問題児と力を受け継いでしまった者が異世界から来るそうですよ? 作:皐月の王
俺と二人の少女、一人の少年が同時に湖に落ち、全員が濡れる
「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によったらゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「……。いえ、石の中に呼び出さては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
「三毛猫……大丈夫?」
『じぬかとおぼった……』
「不幸だ‥‥‥着水前の自分を殴りたい気分だ」
「此処……どこだろう?」
三毛猫を抱えた少女が言う。
「さあな。世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」
此処が俺達にとって知らない未知の世界だと言うのは明らかだ。服を絞り終えたヘッドホンをつけた少年が顔を向ける
「一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
ヘッドホンをつけた少年が髪をかき上げながら聞く。
「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方訂正して。────ー私は久遠飛鳥よ。以後気を付けて。それでそこの猫を抱き抱えている貴女は?」
飛鳥は猫を抱えた少女に質問をする。
「……春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく、春日部さん。それと、耳になにかつけている白髪の貴方は?」
耀の自己紹介が済み、今度は俺に矛先が向いた。
「俺は神薙竜輝。神薙でも竜輝でも呼びたい方でいいよ」
無難の自己紹介でいいだろう。冒険する必要は無いと俺は思った
「分かった」
「分かった。よろしくね。竜輝君。最後に野蛮で狂暴そうなそこの貴方は?」
「見たまんま野蛮で狂暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ」
すごい自己紹介する奴だな……いや本当に
「取扱説明書をくれたら考えてあげるは十六夜君」
「すごい自己紹介だな、竜輝だよろしく十六夜」
「おう。よろしくな、竜輝。後、今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
心からケラケラ笑う十六夜
傲慢そうに顔を背ける飛鳥
我間せず無関心を装う耀
すごい個性の塊のメンバーだ。ついでに、そこにいる、誰かが気になり始めた。
「で、呼び出されたのはいいけどなんで誰も居ねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明する人間が現れるもんじゃねぇのか?」
「そうね。なんの説明も無いままでは動きようがないもの」
「…………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
「それには同感だけど、耀も人のことを言えないくらい落ち着いているよ?」
「えっ?」
耀が俺を見て不思議そうな表情をし疑問の言葉を発した。
「ん? どうかした?」
「名前。どうして名前で呼ぶの?」
もしかして、男の人に名前に呼ばれるのは嫌なのかな?
「あ〜ごめん。もしかして嫌だった? ならやめるけど……」
「ううん。嫌じゃない。ただ、気になっただけ」
まぁ、初対面で自己紹介しただけの相手にいきなり名前で呼ばれたな気になるよな。
「まぁ、なんていうか、友達てさ、名前で呼び合うものじゃない? だからかな」
「えっ、友達?」
あれ、嫌だったかな……すごい恥ずかしいだけど……
「もしかして嫌だった?」
「ううん。むしろ、嬉しい。ありがとう、竜輝」
耀がほんの少し微笑んだ。感想を言うと可愛かった。
「取りあえず、そこに隠れている奴に話を聞くか?」
十六夜の言葉に反応して振り返る。やっぱり十六夜も気づいていたようだ。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
飛鳥も気づいていたようだ
「当然。かくれんぼじゃ、負けなしだぜ。竜輝と春日部も気づいてんだろ」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「まぁね、あんなに出るタイミングを伺われたらね、気づくよ」
俺達の言葉に反応したのか、隠れていた人物が現れた。
「や、やだな~、御四人様、そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?」
現れたのは、ミニスカートにガーダーソックスを履き、うさ耳を生やした15~16歳位の少女だった
「なんだ? バニーガールか?」
「うさぎ人間かしら?」
「……コスプレ?」
「新手の変態?」
上から順に十六夜、飛鳥、耀、俺の順番だ。
「ちょっと待って下さい! 御四人様方、好き放題にいい好きです!」
うさ耳少女は怒りを露わにし切れる
「俺達は前振り無しに呼ばれた挙句に湖に叩き落とされ全身がびしょびしょだ? …………どう思うかな、十六夜君?」
「全くだぜ。これじゃ~怒りが収まらないなぁ~」
「同感ね。ちゃんと説明はしてもらうわよ」
「同じく」
俺達の悪巧みに気づいたのかうさ耳少女はたじろぐ
「そ、それに関しては黒ウサギのミスです。申し訳ありません」
ウサ耳少女がウサ耳をへにょらせて謝るが…………
「それで許すと思うか?」
十六夜が許しませんでした。正直俺もあれで許す気は少ししかない
「ま、待ってください! ここは一つ穏便に黒ウサギの御話をどうか聞いていただけませんか?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「何言っているんだお前は?」
「あっは、取り付くシマもないですねって最後のお方に関しては酷すぎません!?」
うさ耳少女こと黒ウサギはバンザーイ、と降参のポーズをしながらもツッコミを入れた。気づけば隣にいた耀が居なくなっていた。少し見回すと、黒ウサギの後ろにいた、狙いは耳、次の展開が読めた……
「えい」
「フギャ!」
力ない声で遠慮なく耳を引っ張る
「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心のなせる技」
「自由にも程があります!」
耀を怒るのに夢中で背後から来る十六夜に気付いていない。黒ウサギ……もう一回遊ばれるドン
「へえ? このウサ耳って本物なのか?」
十六夜は黒ウサギの右耳を掴み
「なら私も」
飛鳥は左耳を掴み、引っ張る
「ちょ、ちょっと待──────」
黒ウサギの言葉にならない悲鳴が森中に響き渡った。
十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギ。ここにいるメンバーは個性の塊だと、俺は思った。引っ張られる光景を見ながら
第2話はまだまだですので、気長に待ってください