違法少女ホモホモなのはViVid(略してホモビ)   作:ルシエド

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 目の調子が悪いので近日時間見つけて目の医者に行ってきます。突然作品の続きが来なくなったら『ルシエドの目は淫夢の神に持って行かれちまったんだな……』とか惜しんでやってください


私達 一つとして名作のホモビはない 二人で幸せなキスをしなければならない 三人に勝てるわけないだろ! 四五四五一九一九 五つ目は心臓の場所にある

 尻穴でヤッている創作物では、度々「腸液が潤滑油になる」という発言が散見される。

 だがこれは間違いだ。

 腸液はアルカリ性であり、これが肛門を通る際に肛門を溶かす。下痢の際に尻が痛くなるのはこれが原因であるため、こんなものが大量に分泌され潤滑油にされると大変なことになる。

 量によっては股間の聖剣も溶け始めることだろう。

 ヴィヴィッド世界だからといって湖のヴィヴィアンは居ないため、失われた聖剣カリバーンがエクスカリバーとなり蘇ることもない。

 

 また、エイズはノンケよりホモの方が感染しやすいと言われている。

 異性間性的接触時の感染確率は0.05%、同性間性的接触時の感染確率は0.067%。

 エイズは異性間で感染るものだと思っている者は多いが、その実エイズとはホモを殺す病なのである。

 

 そう、目に見えているものが全てではない。

 思い込みが見せる幻想もある。

 自分の手と足と目で調べなければ知ることができないこともある。

 

(ええと、地図だとこちらが大通りで……)

 

 アインハルトは三日前に謎の敵を見失った地区、下北沢で敵の手がかりを探していた。

 初めて来た場所ではあるが、デバイスの補助や簡単な地図があれば迷うこともない。

 道端の花の蜜を吸ってきゃっきゃしている幼い子供達を尻目に、アインハルトは見知らぬ街を歩いて行く。

 

「あれ? ブラックさん」

 

「これはこれは、アインハルトさん。

 この近辺に何か御用でありますか?

 それならば日頃のお礼に、自分を案内役にこきつかっていただければ……」

 

「それは大丈夫です。先日の狼藉者を探していただけで、目的地があったわけではないんです」

 

 二人は出会って、ほんの一瞬気不味そうにした。

 互いの服装を先日会った時のものと見比べたからである。

 先日会った時は二人共、人と会う時の服装だった。人に見られても恥ずかしくない服装だった。

 だが今日は人と会うつもりはなかったからか、両方共ちょっと油断した服装だった。

 アインハルトは戦闘を想定した動きやすい服。ブラックは柴犬がプリントされた白シャツに、青のジーパン。

 何か今日は可愛い服だなあ、と互いに思う。

 先日はアインハルトが綺麗でもあまり隙の無い私服、ブラックがスーツだったために、なおさらそう思う。

 

 同時に、そういう服を異性に見られたことに気恥ずかしさも感じていた。

 

「ブラックさんはどうしてここに?」

 

「下北沢は自分の地元です。

 聖王教会の方で学者をやっているのも、地元に近かったからなのであります」

 

「そうだったんですか」

 

「よろしければうちに寄っていってください。お茶くらいは出せますので」

 

 断るのも悪いという思いから、その厚意に甘え誘いに乗る。

 男に襲われても軽々撃退できる彼女の基本スペックが、"よく知らない男の家には上がらない"平均的な女子とのズレを発生させていた。

 それとは別に、彼という人間を理解し信用し始めていたというのもあるが。

 

「適当な椅子に座ってお待ち下さい。今お茶とお茶菓子を持って参ります」

 

 アインハルトが案内された彼の家は、そこかしこに本棚があった。

 空いたスペースが有れば片っ端から本棚を突っ込み、そこに本を突っ込んだような家の造り。

 家の床が重みで抜けていないことが不思議に思えるくらいに、本が山ほど収められていた。

 書物のデジタル化が進んでいるミッドチルダにおいて、こういったレトロな本を好んで家に置いている人間は多くない。

 

(本がいっぱい……)

 

 アインハルトが床に触れてみると、定期的に発動し本を守る殺虫の魔法があった。

 本棚の木の香り。本から仄かに漂う紙の匂い。彼女が座った椅子の前にはテーブルに置かれた小さな観葉植物があって、その芳香もどこか心地よかった。

 落ち着いた雰囲気の内装を見回して、目についた本の背表紙を視線でなぞる。

 

(背表紙に古代ベルカの文字……これも読めるんだ。

 そういえばユーノ・スクライアさんも年齢一桁の時には学院出てたんだっけ?

 学者になった大人の話を、ヴィヴィオさんから聞いたのも、もう随分前になるのね……)

 

 ほどなく、彼は台所からお茶とお茶菓子を持って帰還した。

 

「お茶が入りました、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 まったりとした時間が流れる。

 心地のいい静かな時間であった。多弁なタイプではないアインハルトは、こういう時間も嫌いではない。

 ブラックの応対が『男が異性に向けるもの』から遠く、『同性に対する対応』に近いフラットなものであったのも大きかった。

 アインハルト側は流石に同性に接するようには接することができないが、ブラック側の対応がこうであるというだけで相当に気が楽であるようだ。

 

「お茶もお茶菓子も美味しいです」

 

「それはよかった」

 

 ブラックはアインハルトが茶と茶菓子に一口づつ手を出してから、意味もなく袖捲りして気合いを入れる。

 

「では、そのお茶を飲み終わるまでの時間を使って、一つ講義といきましょう。

 個人的に野獣王のことを調べ直してきたであります。

 覇王イングヴァルトが知らない戦いであれば、きっと貴女の新たな知識となると思いまして」

 

 少女はそこで、先日彼に野獣王について聞いたことを思い出した。

 

「あ……あの時のこと、覚えていたんですか。

 申し訳ありません、もしかして時間を使わせてしまったのでしょうか?」

 

「知識を求める方に分かりやすく知識を伝えるのも、学者の役目でありますよ」

 

「……その、よければ、戦闘に関することを聞きたいです」

 

 肩にかかる金髪を揺らして、少年は微笑む。

 

「では、物語仕立てで語りましょう。

 冥王イクスヴェリアは侵略する野獣王タドコロに言いました。

 『まずうちさあ、マリアージュあんだけど、焼いてかない?』

 タドコロはその挑戦を受けて立ちます。

 『いいよ、来いよ! 胸にぶつけて! 胸に!』王と王の衝突に、両軍色めき立ち―――」

 

 誇張はない。独自の脚色もない。

 資料に残っていた内容を、分かりやすく順序立てて少女に語る。

 "諸説ある"部分は出来る限り多くの諸説が頭に入るようにして、歴史という点の集合体を物語という一本の線に仕上げる。

 それが識者が子供に歴史を理解させる際に、一本道の物語を組み上げ、それを漫画にして子供に見せるような過程だった。

 

 アインハルトは最高の時間効率で新しい情報を吸収していく。

 

「成程……勉強になりました。ありがとうございます、ブラックさん」

 

「いえいえ、こちらこそ拙い講義で申し訳ありませんでした。

 U15ワールドチャンピオン相手にこれでいいのかと、変な汗をかいてしまったであります」

 

「ふふっ、私では真似できないくらいにお上手な説明でしたよ?」

 

「あはは」

 

 照れ臭そうに頬を掻く少年。

 特定の一分野において、確かにこの少年も高い能力を持っているのだろうが、それでもワールドチャンピオンのアインハルトに比べれば霞む。

 そんな人間に褒められたのだから、照れもするだろう。

 二人にはホモレイプ!とゲイドルマスター程度の能力差が存在していた。

 

「今度、アインハルトさんの試合の応援に行かせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「私の応援……ですか?」

 

「貴女はどうやら戦闘面での伝承が気になるようです。

 自分も戦闘は本職ではありません。

 アインハルトさんの試合を研究し、別の資料が見つかった時それを説明するのに役立てます」

 

 生真面目な少年は、戦いというものを知って戦いの抗議に役立てようとしていた。

 その生真面目さたるや、(GO)と対になるマジメ君では足元にも及ばないほどであった。ミッドチルダ真面目偏差値65程度。

 アインハルトの試合を見て、応援し、それを研究して次の発表に活かす。

 思考の基本が学者のそれであるようだ。

 

「もっとも、貴女ほどの方の応援なら、一人くらい増えても変わらないとは思いますが……」

 

「そうでもないですよ」

 

 アインハルトはファンも多い。

 師匠も応援する。同級生も応援する。同じジムの仲間も応援する。

 応援の声はそれこそ山のように積み重なり、山の雪崩の如く流れていることだろう。

 そこに一人増えたからといって何かが変わるのか。

 変わらないだろう。

 そう思う少年に、少女は微笑む。

 

「応援の声がいくら増えようとも、その一つの声が、想いが、私にとっては嬉しいものなのです」

 

 多くの声を貰えることと、見知った人の声を一つ貰えることは、別のことなのだと、彼女はよく知っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 アインハルトの試合を見るべく、ブラックはママチャリで試合会場のスタジアムに向かう。

 "最近かごがガタガタで怖い……"と思いつつ、会場に到着して中に入ると、とてつもない数の観客とその熱気に呑まれかけてしまう。

 U15とはいえ、世界で一番強い女子の試合だ。

 男性のファンも、女性のファンも、大勢がアインハルト目当てに会場に集っていた。

 

 周りに呑まれないよう、試合開始直前に空気に負けず、少年は声を張り上げる。

 

「が、頑張ってくださーい!」

 

 おっ、先輩こいつアインハルトとか応援しだしましたよ。やっぱ好きなんすねえ……

 

 リングの上のアインハルトに声を送っている人間の数は万を超えている。

 少年の声が聞こえるわけがない。

 なのに、何故か、アインハルトはブラックが居た方向に一度だけ振り向いた。

 偶然かもしれない。

 適当に観客席に視線をやっただけかもしれない。

 振り向いたタイミングが、少年が声を上げたタイミングと偶然合っただけかもしれない。

 

 だけれども、『偶然じゃなかったかもしれない』。

 本当に声に反応したのかもしれない。

 そうだったなら、と思うと、少年は湧き上がる気持ちを抑えきれない。

 "この気持ちを感じたくて応援に来てる人も居るんでしょうか"と、少年は思った。

 

(これは凄い……)

 

 試合が始まると、少年の予想を超えた領域での戦いがリング上に展開された。

 アインハルトの対戦相手・女性選手ポッチャマの巧みなハンドコントールによる、拳の連打がアインハルトを襲う。

 

(フェイントで気を引き、右を囮に左を入れる。そのための右手……)

 

 右、左と巧みに繰り返される拳のラッシュ。

 ポッチャマの得意とするそれは、ラッシュ・チャート・アーツ(RTA)と呼ばれる格闘技術だ。

 名前からも分かる通り、ストライクアーツの源流の一つ。

 ボクシングと同じ、足で動いて手で攻める格闘技である。

 

 RTAはかなり適当に組まれた、体系化されていない単発の格闘技の集合体。

 通常、格闘技とは技と技の繋ぎを想定され、技を繋いだ連撃が前提として存在するものである。

 だが、これにはそれがほぼ存在しない。

 ホモ特有の異常な連想能力――半ばこじつけに近い連想能力――を用いて技を繋げることが大前提の、変幻自在の原始格闘術なのだ。

 法則性などなく、一から十までガバガバであった。

 

 ポッチャマとの対戦経験があるハリー・トライベッカの「お前のRTA過程(チャート)ガバガバじゃねえか!」という発言こそ、彼女の技を正確に評価したものであると言えよう。

 だが、強い。

 使用者であるポッチャマが単純に強く、その試合に見応えがあって大抵面白いため、このガバガバ感を好んで彼女のファンになる者も多かった。

 その上、新しい知識に貪欲でもある。

 

「ディバインバスター!」

 

 誰の真似かは分からないが、近年一般にも相当知名度が高くなったその砲撃魔法を、ポッチャマが放つ。

 アインハルトはわざとスレスレのところでそれをかわし、砲撃直後に接近してくるポッチャマのラッシュを受け止めた。

 

 砲撃魔法というBIIM(ビーム)まで組み込まれた多層式コンビネーション。

 ディバインバスター、略してDB(だいぼう)はポッチャマの攻撃の第一章。

 ここから恐るべき連撃へと繋げるつもりで放った、開幕の砲撃であった。

 

「空破断」

 

 だが、その流れが断ち切られる。

 ガバガバな連携の隙間は一撃でこじ開けられ、アインハルトの反撃が始まった。

 適当な技の連続であるビームのRTAとは対照的に、アインハルトの連撃は美しい。

 その全てが、最後に必殺技である『覇王断空拳』を打つために組み立てられている。

 

 どんな文の流れからも黒塗りの高級車落ちに持って行けるような、どこからでも決めの一撃に繋げられる黄金パターンがあれば、多くの技は必要ない。

 一つの決め技だけで、八割がた勝ち続けられる。

 覇王の拳は、多田野拳ではない。

 

「覇王―――断空拳」

 

 世界ランカーでさえも一撃で沈める、必殺の拳なのだ。

 

「うわぁ……!」

 

 観客が叫ぶ。

 決着に送られる声と、勝者に送られる声と、敗者に送られる声。

 全てが熱気と敬意が満ちていて、観客から選手へと贈られる賞賛に彩られていた。

 

「あ、ポッチャマの変身魔法が解ける」

「体型バランス整えてたのか」

「これマジ? 上半身(バスト)に比べて下半身(ケツ)が貧弱過ぎるだろ……」

 

 観客席の歓声はやがて、試合の感想を言い合う談笑へと変わっていく。

 ブラックはここで自分の周りの人間が皆複数人で観戦していたこと、自分だけが一人で観戦していたことに気付き、急に恥ずかしくなる。

 そして、リングから降りたアインハルトが同じジムの仲間達に迎えられ、会場から退出していく直前に―――悶絶調教師のタクヤと顔を合わせているのを、偶然視野に捉えた。

 

(……姉さん?)

 

 首を傾げる彼の疑問に、答えられる者はいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話がある、と言われ、アインハルトはタクヤを連れて控室に移動していた。

 他には誰も連れていない。

 彼女が二人きりで話したそうにしていたからだ。

 彼女がアインハルトに何か話したいことがあるならば、それは彼女とアインハルトを繋ぐ二つの事柄以外にはありえないだろう。

 つまり、ブラックのことか、あの夜の敵のことのどちらかだ。

 

「うちの弟とは仲良くしてくれてる?」

 

「それなりには」

 

「うん、よろしい。あいつは友達多くないからね。

 一緒に居て不快だったりしない?

 アインハルトちゃん可愛いから、男の視線は色々気になるでしょう」

 

「とんでもないです、とても話しやすいですよ? そういう不快感も全くないです」

 

「女をいやらしい目で見る男って嫌じゃない?

 『そういう関係』でないならなおさらにさ、やよね」

 

「それは……そうですね」

 

 "何が言いたいのだろうか"という不満や苛立ちより、"何を話そうとしているのか"という不安が湧いてくるような話し方をする悶絶調教師。

 

「子供の男にはそういう挙動が増える。

 童貞、思春期、生育環境なんかでもそれはブーストされる。

 だから大人の男や彼女持ちは余裕がある、なんて言うわよね。

 でもブラックあいつ、恋人なんて一度も作ったことはないのよ。歳もガキだし」

 

「? そうなんですか?」

 

「じゃあなんであいつが年頃の男の子っぽく異性に接してないかっていうとね」

 

 そして少女の不安を軽々超えた衝撃の事実を、その女性は暴露した。

 

「あいつホモなのよ」

 

「え゛っ」

 

「彼女いない歴=年齢の人と同じ、ホモ歴=年齢の人なの」

 

 小学生の時に彼がいじめられていた理由が、まさにこれであった。

 

「でもね、それには理由もあるのよ。

 アインハルトちゃん、秘密は守れる?

 ぶっちゃけホモカミングアウトはこれの前フリなんだけど」

 

「は、はい。今の時点で喋っちゃいけない秘密で頭パンクしそうですが」

 

 かの少年がホモであること以上にインパクトのある秘密暴露が、彼女の口から語られる。

 

「KBTIT一族の一部って、古代ベルカの王の末裔なの。王の名前は、野獣王タドコロ」

 

「!」

 

「野獣王タドコロは、覇王イングヴァルトに恋をした。純愛よ」

 

「……!?」

 

「でも覇王は若くして死んでしまった。

 タドコロは嘆き悲しんだわ。

 そして『クラウスともう一度会う』という目的で人造生命を造り始めたの。

 その人造生命にタドコロは自分の因子を埋め込み、いつかの未来に目覚めるようにした」

 

「え……え?」

 

「その人造生命体の子孫があの子、ブラック。

 プロジェクトI.N.M.Uで生み出されたホモンクルスシリーズの裔なのよ。

 私や他のKBTIT一族は、プロジェクトI.K.S.Gで生み出されたそれを補佐する一族の末裔」

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

「あの子の中には、本能レベルでクラウスに惹かれるようになる因子が残されている」

 

「……あっ」

 

「あの子は古代ベルカの遺産に縛られてる。

 男以外は愛せない、クラウスには必ず惚れる。

 あなたと出会ってしまったことで、もはや因子に抵抗することは不可能になったわ」

 

 さあっと、アインハルトの顔が青くなる。

 危機感と、罪悪感と、嫌悪感と、同情と友情が心の中でぐるぐる回る。

 そんな少女の肩に手を置いて、タクマチ・タクヤは微笑んだ。

 代々悶絶調教師をやっているタクヤ家のタクマチお嬢さんは、少女に心底同情している。

 

「頑張って。

 あなたの女としての部分は全く性的魅力を感じられてないわ。

 でもあなたの男としての部分にあいつは基本的にベタ惚れよ」

 

「えええ……」

 

「まだ自覚のない恋心レベルかもしれない。でも少しづつ大きくなるわ」

 

 アインハルトは先祖の記憶を継承した者の中でも、特に鮮明にその記憶を覚えているタイプだ。

 そのせいで記憶に引きずられやすく、先祖の妄執や先祖の技、先祖の細かい所作やクセまでもを受け継いでしまっている。

 そういう細かい所作がブラックの中のタドコロ因子を刺激し、ブラックをよりホモに、よりクラウスに発情する人間へと変えていってしまっているのだろう。

 

「あの子を傷付けないように、かつ完全に諦められるように、上手くフッて頂戴」

 

「無理ですよ! 無理に決まってるでしょう!?」

 

 この、あまりにも面倒臭いこの状況を。

 

 悶絶調教師は未経験(おぼこ)のアインハルトに丸投げした。

 

 

 

 

 

 あまりのショックに、アインハルトはジムの仲間と別れ、悶絶調教師とも別れ、一人とぼとぼと帰路についていた。

 

「古代ベルカの記憶って九割がた厄介事の原因にしかなってない……」

 

 試合には勝ったのに、気が晴れない。

 肉体のダメージより、精神のショックの方が遥かに大きかった。

 ブラック少年をいい人だと思い、親しみを感じ、友情や信頼も生まれつつあったこのタイミングでこんなことを話されても困るというもの。

 助けてやりたいとは思うものの、男のこともよく知らないアインハルトに、ホモの気持ちが分かるわけがない。

 ましてやホモの先祖に性癖を強制されている少年に、何をしてやれるというのか。

 

「クラウスぅ……スケベしようや……」

 

 しかもまた例の襲撃者がPOPして来た。

 アインハルトに安息の時は無いのだろうか。

 

「あなたに至っては本当になんなんですか……?」

 

「俺より先に死んだこと、悔い改めて」

 

 変身したアインハルトや男性のブラックよりも幾分高い、成人男性程度の身長であることくらいは分かってきたが、やはり認識阻害の魔法のせいで姿が見辛い。

 アインハルトはいつもそうしているように、戦いの前に己が姿を変え、迫り来る野獣の拳を迎撃する。

 

「性拳突き!」

「覇王断空拳!」

 

 不安定な精神状態、不安定な姿勢でやけっぱちに打った全力の拳が野獣の拳と衝突し、互いに予想していなかった形で衝撃が流れる。

 そして、双方が正反対の方向に吹っ飛んでいった。

 謎の男は偶然そこにあった一般通過十字架に突き刺さり、アインハルトは空いた窓からどこかの施設内にまで吹っ飛んで、誰も居ない例のプールの中に落下する。

 

「……」

 

 謎の男の気配が消えた。

 どうやら今の攻防で、アインハルトを見失ったらしい。

 

「……時空を超えて追いかけてくるホモ、恐ろしすぎる……」

 

 例のプールにぷかりと浮かび、少女はぼそり呟く。

 

「ああ、だからクラウスの記憶を受け継いだ私は、思わず恐怖していたんですね……」

 

 時空を超える純愛であった。

 

 おそらくは、ホモとクラウスが幸せなキスをしない限り、終了しない純愛であった。

 

 

 




 魔法少女リリカルなのはViVidはリリカルなのはシリーズ四章。よってこの二次のテーマは『四章は純愛』です
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