そして、彼女にされるがままに家に引きずり込まれたイザヨイ
豹変し、急に大胆な行動を取り始めたスミレに動揺するイザヨイに、彼女から衝撃的な事実が告げられる
スミレがそうまでしてイザヨイを家に誘い入れたかった理由とは果たして!?
イ「ス、スミレさん、今、俺のことイザヨイくんって言いました?」
ス「。。。まだ気づかないんだ…?」
イ「え、気づかない?何をですか???」
ス「あなた、飯沢洋一くんでしょ?」
えっ!?どうして!?
俺はイザヨイって言う名義で活動してるから本名は晒してない
いくらスミレさんがお笑い好きだったとしても、
俺の名前なんて、某有名な百科事典サイトで検索しても引っかからない程の無名芸人だぞ?
なんだかスミレさんの家に着いてからスミレさんの様子が明らかにおかしい
そんなことを思っていたら、スミレさんからさらに驚くべき言葉が、どんどんでてきた
ス「その顔はまだピンと来てないのね。良いわ。ならこれならどう?
飯沢洋一、19××年1月5日生。最終学歴は◯◯大学卒業でしょ?」
イ「えぇ!?な、なんで!?なんでそこまで!?」
ス「もうわかった!!あなたいつも自分のことをそっちのけで相手のことばかり考える!それでいつも躊躇してためらってばかり!名前と響きが似てるからってあだ名が「十六夜」になったんでしょ!そうでしょ!?イザヨイくん!」
イ「えぇぇ!?どうしてそれを!?」
ス「はぁ…、その鈍感な性格は昔からのようね…。良いわ。とっておきを言ってあげる。私の名字の森坂はね芸名なの。本当の名字は高園っていうのよ。」
イ「た、高園…?はっ!」
俺はその名字を聞いてようやくピンと来た
イ「も、もしかしてスミちゃん!?」
ス「ようやく気づいた?全く相変わらず鈍いんだから」
そう、俺には地元には高園澄海麗という幼馴染がいて、
俺より3つ年上で昔よく遊んでくれていた
俺が高校生になる頃には地元を出て音楽大学に進んでっていう後からはどうしてたかって知らなかったんだけど
イ「まさか声優になっていたとは…」
ス「だからって!中学生の頃まで一緒だった幼馴染のことを忘れるかしら!?」
イ「あっ…、いやぁそれはごめんなさい…、で、でもスミちゃんはどの辺から気づいたの?」
ス「えっ?イザヨイくんが助けてくれた時からずっとよ?」
イ「えぇ!?じゃあ会ってから家に引きづりこむまでずーっと演技してたってこと!?」
ス「まぁそうなるわね。イザヨイくんが芸人やってるっていうのは知ってたけど、テレビで見たことなかったし」
すごいショック…
憧れの人に芸人としての俺が評価してもらえてるって思って物凄い嬉しかったのに
まさかそれも演技だったとは…
あまりにもショックに俺は言葉を失った
しかし
ス「あっ!その顔、私の言ったこと全部が演技って思ってるでしょ?」
この人…
相変わらず鋭い…
ん、ちょっと待った…
イ「えっ!?スミちゃん、どこまで本当のことを言ってるの?」
ス「さぁねぇ、そこくらいは自分で考えなさい。」
そんで少し小悪魔的
やっぱり俺が知ってるスミちゃんだ
いや、しかし問題は1つも解決してないぞ?
俺がいるのは幼馴染のスミちゃんの家であると同時に、
超有名声優・高園澄海麗の家であることは変わらない
変わらないんだけど…
カチカチ
イ「ちょいっ!スミちゃんなんで電気消すの!?」
ス「もう寝ましょう、そうしないとイザヨイくんいつまでもうじうじ言って、考え込むでしょ?」
イ「な、なな何考えてるんだよ!自分の立場わかってるの!?こんな状況がもし…」
ス「…。イザヨイくんとだったら…、私別にいいよ…」
イ「えっ!?今なんて…?」
ス「…。もう!とにかく私が良いって言ってるから良いの!もうここまできたらうだうだ言ってないで一緒に寝るわよ!」
イ「なっ!?何言ってるんだよ本当に!いくら幼馴染だからってそんなことできるか!!」
ス「何勘違いしてるのよ!!別々に寝るに決まってるでしょ!?ったく鈍感なくせに変なところ敏感なんだから!」
うぎっ…
言い返せない…
結局、引っ込みがつかなくなった俺は結局、スミちゃんに唆されるがままに一夜を共に過ごすこととなった
まさか、俺がずっと憧れてた声優さんが幼馴染だったとはな。
まぁ、気づかなかった俺も俺だけど…
ただ、それは別として、スミちゃんが人気声優であることには変わらない
今日はもうしょうがないから、スミちゃんに言われるがままにとりあえず一夜を過ごすとして朝早く彼女が寝てる隙をついて抜け出さないといけない
いけないんだが…
イ「ねぇ?」
ス「何?」
イ「どうして同じ部屋なの?さっき別々に寝るって言ってたよね?」
ス「だって、部屋を別々にしたらイザヨイくんこっそり抜け出してそうだったから」
相変わらず勘ぐり深い、おまけに鋭い…
ス「それに」
イ「それに?」
ス「イザヨイくんは私と会って何か話したいこととかないの?せっかくこうして数年ぶりに再会したっていうのに」
イ「えっ?う、うーん。なんだろう。話すことはあるんだけど、びっ、びっくりした方が強いっていうか…。そのぉ…。」
ス「それにしても本当に私が言うまで私のこと気づかなかったの?相変わらず鈍感なんだから」
無理もないって…
最後に会ったのは俺が中学二年生で、14年前だぞ?
おまけに俺が知ってるスミちゃんったら
自転車で転んで両腕骨折したり
親と喧嘩したら裸足でウチの屋根に登って俺の部屋に侵入してきて、家出してきたりするくらい活発だったし、会った時にあんなおしとやかな態度とられたらいくらなんでもすぐにわかるわけないだろうが!
まぁそんなこと言ったら何されるか分からないからな
ス「今変なこと考えてたでしょ?私の小さい頃の黒歴史とか」
エスパーかこの人は…
イ「んー、そうだなぁ。まぁ今の素のスミちゃんを見て、
『あぁやっぱりスミちゃんだ』とは正直思ったよ?」
ス「何よ?やっぱり私だって。どういう意味?」
イ「どうもこうもまんまの意味だよ。強引な所とかお節介な所とか」
ス「ちょっ!?黙って聞いてたらぁ!!」
イ「後は自分のことを省みず、誰かのために一生懸命になるところとかね」
ス「なっ…?な、何よ…。急に褒めたって何も出ないわよ?」
やっぱりスミちゃんだ
昔から活発と言うか男勝りと言うか
常に明るく、元気なスミちゃんだけど、こう言う風に褒められると急激にしおらしくなる
間違いない、僕の幼馴染の高園澄海麗さんだ
人のためなら自分のことを省みず、一度決めたらひたすらまっすぐに一生懸命になるんだから
だけど、それは時として突っ走り過ぎるんだよなぁ
そうあの時だって…、突っ走り過ぎたんだ。
俺はそんなつもりじゃなかったのに
イ「ね、ねぇスミちゃん…、あの時のこと覚え…てる?ってあら?」
ス「ん〜zzzzんにゃむ…zzzz」
寝てる…
たったあの数分で寝られるってどうなってるんだ?
と言うか、自分から話振っといて寝るって、どう言う神経してるんだよ?
まったく、強引なところも昔から何にも変わらないんだから
はぁ。もういいや。明日夜が明けたらすぐさまここを出よう
助けてもらってあれだけど
ただ、俺の憧れの人が幼馴染だったなんて
だったらなおさらこの人に迷惑をかけられない
これ以上この人に妙な誤解で苦しんで欲しくない
そう…。あの時みたいに…。
色んなことが1日でありすぎて、疲れてた俺は、久々に柔らかい布団の感触を肌に感じながら目を閉じると同時に、そのまま眠りについた。