おっす、おらのび太!
いけない、いけない。なんかこれからのことを考えるとテンションがおかしくなっていた、戻さないと……。
さてあの戦いから数日、ついにプトレマイオスにトリニティの三人がやってきた。彼らがスメラギさんたちのところに向かう瞬間にタンマウォッチを発動し、即座にスローネシリーズを複製、さらに今後のために少し細工をさせてもらった。内容はその時が来るまで秘密ということで。
そして作業を終えた俺はいつも通りしれっと艦の制御室の自分の席に座っていた。目の前のモニターには刹那にキスするネーナの姿が映っている。
あら、だいたん……
しかしモニター越しとはいえこの三人を見れば見るほどあぁ~ってなる。俺はこいつらを仲間にしようしてるのか。まぁ、秘密道具を使えばなんとかなるんだけど。どうしようもないときは木こりの……おっといけないいけない。それはホントの最終手段だった。
俺が画面を見つめているとなにやらこちらを見つめている視線に気付く。
「じ~っ」
「あのー、どうしたシエラ?」
「やっぱりあの子嫌い!」
「おっ、のび太はあーいう子が好みか?」
「いや別に……」
ラッセがにやにやしながらからかってくる。
……なんかムカつくな。
俺はラッセにチョップしてダウンさせる。ラッセは腹を抑えてうずくまった。
「あれ、どこか行くの?」
「ああ、少しトイレに」
俺は席を立ちこの部屋から出る。俺はとりあえずトリニティたちが俺に対してなにかしらアクションをとるかを確認しておきたい。まぁ、ただの乗客員として見られてスルーされるだけだと思うが。
さっそく通路を歩いているとなにやらこちらに向かって元気よく歩いてくる女の子が歩いてきた。
ネーナ・トリニティ
恐らくトリニティたちの中で長く生き残ったがもっともヘイトを稼いだといっていい人物。というより彼らはデザインベビーでありまともな環境で育ってないのでこうなるのは仕方のない気もする。
後ネーナはヴェーダに接続することが出来たはず。ヴェーダといえば俺も秘密道具を駆使して接続することが出来た。もちろん慎重にことを進めたが。まぁ、閲覧しただけだけどね。
そんなことを思い出していると特に声を掛けることもなく俺は彼女とすれ違う。
すると……
「ねぇっ!」
聞き間違いかな。俺に声を掛けたような……。
「君だよ、君」
「俺?」
どうやら聞き間違いではないらしい。もしやリボンズのやつが俺になにかを感じたのか。ティエリアもなにかしら察していたし不思議でもない。
俺は警戒しながら彼女に近づいていく。
「そうそう。ねぇ、君もガンダムのパイロット?」
「いや、普通の乗組員だよ。雑用をやってる」
「雑用、君が?ふーん」
「なんで俺がパイロットだと思ったんだ?」
「別に、ただ私がそう感じただけ。ねぇねぇ名前はなんていうの?」
「野比のび太」
「……のび太?」
彼女はなにやら考える仕草を見せると再び俺を見て笑顔になる。
「さて、俺はもういっていいか?」
「ねぇのび太、この艦の中を案内してくれない?」
「……」
ここで断ってもいいが。なんか面倒くさそうなので案内を引受けることにした。
裏にいるリボンズが俺に対してなにかを感じとった可能性もまだあるし。これからの時のために顔を覚えてもらうだけでもいいだろう。
俺は探りを入れつつ適当に案内を始めた。
案内の結論から言おう。俺に対するあの反応はやはり彼女の勘だったようだ。まぁ俺もまだ特に動いてないしな。ただなんか気になるんだよなぁ。
タイムテレビ等でリボンズの動きをみようとも思ったが一期の動きってアレハンドロにくっついていたくらいしか知らないから見ても意味がないのでそういったことはしていない。
とりあえずこのことが知れたのと、ネーナの勘はあなどれないということを知れて良かったというべきか。
俺は自分の席に戻るべく制御室の扉を開ける。すると、中にはトリニティのことで頭を抱えているスメラギさんとなにやらにやついている操縦士たち面々、そして恐い笑みを浮かべているシエラの姿があった。
……これは面倒くさい匂いがするぜ!
案の定、俺は次の日に一日、彼女の買い物に付き合わされることになった。