照平は気絶している霊夢を門の近くに休ませ、集まった妖怪たちに話をする。
「君たち、大丈夫だったか?」
「何とか!!……しっかし、この館デカイっすねぇ。何処の奴がこんな邪魔くさいモン置いたのやら?」
「確かにね……君たち、僕はこれから館に入って原因を探る。その間この2人が目覚めるまで周囲の監視を頼めるかな?」
『!?』
照平が言い放った言葉は、今居る妖怪たちを驚愕の表情にさせる。
片や自分たちを痛め付けた者。片やこの幻想郷の守護者……しかし妖怪たちからは、『なりふり構わず暴力振るってくる鬼巫女』として恐れられている者。
そんな2人を危険から守ってくれと正気の沙汰で照平は頼んでいる。
「……悩むのは理解できる。僕も会った事はないけど君たちの話から色々と聞かされた。だからといって、この件と君たちの受けた行為は今は関係ないと思う」
「そ……それは…………」
「頼む、皆」
照平は深々と頭を下げる……どころか、土下座をしてたのみ事をしている。
妖力を持つ人間として昔は妖怪からも人間からも恐れられていた照平だが、照平の見せる塵一つない澄んだ友好関係を築いた妖怪たちは今居る者を含めて約86名。
そんな行動を見せられたら、妖怪たちも堪った物ではない。巫女が目覚めたら逃げる事を条件として、その頼み事を承諾する。
その答えを聞き、感謝の言葉を述べる照平を見て妖怪たちは心が澄んでいくのだった。そして照平は館の内部へと侵入するのだった。
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ーーー今の……だれだろう?
ーーーお外からかんじた……
ーーーああ、お外に行けば……見に行けるのに……
ーーーこのへやから……出たい
ーーーでも、出ちゃいけない。
ーーーでも、出たい。
ーーー……どうすれば良いのかな?
ーーー…………こわしたら、良いのかな?
ーーーこわしたら、『出てない』よね?
そう考えた誰かは、目の前にある鉄格子を壊そうと実行する。右手を握る動作をしながら。
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照平は館を彷徨いていた。真っ赤な内部は視力の低下が期待されそうである。
ーーー……目が痛いな。あとで帰ったら目薬さそ。
ーーーそれにしても……広いな。廊下も長いし、部屋も多いし、血の臭いがすrッ!?
照平は何もない虚空からナイフが出現した事を驚くも、体勢をずらして崩すことで頬に掠める程度ですむ。
倒れた状態で後ろに回転しながら後退し、再度立て直す。その際にポーチからピックを手に取り戦闘態勢をとる。
ーーーナイフ……誰だ?気配もない。
ーーー殺意……じゃないか。警告か。
ーーーだが、この場で引こうと考える程甘くない。
ーーーだが姿が見えない。ならどうする?
ーーー妖力の応用。『跳弾』の応用を使用する。
手に持っているピックをさらに持ち、ピックに妖力を流し込んで上に放り投げる。
放り投げられたピックは天井に当たり、ピックは照平を守る様に反射され廊下の床に当たり反射する。
ーーーこれだと何処から来ても良い。
ーーー両サイドからの跳弾ピック投擲。
ーーーこれには避ける事も難しい。
ーーー良くて掠り傷が無数に付くだk……ッ!?
照平は右横にいるメイド服を着た者が居る事を瞬時に理解し、ブーメランを取り出しつつ距離を取り首を掠めたナイフを止める。
ーーーバカなッ!?妖力で形成した跳弾だぞ!!
ーーー幾らピックという細い投擲武器とはいえ、妖力で頑丈にさせていた筈だ。
ーーーそう簡単には落とせる訳がないし壊せる訳がない!!
ーーーしかしどうだ?
ーーーこのメイドの服には“裂けた痕跡すらない”!!
ーーーそれに加え、後ろの跳弾はまだ生きてる!!
ーーーなら可能性はなんだ!?
ーーー俺でも気付けない能力か?
ーーーはたまた見えない速度で動いているのか!?
ーーーこのメイドは何かが可笑しい!!何かが!!
「チィッ!!」
「!!ふっ!!」
照平はメイド服を着ている者の股間を膝蹴りしようとするが、メイド服の者は右足を上げ膝を抑え込んだあと距離を取りナイフを構える。
「……普通なら女性の股間を蹴ろうとは誰も思いませんわよ?妖怪さん」
「人間の弱点は大体性別関係なく一緒なんですよ。知り合いの医師がよく言ってましたからね」
「妖怪が人間の弱点を知る?無駄な事ですのに」
「僕は人間だ。ただ少し妖力を持っているだけさ」
指と指の間にナイフの刀身を挟み、投げつける。照平はドスの効いた黒に近い紫の目をしたあとブーメランを投げる。
そのブーメランは投げられたナイフ全てを弾き、メイド服の者に行く。
瞬間、今度はメイド服の者が移動していた。照平の目の前に。
「またッ!!」
「しぃッ!!」
ジャンプをして、後ろ回し蹴りをされる。蹴りは照平の腹部に直撃し仰け反る。
その隙に叩き込もうと仕掛けるも、それは叶わぬ事となった。
「ぐっ!?」
そのメイドの背中から鳴る鈍い音。背中に何かがぶつかった音。ブーメランが背中にぶつかった音だ。
ブーメランは小動物等の狩りに使われ、大型の物を除けば手元に戻ってくる便利な投擲武器である。
しかしメイドには理解し難かった。何故なら……
ーーーあんな軌道を描くブーメランなんて見たことない。
ーーーあんな軌道を描いたブーメランが、運良く戻ってくるなんて可笑しい。
ーーーならば何か。今戦っている者の能力によるものだ。
ーーー“操作系”……それにしては何かをした素振りすらない。
ーーーお嬢様のグングニルならまだしも通常の投擲武器が、あの様な軌道を描き尚且つ戻ってくる能力……
ーーー何なの?一体コイツの能力は何なの?
一方の照平も、相手の能力について思考を巡らせていた。
ーーー……瞬間移動。いや、それだとピックを避けて俺だけを狙えば良い筈だ。
ーーー一斉に落とされたピック、俺でも気付かない速度、後ろの生きていたピック。
ーーー……後ろのピック。何で落とそうとしなかった?
ーーー“落とす必要がなかった”?
ーーーならば前のピックを一斉に落としたのは何だ?
ーーーあの時のピックの位置は、俺にそこまで離れていなかった。
ーーー“邪魔だったから”か?落とした理由は
ーーー“直ぐ様排除しなければならなかったから”?
ーーー“時間がなかったから”?
ーーー時間がない……一気に落とす……瞬間移動……
ーーー気が付かない“能力”
ーーー!!!……気が付かない?可笑しい。瞬間移動なら、あれが無い筈だ。
ーーー確かめてみるかッ!!
ピックを数本投げる照平。その速度は人間では可視する事が出来ない速度になっていた。
しかしメイドはこれを避け、俺の肩にナイフを刺しこむ。
「ぐがっ!!」
「御安心ください。始末した後はお嬢様の食事となりますので」
「ぅあッ!!!」
「んなッ!?しまっ!!」
照平は耐えながらポーチからチャクラムを取りだし、ゼロ距離で投げ付ける。そのメイドの脇腹に血が少し出る。
それに反応し損ねたメイドは後ろに後退、照平も体勢を崩しつつも後退をする。途中倒れそうになったが、肩が貫かれている右腕で支え立て直す。
ーーーさっき確認した。
ーーーやっぱりあった。
ーーーこのメイドの能力は【時止め】だ。
ーーー確証はないが、時を止めるだけでは無いと思う。
ーーーだが時止めを使用しているのは間違いない。
ーーー何とかして此方の能力が気付かれる前に仕留めなければ。
照平は思考を凝らしていた。このメイド……時止メイドの打開策を、戦闘中でも考え続けていた。
どうも、うぷ主の鬼の半妖です。
今回は時止メイドさんとのバトルです。そして、最終鬼畜妹様が……ヤヴァイです。
次回、照平の能力が明かされます。
お楽しみに。