平成ライダーラグナロク   作:ヴァローナ

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宇・宙・変・身

重い足取りのまま、僕は学校の向かいにあるコンビニを目指している。

道向かいにあるため、信号を渡らなくてはならないが、いかんせんこの信号、押しボタンを押しても変わるのに5分ほど待たなくてはならない。

 

なんで僕なんかが、あんなヤツらに命令されて昼ごはんの弁当を買いに行かなくてはならないんだろう…。

いや、そもそも僕の「ゲンタロウ」なんてゆう古臭い名前が発端だ…。

こんな今時無い名前だから、ああゆう知能の低いいきがった連中になめられるんだ…。

 

…とか考えたところで、実際、命令されたことをへこへこと了解する僕自身の弱さが原因だ。

それに僕自身の趣味のせいもある。

 

僕の趣味。

それは自分で考えた武器や技、キャラやその設定、そんなものを書き留めること。

 

つまり中二病だ。

 

自覚はある。

けど、それ以外に現実から目を背ける方法を知らない。

 

僕はおもむろにスマホを取り出し、メモ帳のアプリを開いた。

そして、この数分の間に思いついた技や武器を書き込んでいく。

 

信号の押しボタンを押してそろそろ5分経つかな…?

まだ赤いままの信号を一瞥し、また手元のスマホに視線を戻す。

 

『歩行者信号が青に変わりました』

 

という無機質な音声が聞こえたため、スマホをポケットに戻し、またとぼとぼと足を勧め、横断歩道を渡り始めた。

 

~~~

 

「宇宙キター!!!」

 

~~~

 

「!?」

 

横断歩道の中間を過ぎるころ、突如頭の中になんとも活気に満ちたテンションで声が響いた気がして、足が止まった。

 

辺りを見回すが、キター!なんて叫んだような人はいない。

 

「なんなんだ…?」

 

首を傾げつつ、また歩みを進める。

 

その瞬間、後方…つまり校舎から盛大な爆発音が鳴り響いた。

驚いて振り向くと、僕から見て校舎の右側が倒壊し巨大な土煙を上げていた。

 

「じ、事故!?」

 

一瞬そう考えたが、その思考は止まった。

 

土煙の中から人影が歩き出てきたのだ。

 

その人は、人というにはあまりにも異形で、

両腕には長い爪のようなものが伸び、頭はライオンのような鬣と大きすぎる口、

体は白を基調とした色で、ところどころ青い宝石のような装飾やラインが走っている。

 

元来、中二病な僕は、その姿を見て一つの言葉をつぶやいていた。

 

「獅子座の…怪人…!?」

 

単純に「そう思った」だけだ。

もしも僕が「獅子座」をモチーフに怪人をデザインするなら、まさしくこの目に映っている怪人のようなものになるだろうと。

 

土煙から完全に出たところで立っている怪人に対して、近くにいた教師が近寄って言った。

 

「ちょ、ちょっと君!なにをして・・・」

 

倒壊した校舎の土煙から出てきた怪人に声をかけるなど、教師は無謀だ。

故に、一瞬にして教師の首は、その胴体から離れ、地面に転がった。

 

無論、怪人が振るったその腕の爪による攻撃の結果だ。

 

誰からとも無く絶叫や悲鳴が上がり、周囲はパニックに陥った。

 

対する僕はというと、何もできなかった。

足は動かなければ、声も出ない。

その割りに頭はすっきりと整理されたように冷静だ。

 

周囲がパニックになると同時に、怪人は近くにいた人間を次々と切り裂き始めた。

 

~~~

 

「*****!タイマンはらせてもらうぜ!!」

 

~~~

 

まただ。

頭の中に変な声が聞こえる。

 

頭を抱え周囲を再び見渡すが、声の主などどこにもいない。

状況を理解し逃げ惑う生徒がいるだけだ。

 

いや・・・。

 

その中をすたすたとこちらに歩いてくる生徒が一人いた。

 

その生徒は、僕の目の前まで来るとまじまじと僕を見てきた。

 

「な、なに・・・?」

 

「いやぁ…僕かと思ったけど、どうやらアイツは君に反応して現れたらしいね?」

 

意味不明なことを言う。

というか会話が成立していない。

 

「ぼ、僕に反応って」

 

「ま、いいか!

とりあえずアイツを倒さなくちゃね!」

 

「ちょ、ちょっと待って!

あ、あんたは一体!?

それにアイツを…倒す!?」

 

男子生徒はニッコリと微笑んだ。

 

「俺は霧島エム。

仮面ライダーエグゼイドだ!」

 

「仮面…ライダー…」

 

その単語を聞いた瞬間、頭の中に電流が走るような感覚を感じた。

初めて聞いた言葉。

なのに、馴染みがある。

馴染み…?

 

いや、僕は「仮面ライダー」を知ってる…?

 

先ほどまでの冷静な頭は、うってかわってぐちゃぐちゃに混乱し始めていた。

自分とは違う誰かの記憶。

自分には無い何かの力。

その存在は知らないはずなのに理解できている。

 

「大丈夫!

君の頭の中がすっきりするまで、ちゃんと時間稼ぎしてあげるからさ!」

 

そう言うと、エムと名乗った男子はおもむろに何かを取り出し、腰にあてがった。

その「何か」は一瞬でエムの腰に巻きつき、ようやく「ベルト」であることがわかる。

ただ、普通のベルトとはまったく異なり、バックルにあたる部分は大きく、機械かなにかであるような印象を受けた。

 

「それじゃいきますか!」

 

エムは更に、手のひらサイズのピンクのアイテムを取り出し、そのボタンを押した。

 

『マイティアクションX(エックス)!』

 

エムはそのアイテムを構えて声を張った。

 

「変身ッ!」

 

そしてそのアイテムをベルトに差し込んだ。

 

『ガシャット!

 

レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?

 

アイム ア カメンライダー!』

 

聞きなれない音声と効果音がベルトから鳴り渡り、それと同時にエムの体が…なんとゆうか、2頭身だか3頭身だか…なんとも形容しずらいSD体型の姿になっていた。

白いボディに、ゲームの十字キーやボタンのような胸当て、ゴーグルをかけているような目、尖ってツンツンのピンクの頭。

ただ、それは無機質であり…全身にアーマーを装着したような印象を受けた。

 

「えっと・・・」

 

なんと言葉をかければいいかわからない・・・。

 

「まぁまだ「レベル1」だからね。

本番はこっからだよ!

 

大変身ッ!!」

 

エムは更にベルトのグリップを握り、一気に展開した。

その瞬間、再びベルトから音声と音楽が流れた。

 

『ガッチャーン!レベルアーップ!

 

マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!エックス!!』

 

ベルトの音楽が鳴り止むころ、エムの姿は先ほどのSD体型などではなく、しっかりとしたデフォルメなどされていない人型になっていた。

全身は全体的にどこと無くスポーツ選手やアスリートを思わせる。

 

「さてと…それじゃ

ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

言うが早いか、エムはそのまま走り出し、今まさに目の前の女性とを切り裂こうとしている怪人に飛び蹴りをくり出した。

 

その様は、まるでヒーローもののアニメや漫画のような・・・

 

ヒーロー・・・?

 

仮面ライダー・・・

 

僕の頭の中で何かのピースがはまったような感覚があった。

そして頭の中ではある情報が広がっていく。

 

宇宙に存在するコズミックエナジー…その結晶体であるアストロスイッチ。

そしてその力を悪用した怪人…ゾディアーツ。

 

目の前で暴れているのはその一人「レオゾディアーツ」。

 

そして僕が持っている力は、そのゾディアーツを倒せる力。

正義のための40のアストロスイッチを扱う力。

 

「僕は・・・仮面ライダー。

 

仮面ライダーフォーゼ!!」

 

その瞬間、僕の腰にエムが使ったものとは違うベルトが装着される。

知っている。

フォーゼに変身するための、そしてアストロスイッチを扱うためのベルト「フォーゼドライバー」だ。

 

すでにベルトには4つのアストロスイッチが装填されている。

 

僕はエムと戦っているレオゾディアーツをしっかりと見据え、

ベルトにある、アストロスイッチとは別の赤いスイッチを起動させた。

 

キュィイイインという独特な起動音の後、ベルトから音声が流れる。

 

『3・・・2・・・1・・・!』

 

そのカウントダウンに合わせて、僕はベルトのレバーを一気に動かした。

 

「変身!!」

 

無意識に出た言葉と同時に、ベルトからは特有の音が鳴り響き、僕の体は光と煙のようなものに覆われる。

だがそれも一瞬であり、僕は目の前に漂う煙を右腕で力強く払った。

 

視界が一気に開ける。

どこと無く身体が軽くなったような気分になり、自然とテンションがあがっていく。

 

「宇宙・・・キタァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

あまりにも上がったテンションを抑えることができず、いつの間にか僕は、さっき頭に響いた言葉を叫んでいた。

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