問題児と力を受け継いでしまった者が異世界から来るそうですよ? 作:皐月の王
遠くから水が流れる音と多くのペルセウスの騎士の悲鳴が聞こえる。
どうやら首尾よく囮はうまく行ってるようだ。
「竜輝、状況はどんなもんだ?」
「飛鳥が順調に事を成しているようだ」
「流石だな」
今回、俺の役割は耀と共に不可視のギフトを持つ兵士を倒しハデスの兜(レプリカ)を奪う役割だが、それはフェイクだ本当の役割は十六夜の保険だ。
万が一、十六夜の姿が見られた時、俺が十六夜の代わりにルイオスと対峙する事になってる。今の所、十六夜以外でルイオスに勝てそうなのは俺ぐらいらしい。その為、十六夜が俺を保険という形で温存することになった。
「ぐっ!」
ドサッと地面に何かが倒れ、急に男が現れる。どうやら耀が不可視のギフトを持つ騎士を倒したらしい。
「不可視のギフト、ゲットだな」
「やっぱり匂いと音は消せないみたいだね」
ハデスの兜とは言え、レプリカなら対策は立てやすいものだ
「このゲームはこのギフトが鍵になる。最奥に続く階段に数人も護衛をつければ、どうやってもクリア出来ない」
「連中が不可視のギフトを使っているのを限定しているのは、安易に奪われないようにするためだろうけど」
「この兜で御チビだけ守っても俺が見つかれば勝ち目はなくなる。となると作戦変更だ。もう一つ兜を奪う。前哨戦をちまちまやっていても埒が明かない。春日部には悪いが―――」
「気にしなくていい。私が敵を引き付けるから透明になったまま叩いて」
不可視のギフトは最低でも2つ必要。
欲を出せば俺と耀の分も欲しいが欲を出し過ぎて失格になるのは得策では無い。取りあえず十六夜とジンの分を確保できれば大丈夫だ
「良いとこ取りみたいで悪いな。これでもお嬢様や春日部、竜輝にはソレなりに感謝してるぞ。今回のゲームなんかは、ソロプレイで攻略出来そうに無いし」
「大丈夫、埋め合わせはしてもらうから」
「安心しな。埋め合わせはする。竜輝がな」
・・・・・・いやちょっと待て、何故俺が十六夜の埋め合わせをしないといけない!?
「期待してる」
こっちに親指を立てて耀が言ってくる。俺じゃなく十六夜に言って
「よし、御チビは隠れとけ。死んでも見つかるなよ」
「はい!」
兜を被り、十六夜の姿が消える。
物陰から飛び出して宮殿を駆け回る。
暫く廻ってると騎士達と遭遇した。
「いたぞ!名無しの娘だ!」
「これで敵の残りは四人だ!」
兵士が一斉に襲い掛かってくる
「邪魔だ!」
見えない十六夜の拳が炸裂し、騎士達は悲鳴をあげながら壁を幾層も突き破り、飛んでいく、容赦が無い・・・
「春日部、こいつら以外に敵は?」
「今の所何も聞こえない・・・わ!?」
突然、前触れなく、耀が吹き飛んで壁に叩きつけられる
俺と耀が気づけないってことはオリジナルのハデスの兜か。こいつは厄介だ、一つ策を試してみるか…俺は地面に手を当て仕掛けを作る
「おい、春日部、竜輝一度引くぞ!」
十六夜が耀を抱きかかえて逃げようとすると十六夜も殴り飛ばされた。姿の見えない敵はその瞬間を待っていたと言わないばかりに、十六夜を殴だろう、耀を抱き抱えれば自然と位置が把握されるからだ。殴られたときに十六夜の被ってる兜が壊れたらしく十六夜の姿が現れる。
「くそ!兜が壊れちまった!」
姿が見られたため十六夜は失格になってしまった。仕掛けを仕掛けるには時間は十分だった、俺は突っ立っている
「竜輝何してんだ!?」
「竜輝!」
何も無い場所から
「ぐ、ああああ」
苦痛の声が聞こえた
「そこだな!」
俺はボディーブローを虚空に放つ、手応えはありだ、兜剥ぎ取った
不可視の騎士はルイオスの側近だった
「まさか・・・自らをエサにするなんてな」
「賭けの領域だったけどな、あんたが早く攻撃してくれてよかったぜ」
「竜輝一体何をしたんだ?」
「竜輝私も気になる。自らエサってどういう事?」
十六夜と耀は不思議そうに聞く
「俺のギフトの光と闇の操者の応用で、俺の周りに、影の地雷の様なものを作ったんだ。判別までは時間が無いから、無差別式だけどな、今は解除してあるというか、ひとつ引っかかれば消えるようにセットしてある、後はさっきの声のする方に攻撃するだけ」
そう言うと十六夜はヤハハと笑い、耀は少し何か考え始めた。
「取り敢えず、ハデスの兜のオリジナルが手に入った。後は最奥まで行くだけ・・・十六夜、護衛を頼める?」
「おう、まかしとけ。連中が竜輝を見る前に黙らしてやるよ」
「相手が死なないようにな」
いつの間にか居たジンにハデスの兜を渡すと耀が話しかけてきた。
「竜輝・・・必ず勝ってきてね」
「・・・勿論、勝ってくるさ」
拳を互いに合わせ俺は先に進む
「さっきぶり、黒ウサギ」
「竜輝さん、十六夜さんにジン坊ちゃん!」
宮殿の最奥に着くと黒ウサギがいた。
俺たちの姿を確認すると安堵したかのように息をもらす。
「ふん、使えない部下共だ。これが終わったらまとめて粛清しないとね
ともあれようこそ白亜の宮殿・最上階へ、ゲームマスターとして相手しましょうあれ?この台詞言うの初めてかも?」
それは思うに騎士達が優秀だったからだと思う、準備が伴わない、突然の決闘出なければ、俺達に勝ち目は無かった
ルイオスは翼の生えた靴で空に飛びあがる。あれは、ペルセウスがゴーゴン退治で神から授かった武具、ヘルメスの靴か。となると、ハデスの兜を除けば神霊殺しの鎌"ハルパー"とアテナの盾か。黒ウサギが言うにはアテナの盾は箱庭で失ったそうだ。ルイオスはギフトカードから炎の弓をだして構える。
「炎の弓?ペルセウスの武器で戦うつもりは無い、という事でしょうか?」
「飛べるのにどうして同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ。それにメインで戦うのは僕じゃない。僕はゲームマスターだ。僕の敗北はそのまま"ペルセウス"の敗北になる。そこまでリスクを負う様な決闘じゃないだろう?僕の代わりに戦うのはコイツさ」
ルイオスは首のチョーカーについてる装飾を引き千切ると投げ捨て、獰猛な表情で叫んだ
「目覚めろ。アルゴールの魔王!」
装飾が光を放ち、その中から拘束具に縛られた女性と思しき者が現れた。
あれが精霊アルゴール。
「GYAAAAAAAAAAaaaaaaa!」
アルゴールの絶叫が響き渡る。
その直後、空から何かが落ちてきた。
「飛べない人間は不便だよね。落ちてくる雲も避けれないんだから」
雲が石化したと言うのか、あの落石は雲だと雲まで石化するとは恐ろしい。
アルゴルとはペルセウス座のゴーゴンの首の位置にある恒星でアラビア語でラス・アル・グルを語源とする"悪魔の頭"という意味がある。
ゴーゴンの首の位置にあるから石化のギフトを持っているというのが十六夜の推測らしい。
「今頃君たちの仲間と部下どもは石になってるだろうさ。ま、無能にはいい体罰さ」
俺達が石になっていないのは、ルイオスの遊び心だろう、ようやっと訪れた初めての挑戦者。すぐに終わらせては勿体無い。吐く軽口より、内心の闘志は遥かに高まっているのだろう
「目論見は外れたな。レティシアが戻れば魔王に対抗できると思ったんだろうが、肝心のレティシアは使えない。どうする、例の作戦止めるか?」
「・・・・ですが、僕たちにはまだ十六夜さんと竜輝さんの2人がいます。貴方達が本当に魔王に勝てる人材だと言うのなら、この舞台で僕達にそれを証明してください」
「OK。よく見てな御チビ」
十六夜の言葉に黒ウサギは期待するような目で十六夜を見る。
が
「と言いたいが、残念なことに俺はあいつに挑む資格が無い」
「え・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
アルゴールの次は黒ウサギの絶叫が響く。
「なら、どう戦うんですか!?」
「落ち着けよ、黒ウサギ。後は、竜輝がやるから黙って見物しようぜ」
「ああ、後は任せてもらうよ」
ギフトカードから戦極の剣を取り出し構える。
「見とけよ、黒ウサギ、何も魔王に対抗できるのは、十六夜だけじゃないんだ」
そう言い、剣を握りしめ、力を入れる、直後、青白いオーラのようなものがほとばしる、上限の枷が一個外れた
十六夜も何かを感じたようで、楽しそうな表情で見ている。その表情は獰猛だが
「さ、それじゃあ準備いいよなゲームマスター」
「ん?2人で来ないのかい?後ろの子がリーダーなんだろう?」
直後、十六夜が竜輝にサインを出した
「(了解)いくら、ペルセウスのリーダーだかって自惚れないでくれ、あんた程度に、うちのリーダーが手を出すわけないだろ」
「(ナイス)」
十六夜は満足そうな笑みを浮かべ、ジンは十六夜の寒い悪意が感じる
「はっ!名無し風情が、後悔するがいい!」
ルイオスが切れ炎の弓を放つ。が
「この程度」
剣の1振りで全てたたき落とす
弓が無駄だと分かるとすぐさま仕舞い、今度はハルパーを取り出す。
「押さえつけろ!アルゴール!」
アルゴールと挟み込んで俺を追い詰める。アルゴールは俺に襲い掛かって来てねじ伏せようとする。だが俺は真正面からアルゴールを見据えて迎え撃つ。
「くらえ!」
アルゴールのリバーに拳を叩き込み、更にテンプルに拳を叩き込み、アッパーでノックダウンさせる
「くっ、調子に乗りやがって!」
後ろからハルパーで斬りかかってくるルイオスの鎌を剣で止め、腹の鳩尾に拳を叩き込む、ルイオスは吐きそうな表情になる
「大分堪えているみたいだぜ?ゲームマスター」
「はッ、あれでアルゴールが終わったと思うなよ。今だ!押しつぶせ!アルゴール!」
アルゴールはかなりタフらしくすぐさま意識を回復させ後ろから俺に殴りかかる。
「残念だったな!これで僕たち"ペルセウス"の勝利だ!」
「そりゃどうかな?」
「な!?」
アルゴールの一撃は俺に当たらず地面を砕いただけだった。
俺は空を飛びアルゴールの攻撃を躱しルイオスの背後に着いた。
「そら!」
「がは!」
下からルイオスを蹴りあげる。
ルイオスは第三宇宙速度で飛ばされる
そして、すぐさまそれに追いつき再度攻撃をする。
「羽があっても不便そうじゃないか」
もう一度ルイオスの腹にかかと落としをしてアルゴールに重なるように叩きつけられた
「まだだ!」
空中で剣を斜めに振る、直後ガラスの様な色の剣が無数に展開される、俺は狙いを定め、剣を振り下ろす。無数の剣はステージに向かい突き刺さる
ルイオスとアルゴールは急いでそれらを交わすが幾らからかすり体制を崩し倒れ込む
「ぐ・・・がは・・・・・・・なんだよ!?なんなんだ!?お前は!?
本当に人間か!?いったいどんなギフトを持っている!?」
「ギフトネーム天威の夜叉の力・・・これだけじゃ意味がわからないか、言っとくが俺は夜叉じゃないからな」
「・・・・・・もういい、アルゴール。どんな手を使っても構わない。
奴を――――――――殺せぇ!!」
ルイオスの命令に従うようにアルゴールは絶叫する。すると黒いしみがアルゴールを中心に広がり、あたりからいろんな魔獣を生み出す。
「確か伝承じゃゴルゴーンにはそんな力あったな」
「そうだ!これが数々の魔獣を生み出したゴーゴンの特性!お前の相手は魔王とこの宮殿そのものだ!逃げ場はないものと知れ!」
「そうかい・・・ならこの宮殿ごと壊せばいい話だな?」
「「え?」」
ジンと黒ウサギは嫌な予感がした十六夜は面白そうな予感していた
俺は力を込める、拳は青白くひかり、黒く染まった魔宮に叩きつける、直後宮殿全体が震え、闘技場が崩壊し、瓦礫は4階を巻き込んで3階まで落下する
「・・・馬鹿な、どういう事だ、奴の拳は山河撃ち砕くほどの力があるのか?」
「どうした?もうネタ切れか?」
ルイオスは悔しそうな顔を浮かべるがすぐに真顔に戻った。
「もういい、アルゴール。終わらせろ」
石化のギフトを解放した。星霊・アルゴールは謳う様に不協和音と共に、褐色の光を放つ。これこそアルゴールを魔王に至らしめる根幹。天地に至るまで全てを褐色の光で包み、灰色の世界へと変えていく星霊の力、褐色の光に包まれた俺は軽く
「・・・ゲームマスターが狡い真似するなよ」
右手を振るい、褐色の光を霧散させた
一気に距離を詰め、戦極の剣を再度無数に展開し、アルゴールを切り裂き、元魔王アルゴールを完全に沈黙させた
「まぁ、こんなもんか。さぁ、次はどんな手を使うんだ?」
「竜輝さん、もうこれ以上のものは出ないと思います。アルゴールが拘束具で繋がれてる時点で察するべきでした。ルイオス様はアルゴールを支配するにはまだ未熟すぎるのです」
ルイオスは悔しそうにした俯く。
十六夜の方を見ると凶悪そうな顔でサインを出してきた、まじかよ、それを俺が言うのかよ
「なぁ、このまま終わっていいのか?」
俺の言葉にルイオスは反応する。
「このゲームでお前たちの旗印を手に入れたら、今度は旗印を盾にもう一戦申し込む。そうだな、次は"ペルセウス"の名前を頂こうか」
ルイオスは恐怖に顔を歪め怯える。
大方、"ノーネーム"になった自分たちを想像したんだろう。
「その二つを手に入れたあと"ペルセウス"2度と箱庭で活動出来ないように、徹底的に、ぶっ潰す」
「や、やめろ!・・・・」
「そうか、なら戦うしかないよな、最後まで、貴方がリーダーとしてゲームマスターとして挑戦者を迎え撃て。ゲームはまだ終わってない」
ルイオスはゆっくりと立ち上がりギフトカードからハルパーを出す
「いいだろ。やってやる。やってやるさ!アルゴールがいなくても、僕の力でやってる!」
ルイオスは鎌を構え突っ込んでくる。
俺は剣を構え
「よくやったぜ、ペルセウスのリーダーさん」
鎌を弾き飛ばし、右拳をルイオスの顔面に叩き込んだ
最近暑いですが、皆さんお体に気をつけてください
熱中症は危ないですから