問題児と力を受け継いでしまった者が異世界から来るそうですよ? 作:皐月の王
俺達5人は噴水広場のぺリベッド通りを走り抜けサウンドアイズの支店の前で止まる。桜に似た並木道の街道に立つ店前を、竹ぼうきで掃除をしている。店長に一礼され
「お帰りください」
と、要件も言わぬ前にこれである。苦笑いせざるを得ない
「そこそこ常連客なんだし、もう少し愛想良くしてもいいと思うのだけれど?」
「常連客とは店にお金を落としていくお客様と言うのです。毎度、毎度、換金しかしない者は取引相手と言うのです」
ギフトゲームで得た金品はこの店でさばいてもらってもらっている、まぁ店長の言う通り取引しているのだ
飛鳥と店長が言い争っていると空から何かが降って来た。
「やっふぉおおおおおお!ようやく来おったか小僧どもおおおおおお!」
「ゴフ!?」
それは俺の腹部を強襲し、俺が端側の溝に転がり落ちる・・・嬉しそうな声を上げ空中でスーパーアクセルを繰り出し荒々しく登場する。誰かというと白夜叉だ。というより白夜叉しかこんなことしない。おかげでびしょ濡れだが
「ぶっ飛んで現れなきゃ気が済まないのか?ここのオーナーは」
「・・・・・・、」
痛烈に頭が痛そうな店長は頭を抱えた
白夜叉は溝に落ちた俺のところまでくる
「また荒々しいお出迎えですね」
「このぐらいインパクトがある方がよいと思ってな」
「インパクト次いでに、気おつけてください」
「それはすまんかったな」
着物についた埃を払いながらケラケラ笑う白夜叉。
「おんしらよく来たな、店の中に入ってくれ、話もあるしな」
俺はとりあえず、服を絞ってから、店の中に入った、客室に招かれ、サウンドアイズの支店に置いてある着替えに着替えて
「一つ質問いいかな?白夜叉」
「何じゃ?」
辺りが静かになる。全員が息を呑み誰一人として喋ろうとはしない。理由はわからないことも無いが、意を決して、真面目な表情の白夜叉に問を投げる
「どうして、俺の膝の上に乗ってるの?」
そう、白夜叉は現在俺の胡座をかいた膝の上に堂々と座っている。
「おんしの膝の上は座り心地がよくての。暫くそのままでおってくれ」
「・・・いつ調べたのかな?」
「おんしがここに泊まって酔っ払った時に膝の上に乗せて頭を撫でてくれたんじゃよ」
そんな事があったのか・・・通りで座ったままで寝て、足が痺れていたわけだ
十六夜は新しいおもちゃを手に入れた子供のように笑顔で
「よかったじゃねぇーか。せっかくだから思う存分楽しめよ竜輝」
と言ってきた、耀は何やら黒いオーラが出ているような気がして成らない
「さて、本題に入る前にジンよ。おんしに聞きたいことがある。フォレス・ガロとのギフトゲーム以降おんし達が魔王に関するトラブルを引き受けるとの噂を耳にしたのだが、真か?」
白夜叉は厳しい表情を浮かべ、ジンを見据え問う、それに飛鳥は
「ああ、その話なら本当よ」
飛鳥は正座したまま首肯する。白夜叉が小さく頷くと、視線をジンに移し再度問う
「ジンよ、それはコミニティのトップの方針か?」
「はい。名も旗印が無い僕たちにはこうしてコミュニティの存在を広めていくしかありませんから」
「リスクは承知の上なのだな?」
「覚悟の上です。それに仇の魔王からシンボルを取り戻そうにも、今の僕たちでは箱庭の上層に行くことができません。ですから僕たちの名と旗印を奪った魔王に出向いてもらい迎え撃つつもりです」
「無関係な魔王もくるかもしれんぞ?」
「それこそ望むところだろ。倒した魔王を隷属させ、より強い魔王に挑む・・・さらに打倒魔王を掲げてる、箱庭世界でもこんなにもかっこいいコミニティは無いだろ」
十六夜は不敵な笑みを浮かべていた
俺は白夜叉の頭を撫でてた
「ふむ」
頭を撫でられながらしばし瞑想すると、呆れた笑みを浮かべる。
「そこまで考えとるなら良い。では、打倒魔王を掲げたコミュニティに東のフロアマスターとして正式に依頼をしよう。よろしいかな、ジン殿?」
「は、はい!謹んで承ります!」
白夜叉がいつになく真面目な表情で言ってくる白夜叉に慌てながらもジンが引き受ける。
「まず、北のフロアマスターの一角が世代交代した。急病で引退とか。まぁ、亜龍にしては高齢だったからのう。寄る年波には勝てなかったと見える。此度の大祭は新たなフロアマスターである、火龍の誕生祭での」
「「龍?」」
龍の部分に十六夜と耀が反応した。
十六夜のことだから火龍と戦いたいと思っているのだろう・・・耀は火龍と友達になりたいのかなぁ・・・火龍の特性・・・口から・・・想像するのはやめておこう
「ところでおんしら、階層支配者についてどのぐらい知っておる?」
「私は全く知らないわ」
「私も全然知らない」
「俺はそこそこ知ってる」
「右に同じく、簡単に言うと、下層の秩序をと平和を見守る守護者ですよね」
階層支配者(フロアマスター)とは下層の秩序と成長を見守る連中で箱庭内の土地の分割や譲渡、コミュニティが上位に移転できるかを試すのにギフトゲームを行うなどの役割がある。そして秩序を乱す、天災・魔王が現れたら率先して戦うといった義務がある。それと引き換えに"主催者権限(ホストマスター)"が与えられてるそうだ。
「しかし北は鬼種や精霊、悪魔といった種が混在した土地なのでそれだけ、治安が良くないのです。そのため、マスターは複数存在します」
「けど、そうですか。"サラマンドラ"とはかつては親交はあったのですが、頭首が替わっていたとは知りませんでした。今はどなたが頭首を?やっぱり、長女のサラ様か、次男のマンドラ様」
「いや。末の娘のサンドラだ」
その名前にジンが身を乗り出して驚く。
「サ、サンドラが!?そんな、彼女はまだ十一歳ですよ!?」
「ジン君だって十一歳で私たちのリーダーじゃない」
「それはそうですけど・・・・いえ、ですが」
「なんだ?御チビの恋人か?」
「ち、違います!」
十六夜がジンを弄って遊んでるうちに話を進めてもらう。
「で、それで俺達に何をすればいいんだ?」
「そう急かすな、今回の誕生祭は次代マスターのサンドラのお披露目も兼ねている。じゃが、まだその幼さ故、東のフロアマスターの私に共同の主催者を依頼してきた」
「北には他のマスターもいるのでしょう?なら、そのコミュニティにお願いして共同主催すればいい話じゃない?」
「うむ。まぁ、そうなのだが」
白夜叉が歯切れ悪く話す。
「幼い権力者を良く思わない組織がある・・・・とか、在り来たりにそんなところだろ?」
「まぁ、そんなところだ」
十六夜のセリフに肯定も否定もしない白夜叉。飛鳥の表情は不愉快そうに歪んでいた
「そう・・・神仏集う箱庭の長たちでも、思考回路は人並なのね」
「うう、実に手厳しい。だが全くもってその通りじゃ。実は東のマスターである私に共同祭典の話を」
「ちょっと待って。その話長くなる?」
耀が急に何かに気付いたのかそんなことを聞いてくる。
「ん?そうだな、短くとも後1時間ぐらいかの」
1時間か・・・そんぐらい・・・待て・・・これ話聞いていたら北側に行けないのでは?十六夜と飛鳥も気づいたらしく少し慌てる。ジンも気が付き立ち上がる。
「白夜叉様!どうかこのまま」
「ジン君『黙りなさい!』」
飛鳥のギフトがジンの口を無理やり閉じる
「白夜叉!今すぐ北側へ向かってくれ!」
「構わんが内容を聞かずによいのか?」
「構わねぇ!事情は追々話すし、何よりそっちの方が面白い!保障する!」
十六夜のセリフに白夜叉はニヤリと笑う。
「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!ジンには悪いが面白いなら仕方ないのぉ?」
白夜叉は悪戯ぽい横顔に、声にならない悲鳴をあげるジン。暴れるジンを抑える十六夜達、白夜叉が両手をパンパンと二回叩く。
「これでよし。北側へ着いたぞ」
「「「「・・・・・・・は?」」」」
9800000㎞の距離を、今の僅かな時間で?白夜叉を膝から降ろし、十六夜達と共に外に出る。ちなみに外に出るまで耀に頬を引っ張られた・・・・なんでさ
次回またお会いしましょう!