【衛宮士郎について】
―――リュー・リオンの場合―――
士郎さんについて、ですか?そうですね、一言で言ってしまえば理解の外側に居る人…ですね
あくまでも私の主観ですが、彼の行動原理には彼自身について全く考慮されていない気がします。
聞いたのですか?えぇ、彼は先日友人を助ける為に武装せずダンジョンに潜り、生還しました。
やはり噂にはなるでしょうね…いえ、こちらの話です。
底抜けの善人でお人好しで悪意を信じない人、と言う事ならまだ分かるかもしれませんが
え?えぇ、勿論そんな人居ないでしょう。しかし居てもおかしくないとは思えます。
彼はある意味真っ当な人間です。
自分の許容外の事をされれば怒り、反論し、抵抗します。
先ほども言った通り、そこには自分が居ません。そう、他人が居る事が前提です。
分かりませんか?
そうですね、例えば貴方は親交の深い友人が理不尽に害された時に居合わせたらどうしますか?
…えぇ、恐らく幾人もの人が貴方と同じように友人の味方をするでしょう。
では、あそこでダンジョンへ向かう青年だったらどうですか?
お知り合いではないですよね?えぇ、全く関わりの無い方で、この先の貴方の人生と彼が交わる可能性なんて皆無の人が対象です。
そうですね。
野次馬にはなるでしょうが、助けようなんて考えない。誰か助けてやれよとは思っても自らがそうなろうとは思わない。
…はい、彼はそうなる人なんです。おかしいでしょう?
意味ですか?ありません、きっと。
彼は、
ふっ。―――あぁ、すみません。この話をすると決まって皆が同じ顔をしますからつい。
そう、誰も彼もが彼の行動に理解を示すことが出来ない。
そうです。彼はそうすることによって金銭を得る訳でもなく。コネクションを獲得することもなく。
ただ彼にとって当然の事をしているだけですから。
……私は貴方の質問に答えただけです。
それ以上彼を悪し様に言うようなら相応の報いを受けて貰いますが。
―――――それが正しい。
私はいつもやり過ぎる。
ただの好奇心で彼を知ろうと言うなら一つ忠告を。
―――ヘファイストスの場合―――
衛宮、士郎…?
あぁ、最近噂になってる『
level0でダンジョンから帰ってくるなんて眉唾、尾ひれが付いた話でしょうけど…
勿論知ってる、なんて言ったってあの子うちの常連だからね。
別にうちの武具を買いに来てる訳じゃない。そうね、店としては冷やかしは困るんだけどね
そう、あの子うちの子達の評判はすこぶる良いわよ。
あんなキラキラした目でうちの子が造った武器を眺めてはこれはいい!これはすごい!って連呼してるんだもん。
彼の鑑定眼は確かね…見た目が良くても中身が伴わない作品には見向きもしないんだもの
たった一月うちに通っただけで、彼に見て貰う事が一種のステータスにさえなってる
彼に褒められた武器は、必ずと言っていいほど私の目から見ても一級品の仕上がり。
そうねぇ、本当なら私の眷属になって欲しかったのが本音ね。
きっとあの子とも上手くやれそうな気もするし…
え?あの子?あぁ、いやいやなんでもない。
きっとあの子は素晴らしい鍛冶師になるわ
あの子の本質はきっと
ヘスティアには悪いけど、たまにあの子うちの工房で剣を打ってるわ
出来る物は鈍らばかりで笑っちゃうけど、槌を振るうあの子の姿に見惚れるうちの子達も多いのよ?
なにが違うって?…そうねぇ、真剣味と言ったら他の子達が可哀想だけど
あの子は
向上心を持て余してただ理想を目指す姿は、ふふ…女の子はそういう男の子に弱いものよ。
男の子はね、一生懸命頑張ってる姿が一番かっこいいものよ
なんて、ちょっと買い被りすぎかもね。
気になること…?あの子の事で?そうねぇ…
きっと無意識だからあの子自身覚えていないんだろうけど
、剣を打っている時面白い事を呟いていたわ。
魔法の詠唱みたいで気にはなっていたのよね…なんて言っていたかな?
最初からはよく聞こえなかったけれど、確か最後は
そう、言っていたわ。なにを意味するのかはさっぱりだけどね。
―――ベート・ローガの場合―――
あぁ?あの偽善者野郎ことだぁ?
なんで俺があの野郎のことを喋らねぇといけねぇんだ、ふざけんなよお前!
ちっ!あいつは俺に喧嘩売ってくる一丁前の馬鹿だ!
いつか片を付けなきゃいけねぇ奴だよ。そういやあの時俺に上等切ってやがったな…
あの時の落とし前は付けなきゃなんねぇなぁ
あ?なんの話だって?
なんでそんなことてめぇに話さなきゃなんねぇんだよ!
けっ―――
わぁったよ。
遠征から帰って来た俺達は酒場で打ち上げをしててよ、ちょっとした笑い話をしてた。
そのネタがトマト野郎…ま、駆け出しの冒険者の話だ。
だがそのネタがどうやらあの野郎の知り合いだったみてぇなんだが
―――ち!思い出しただけでも腹が立つ。
あぁ?なにがって?
あんたはどう思うよ?遥か格下の野郎が、自分に噛みついてきたらよぉ
そいつは俺と自分には図れねぇくらいの力の差があるのを分かってる、分かってて歯向かって来やがった。
嘗められたものだと思ったぜ。
あいつは酒場の店員だからなぁ、俺のファミリアが懇意にしてるからって手出し出来るとは思っていない―――そんな事を考える野郎なら速攻で首を握りつぶしてやるんだが…
そうだ。
今思えばイカれてるぜあいつぁ。自分以外の奴の為に、てめぇの体を張って格上に立ち向かうなんざな!
あ?
…そうだ。俺の一族は誇り高き一族だ。
そう奴に話したこともある。
そういやあいつも吠えてたな…ちっ、いけすかねェ。
別に弱い奴を嬲って悦ぶ趣味はねぇよ
あぁ、もううるせぇな!もういいだろ、どっか行けよてめぇ、くだらねぇこと聞いてくんな!!
あぁ!?あぁ…そうだな、あいつはきっと自分に嘘をつかねぇ
それが分かる。だから信よ――――さっさと消えろ!!!!
―――エイナ・チュールの場合―――
衛宮君の事ですか?
そうですねぇ…彼は最近冒険者登録したばかりだし、元々そんな交流がある訳でもないですからね。
そうです。冒険者登録してからもダンジョンに潜るということは一般的な冒険者と比べて少ない方です。
彼は確か酒場で働いていましたよね?だからということもあるとは思います。
え?印象…ですか?
んん…?
この人放っておいて大丈夫なのかな?って…
あぁ、いえ、そういう訳じゃ―――
なんと言うか、なんか紐が付いていない風船みたいな人だなっていうのが私の印象ですね。
皆が気を付けて見守っているのに勝手にどっかに行ってしまうような、そんなイメージがありますね。
なぜか…ですか?
なんとなく、としか言いようが無いですね。
先ほども言ったように、私と彼は数える程しか会話をしていませんからね。
ただ、ベル君があそこまで信頼してるんです。きっと悪い人じゃあありません。
…まぁ、良くない噂も聞きますけど。
え?聞いたことないですか?
噂、というか…彼はなぜか暇があれば街の方々のお手伝いをしているんですよ
物を直したり、道の草を刈ったり。頼まれたらなんでもします。
ありがたいことですよね、ブラウニー…なんて言われちゃってたり
でも少し、気味悪がられています。
彼は礼も報酬も要求しません。だからでしょう…
そう、恐れられています。
―――アイズ・ヴァレンシュタインの場合―――
シロウの、こと…?
いつも心配してくれる人。美味しいご飯、作ってくれる人。
いつだったか、一緒にお昼ご飯を食べてたら
『アイズはなりたいものとかあるか?』
そんなことを聞かれた。
強くなりたいって答えると、なんだか寂しそうな顔をしてたのを覚えてる。
皆は『お前はもう十分強い』って言うけれど、シロウは絶対私を強いとは言わない。
弱いなんて、そんなことも言わないけれど。口に出さない分、そう思われてるようで怖い。
シロウは強い。戦う人ではないけれど、強い人だなって思う。
なぜって…シロウは記憶喪失だって言ってた。
周りの人達のことも、自分の事も分からないんだよ?それってすごい、怖いことだと思う。
シロウも本当は怖いんだと思う。
でも、きっと下を向いて膝を抱える…なんてことをシロウはしない。
ただ前を向いて、自分が信じた道を進むだけ。
そういう在り方が少し、羨ましいって思った。
たまにシロウを気味悪いって、なに考えてるか分からないって言って悪い噂を流す人がいる。
シロウのこと、なにも知らないのに。勝手な事言ってるって思う。
え?
私にとってのシロウ…?
…。
…。
お兄ちゃん?
シロウは私を怒ってばかり、褒めてくれないし、小言みたいに『飯を食え』『ちゃんと寝ろ』
そんな事ばっかり。
でも、なんだか―――
ううん、なんでもない。それより
―――君は?シロウをどう思ってるの?
もし、シロウを悪く言うのなら…
私は君を許せない―――
皆が衛宮士郎をどう思っているか
なんて話でした。
リュー以外の劇中出番が少ない人に出てもらうよう考えていたのですが
私が書く二次小説って登場人物少なすぎて逆に今回の話の登場人物大杉ね?
ってことで6割くらいカット。
前話での反響…というか、突っ込みがあまりに多くてもビビりました。
皆さまが思ってる通り、士郎君強すぎだろ…って話ですが
一応私の中(自分の中だけ)では理由があってそうなってはいるのです(泣
でもご都合主義と言われたらそれまでなんですがね!(開き直り
チートタグ、付けたほうがいいかな?(汗