ス「イザヨイくん、ずーっとそのこと心配してくれてるけど、私週刊誌に載ったことなんて一度もないよ?」
イ「はぁ!?何言ってるんだよ!?あれだけ大事になったって言うのに!忘れちゃったの!?」
ス「えぇ?忘れるも何も本当に載ったことないもん…。それにそんな大事になってるって言うならネットニュースとかに書いてあるんじゃない?調べて見たら?」
俺は大急ぎでスミちゃんの言われた通り、インターネットですぐさま例の件を調べて見たが、彼女の言う通り例の件についてのニュースは一切出てこなかった
じゃあ、あれは何だったんだ?
まさかこれも夢?いや、だとしたら鮮明に覚えすぎている…
しかし、仮に夢だったら、スミちゃんがここまであっけらかんとした様子だったのも頷けるが、あまりにも奇怪と言うか奇妙な出来事だ
俺があまりにも奇怪な状況展開に頭を悩ませていると、
スミちゃんは…
ス「ねぇ、イザヨイくん。今後どうしていくの?」
イ「えっ?どうしていくって、何のこと?」
ス「昨日言ってたじゃない?芸人としての仕事もイマイチでバイト先も潰れて路頭に迷って困ってるって」
そこまで言った記憶は全然ないのだが…
まぁ確かに色々あって、スミちゃんの優しさに触れて泣いたのは覚えてるけど…。
だが、俺は不可解な夢のせいで、現実との記憶に戸惑いながらもスミちゃんの質問に答えた
イ「どうもこうも、昨日の今日だからな。バイト先は急いで見つけるにしても。ただ、タイミング悪くと言うか良いというか部屋の更新日があと1週間後でさ…。正直、しばらく路頭に迷うのは避けられそうにないよ…」
ス「そっかぁ…、芸人さんのお仕事は?」
イ「そんなの…、あってないようなものさ…。舞台でのライブしか出たことないし…、ショーレースも頑張っては見てるんだけど、3回戦までしか行ったことないし…。正直、もうそろそろ潮時かなぁって思ってるんだぁ」
ス「そんなぁ!勿体無いよ!!せっかく人を笑顔にするすごい仕事なのに!」
イ「そりゃあ、俺だってできれば芸人で食っていきたいさ。だけど、もう10年近く芸人やってきたけど…、正直才能ないのかなぁって…」
正直、ここ最近芸人としての仕事を人に話すのは気がひけるんだ
何たってこんな感じで暗い感じになってしまうからな
ただ、俺がこんな感じだっていうのにまたスミちゃんと来たら…
ス「ん?あぁ!大変!!今日舞台の稽古あるのすっかり忘れてた!ごめんイザヨイくん!話は帰って来たら聞くからぁ!!」
イ「えぇっ!?ちょっと!家どうするのさぁ!?」
俺の言葉を聞く間も無く、スミちゃんは刹那の如く家を出て行ってしまった。
イ「もう!なんなんだよ!!わけわかんねーよ全く!」
ドンッ!バサッ!
苛立ちから、俺は思わず机に思い切り手を叩きつけると同時に、何かが落ちる物音がした。
イ「ん?何か落ちたみたいだけどなんだ?封筒?」
落としたものは、定形外の大きめの封筒だった
その大き目の封筒を手に取り、封筒に書かれた文字を確認すると目を背けたくなるようなことが書いてあった
イ「えーっと、舞台「ビューティ・ヒロイン」…。うぇぇ!?これつてまさか!?」
俺は嫌な予感がして、封筒の中身を確認するとその嫌な予感がズバリ的中した
イ「や、やっぱり…。これスミちゃんが今度やる舞台の台本じゃないか…。もう何やってるんだよぉ。昔っから慌ててると結構大きなミスを犯すんだよなぁスミちゃんは…」