バカとAクラスの日常   作:ゴリ霧中

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第三十三話

楽しい時が進むというのは早いものであって、文月学園では既に期末試験の時期に差し掛かっていた。

どこのクラスでも試験勉強をする生徒たちばかりで、Aクラスもまたそれは同じである。

 

さて、楽しい時は進むのは早い。

だが本人にとって楽しくないことというのは時間が進むのがとても長いものに感じてしまう。

 

「うー…なんだよwasって。Be動詞なんてamとisだけでいいじゃんかよー…」

 

この俺倉木刹那にとってもそれは変わらない。

 

「これ中学校で習う英語よ?今更何言ってるのよ」

 

隣では呆れ顔の優子の姿が。

 

「そもそもなんだよ英語って…日本語が世界標準語になる日はいつなんだ…」

 

「多分だけどあたしたちが生きているあいだはそうなることはないでしょうね。諦めて勉強に集中しなさい」

 

「はい…」

 

英語家庭教師の優子になだめられてテキストを読み返す。

 

うむ、意味わからん。

 

「ねえ、そろそろ数学の勉強でも…」

 

「まだ始めて一時間くらいしか経ってないわ。せっかくの自習時間なんだから徹底的にやるわよ」

 

「うへぇ…」

 

そう、今日、というより今週は試験週間ということでAクラスはすべての授業が自習になっている。

もともと授業が進んでいたAクラスは試験範囲の授業などとっくに終わっているので、試験に集中するためにこういう処置が取られている。

受験勉強を意識してのことらしい。

 

てか一時間で「まだ」とか…優子は普段どんな勉強をしてるんだ…

 

「はあ…早く試験終わらないかな…」

 

少なくとも試験が終わるまでは毎日この地獄が待っているということ。

そう思うと気分が下がるのもわけないと思う。

 

ま、優子が教えてくれるんなら地獄とまでは思わないけど。

 

 

 

 

「よしっ、おわったー!」

 

「お疲れ様。まあ及第点ってところね」

 

あのあとも昼休みまでぶっ通しで行われた徹底指導だったが、ようやくその終りがやってきた。

 

「やっと昼飯か、頑張ったかいがあったよ」

 

「そんなに疲れてたのね…」

 

涙目で弁当箱にすがる刹那を見て、優子は流石にやりすぎたかと反省する。

 

「せっかくだから教室じゃなくて屋上にでも行こうか」

 

「そうね。どうせなら愛子たちも誘ってみる?」

 

「いいねそれ。えーっと、あ、あそこに三人集まってるな」

 

目的の人物たちは一人の机に集まって自習していたようだ。

そういや代表は朝いなかったけどいつの間に戻ってきたのかな?

 

「よお久保。三人して何してんだ?」

 

「やあ倉木君か。ちょっとFクラスの坂本君についてね」

 

「雄二?なにかあったのか?」

 

「…………吉井と浮気」

 

「は…?」

 

「あはは…ボクと久保くんは何かの間違いだと思うんだけどねー」

 

「そういうことなら話を聞かせてもらいたいな。ちょうど今から屋上で昼飯を食べに行くところなんだけど、一生にどう?」

 

こちらの本題もついでに混ぜる。

てか雄二が明久とって、どういう勘違いだよ。

 

「でも優子と倉木くんのふたりっきりを邪魔するのもなー」

 

「何考えてるかわからんけど心配ないぞ?優子も納得してるから」

 

「そお?じゃあ行こっか♪」

 

 

 

 

五人揃って弁当を持って着いたのは屋上。

「弁当」「屋上」ときたら少々苦い思いがあるが、今回は先客もおらず危険はないようだ。

 

「それで、雄二のやつ今度は何をやらかしたんだ?」

 

「…………メール」

 

「メール?」

 

「代表が言うには浮気の証拠はメールにあるらしい」

 

「っていう雑誌を見たんだってさ」

 

代表の言葉は毎回要領を得ないので、二人が補足説明を加えてくれた。

 

「ふーん、まあその情報には一理ある…って優子?なんで俺のズボンのポケットを探ってるのかな?」

 

「おとなしくしてて刹那君。じゃなきゃズボンごと持って行くわ」

 

「屋上でパンツ一丁になれと!?」

 

「…………私はパンツごと奪った」

 

「やばいさらに上がいた…って優子も考えなくていいから!」

 

顔を赤くしながらぶつぶつつぶやく優子だが、何を考えているかは一目瞭然。

流石に学校で性犯罪を犯す気はない。

 

「ってか携帯くらいいつでも見せるって。何もやましいことなんてしてないんだから」

 

「そ、そう?いや別に刹那君を疑っているわけじゃないのよ?本当よ?」

 

目がうようよ泳いでらっしゃいますがまあこの際いいでしょう。

そして携帯も取られましたけどまあいいでしょう。

 

「話を進めようか。それで、どんなメールが来たの?」

 

「なんかねー、吉井くんが坂本くんの家に泊まりたい、とか言ってたらしいよ?」

 

「明久がねえ…」

 

「吉井君…泊まりたいなら僕の家に…いやだがそれはまだ早い…ちゃんと段階を踏んで…」

 

例によって久保の発言は無視。

このことに首を突っ込んでも責任を取れないことくらいみんなわかっていた。

 

「明久はひとり暮らしのはずだから、いつも泊まる時は明久の家なんだけどな…」

 

「そうなの?」

 

「ああ。俺も一人暮らしだけど、明久の家の方が広いし、他の連中の家からも近いから」

 

「となると確かに怪しいわね…まあ浮気はないでしょうけど何か理由はありそうだわ」

 

「だな。まあこういうことは本人たちに聞いたほうが早いだろ。後でFクラスまで行って聞いてくるわ」

 

「そうね。代表が聞くよりも刹那君が聞いたほうが話が早いわ」

 

代表がいくと雄二が怯えて話どころじゃなくなるからな。

 

「そうと決まればさっそく行ってくるか」

 

早々に弁当を食べ終えた俺は四人と別れ、Fクラスへと向かった。

 

 

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