先日、ついにソレスタルビーイングとモラリア共和国の紛争が始まった。モビルスーツでの人間での殺し合い、逃げ惑う人々。戦争根絶とはいえそこまでの道のりは長い。イオリアシュヘンベルグの思想。地球人類の意思を統一させ、いずれ巡り会う異星人との対話に備えるためというのは分かってはいるものの、見ていて辛いものがある。だがこの現実と向き合うことは俺にとって必要なことだ。これから続く長い旅の力になることだろう。
しかしこの世界にはソレスタルビーイングをよく思わない連中も存在する。そしてそいつらは無差別に人を巻き込み動き出した。
国際テロネットワーク
これによりテロリストたちは頻繁に拠点を移すので、こちらは特定出来ず、俺たちはまともに動けない状態にあった。今はエージェントたちの連絡待ちである。
俺を含めて宇宙にいる以外のメンバーは地上の拠点となっている無人島に集まっていた。皆の様子だがそれぞれ思うことがあるようだ。刹那はサーシェスとモビルスーツ越しだが対面きたようだし。そのこともあるのだろう。ロックオンに至ってはいつになく狙い撃つを連呼している。彼はテロで家族をなくしているので誰よりも感情が高まっているように感じた。
肝心の俺はやることもなく、今後のことでも考えながら海の周りをぶらぶらしていた。
ふと、森の先に歩いてガンダムが目に入る。
「ガンダムね……」
俺は昨日念願のガンダムの複製に成功した。例の空間にエクシア、キュリオス、ヴァーチェ、デュナメスと保管してある。あの空間で無事に動かすことにも成功したし、特に問題はなかった。その時、ふと思ったのがツインドライブのことだ。あれは確か相性がいいGNドライブであれば安定して動かすことができるのではないか。まったく同じGNドライブって相性いいのかもしれない。
ならばガンダムの複製が可能な今、他のガンダムもGNドライブ二つ持ちの後継機が作れるのではないか。しかし、秘密道具を使っても複製が限界だ。
……まぁ、とりあえず科学者からか。
「あぁー、いないかな。途中でいなくなっても原作を大きく改変することなく、GNドライブに詳しい優秀な科学者とか」
……んっ。そういえば早期に退場した科学者がいたな。
あっ、エイフマン教授!
しかしあの人が潔くついて来てくれるだろうか。いや、安全にGNドライブを研究できる環境や秘密道具を交渉材料にすれば協力してくれるかもしれない。そうなるとスローネたちの出現の情報は早急に必要になってくるな。確か彼らの奇襲で殺されたはずだし。
俺は今後について考えながら歩いていると、ピンク色の髪をなびかせてどこか遠いところを見つめている少女を見つける。
「フェルト?」
「……のび太」
『のび太、のび太、のび太』
「おっ、ハロも一緒か。まぁ眠れなくてね」
「……私も。のび太はさ、今回のことどう思ってる?」
「テロね……」
自分たちがやっていることが原因で間接的に人が無差別に死んでいく。それもテロリストという頭がおかしな連中によって。この胸に抱く感情。まだ俺は人を殺したことはないがこんな感情を抱くのだろうか。怒り、憎しみ、悲しみとは違うなにかを……。
この組織にいる、さらに旅を続ける上で恐らく絶対に通る道。俺は拳を強く握りしめた。
「それはあるさ」
「……そう。これからもこういうことがあるんだろうね」
「ああ。でもうまいくさ。俺が保証しよう!」
「のび太が言うと説得力ない……」
『のび太カッコ悪い、のび太カッコ悪い』
「うるせぇ!」
何かを成し遂げることにはかならずそれに反発が起きるもの。しかしこういうことが起こるのは世界に対してソレスタルビーイングという組織が大きなものになっているという証拠でもあった。
「そら!」
向こうの時間を止めて、例の空間でいつものように訓練を始める。モビルスーツの操作は一般兵よりは強くなったといったところだろうか。
秘密道具を使い成長速度を上げているのでこのままいけば年内にはプロパイロット並みの操作技術を向上できるはずだ。操作している機体はもちろん射撃に特化したデュナメスを使用している。もちろん他のガンダムも試したがやはりデュナメスが一番使いやすく感じた。例の後継機はデュナメス主軸で決定だな。
「おっと」
俺はうまくシールドを使いビームを防ぎ、すぐさま反撃する。しかし今は軽く引くことができる引き金を俺は現実で引くことが出来るだろうか。
『そんなんじゃ……いつか死ぬぜぇ』
「……はっ、死んでたまるかよ」
平和な抜きゲーの世界を選ばずにやってきたこの世界。この世界で得たものはとても大きい。なにより大切な仲間たちがいる。
「後悔はしていない!!」
のび太は仲間たちのために世界を平和にする。俺は結局、のび太らしい理由で戦っていることに気づき静かに笑みを浮かべた。
のび太の専用機についてアンケートをとります。詳細は活動報告で。沢山の意見をお待ちしております。