ハクトウワシは正義を求める   作:ベルマッキャン

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お風呂とハクトウワシさんの固有魔法は?と言う話。


おふろ!おふろ!

ハクトウワシは服のベルトを外し、海兵隊の礼服に似た上着を脱ぐ。

星条旗ビキニ風のブラジャーを外してアメリカンサイズな胸部は、ペリーヌの心を大いに揺さぶった。

畜生!いつか殺してやる!と言うほどでもないが、彼女にとって新たな脅威となっていた。

まあその脅威全員が気づいてないが。

 

「...なるほど」

 

シャーリーは何故か脂ぎった中年の眼をして脱いでいるハクトウワシを見つめ、確信して言った。

 

「ルッキーニー、確かにこれは私の後釜イけるわ」

「だよねぇ」

 

なんでそう言うのか理解していないハクトウワシは疑問を浮かべつつ、脱ぎ終わって風呂場へと向かった。

 

 

ガコッ!と立て付けの悪いドアが放つ不協和音が風呂場に響く。

上層部との関係の都合で難民雇用確保として幾つか施設建設に従事したが、ホワイトカラーの残りカス位しか雇用されていない難民が居なかったので立て付けが悪い。

何せ使える難民はリベリオンと扶桑がかっさらっていったし、カールスラントは国家ごとファーターラント(祖国)からさよならしたからである。

ただ無職が暇だからと言う理由で犯罪起こしかねないし国際問題化しそうだしアウシュビッツ改装して放り込む訳にもいかないしと苦慮した結果がこれである。

呆れたハクトウワシは背中を掻きつつ言う。

 

「急造した戦列艦じゃないんですから」

 

急造された戦列艦は10年で沈み、熟練工と良質木材で出来た戦列艦は100年も浮かべる。

コンスティチューション、ヴィクトリー等今現在も浮かんでいる船もある。

良い仕事が如何に他人を助けるかは読者諸氏も経験していると思う。

 

「ん?扶桑の風呂に入ったことあるのか?」

 

坂本少佐が脱力しきった体勢で湯に浸かりつつ言う。

ハクトウワシは掛け湯をして浸かると、脱力した顔で言った。

 

「何度かありますぅ...ときどきカピバラとかも」

「カピバラってアレか、茶色くて毛深いネズミみたいな」

 

資料でしか知らない坂本少佐は変わった獣も居るものだと思いながら身体と心を癒す。

そして地元の森で何回か見たことのあるシャーリーは想像してみたが愛らし過ぎて笑った。

すると宮藤が戦闘中の時に思ったことを聞いてみる。

 

「ベルさん、なんでシールド魔法を使わないんですか?」

「シールド?」

 

返ってきた言葉に宮藤は驚愕した。

たまげた!私より上手いのに知識で負けてる人がいた!。

ハクトウワシは?を頭に浮かべてサーバル顔染みた表情で、見かねたペリーヌが言った。

 

「貴女未来予知は出来まして?」

「NO」

「身体頑丈だったり?」

「ノン」

「ネウロイ早期警戒とかは?」

「のん...」

「貴女何にもできませんのね...」

 

ペリーヌも思わず同情の瞳をせずに要られなかったが、宮藤は少しして言う。

 

「でもそれにしては妙に戦場に慣れてるような」

 

それを聞いてシャーリーも尋ねてみる。

 

「ブリタニアツアーは何度目だ?」

 

ブリタニアツアーとは陸海航空隊で交わされている略語で、ブリタニア派遣を意味する。

基本的に半年ごとに部隊を入れ替えるので二回目や三回目のB-17やB-25乗りは教官や先任として知恵を教える事になる。

最も501等は替えが効かないのに縦割り故に任地が変わらなかった、王立航空軍は兵力が磨耗してようやく立て直ったばかりだしリベリオンはアフリカ支援もある。

扶桑は国家財政が青息吐息してるしそれ以外は国土がスカポンタンでヌルポな状態、カールスラントは孤立主義的政策で独自路線。

多国籍軍?嘘をつけ寄せ集めだろ!とは上手く言った表し方だ。

まあようやく纏まり出したのだが。

 

「空襲の時がミーの初めてですよ?」

「スゲー天賦の才だぁハハ!」

 

シャーリーは高笑いしてシャンプーを洗い流す。

ルッキーニは懐かしそうに思い出す。

 

「私はベオグラード攻防の制空権攻防だったなあ」

 

ペリーヌもそれに続く。

 

「私はエルザス・ロードリンゲン(*)ですわ、結局ベネルクス突破されて無駄でしたけれど」

(*:アルザスロレーヌのとも言う)

 

坂本少佐は天井を見上げながら言う。

 

「対馬沖合いの掃討戦だったなあ、宮藤はアゾレスからブリタニアに280キロでの赤城甲板からだ。

思えば随分昔に感じる、欧州失陥の報を聞いたときがとても前のように思える」

 

その発言のあと、坂本少佐はハッとして言う。

 

「今のは失言だったな、忘れてくれ」

 

所詮他国人に自国を失った悲しみと憎しみは理解できない、彼女達にとってはどれだけ時間が立っても忘れられない。

ペリーヌ達故国を故郷を追われた将兵達と連合軍上層の大きな隔たりはこれであった。

若干悲しげな顔をしつつ、ペリーヌは話の筋を戻した。

 

「話を戻すとして、大方ベルさんは身体強化でしょう、何せ無動力で墜落したり防空壕直撃で大した負傷をしていませんし」

 

それを言われ、ハクトウワシは納得はしたが何処か理解できなかった。

ただモヤモヤする理由が分からず、まあ何れ時間が解決すると言うことで棚上げすることにした。

 

 

「んーっ!」

 

ハクトウワシは両手を伸ばして背伸びし、火照った身体を休める。

タオルで頭を拭きながら坂本少佐が宮藤とハクトウワシに言った。

 

「今日は夜間飛行訓練、昼飯食べたら寝ておけ、ヒトナナサンマル(1730)時に格納庫だ」

「アイマム!」

「はーいっ!」

 

ハクトウワシは夜間飛行と聞いて、昔に同胞達と飛んだアラスカを思い出す。

ハクトウワシは北米全土では希少だがアラスカ等には結構群れている、都会のカラス感覚位に。

ある理由によりコロラドからアラスカに移った彼女は、大量の同胞と共に美しい夜空を舞った事がアラスカでの一番の思い出だった。

良い景色が見られると良いなあ。

そう思いながら心をときめかせて、一旦自室に戻ろうとする。

 

「...そうだ!物品の手続きしなきゃ」

 

目覚まし時計等の申請をするのにも書類が要るとは人間の組織とは何とも面倒な事をするなあと思いつつ、ハクトウワシはチャリントン氏の部屋へと向かう。

彼の部屋は落ち着いた灯りが少ない部屋で、のんびりと背を椅子にもたれて紅茶を味わう典型的なブリテンの老人らしい部屋であった。

本棚には"動物農場"や"西部戦線異状なし"等が仕舞われ、紅茶が立てる湯気が球形の水晶の中の珊瑚と合わさって何処か退廃的でもある。

 

「おや、良くきたね」

 

丸眼鏡を拭きながらチャリントンはそう言い、パークでは見かけない変わった部屋を眺めるハクトウワシに微笑む。

そして良く見ると机の下でハルトマンが小さな板チョコをつまんでいた。

発見されたことに気づくとハルトマンはそーっと逃げようとするが、バルクホルンの足音に無意識だが察知して窓からラペリングで降下していく。

...手袋無しだと危険なんじゃ、と思って警告しようとしたがそれよりも先に木が揺れ葉が落ちる音で察した。

 

「若い子は元気だねぇ」

 

そう言いながら申請書類を取り出して彼は言う。

 

「申請する物品と、ここに書名を」

「オーケイオーケイ...」

「あー、あと生物は駄目だからね」

「頼んだ人、居るんですか?」

「ハルトマンが海峡に居たオスカー(*)とジンジャーとフィッシュケーキを拾ってきて基地大騒ぎに...」

 

なにやってんのあの人。

そう困惑しながらハクトウワシは記載を終え、部屋を出る。

ふと窓を見ると、ハルトマンが首根っこを捕まれてバルクホルンに連行されていった。

軍隊ってもう少しこう、なんか、こう、違うものでは?。

ぼんやりと違和感を感じつつ彼女のこの世界での暮らしが落ち着き出していた。

 

 

パークは一応の平静を取り戻した。

だが明らかに異常が見つかり、パークは未だに平和ではない。

 

「ここですか」

 

化学防護衣を着込み、サーバルの「塗装したらメトロン星人」と言われたミライは深刻な顔をしていた。

彼女の手の中にあるガイガーカウンターは先程からクリック音を立てだしている。

同じくカコ博士も化学防護衣を着こんでおり、目の前の光景に困惑していた。

サンドスターの発生源である火山に、なぜか機械や焼けた残骸があるのだ。

 

「旧字体の日本語です、それにこれはフランス語...」

 

河崎重工と書かれて要ることから工業製品であることは明白で、理由が分からなかった。

すると、ある物をミライは火口付近で見つけた。

 

「この毛は鳥さん達のフレンズですね」

「見たところオオタカの尾羽...行方不明のフレンズは何人いた?」

「10人と少し、通信システムが損害を受けていますから」

 

持ち前の動物達への愛が一瞬にして特定を行い、辺りを見回してみる。

辺りはサンドスターの気候調整を活用して汚染を食い止め浄化しているため一部以外は封鎖されている。

そしてミライはなぜあのようなセルリアンの亜種のような怪物が出てきたのか疑問を抱く、作為的な、意志があるような。

 

「...ハヤブサは、空間がガラスのように割れて現れたと言っていたね」

 

カコ博士は残骸を見て考える。

我々のすぐ隣の世界に、ヤラカシをした連中が居るのかも知れない。

そう考えると案外納得がいく、だが二人には、いやすべてのけもの達が許せないことがあった。

 

フレンズを悲しませるようなこと。

 

心に炎が宿った二人は、計画を打ち立てることにした。

 

「やることは?」

「サバンナと変わらない。追いかけ見つけ出す!」

 

決意のこもった二人は怒りと熱意を手に山を下る。

この世界でももう一つの戦争が行われようとしていた。





ー小ネター

オスカー(不沈猫のサム)

ビスマルクに乗り組んでいた猫のこと、英国軍に救助され乗った軍艦悉く撃沈そしてその度に生還する。
ジブラルタルに地上勤務を言い渡され内地に送還される筈が、軍艦が悉く「こないで」と拒否したので終戦の後民間船で堂々帰還した。

ジンジャー・フィッシュケーキ

巡洋戦艦フッドに乗り組んでいた猫達。
他にも犬二匹カンガルー一匹が乗り組んでいた。
水兵帽子の中でちょこんと顔を出したり(恐らく艦内の誰かが作ったらしい)猫用ハンモックに寝てたりしている。
意味は「しょうが」と「かまぼこ」他にもサイクロップス等などひでぇ名前した猫達がいる。
まあげろしゃぶとフーミンとか、鳥に手羽先と唐揚げと名付けるもんである。
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