とある原石の強度殺し《レベルダウナー》   作:スキート

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第三章 為すべき事、果たすべき正義

 七月十四日 -??-

 

「お兄様!行きますわよ!」

 

「ああ、わかってるよ」

 

 俺と白井は走る。攫われた少女を助けに。

 

 

 

 ─×─×─×─

 

 

 

 遡ること2時間前───────。

 

 

 

 俺がぴったり風紀委員(ジャッジメント)の支部に着いた頃に俺は少女が攫われたことを知る。

 

「比企谷くん、白井さん。行ける?」

 

 来たばかりの俺と正義感の強い白井に指名がくる。

 

「はぁ、やりますよ……」

 

「もちろん、やらせていただきますわ。しかもお兄様と一緒だなんて……ぐふふふ……」

 

 俺はこんな白井を無視し、一番最新の情報を頼りに現場に向かう。

 後ろから「ああん!無視するお兄様も……!」とか言っていたが、気にしたら負けだろう。うん、気にしない。八幡嘘つかない。

 

 そんなこんなで俺たち二人は少女が攫われた現場に向かった。

 

 

 

 ─×─×─×─

 

 

 

 現場の路地裏に着く。

 そこには、少女が持っていたとされる鞄があった。

 

「こっからどうすっか……」

 

 俺がそう呟くと、白井は固法先輩に電話をかける。

 

「固法先輩。新しい情報とかはありますか?」

 

『んーと、一つだけならあるわ。確か比企谷くんの学生寮の近くなんだけどね。近くの廃墟に抵抗する女の子連れて入っていく男達(・・)を見たって情報がさっき来たわ。二人はそこに向かってちょうだい』

 

「ありがとうございます。固法先輩」

 

 そう言い白井は携帯をしまう。かなり有力な情報が手に入った。

 

「固法先輩が男達(・・)と言ったので、複数犯ですわね……」

 

武装無能力者集団(スキルアウト)、か……」

 

 武装無能力者集団というのは、いわゆる無能力者(レベル0)の集団である。要するに、能力が手に入らず、不良の道を進んだ者たちのことだ。一つの力より数、質より量を体現している奴らだ。

 

 

 

 そして、冒頭に戻る───────。

 

 

 

 ─×─×─×─

 

 

 

 第七学区にある廃墟

 

「…聞こえるか?白井」

 

「ええ、バッチリと」

 

 廃墟の中からは複数の男の声と叫び続ける少女。

 

「…行くぞ。白井」

 

「わかりましたわ。お兄様」

 

 そして、俺たちは廃墟の中に入る。風紀委員(ジャッジメント)として、果たすべきことをする為に───。

 

 

 

風紀委員(ジャッジメント)だ。拘束する」

 

風紀委員(ジャッジメント)ですの‼︎」

 

「な、何だ!?」

 

風紀委員(ジャッジメント)かよ!」

 

風紀委員(ジャッジメント)さん……。助かった……」

 

 そういい、攫われた少女は安心したのか、意識を落としてしまう。はぁ、面倒いけど直ぐに終わらせるか…。

 

「行くぞ、俺は左、お前は右のやつらを頼む」

 

「了解ですの!」

 

 俺の合図とともに俺と白井は走り出す。

 

 白井は空間転移(テレポート)の力を駆使し戦い、俺は能力を見せるわけにもいかないので、素手で捌いていた。

 

「お、お前ら‼︎ あれを用意しろ‼︎」

 

 武装無能力者集団のリーダーと思わしき男は叫ぶ。

 何を出すのかは知らないが早いうちに片付けなければ。

 

 だが、大きな機械から音が鳴り始める。それと同時に白井が膝をついてしまう。

 

「お、おい! 白井! 大丈夫か⁉︎」

 

 俺はつい反射的に白井に近づく。くると白井が、「演算が出来ないんですの……」と言う。

 

「わかったか? ガキィ‼︎ これはキャパシティダウンっつってなぁ、能力者の演算を妨げる装置なんだよ‼︎」

 

 それは厄介だな。原石である俺は演算をしない為効かないが、白井が動けないとなると少しだけめんどくさい。

 

「お前はたった一人でこれだけの人数を相手にしなくちゃいけないんだぞ!」

 

 男たちは俺と白井を囲むように立つ。人数は12人。最初にいたのが18人なので6人しか倒せていない。

 

「……めんどくせぇ」

 

「…だ、大丈夫なんですの?」

 

「白井、安心しろ。少し待っててくれ。こいつらは俺が倒す」

 

 俺はそう言うと、白井の前に立ち、不良と相対する。

 

「…さぁ、かかってこい」

 

「て、てめぇ…! ぶっ殺す! 行くぞてめぇら!」

 

「「「「「おお!」」」」」

 

 この場合、俺は素手で全員を対象しなければならない。俺の能力、強度殺し(レベルダウナー)は、レベルがあるものには聞くが、無能力者(レベル0)には、勿論聞かないようになっている。

 

 この能力は、俺が相手に触れることで一定時間相手のレベルを落とす。

 1秒触れば一つ、2秒触れば二つ、3秒触れば三つ………と、約1秒触るごとに一つずつレベルを落とすことが出来る。有効時間は大体10秒程、たったそれだけとおもうかもしれないが、10秒もあれば倒すことは難儀ではない。

 

 ……今更だけど能力の説明したところで使えないんだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【SHIRAI KUROKO SIDE】

 

 やはり強い。お兄様はとても強い。たった1人で、しかも素手で10人以上の相手を圧倒している。

 普通ならありえない。10人以上を相手に圧倒するなど、特殊な訓練を積んでいるとしか思えない。

 ……私は、お兄様のことをよくわかっていない。何を抱えているのかも知らないし、自分のことをあまり他人に話さない。

 

『俺のことは深く詮索するな』

 

『…俺はお前の兄貴じゃないぞ。白井』

 

 昔のことを思い出す。私にとっては苦くて、思い出したくないもない昔の話。お兄様とは和解が出来た。でも、お兄様は何か隠しているのだけはわかる。

 

「お兄様は一体………」

 

 私はボソッと呟く。誰を聞いてなどいない私の独り言は私の胸の中で何回もリピートされていた。

 

「? どうした白井?」

 

「い、いえ。なんでもないですの」

 

「帰るぞ」

 

「……わかりましたですの」

 

 気づけば、武装無能力者集団(スキルアウト)たちは全員倒れていた。

 

 

 でも、仕事がめんどくさいからって、仕事をサボるのは感心しませんわね……。私の命の恩人さん。……そして、私の初恋の相手。

 

「お兄様。拘束して連れて帰りますの」

 

「……まじで?」

 

「まじですの」

 

 はぁ…。お兄様はやっぱり面倒臭がり屋ですの……。

 

 

 

 

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