七月十四日 -比企谷家-
「……お兄様」
「は、はい…」
「これは一体どういう事ですの?」
「す、すみません……」
「別に私は謝ってとは言っておりませんの」
そして、俺の目の前にいる白井が言葉を一度区切り──────
「…なんで
「あらぁ。白井さん。それは負け惜しみぃ?」
「い、一体なんの事ですの?」
「……お、おい。二人とも落ち着いてくれ」
「「いやですの(いやよぉ)」」
俺の部屋で口論している二人の少女。
白井黒子と食蜂操折。
どちらも名門・常盤台中学の生徒だ。
よく俺の部屋に来る金髪の操折となんか今日初めて俺の部屋に押しかけた白井がいきなり喧嘩を始めたのは流石にびびった。
「
「…そ、そういう貴女こそお兄様の前だけデレデレして、学校での女王様気取りはしないんですの?」
……今まで気にしたことがなかったけどこいつらどっちも常盤台中学の生徒なんだよなぁ。
「そんなことよりお兄様。なんでこの女だけ名前呼びで私は苗字なんですの?」
いきなり白井が俺に聞いて来る。考えたこともないなぁそんなこと。
「…まぁ、強いて言うなら操折に前に名前で呼べって言われたからだな」
「じ、じゃあ私も名前で呼んでくださいまし」
「…あ、あれぇ。白井さん。いきなりどうしたのよぉ。名前呼びにしろってぇ」
「別に、私がお兄様に何言おうが私の勝手ですの」
お、おい。お前らの間で火花散らすなよ……。俺が居づらいだろうが…。ここ俺の部屋なのに………。
「まぁまぁ。落ち着けって。操折に
「ひゃ⁉︎」
お、黒子がなんか珍しい声を出してるな。
「い、いきなりは卑怯ですの…」
顔を真っ赤にして俯く黒子。いや、お前が名前呼びにしろって言ったんだろうが……。
「ぐぬぬ」
なんか操折悔しそうにハンカチ噛んでるし。
もう収拾つかんな、この状況は……。
。。。
七月十五日 -比企谷家-
朝になり、俺は学校に行く準備をする。昨日は色々面倒だった。名前呼びした黒子が、ずっと照れて顔を赤くしてたし、操折はずっと悔しそうにしてたし。
「……行ってきまーす」
「行ってらっしぁい」
ん? 何で操折が家にいるかって? それはね、こいつがよく泊まるからだよっ! あいつは俺が男だっていうことに危機感がないらしい。それはなんか男してショックだな………。
─×─×─×─
七月十五日 -とある高校-
「……なんか、はちやんから女の匂いがする気がするんやけど……」
「…確かにぜよ」
いや、何でわかるんだよ。こえーよ。普通に当たってるからこえーよ。
「な、なに言ってんだよ……。俺の周りに女なんかいるわけにゃいだりょ」
「あっ、噛んだ」
「噛んだな…」
「「この……」」
「え、いや、ちょっと待って────」
「「裏切り者がーーー‼︎」」
2人のパンチを素手で受け止める。
「…あ、危ねぇ」
「くっ! 強いぜよ」
「僕らの負けや……」
「「というと思ったかーー‼︎」」
「ぐっ‼︎」
俺は攻撃をあっさり食らってしまった。いてぇ。
「静かにしろ! このバカ共!」
「「「はい……」」」
吹寄の言葉に俺たち三人は黙る。俺ら女に弱えぇ。
─×─×─×─
あれっ? 弁当がない。そう気付いたのは昼休みが始まる前だった。ということは家にあると見る。直ぐに取りに行くことは可能だが、クラスの奴らに早すぎね? と思われるのも嫌なので、購買でパンを買うことにしようと思った時だった。
食蜂操折がこの高校に来てしまったのは─────。
「…あ、八幡。お弁当忘れてるわよぉ」
「……す、すまん。操折。それより、ほら。周りが見てるから…」
「そ、それよりってなによぉ! 折角私が作ってあげたのにぃ!」
ひぃ! 周りの視線が痛いよ!
「………はちやん。どういうことか説明してもらおうか…」
「お、おい。青髪…。関西弁が抜けてるぞ……?」
「はちやん……。お前は俺らを裏切った……」
「おい、まて、土御門。お前にだけは言われたくない。
「にゃ、にゃー⁉︎ 何でそのことを!?」
「部屋が隣だからうるさいんだよ…」
「ん? 八幡。この人が隣の部屋のうるさい人ぉ?」
「そうだ…」
俺は悟ように言う。ついに俺は悟りを開いたぞ! 何くだらねえこと言ってんだろ。俺。
「で、はちやん。この娘こは?」
そういい、青髪は操折に指を指す。
「…操折。自己紹介しろ」
「えぇとぉ。私はぁ、八幡の将来のお嫁さんになる食蜂操折でぇす」
「お、おい……、操折…」
「じゃ、八幡。そういうことでぇ☆」
「おい、まて。ちょ、まじでお願いします」
俺の制止を聞かず操折は教室を去る。何であいつは俺に修羅場を残して消えて行くの?ほら、やばいんだよこのクラス。もう後ろにはお怒りのオーラを放った女子と土御門たちがいるし……。
こんな時にいうことは一つだけしかない。
「……不幸だ…」
上条のよくいう言葉をいい、俺はその場から走り出す。捕まるのは時間の問題だな、これ………。
あれ? 操折、お前学校は?
。。。
【SYOKUHOU MISAKI SIDE】
まぁ、こんなもんでいいかしらねぇ。と私は内心呟く。あれくらいしないと八幡のことが好きな子は諦めないかもしれないしねぇ。
八幡はモテるから困るのよぉ。私を堕とした時のように、毎日とフラグを立てていることだろうしぃ。しかも、そのフラグを一度は折ることがあっても、直ぐに戻ってしまうのが現実。
私は負けないわよぉ。八幡の奪い合いに───。
あのクラスに私と八幡の中を見せつけるために、わざと八幡の鞄から弁当を抜き出したんだからぁ。
八幡は私のことを腹黒いというけれど、こんなものじゃないわよぉ。女の子の本気は、ね。