約束を守るためにダンジョンに潜るのは間違っているだろうか 作:レフィクラ
『そ、それじゃあ約束です。いつの日か……貴方が聞かせてくれた英雄譚の英雄のように私を守って下さい。
も、もちろん私もあなたに守ってもらえるのにふさわしい立派な魔導士になってみせますから!』
『うん、約束する! 僕、ベル・クラネルは必ず英雄になる! 冒険者になって、力をつけて―――どんな困難からもキミのことを守れるようになってみせるよ!』
今でもハッキリと思い出せる幼き日に交わした約束。
ベルがまだ幼かった頃、彼の住む村に馬車の修理や食料の調達など旅の最中のトラブルでわずかな期間であるが旅の家族が滞在したことがあった。
その時に出会った一人の少女に。山吹色の髪が印象的な自分と同じくらいの年の
始めのうちはややいじっぱりな少女の性格もあって、まともに会話などできなかった。だが、ベルは諦めたりしなかった。滅多に人が来ない自分の村に来た、自分の知らない外の世界を知る人達。その中で自分と同じくらいの年の少女がいたのだ、外の世界のことを知りたい少年が声をかけるのに見ず知らずの大人より同年代の少女に声をかけるのはある意味必然であった。
それから―――
少年が嬉しそうに大好きな祖父が書いてくれた英雄譚の話をすれば少女はそれをとても興味深そうに聞き入り、
少女が少しお姉さんぶって外の世界や魔法のことを話せば少年は目を輝かせてそれらを聞き入っていた。
そんな二人の仲のよさは少女の両親を驚かせたことはもちろん。
『あの気難しいことで有名なエルフとあんなに打ち解けるとは……しかもツンデレエルフ少女って……儂の孫マジパナイんじゃがw』
と、少年の祖父でさえ、その予想外の孫の行動力に舌を巻くほどであった。
しかし、別れの時は訪れる。少女の両親が旅の再開に必要な準備を全て終えたのだ。
二人は泣いたそれはもう。
元は旅の最中のトラブルにより、たまたま滞在することになった辺境の小さな村。偶然の出会いに、ほんの僅かな時を共にしただけである……だが本物であった。二人の涙が証明するように確かな絆がそこにはあった。
そして訪れた少女が村を発つ別れの日。出発の直前、二人はある約束を交わしていた。
少年はおとぎ話に出てくるような英雄になると。少女はそれにふさわしい立派な魔導士になると。
子供らしい約束。けれどそこに込められた想いは太陽にも負けない熱さをもっていた。ヒューマンにエルフ、種族や性格、住む場所などなにもかも違ったが【いつか
◇◇◇
あの幼き日の約束から月日は流れ―――迷宮都市オラリオ。
『ダンジョン』と通称される迷宮の上に築き上げられた巨大都市。
金や名声、様々なものを求めヒューマンやあらゆる種族の
そんなオラリオの地にヒューマンの少年、ベル・クラネルの姿はあった。
まだ年端もいかない十四であるが、一年前に育ての親の祖父が亡くなった。天涯孤独となったベルは残った財産を持って村を飛び出した。大好きな祖父に勧められすっかり
オラリオに行けば、冒険者になれば、ダンジョンに潜れば。
近づけるかもしれない。英雄譚に出てくる英雄のように。
会えるかもしれない。幼き日に約束を交わしたあの少女に。
その第一歩の為、まずは『冒険者』にならなければならない。なぜか? それはこの都市に存在するダンジョンの危険性ゆえだ。最低限の安全ラインとしてダンジョンを管理する『ギルド』は冒険者でなければダンジョンに潜ることを許可していないからである。
ではどうすれば冒険者になることができるのか? 答えは【ファミリア】に入ることである。
―――この世界、ベル達が暮らす『下界』には万能の力を持ち、無限の時を生きる超常的存在『神様達』が存在する。
数多く存在する神様達の一柱の神様の眷族になる。つまり【ファミリア】に加わることで下界の者は『恩恵』という力を授かることができる。その代わりとして恩恵を授かった者達は、下界で自分達同じように生きていくと決め万能の力『
言わば『ギブアンドテイク』の関係である。
これはそんな恩恵を授かり、【ファミリア】の仲間と共に英雄を目指す少年、ベル・クラネルの物語―――
「はっ、笑わせる。貴様のような田舎者を誇りある我ら【アポロン・ファミア】に入団させるわけがなかろう」
……はまだ始まってすらいなかった。
過去のベル君があった少女はイッタイダレナンダー(棒)
はじめましてダンまち大好きレフィクラと申します。不定期更新ですが少しでもお楽しみいただければ幸いです。