天性の魔術師と王女 作:バロン
「おーい、セリア~?」
王都の外れにある宿屋≪モノノケ亭≫ここのウェイターとして働いていたのがセリアだった
あのとき城から逃げるとき丁度配達に来ていたセリアはロゼーノ王国第一騎士団団長ミロ・カバロにいきなり牢屋の鍵と書状を渡され、俺たちを助けに来たと言っていた
それから俺とカリーナはキトラのスキル≪追跡者≫によってセリアを探し出した、それから意気投合して森で会ったり王都で遊んだり…だがそれも一週間前、セリアは突如俺達の前から姿を消した
「居ない…か」
俺は元々セリアが住んでいた部屋に置き手紙を置いて、森へと帰った
「ガチャ!」
≪今夜午前1時、千年花の河から出港する待ってる≫
「…ゼロさん」
「…様そろそろお時間です」
「ギィー、バタン!」
「ゼロにぃ…セリアねぇはまだ来ないの?」
「シン君…」
鼠王ベニートの息子シン、まだ10歳に成ったばかりの少年だシンを撫でるのはキトラと鳥王バルドラの娘レーナ、父バルドラは蒼竜だったがレーナは16歳の雷竜だ
それをニコニコしながら眺めているのは猿王セラトの息子カエン、今年で17になる
「主よ、私がもう一度王都を探して参ります」
「ご主人様、なら私が能力で王都を回ってきます!」
「いや、上空から私が探した方が広く見渡せるわ是非私に」
「人探しなら私の意分野よ、任せてゼロ」
皆それぞれ探し方を見つけ立候補してくれたが俺は任せなかった
「皆ありがとう、だがアイツが決めたことだそれに手紙も置いてきた、だから信じて待とう」
それから俺はバルドラに魔術≪回復術≫を伝承した、これで村の人が怪我してもバルドラが直せる筈だ、他の族長にもバルドラに怪我人が出たら助けを求めろと言っておいた大丈夫だろう
そして深夜12時を過ぎた頃
「ム!」
「バルドラお主も感じたか」
「我も感じる」
「侵入者か、全く間の悪い…」
俺と族長達が知らない匂いが森に入ってきたのと同時に
「ご主人様、この匂いはセリアです!」
「だがセリアは族長達も知っているから侵入者には成らない筈だ…まさか」
≪戦闘配置!!!≫
「ベニート!女、子供を天空樹に避難させろ!鼠王族はそのまま天空樹を警護、バルドラ!セラト!各種族の戦士を集めろ!虎王族の戦士も俺に続け!」
≪≪≪承知しました王よ!!!≫≫≫
バルドラは直ぐ様変身し空へと炎を放つ、セラトも変身して胸を大きく鳴らした、ベニートは近くにいた側近に各村々に伝令を出し自分も虎王族へと駆けた
「人間の匂いだそれも一人や二人じゃない、鉄の臭いも混ざっている、軍隊だ」
間もなくして空から鳥王族が300名、森から猿王族320名と虎王族380名、総勢1000名一騎当千の戦士達が集まった
「皆の者よくぞ集まった、我らが王よりお言葉だ!」
バルドラが宣言すると辺りは静まり返った
「人間族が森に侵入してきたそれも軍隊でだ!」
俺の言葉にまたざわめきたつ
「感じている数だけで約八千人は居るだろう、何が目的かは分からない、だがもしこの森や森に住む民が目的だとしたら…戦わなくては成らない!!!」
「だけど…勝てるか?」
猿王族の戦士が訪ねてきた
「貴様!それでも誇り高き猿王族か!」
「いや良い、確かに人間は数が多い…だからどうした?俺らは誇り高き種族!そのナワバリに入ってただで済むと思うな!
考えて見ろ我らが負けたらどうなる、我らは戦闘力が高い奴隷にされても良いのか嫁が息子が娘が家族が、我らは退けない退いてはいけない!行くぞ!!!我らの力を見せてやれ!」
≪オオォォォォォ!!!≫
何本もの火柱や雷が空に放たれ猿王族は胸を鳴らし虎王族は闇夜に吠えた
同時に俺達は駆けた、森の入り口に立つ目の前には全身を鎧に固めた兵士がひしめき合っていた、俺の後ろには今すぐにでも戦闘を始めそうな様子の戦士達
「我こそは四種族の王、ゼロ・ガルドラここは我ら四種族の土地だ速やかに立ち去れ!!!」
俺が吠えると後ろの鳥王族は空に炎を吐き威圧する、すると前から歩いてくる一人の軍人
「これはこれは、私の名はミロ・カバロ、ロゼーノ王国第一騎士団団長の者だ、最初に言っておく我々に戦闘の意思はないだが、こちらに危害を加えるのであれば挑むところだ」
俺とカバロがにらみ会う、恐らく三秒もあれば首をへし折り殺す事が出来るとは思うが…
「退きなさいカバロ!!」
この声は…聞きなれたあの
「こんにちは、ゼロ様」
「…セリア」
そこに居たのは最近居なくなっていたセリアだった
「控えろ!こちらのお方こそロゼーノ王国王女セリア・ロゼーノ様で在らせられるぞ」
「良いのです、ゼロ様少しお時間宜しいでしょうか」
俺はセリアを連れ森へと入った回りは戻ってきたベニートを加えた三族長が守ってくれていた
「あの日、突然王宮から使者の方が来て」
「王が亡くなられました、あなたが王位継承権第一位の姫です」
「そう言われてずっと王宮に居たの、たまたま≪モノノケ亭≫に寄らせてもらったら手紙が」
「そうだったのか…」
それから暫く俺とセリアはたわいのない話をしながら時間を過ごした
「ゼロ様、やっぱり私はこの国に残ります、残ってこの国から差別を無くします、私がここに来るってだけでこの軍隊ですよ…だから私この国に残って差別の無い国を作ります!!!」
セリアは何時もと変わらない可愛らしい笑顔と銀髪が月の光に照らされ何時もよりも美しく感じた
「なら俺もお前の門出に贈り物だ…」
俺はセリアを抱き寄せその額に軽く口付けをした
「伝承で念話と言う能力を渡した、森に住むデンデンムシと言うカタツムリが持っていた力だ
俺の他にカリーナ・キトラ・シン・レーナ・カエン後は三族長のバルドラ・セラト・ベニートまで居る、相手を思い浮かべて話せ、会話ができる筈だ
≪ゼロ様?≫
≪何だ?≫
「うわ!スゴい…」
「何かあればここに連絡してこい、必ず助けに行く何処にでも何があっても」
セリアは顔を手で覆いながら後ろを向いた、暫くしてこちらを向くセリアの顔に迷いは無かった、他の仲間達とも別れを告げてセリアは人間側へ向かった
「じゃあ、この森を頼んだぞ」
≪御意!!!行ってらっしゃいませ!!≫
「出港だーーー!!!」
帆が後ろから風を受け船は進んだ、船は天空樹の枝を乾燥させ使っている、バルドラに
「大切なものだから是非私の守る天空樹で船を作って下され」
と言われありがたく頂いた、船のコーティングとして千年花の絞り汁を塗ってある、これで防腐作用があるからスゴいと思う
後は薬師木の枝が一本と桃源郷の桃が船に積んである、薬師木は砕いて粉にすればどんな怪我や病気も治る万能薬だ、桃源郷の桃も同様にその身をかじればたとえ骨が砕けたとしても一瞬で治るだろう
各部族が大切に守り抜いて来た物をこんなに分けてくれた、感謝しかないな
俺とカリーナ、キトラ・シン・カエン・レーナ、この六人で俺達はこの偉大なる海≪グランドライン≫を回る
「さぁ皆!冒険の始まりだ!」
≪おぉ!≫
≪ドドドン!!!≫
「何だ!砲撃か!レーナ!」
出発して間も無くの事、突如海に爆音が響き渡る
「ゼロ様、隣の島が…」
「何だ?島が…桜の木のように」
「ご主人様、花見酒等いかがですか?」
「あぁー、私も呑むーウシシ♪」
「な!私もご一緒します!」
「主よ、私も」
「俺も俺も~」
「シン君はオレンジジュースね」
「えぇ~」
「シン、我慢しなさい」
「分かったゼロにぃ」
「えぇ~、では俺達の旅に祝して乾杯!!!」
≪乾杯!!!≫
「ゼロ様は私が命に代えてもお守りします!」
「もぉ~、ご主人様は私が守るんです!」
「いや、私が!」
「いや、僕が!」
「あぁ、もう分かった皆まとめて俺が守る!それで良いだろ?」
≪≪≪≪全然良くない!!!!≫≫≫≫
「ウシシ♪楽しい旅に成りそうだね♪」
こうしてゼロ一行はグランドラインを進み始めた。
次回から本格的に本編に入ります