目が覚めたらのび太になっていた   作:厨二王子

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祝杯

「さてさてこれからどうなるんだっけな……」

 

「ほら、ボーッとしてないでこっちの荷物も運んでくれ!」

 

「了解っと」

 

 時は経ち原作通りにイオリアによる放送は行われソレスタルビーイングという名は世界に広がった。そして初めての作戦は無事に終了。もう少ししたらガンダムたちがここへ帰って来る。

 そんな中、俺はプトレマイオスで整備班と合流し物資の運び込みをしていた。しかし、力仕事は疲れるな。ちなみに筋力を上げるためスーパー手ぶくろはつけていない。

 

「お疲れ、のび太」

 

「リヒか。こんなところに珍しい」

 

「パイロットたちが帰ってきたら祝杯を上げるから皆を呼びに来たんだよ。準備も手伝ってほしいし」

 

「なるほど。直ぐに向かうよ」

 

「場所は端末に送っておいたから」

 

 リヒが他の隊員に声を掛けるために離れていくのを見ると端末を確認し、祝杯をあげる場所へ向かう。ちなみにリヒは操縦士で本名はリヒテンダール・ツエーリというのだが、長いのでリヒと呼んでいる。

 そして目的地に向かっているとお酒のビンを大切に抱えている我らが艦長を見つけた。

 

「なにしてるんですか、スメラギさん」

 

「のび太じゃない。あっこれはあげないわよ」

 

「俺はまだ未成年ですよ」

 

「あははは、そうだったわね」

 

 俺は笑う艦長に溜め息を吐いていると彼女は思い出したように声を出した。

 

「そうだ、パイロットの訓練はどう?」

 

「……」

 

 実はイオリアの放送の一週間前から俺はパイロットの訓練を始めていた。理由としては俺の射撃能力が認められたということと、予備のパイロットは多い方がいいということだろう。要するにウェーダからの指示だ。まだシミュレーターにしか乗ったことはないが、これが意外に難しい。

 そして俺はようやく物の複製を可能にする秘密道具の組合せを発見した。バイバインとタイムふろしきだ。まず、バイバインで複製対象にかけ分裂したところにすぐさまタイムふろしきを両方に被せて時間を戻す。こうすることでバイバインをかける前まで対象物の時間を戻し機械にも悪影響を出すことなく複製することが出来る。大きいものはスモールライトを使うことで問題を解決できる。そして俺はこの方法を使いシミュレーターの複製に成功した。それを向こうの世界の例の空間に配置し、余力があるときに訓練をしてたりする。しかしそれでもモビルスーツを動かすのは難しかった。なにかうまい秘密道具はないものか。

 後ガンダムの複製については基地で警備が厳重なのとエクシアの武装がまだセブンソードではないので複製はしていなかった。

 

「そうですね、まだ歩くのが精一杯なところです」

 

「まぁ、焦ることはないわ。あなたには他の仕事ともたっぷりあるしね」

 

「そうですね……」

 

「あっ、スメラギさんにのび太」

 

 目的の部屋に着くとシエラがこちらに向かって手を振ってくる。

 

「のび太、こっちの準備手伝って!」

 

「はいはい」

 

 この後、他の操縦士や整備士、ガンダムマイスターたちとも合流して盛り上がった。

 

 

 

 

「やあ、のび太」

 

「アレルヤ、お疲れ。すごい活躍だったらしいじゃん」

 

「正直、いい気分じゃないけどね」

 

 アレルヤと今回の作戦について話していく。やはり彼は恒久な平和のためとはいえ武力介入は否定的のようだった。しかし俺はそんな彼の優しい心は強い武器になると思っている。ティエリア辺りは相応しくないとか言うのだろうが。

 

「ところで仕事の方は慣れて来たかい。もう君が来てから暫く経つけど。今じゃパイロットの訓練も行ってるんだろ」

 

「スメラギさんにも言ったけどまだ歩くのが精一杯さ」

 

「そうか……なら今度僕の任務がないときに見てあげようか?」

 

「大丈夫だよ。せっかくの休暇の時くらい休んでおけって」

 

「構わないよ。のび太にはいつもサポートしてもらっているしね」

 

「じゃあ……」

 

 間違いなく激しくなっていくだろうソレスタルビーイングの武力介入。一刻も早くモビルスーツの操縦は一流とまではいかなくとも、それなりにはしておきたい。俺は一人静かに決意を固めていた。

 

 

 

 

 

「ロックオン、少しいいか?」

 

「ティエリアか。どうした?」

 

「のび太について少し話がしたい」

 

「のび太について?」

 

 ティエリアがのび太について積極的に聞くなんて珍しい。

 俺は食事の手を止めてティエリアの方を向いた。

 

「あいつはよく働いているよ。最近はパイロットの訓練も始めたしな」

 

「そうじゃない。おかしいと思わないか?」

 

「おかしい?それは身元のことか、それとも別のことか。それならヴェーダも問題なしって 判断したんだろ」

 

「ああ。しかし彼が来たとき私は不思議と何も思わなかった。その後もウェーダを介して自分からも調べたが何もおかしなことはない」

 

「ならいいじゃねぇか。あいつの働きはお前も知ってるだろ」

 

「……そうだが」

 

 ティエリアはなにやら納得できないというような顔でここから離れていく。

 

 まったく、気難しいやつだ。

 

 俺は静かにお酒をグラスに注いだ。


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