何処かの採石場跡だろうか。
起伏の激しい荒地に2つの集団が向かい合っていた。
一方はかなりの大人数であり、その数は一目見た程度では測りかねる。
対してもう一方の集団に至っては20人も満たない程度。
人数の差は有れど、その闘争心は甲乙つけ難く…いや20人未満の集団の方が気迫が凄い。
「ついに決着だな、大ショッカー」
人数の少ない方の集団。
その中心にいたマゼンタカラーの男が声を張る。
「俺たち全員でも、これだけ時間が掛かった。
けどコレで最後だ。
俺たち仮面ライダーが、お前たち大ショッカーを倒す!!」
大人数の集団…大ショッカーと呼ばれた集団の最前線に立つ覆面を被りマントを羽織った男が高笑いで返す。
「はっはっはっはっ!!
図に乗るなよディケイド、そして仮面ライダー共!
行け!大ショッカーの怪人達よ!」
マントの男の声に呼応し、その後ろにいた異形の姿をした者…怪人達が雄叫びをあげながら走り出した。
「行くぞ!みんな!」
「「「おう!」」」
突進してくる怪人に向かって、少人数の集団…仮面ライダー達も走り出す。
こうして、
仮面ライダーと大ショッカーの最終決戦が始まりを告げた。
〜〜〜〜〜
戦闘開始から半日が経つ頃、戦場には19人だけが立っていた。
1人を囲むように、18人がその周りに円を描いている。
囲まれているのはマントの男=大ショッカー首領である。
そして、首領の正面から時計回りに、
仮面ライダーディケイドから始まり、
クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、
響鬼、カブト、電王、キバ、
W、オーズ、フォーゼ、ウィザード、
鎧武、ドライブ、ゴースト、
そしてエグゼイドが立っている。
数えるのも気が遠くなるような人数だった怪人の集団は、この18人により、残すところ首領1人となっていたのだ。
「お終いだな、大ショッカー首領」
マゼンタカラーのライダー=ディケイドが静かに言う。
「そうだぜ!それに似合ってねぇんだよ、その魔法使いみたいな格好」
ディケイドに続いて、桃が割れたような仮面のライダー=電王が煽るが、
その言葉に反応したのは、ローブを纏ったような、宝石を思わせる仮面ライダー、ウィザードだった。
「ちょっとモモタロス、それは俺が心外なんだけど?」
電王ソードフォーム時の主人格であるモモタロスに対して、ウィザードは呆れた様な、諦めた様ななんとも言えない声色で言う。
「ふふふ…はっはっはっはっ!!」
不意に大ショッカー首領は高笑いを上げ、
その笑いにライダー達は全員が構え直す。
「何がオカシイ!」
トランプのスペードを思わせる装甲の青いライダー=ブレイドが声を荒げて首領に言う。
「流石は仮面ライダー…と言っておこうか。
だが、私にはまだ最終手段が残っている。
この明らかに不利な状況を打破するだけの力がな!!」
首領がそう叫ぶと、マントの下から何かを取り出した。
それを見て一番驚いていたのは、ゲームの力で戦うライダー=エグゼイドだった。
「ガシャット!?
…それにそのゲームは一体?!」
エグゼイドが変身に用いる、ゲームの力が内蔵されたアイテム=.ライダーガシャット。
そのガシャットと酷似した真っ黒なアイテムを首領は取り出したのである。
「ふふふ。
これはエグゼイド、貴様のよく知るガシャットであって、ガシャットではない。
これはガシャットを作り出した幻夢コーポレーションの技術ではなく、
バグスターウイルスを独自研究した財団Xの技術によって作り出した物だ」
財団Xと言う言葉を聞いて、数人のライダーが反応する。
その中でも一際怒りを露わにしていたのは左右で色の違うライダー=Wだった。
「財団X…まだ活動を続けてやがるのか」
かつてWが守る街=風都を中心に事件を起こしていた怪人ドーパント。
その裏で全てを手引きしていたのが、この財団Xとゆう組織だったのだ。
「さぁ仮面ライダー達よ!このガシャットにより大ショッカーの「R2計画」は絶頂を迎える!
消えるがいい!仮面ライダーぁぁああ!!!」
叫ぶと同時に、大ショッカー首領はガシャットのスイッチを押した。
『ライダーリセット!』
濁った電子音声が鳴り響くと同時に、首領の背後にゲームのタイトル画面が現れる。
仕様としてはエグゼイドの使用するガシャットと似た様なものだが、異様なのはそのタイトル画面である。
何も描かれていないノイズ画面。
そして次に首領はマントをめくる。
腰には異形のベルトが巻かれており、黒いガシャットはそのベルトに装填された。
『ガシャット!
レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!!
ディス ゲーム イズ リセット!!』
再び響く、濁った重々しい低音の電子音声。
その音声が終わった次の瞬間、大ショッカー首領の身体から黒いオーラが解き放たれた。
それは強力なエネルギーを持っている様で、ライダー達は力強く体全体を握り締められる様な感覚に襲われた。
「な、なんだこれは!!」
「ぐ、ああ!!」
「動け、ない!」
「はっはっはっはっ!!
このガシャットで作り出したエネルギーを受けた者は文字通り「リセット」されるのだ!!
つまり、貴様らは「仮面ライダーの力」を失い、更には「存在」も失うわけだ!!
いやはや…
ガイアメモリやオーメダル、コズミックエナジーなど、様々なものを研究していたが完成に至らなかったものを、
エグゼイド、君や幻夢コーポレーションの発想のお陰で実現出来た。
感謝するよ!」
そう言うと首領は更にエネルギーの放出を強める。
仮面ライダー達からは苦痛に悶絶する声にもならない声が上がる。
そして最悪の事態が起こった。
まず最初に、クウガがベルト=アークルを残し姿を消した。
そして次々に仮面ライダーたちがベルトだけを残して姿を消し始めたのだ。
「はっはっはっはっ!
残るはエグゼイド、ディケイド!
貴様らのみだ!!」
不意にエグゼイドは、目の前に転がるベルト達を見て何かを確信したかの様にディケイドの方を向いた。
「仮面ライダーディケイド…いや門矢 士さん…みんなを、僕たちを頼みます!」
その言葉を最後に、エグゼイドもベルトを残して消滅する。
「僕たちを…」
ディケイドはエグゼイドか残した言葉を復唱し呟いた。
そしてその真意に気付き、顔を上げる。
「大ショッカー首領…!
俺たちは、消滅しても復活する!
お前がどんな手段を使おうと、どんな兵器を使おうと、俺たちは確実にお前を倒しに戻ってくる!
絶対に!!」
ディケイドの言葉を聞き、首領は拳を握りしめ声を荒げた。
「貴様ぁ…いったい貴様は何だと言うんだ!!」
「分かってるはずだ…俺は、
俺たちは、通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!!」
ディケイドがそう言うと、不意に不思議なオーロラが現れ、その場にあったベルトを全て消し去った。
このオーロラは並行世界を隔てる壁であり、すり抜ける事により世界を移動することが出来るものである。
地面に転がるベルトが消えた直後、ディケイド自身もベルトを残し消滅し、そのベルトもオーロラに飲み込まれる。
ここに来てようやく首領も真意を理解した。
「ベルトに全てを残して並行世界に逃げたか!!
く…どこまでも小賢しい事を…!!
まぁ構わん…存在する並行世界全てを征服すれば良いだけの事…。
「R2計画」もう1つの目的を進めるとしよう」
そう言うと大ショッカー首領は、マントを翻しその場から立ち去った。