと後ろにいたよ?もちろん優子と倉木くんの修羅場も隠れて見てたよ♪」

 

「しゅ、修羅場って…」

 

「まったく、優子も難儀な性格だよね~。好きなら好きでそう言えばいいのに」

 

「べ、別にそういうわけじゃっ…」

 

「倉木くんは騙せてもボクはごまかせないよ~?そんなことだと、あの小山さんって人に倉木くん取られちゃうよ?」

 

「そ、それは…」

 

「倉木くんはちゃんと人を見る目はみたいだけど、この手のことに関してはヘタレなとこをありそうだからね~。押しに弱いままだと案外あっさり落ちちゃうかもね♪」

 

「そういうものなの…?」

 

「男の子なんて単純なものだからね。優子もどんどんアタックしていかないと♪」

 

「…うん。愛子の言うとおりかもしれないわね。あたしももう少し頑張ってみるわ」

 

「その意気だよ♪あたしは優子の味方だからねっ!」

 

「うん!ありがとう、愛子。励ましてくれて」

 

そのあとは二人でとめどない会話をしながら帰宅するのであった。

 

 




優子と小山さんの口調がかぶって書き分けがっ…!
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