艦娘にハグしてみる   作:大葉景華

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若葉の場合

「提督。そろそろ休憩にしたらどうだ?」

「ああ、そうするよ。若葉、一緒に昼飯でもどうだ?」

「ありがたい。いただこう。」

俺の横をトコトコと歩いているのは俺が提督になった時すぐに秘書官になった叢雲の次の秘書官。若葉だ。

駆逐艦なのに落ち着いた雰囲気。仕事も的確にしてくれるし、さっきみたいにナイスなタイミングで休憩を勧めてくれる。叢雲は遠征で忙しいし、ずっと秘書官は若葉に頼みっぱなしだ。そんな事から、うちの鎮守府は若葉が1番手練だ。

「提督。今日は何を食べるんだ?」

「うーん。今日は軽く蕎麦でも食べるかな。」

「なら、若葉もそうしよう。」

「いいのか?せっかくだから奢るし、なんでも食べていいんだぞ?」

「いいんだ、若葉は提督と同じものが食べたい。」

「そうか。」

若葉は俺と同じものを食べたがるし、非番の日も俺と一緒に過ごしたがる。俺の思い上がりではないのなら、多分そうなのだろう。俺自身も自分の気持ちに気がついている。練度が最大になったら、指輪を送ろうと思っている。

「提督、午後の予定はどうするつもりだ?」

「そうだな、帰ってくる遠征組を迎えて、午後の演習をやったら今日はもう暇だな。」

「そ、そうか・・・な、なぁ、提督。」

「うん?どうした?」

「迷惑で無ければいいのだが・・・その・・・今日の執務が終わったら若葉と海岸を散歩でもしないか?」

「ああ、もちろんいいぞ。」

「ほんとか?ああ、悪くないな!」

うん。可愛い。尻尾があるならぶんぶんと扇風機状態になっていただろう。

よし、張り切って午後の執務を終わらせるか。

......................................................

「う〜〜〜ん。やっと終わったー!」

「お疲れ様だ、提督。」

「ああ、ありがとう。よし!それじゃあ散歩にいくか!」

「ああ!」

うん。やっぱり可愛い。少し大人びた雰囲気なのにこういう時は見た目相当の振る舞いになるところとかも可愛い。

.....................................................

「毎日見てるはずなのになんだか少し違う気がするな。」

「ああ、そうだな。改めて見ると綺麗な景色だな、提督。」

「ああ、そうだな。綺麗だ。」

いい雰囲気だ。せっかく向こうから誘ってきたのだ。少しあの話をしてみよう。

「なあ、若葉?」

「どうした?提督?」

「俺はあまり言葉が上手くない。だからハッキリと言う。お前は俺の事をどう思っている?」

「・・・いきなり唐突だな。そうだな。そうだな、仕事もきっちりするし、とても優秀だと思うぞ。」

「その点はありがとう。ただ、俺が聞きたいのはそんな事ではない。」

「・・・・・・」

「もう一度聞こう。お前は俺をどう思っている?」

「・・・・・・最初は提督としての知識もないし、仕事も遅いし、こんな人が提督で大丈夫かとよく叢雲から愚痴を聞かされた。だが、若葉が秘書官になった頃から提督は、よく勉強してくれて、若葉達の事をとても思ってくれている。若葉はそんな所に惹かれたのだろうな。提督。若葉、いえ、私はあなたが好きです。愛しています。」

「ああ、俺もだ。若葉。愛している。」

そう言って俺は若葉をしっかりと抱きしめた。ほんのりと暖かく、柔らかかった。あんまりいいものだからつい若葉の真似をして「悪くないな。」と言ってしまった。

「ふふっ、提督、それは若葉の真似か?」

「ああ、似てなかったか?」

「ああ、全然似てないぜ。」

「ははっ!そっちこそ全然似てないぜ。」

......................................................

夜になってきたから俺達は執務室に戻った。今日は夜の執務もないからゆっくり若葉と喋れる。

「ただなー、改めて何かこう、話そうとすると案外話すことが無いな。」

「若葉は提督のそばに居るだけで十分だ。」

「そ、そうか。」

「それより提督。」

「どうした?」

「こうやって結ばれた仲になったから言うが、提督は若葉や叢雲以外の艦娘に少し距離を置いてないか?」

「ああー、それか、うん。叢雲やお前にはもう慣れたんだが、他の人とはイマイチ距離感が掴めなくてな、今更仲良くなるってのも何かなぁって感じになってしまってな。」

「そうか、若葉はもっと他の人とも関わりあって欲しい。」

「俺としてもそうしたいのだが、いいのか?」

「大丈夫だ。若葉を提督の1番近くに置いてくれるなら。それに・・・」

「それに?」

「いや、何でもない。ここから先は本人に聞いてみた方がいい。」

「そうか?それでも、やっぱり若葉や叢雲以外と話すのは少し緊張してしまうな。」

「簡単な話だ。まずは叢雲と話してみればいい。」

「え?叢雲も俺と話したがっているのか?」

「ああ、叢雲は秘書官を離れていてからも提督の事をずっと気にしているぞ。そうだ、明日は叢雲を秘書官にしてみたらどうだ?」

「そうだな。秘書官を若葉に変えてからほとんど変えたことなかったからな。明日からは色んな人を秘書官にしてみるよ。」

「そうしたらいい。だが、提督。忘れないでくれよ?提督の一番はこの若葉なのだよ?」

「ああ、勿論分かっているよ。」

明日からは叢雲が秘書官だ。久しぶりに話すからお互い緊張するだろうな。

「不安か?提督。」

「少しな、慣れているとはいえゆっくり話すのは久しぶりだから。」

「大丈夫だ。何かあったら若葉にした事をして見ればいい。」

「若葉にした事?ああ、ハグしたことか?」

「ああ。提督のハグは気持ちが落ち着く。困ったら叢雲や、ほかの人にもしてみるといい。ただし、その分若葉にもしてくれよ?」

「分かったよ。ありがとう。さあ!今日はもう寝ようか。」

「ああ、そうだな。」

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