魔法使いの双子姉妹に恋した少年(リメイク)   作:まもる

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白騎士の再来と第七次大規模侵攻

 

 魔法学園の文化祭も終わり、俺は束さんから改修された白式改を受け取ったのだ。

 

 白式改は以前の白式とは違い、武装が強化された事だろう。

 

 まず、主武装だった雪片弐型が降ろされて代わりにエネルギー消費を抑えつつ、柄が槍の様に伸びる事が出来て投擲用プラズマランサーになるプラズマセイバーや新たに追加された射撃武器であるエネルギーパック式でライフル型のエネルギー集束式ビームライフル(対魔物用魔導ライフル)や右腕や左腕のマウントラックに装着してエネルギーチューブから機体のエネルギーから供給して使用するエネルギー収束式ビームランチャーであるパワーランチャー。

 

 そして、最終決戦で破壊したエクスカリバーを束さんが宇宙で回収。それをISが携帯出来るレベルまで小型化し、宍戸博士の理論を合わせて作製した超大出力の超エネルギー集束式ビームランチャーのバスターランチャー。

 

 バスターランチャーの装備に合わせて機体も改修。

 

 まず、手を着けたのはエネルギーと機動力だった。従来の白式の難点だったエネルギー不足を解消するために拡張領域を狭める原因だった単一仕様を廃止してシステムから撤去。

 

 そして、拡張領域を拡充してエネルギー関連を強化している。結果、シールドエネルギーを従来の1500から軍用機の数倍以上の15000のエネルギー量を誇り、そして、拡張された拡張領域には新たなシステムに射撃照準補正装置や学習型AIを搭載してシステムを強化。

 

 機動力も凄まじい反動があるバスターランチャーの反動を反動軽減を目的に強化され近接特化タイプからマルチタイプへと改修されたのだ。

 

 白式改を名乗ってはいるが別物の機体へと変貌を遂げたのだ。

 

 そして、紅椿を作製し白式を改修した束さんが白式改を見て、既に5.5世代に入る機体にまで昇華しているらしいと明言していた。

 

 早速だが、俺は白式改をリミッターを掛けて楯無さんと模擬戦をしたのだ。

 

 「一夏君から模擬戦なんて珍しいじゃない」

 

 「えぇ、白式改の完熟訓練には楯無さんが良いと思ったので」

 

 「へぇ、最近、白式を使っていないと思ったら改修中だったんだ。」

 

 空中で射撃戦を展開しながら、雑談を挟む楯無さん。

 

 「なら、これはどうです?」

 

 ライフルの三連射撃を放って見たのだ。少し、照準をずらしてだが

 

 「ちょっと!?嫌らしい射撃するわね!」

 

 それをひらりと交わす楯無さんに言われると少し腹が立つな・・・・なら・・・・

 

 俺は最近覚えたラピットスイッチでバスターランチャーを出したのだ。

 

 「楯無さん、これでも喰らって下さい。エネルギーチャージ・・・・10%・・・・あったれぇぇぇ!」

 

 ズバァァァァァァ

 

 「嘘でしょ!?」

 

 零落白夜の代わりに必殺武装のバスターランチャーだ。

 

 オプション武装にもかかわらず競技用リミッターで10%のチャージでも一撃で霧纏いの淑女のシールドエネルギーに大ダメージを与える武装だ。もし、最大威力で撃ったらどうなるかは一目瞭然だった。あの、宇宙での最終決戦の様にビームが貫くだろう。

 

 ただ、難点は改修した白式改でなければ直ぐにエネルギー切れを起こす代物だ。

 

 だって、普通に使ったら450のエネルギーを一回で消費してしまうのだから、諸刃の剣と変わらないのだ。あの零落白夜のように・・・・

 

 そして、不意を突かれた楯無さんは・・・・・・

 

 「キャァァァァ!?」

 

 水の壁すらも貫きバスターランチャーの直撃を受けてシールドエネルギーを無くしていたのだった。

 

 模擬戦を終えた俺はピットで楯無さんから猛抗議されていた。

 

 「何よあれ!威力は弱いけど、最終決戦時のエクスカリバーそのものじゃない!鬼畜よ!以前の白式より強化されてるじゃない!」

 

 やっぱり、バスターランチャーは元がエクスカリバーだと判るらしい。

 

 「近接特化タイプからマルチタイプにしただけだよ?」

 

 「ふっえ?じゃあ、零落白夜はどうしたのよ?」

 

 「束さんが改修したからシステムごと外しているよ。代わりに射撃照準補正装置や学習型AIを積んだみたいだけど」

 

 「だって、以前に改修しようとして外せない単一仕様だったじゃない!でも、篠ノ乃博士なら外せるわね・・・」

 

 「白式を作った本人ですから・・・・」

 

 「それもそうね・・・・」

 

 妙に納得する楯無さんだった。

 

 

 

 

 

 慣熟訓練が終えて、俺はIS学園の食堂で箒達とお昼を食べていた時だった。

 

 『臨時ニュースをお知らせします。世界各地の魔法学園と埼玉県風飛市と私立グリモワール魔法学園の方面に魔物の群れが侵攻したと既に国軍は壊滅状態であり・・・・・』

 

 ガッシャン

 

 臨時ニュースを聴いた俺の頭が真っ白になった。大切な女性(イヴとノエル)がいる学園にあの綺麗な街が近くまで魔物に侵攻を受けたとテレビで見てしまったからだ。

 

 「おい!一夏!しっかりしろ!」

 

 「ちょっと、一夏しっかりしなさいよ!」

 

 箒と鈴は心配して声を掛けて来るが俺の耳には入っては来なかった。

 

 俺が考えているのはイヴとノエル事だけだったから・・・・・

 

 落とした食器をそのままに、俺は食堂から走って出て行こうとしたら箒達に止められたのだが、

 

 「箒、鈴ゴメン!俺は行くわ!」

 

 「ちょっと!どこに行くのよ!」

 

 「グリモアール魔法学園だ!」

 

 「一夏、死ぬ気か!?」

 

 「それでも、行かなきゃ駄目なんだ!」

 

 「おい、待て!」

 

 二人の制止も聞かず、俺は整備室に向かった。

 

 整備室には決戦時の名残で大量のエネルギーパックがあるからだ。

 

 白式改の拡張領域に大量のエネルギーパックを積めるだけ詰め込み、白式改を展開して学園を抜け出したが飛行を開始して直ぐに千冬姉から通信が来たのだ。

 

 『一夏!何処に行く!』

 

 『千冬姉、ゴメン!俺はイヴとノエルを助けに魔法学園に行く!』

 

 『一夏!死ぬ気か馬鹿・・・・プッツン・・・・・・』

 

 俺は通信を切った。もし、生きて帰って千冬姉に叱られようとも、同級生に何言われようとも・・・・・

 

 イヴとノエルが大切だから・・・・・

 

 

 白式改の競技用リミッターを解除すると本来の白式改の姿になったのだ。

 

 右腕に装着して装備されているのは束さんから新たに送られてきた魔導ライフルの代わりに腕のマウントラックに装着して使用するパワーランチャーと言われるエネルギー直結型のエネルギー集束式のレーザーランチャーだ。

 

 このパワーランチャーは競技用で使用しているバスターランチャーと威力は全く変わらないがエネルギー消費が10から15程度で済むのだが、競技用には威力が強すぎて使えない。

 

 そして、左腕には予備のパワーランチャーとプラズマセイバーをシールドに収め、ビームコーティングを施されたシールドを装着し、見た目は翼の生えたとあるアニメの■■ガイムに見えるのは束さんのご愛敬だ。

 

 風飛市に近い街では地面が見えないくらいの魔物の群れが魔法学園と風飛市に向けて侵攻中だった。生き残りの国軍のIS部隊も行かせまいと奮闘するが魔物の直撃を受けて爆散したり、捕まり四肢をバラバラに裂かれたりと熾烈を極めていた。

 

 

 「酷いな・・・・・」

 

 上空を旋回して飛行中だった俺に魔法学園から通信が入って来たのだ。

 

 『こちらは、グリモワール魔法学園の生徒会長の武田虎千代だ。所属を問う』

 

 『こちらは、IS学園所属の織斑一夏だ!』

 

 『馬鹿な!?IS学園だと!?既に国軍の一部が敗走して撤退を始めている。悪いことは言わない。ISでは魔物は倒せないから引き返せ!』

 

 『俺の下には魔物の群れを大多数を確認している。バスターランチャーによる掃討を具申する。ダメなら引き返えす』

 

 『分かった任せる。現在はそちらに一般市民と国軍は既に避難済みだ』

 

 『了解・・・・』

 

 パワーランチャーをラックから外してシールドにしまい、拡張領域からバスターランチャーを取り出した。

 

 そして、リボルバーイグニッションブーストで魔物の群れを追い抜き、群れから1キロ先で降り立ちシールドを地面に突き刺しバスターランチャーを乗せるとバスターランチャーのエネルギーチャージを始めたのだ。

 

 「バスターランチャーリミッター解除・・・エネルギーフルチャージを開始!・・・・・・120%・・・・・・150%・・・・200%・・・・・250%・・・・・・300%・・・・・・・400%・・・最大臨界点突破・・・・・・・・今だ!いっけぇぇぇぇぇ!?」

 

 ポゥォォォ・・・・・・ズバァァァァァァ

 

 「くっ!?反動が・・・・・なら、スラスター全開!ウォォォォォ!」

 

 トリガーを弾きバスターランチャーを発射したのだ。

 

 初めて最大出力での射撃だったが、バスターランチャーのビームは一筋の奔流となって魔物達の群れの半分以上を飲み込んだのだ。その光はIS学園からも確認出来る程だったのだ。

 

 

 

 同じ頃IS学園でもバスターランチャーのビームを観測していた。

 

 それは、二人にしたらあの宇宙での決戦を思い出したのかも知れない。

 

 「織斑先生!?」

 

 「山田先生、どうしたのだ?今、一夏を逃亡罪で捕まえる為の編成を・・・・」

 

 「それより、外を見て下さい!」

 

 「何だと!?あれは・・・・・・・・・・・エクスカリバーだと!?」

 

 私は窓から外を見ると一筋に延びる光が見えたのだ。

 

 あの光は見たことがあった。

 

 一度は一夏を死なせた代物が何故?

 

 まさか、束の仕業か?

 

 いや、違う。

 

 いや、もっと最近だ。

 

 そうか、楯無との訓練で見せたバスターランチャーか?

 

 「まさか・・・・・一夏が・・・・・・」

 

 私の心は一夏が心配で仕方なかったのだ。

 

 あのビームで確証した。

 

 一夏は既に魔物と交戦しているのだと思ったからだ。

 

 そして、更織姉を指揮官に更織妹、シャルロット、鈴、セシリア、ラウラの一夏を捕まえる為の部隊を編成したのだ。

 

 無駄足でも構わない。

 

 一夏、無事で居てくれ・・・・・・・

 

 一夏の事でイライラしていた私は怒鳴ってしまったのだ。

 

 「さっさと捕まえに行かんか!馬鹿者!」

 

 .「「「「「「ヒッィィ!?」」」」」

 

 

 

 私は屋上に行くとある人物に電話をしたのだ。

 

 「済まない。ウチの愚弟がお世話になるが大丈夫だろうか?」

 

 「大丈夫じゃよ。うちの生徒である冬樹姉妹が惚れてしまったのじゃから、千冬ちゃんの弟なら大丈夫じゃろう」

 

 「ありがとうございます。犬川学園長・・・・」

 

 

 

 

 

 バスターランチャーを撃ち終わるとランチャーの先端部はリミッター解除をしたことで飴細工の様に熔けてしまい使えなくなっていた。

 

 「400%でこの威力かよ。束さん、威力が強すぎる・・・・・」

 

 バスターランチャーを投棄すると、まだ目の前にはバスターランチャーから逃れた魔物達がまだいたのだ。

 

 その数は約200体以上はおり、エネルギーはまだ半分以上あり予備のバスターランチャーも拡張領域に何基か残っていた。

 

 再び、バスターランチャーを取り出して、再びエネルギーチャージを始めたのだ。

 

 「ちぃ・・・逃れたのか・・・・なら、何度でもバスターランチャーを撃つだけだ!バスターランチャー拡散モード・・・・エネルギーチャージ開始!・・・・・エネルギー120%・・・・マルチロックシステム起動・・・・ターゲット・・・・捕捉・・・・あったれぇぇぇ!」

 

 ズバァァァァァァ・・・・

 

 拡散したビームは魔物達を貫き数を減らして行ったのだが、魔法学園から再び通信が入ったのだ。

 

 『こちら、生徒会長の武田虎千代だ。君に済まないが、こちらの学園に一時撤退をしてもらいたい。ついでに、瑠璃川姉妹の所に向かい、撤退の支援を頼む』

 

 『了解・・・瑠璃川姉妹の所へと向かう』

 

 バスターランチャーを拡張領域に収納して、送られて来たGPSのデータを元にイヴ達が居る市街地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 私達は隣街にも魔物が確認された為に住民を地下シェルターへの避難誘導の任務に就いていた。メンバーは私と妹のノエルに瑠璃川姉妹の姉の春乃と妹の秋穂だった。

 

 「さぁ、皆さん落ち着いて避難して下さい!」

 

 「シェルターには十分入れます。慌てないで下さい!」

 

 妹コンビが上手く住民を地下シェルターへ誘導していく。

 

 私と春乃で魔物が来ないか周りを警戒していたのだ。

 

 たまに、群れから離れた魔物が居るからだ。

 

 そして、今回も群れから離れた魔物がいたのだ。最も最悪な形で・・・・

 

 「イヴ!あなたは秋穂とノエルを連れて逃げて!タイコンデロガ級の魔物よ!私が囮になるから早く!」

 

 春乃が見たのはタイコンデロガ級の魔物だった。

 

 今、現在で確認されている魔物の中では最強クラスの魔物で過去にアメリカ軍所属の魔法使いが多数在籍する特殊部隊が一体だけだったが遭遇して全滅した最悪な魔物である。

 

 それが、12体も居たのだ。

 

 秋穂とノエルの叫びも虚しく、既に私と春乃はタイコンデロガ級の魔物達の牙が向かって来たのだ。

 

 「「お姉ちゃん!!」」

 

 私にはノエルの叫び声が聴こえてなかった。魔物を前に脳裏に一つだけ浮かぶのは一夏とノエルの事だった。

 

 もし、神様が許してくれるなら、私は私達姉妹で一夏との恋を実らせていろいろな思い出を作りながらも一夏と結婚して姉妹で一夏の子供を授かり、私達姉妹と一夏に子供達と幸せな家庭を作りたかった。

 

 笑顔が絶えない家庭を・・・・・あんな、寒く冷えた今の家庭よりも一夏と私達姉妹で造る暖かい家庭を思い描いていたのだ。

 

 そう、私が描いた虚しくはかない夢だったかも知れない。

 

 「本当、私はどうしちゃったでしょうか?」

 

 「えっ?冬樹?」

 

 以前の私なら、魔法使いになるということは前線で戦い、そして、一輪の花の様に散る存在だと私は決意していた。それは、両親に引かれた人生という名の一本のレールの様に・・・・

 

 だから、私は尚更、思ってしまったのだ・・・・生きて、幸せになりたいと・・・・

 

 だけど、私に見えるのは口が大きく開いた魔物の牙。そして、私がこれから死ぬのだとと言う現実という絶望だった。

 

 私は呟いていたのだ。

 

 「嫌・・・・・・死にたくない。死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・・・・・・・・・・・・死にたくないよ・・・・・一夏、助けて・・・・・・・・」

 

 そして、私は妹のノエルに視線を向けて謝っていた。

 

 「あっ、あぁぁぁ・・・ノエル、一夏・・・・ごめん・・・」

   

 「秋穂・・・・・ごめん・・・・」

 

 私は目を閉じながら死を覚悟して一夏と最愛の妹の名前を呟きながら謝り、私と春乃は死を覚悟したのだがタイコンデロガ級は襲って来なかったのだ。

 

 ヒュン・・・・・・・グッサァ・・・・・

 

 「えっ?死んでない・・・・・・」

 

 私は目を開くと目の前にはランサーが突き刺さり絶命した一体のタイコンデロガ級。

 

 私にはランサーに見覚えがあった。

 

 以前、夏休みに束さんの所で一夏が使用していたプラズマセイバーをランサー形態にしたプラズマランサーが刺さっていたのだ。

 

 「えっ??何故?」

 

 そして、ランサーが飛んできた方角を見上げると上空から私にとって最高の王子様が来たのだ。

 

 一夏が専用機の白式を纏い来てくれた。

 

 そして、一夏の姿は白い鎧を纏う騎士の様に見えたのだ。

 

 「イヴをやらせるかぁぁぁ!」

 

 「一夏!?」

 

 そして、私と春乃が見たのは鬼神に迫る勢いでタイコンデロガ級に戦いを挑む一夏。

 

 私は見惚れてしまったのだ。

 

 「これが、ISでの戦い・・・・」

 

 一夏は両手にプラズマセイバーを展開して模擬戦では絶対に見せない様な軌道を描き、魔物達を切り裂いて行った。そして、離れた魔物にはビーム砲で撃ち抜いて行ったのだ。そして、三分も経たない内にタイコンデロガ級の魔物は全滅したのだ。

 

 そう、一夏は一人で12体のタイコンデロガ級を倒したのだ。

 

 「えっ!嘘でしょ?12体のタイコンデロガ級をたった三分で・・・・・・」

 

 驚愕し呆然とする春乃をしり目に一夏は地面に降り立ち、白式を解除して私の所に来てくれたのだ。

 

 「イヴ、無事か?」

 

 私はうれしかった。だって、一夏が私を守ってくれたのだ。

 

 でも、同時に私は泣きたくなったのだ。

 

 だって、一夏に二度と会えなくなると思っていたし、ノエルに寂しい思いをさせてしまうと思ったから・・・・・

 

 ノエルには後で謝らないとね。

 

 一夏に抱き着いた事を・・・・・

 

 「一夏・・・・・恐かったよ・・・・うわぁぁぁぁぁ!?」

 

 私は一夏に抱き着き、余りの死の恐怖心から声を上げて泣いたのだった。

 

 「よかった。イヴ達が無事でさ。さぁ、学園に帰ろう。おっと、その前に渡す物があったんだ」

 

 一夏が私に渡したのは金色の十字架のペンダントだった。

 

 「一夏、これは何ですか?私に神様にでもお祈りでもしろと?」

 

 「違うよ。これはイヴの専用機だよ。専用機の名前はレナス、イヴを守る為のISだよ。」

 

 そう、一夏に渡されたのはISだった。金色の十字架は待機状態の専用機だったのだ。

 

 「ノエルにもこれ」

 

 ノエルに渡したのは私とは色違いのシルバーの十字架だった。

 

 「一夏君、ありがとう」

 

 「ノエルの専用機の名前はアテナだ」

 

 「大事にするね」

 

 何故、一夏は専用機を持って来たのだろう。コアには限りがあると何かの本で読んだ気がする。何故・・・・

 

 「ねぇ、一夏。この専用機はどうしたの?」

 

 「これは、束さんが二人の為に作ってくれたんだ」

 

 

 

 束さんって・・・・ISの生みの親の篠ノ乃束博士の事だとすぐに分かった。夏休みに一度、会っていたがあまり良い思い出が無い。会って、いきなり私とノエルを抱きしめたのだ。

 

 「イーちゃんとノーちゃん可愛い!さぁ、束さんとハグハグしよう!」

 

 「「ヒッィ!?」」

 

 「うぅぅん!良いね!良いね!可愛いね!いっくんの恋人じゃなかったら、お持ち帰りしたいよ!あっ、その前にコアに触ってくれる?」

 

 「「はい?」」

 

 「やっぱり、イーちゃんとノーちゃんは凄いね!束さんが作ったコアNo.004、No.005が今まで反応しなかったのに反応したよ!じゃあ、コアはこれで決まりだね!いっくん、作業に戻るからじゃあね!」

 

 「「「・・・・・・・・」」」

 

 束さんに抱きしめられた私とノエルは、束さんの巨大な胸に埋められ窒息しそうになったのだ。そして、束さんからISのコアを触る様に言われ、反応したコアを持ったまま研究室に閉じこもってしまったのだ。まるで、嵐が過ぎ去ったかのように・・・・

 

 

 

 「じぁ、虎千代さんが待って居るから学園に戻ろう。イヴとノエルは専用機を展開出来る状態だから展開してみてくれ」

 

 私とノエルはレナスとアテナを展開したのだ。

 

 「行くよ。レナス」

 

 「お願い!アテナ」

 

 展開すると、私の専用機の姿は白銀の美しい甲冑を身に纏い片手には斧が付いた槍ハルバートを握り、凛々しく美しい姿の女神である戦乙女(ヴァルキュリー)の姿そのものだった。そして、ノエルの専用機は炎が宿る槍を持ち、炎の様な赤い甲冑を身に纏いし戦の女神アテナを見ている様で力強くそして綺麗だったのだ。それを見ていた、瑠璃川姉妹の反応は

 

 「お姉ちゃん、女神を見ているようで綺麗ですね」

 

 「あぁ、全く綺麗だな。だが、秋穂に劣るが・・・」

 

 私は春乃を抱き抱え、ノエルは秋穂を抱き抱えて一夏と一緒に魔法学園へ帰還したのだ。

 

 

 

 

 

 

 Side 虎千代

 

 アタシは生徒会室では、いろいろな報告が入って来ていたのだ。

 

 まず、瑠璃川姉妹達の所にタイコンデロガ級が現れた事と別方向で避難誘導していた、霧塚萌木、来栖焔、越水ソフィア、与那嶺里菜の四名が魔物に襲われ死亡したという報告が偵察に行った報道部の岸田夏海からされたのだ。

 

 そして、四名は国軍によって遺体が回収され、遺体袋に入れられた状態で学園に無言の帰還となったのだ。

 

 アタシは無言の帰還をした四名に哀しみを抱きながらも、霧に身体を蝕められ魔力を失い戦う事の出来ない自分に怒りを感じていたのだ。

 

 そう、やるせなさと自分の情けなさに・・・・

 

 「糞!どうして、彼女達が犠牲にならければならいんだ!」

 

 ドッガァ

 

 四名が亡くなり犠牲になった事が悔しかった。

 

 机を叩いても手が痛いだけだった。

 

 そして、瑠璃川姉妹達の所にタイコンデロガ級が現れた時点で、まだ未熟な魔法使いである瑠璃川姉妹と冬樹姉妹が死亡してしまうのは見て明らかだった。

 

 しかし、偵察と救援に向かった生徒達の話では、シェルター付近にはタイコンデロガ級の多数の切り刻まれた残骸や地面が融解していたらしいく戦闘をした形跡があったのだ。

 

 だが、残念な事に瑠璃川春乃からは定時連絡がなかったのだ。

 

 

 「せっ、生徒会長!?」

 

 慌てて入って来たのは生徒会メンバーの結城だった。

 

 「どうした?」

 

 「学園に向って、飛行して来るのをレーダーで確認しました。飛んできた方向からして、瑠璃川春乃達が居た方向です」

 

 「何だと!?アタシも外に向かう。着いて来い!」

 

 アタシはコロシアムに向かったのだ。

 

 もし、ISなら降り立つ場所はコロシアムしかなかった。

 

 「生徒会長!どうして、コロシアムに向かうですか?」

 

 「多分、あれは味方だ。少し待て」

 

 しばらくして、詳細が判る位に見えると人を抱えた機体が2機と白い機体だが、戦闘で黒く煤で汚れてはいるが傷らしい傷は無い。

 

 アタシは3機を見て結論づけたのだ。

 

 ISだったと・・・・・

 

 そして、3機は一緒にコロシアムに降りて来たのだ。春乃と秋穂を抱えた人物は判る。冬樹姉妹だ。そして、真ん中に降り立つ男性は唯一、男性のISパイロットの織斑一夏だろう。

 

 アタシは五人の側に行くと、瑠璃川姉妹はアタシを見たことで安堵した表情になり姉妹揃って抱き合い泣き始めたが、逆に冬樹姉妹は不安な表情をしていたのだ。

 

 

 

 「お前が、織斑一夏だな?」

 

 「はい、俺が織斑一夏です」

 

 アタシがすることは一つだった。人して当たり前な事だとアタシは思う。

 

 頭を下げアタシは

 

 「救援、ありがとうございます」

 

 しかし、一夏は違っていたのだ。

 

 「俺は、お礼される事はしていないです。ただ、俺は愛するイヴとノエルを守りたかっただけです」

 

 そう、ただ愛する者を守りたい。

 

 その想いだけでIS学園からやって来て私達を守ってくれたのだ。

 

 だが、アタシは生徒会長だった事を呪いたかった。

 

 一夏に残酷な事を言わないといけなかったからだ。

 

 「お前には、残念な知らせがある」

 

 そう、言った瞬間に冬樹姉妹の目付きが変わった。

 

 まるで、一夏を奪われてたまるかと言わんばかりの表情で睨みつけ、たとえ、アタシに勝てなくても一子報いていてやると目が訴えていたのだ。

 

 アタシは思ってしまったのだ。

 

 こんなにも女性は恋をしたらこんなにも変わるものなんだと。

 

 以前は生徒会にまで問題が上がる程、いがみ合い喧嘩をする姉妹が林間学校を後に、今は仲良くなり姉妹一緒に一人の男性を愛してやまない二人の少女の顔は一人の男性を愛してしまった女の顔だったのだ。

 

 アタシは二人の女としての顔に恐怖したが、アタシは一夏に言わなくてはいけないのだ。

 

 たとえ、二人に恨まれようとも・・・・

 

 「IS学園から織斑一夏に逮捕状が出ている。罪状は逃亡罪だ。アタシは立場上、お前を捕まえなくてはいけないのだが?」

 

 「「生徒会長!」」

 

 やっぱり、冬樹姉妹は噛み付いて来たのだ。だが、ここで引き下がるアタシではない。アタシは打開策として、ある人物を呼んだのだ。

 

 「野薔薇居るか!」

 

 「あら、わたくしにご用ですの?」

 

 野薔薇が出てきたのはコロシアムの客席だった。

 

 「ふっ、そこに居たのか。なら、丁度いい。IS委員会に圧力をかけてもらいたい。父親のコネを使っても構わない。IS学園には罪状の取り消しをするようにしてくれ」

 

 「分かりましたわ。この野薔薇姫が良い結果を御覧に入れましょう」

 

 アタシにそう言うと野薔薇の姿は消えていたのだ。そして、一夏と冬樹姉妹には

 

 「それと、織斑一夏の身柄は私立グリモワール魔法学園が預かるとアタシがIS学園に連絡を入れておこう」

 

 私立グリモワール魔法学園に預かる事にしたのだ。この侵攻を乗り切る為に・・・・

 





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