【堕天使サマエル】──毒を持つ輝かしい者とも呼ばれ、元は死や闇を司る天使だった。堕天後も神の意により死の天使として君臨し、死者の罪を容赦なく弾劾し慈悲の欠片もなく刑罰を執行する。また【天使カマエル】を同存在とも言われる。このサマエルはカマエルの持つ14万4000もの『破壊・罰・死』の軍勢を召喚可能の存在。
ーーー何故ここに堕天使が存在する!?
ーーー何故この存在を幻想郷は無視している!?
ーーー何故この幻想郷の管理者はッ!?
既に堕天使サマエルとなった照平は、その少女に一瞬で近づき蹴りを入れた。その蹴りには先程までの照平の戦闘スタイルの面影はなく、ただ殲滅するかの様に動いていた。
投擲武器を入れていたポーチと着ていた緑のコートは廊下に放り投げられていた。“邪魔だったから”。
さらに照平の後ろには、倒れている金髪の少女の姿があった。攻撃を受けた少女は咄嗟の出来事で回避できず、血反吐を吐きながら上に吹き飛ばされる。
その際、照平は腕をゆっくりと振り下ろし4体の下僕を召喚する。しかしその下僕はサマエルになった照平によって破壊されると、翅、剣、楯、鎧の4つに変化する。
これはカマエルの装備と同じ装備である。それらの装着が終わると上に空いた穴を通り上へと向かう。その速度は最早吸血鬼……いや、神でなければ越えられない速度になった。
空へと舞い上がり空中に佇む。身の丈ほどある大きな楯と大剣を装備し、頑丈な装甲に身を包み翅を広げ空を佇む。
その照平の目の前に少女が腹部を押さえ現れる。赤き槍を装備しながら。照平に恐怖を感じつつも、威厳を失わない様に。
ーーーコイツッ!!
ーーーあろうことか、吸血鬼であるこの私をッ!!
ーーーまるで玩具の様にッ!!いとも簡単にッ!!
ーーー蹴り飛ばしたッ!!
ーーーそして重いッ!!
ーーー久しぶりに……血を吐いたッ!!
この少女は……何処か恐怖の表情を浮かべ、何処か懐かしい闘争の記憶を思い出していた。
昔の記憶。吸血鬼狩りが行われ、一族が何体も殺された記憶。そして、その中には……その少女の両親も居た。その時の少女は、妹を守る事しか考えていなかった。
そして、次々に来る狩人を殺し続けた。殺して殺して殺して殺して。次第に少女は純粋に思っていた事を忘れ、殺し続けていた。
しかし吸血鬼狩りも終わりを告げようとしていた所に、新たな家族が増えた。1人、1人と増えて。少女の周りには家族が出来た。“ただ1人”だけは、その輪に入れなかった。
その少女の妹は自らが危険と知り、自らを閉じ込めた。そんな事は長い年月の中ですっかり忘れ去られていたが。
ーーー……いけない
ーーー何故今ごろ思い出した?
ーーーあの子が言い出した事よ
ーーー私はあの子の手伝いをしただけ
ーーーあの子がそうしたいと望んだから
「我願う。数多の軍勢を求めんと」
「ッ!?」
「汝らその力を我にゆだね、我に付き従うべし」
「されば我汝らの望む物を差し出し、汝らの願い叶えん」
詠唱が終わると同時に、天から数多の兵が押し寄せ照平の後ろに漂う。数にして14万3996体。残りの4体は照平が身に付けている装備に変化している。
ーーーこの軍勢はッ!?
ーーー堕天使サマエル……そういえばカマエルと同じ存在とも言われてたわね
ーーーまさか……カマエルの持つ軍勢を持つと言うの!?
照平は手を振り下ろす。その瞬間、数多の軍勢が少女に向かって攻撃を仕掛ける。
【破壊する者】【罰を与える者】【死を与える者】
この3種に別れた兵が一斉に襲い掛かるのだ。サマエルの事を知っている少女の頬には冷や汗が伝った。一撃でも食らえば【死】または死よりも恐ろしい【痛み】が【罰】が与えられるから。
「【スピア・ザ・グングニル】!!!!」
少女は手に持っていた槍を投げる。グングニルは神の槍。狙った者を撃ち抜くまで動きを止める事はない。その槍は兵たちを貫き照平を貫く……筈であった。
その槍は【破壊の兵】によって、いとも簡単に破壊される。槍の先を掴み、形を残さずに。
「ッ!?」
ーーーやはり無理かッ!!
ーーー神の槍とはいえ、所詮偽物
ーーー元神の使いには、敵わないかッ!!
兵たちが少女に向かう。しかし少女は諦めなかった。
吸血鬼の闘争を思い出す。そうでなければ、殺されるから。
「ウォオオオオオ!!!」
闘争の記憶。少女が殺しをする際に抱いた感情を思い出す。狩人に向けた殺意を放つ。
爪を伸ばし、兵の攻撃を避け、邪魔な兵を退け、ただ少女は一点だけを目指す。あの者に……照平に……堕天使サマエルに。
徐々に距離が狭まっていく。この早さなら後15秒で辿り着くだろうと考えていた。
ーーー前へ進まなければ!!
ーーーアイツを倒す為に!!
ーーーアイツに勝てる自信なんてない!!
ーーーそれでも!!
ーーー倒さなければならない!!
ーーーその為に……前に!!前に!!前に!!
ーーーその心臓に……風穴を開けてやる!!
ーーー元神の使いだか何だか知らない!!
ーーーただ1つ言える事は!!
ーーーコイツは家族を傷つけ過ぎた!!
ーーー私は家族を見殺しにしてしまった!!
ーーーならば、その償いを!!せめてもの償いを!!
ーーー果たさねばならない!!
ーーーコイツにしてしまった事を後悔させなければならない!!
ーーーただ……それだけだ!!!
少女は突き進む。槍を持ち、邪魔な兵を凪ぎ払い、持ち前のスピードを駆使して突き進む。
そして、あと5メートル。兵たちの人数が多くなり壁が出来るが、それを物ともしない暴れよう。
途中、破壊の兵に左腕を斬られる。破壊の能力で腕が再生することはないが攻撃した兵に反撃を加え、また照平に突き進む。
そして……槍の射程距離に近付き、少女は一突きする。照平の心臓目掛けて。
サマエルになった照平は楯で防ぐ。瞬間、槍が破壊される。
「なっ!?」
剣を高く掲げ、振り下ろす。
「ぐうっ!?」
斬られた。少女は斬られた。しかし可笑しい。傷1つ付いていなかった。
刹那、少女の様子が可笑しくなる。
「!?あぐっ!!」
ーーーこ、これはッ!?
━━━お姉さま!!あそぼー!!
━━━ごめんなさいね、フラン。これから御仕事だから
ーーー記憶ッ!!何でこんな記憶がッ!?
━━━お姉さま……わたし……もう……
━━━…………そう。貴女が言うのなら……
ーーーやめて
ーーー私は………………ただ…………
━━━ただ?最愛の妹を閉じ込めといて、よく言えるわね
ーーー違う
━━━アンタは自分の家族なんてこれっぽっちも興味はないのよ
ーーー…………違う
━━━自分が面倒事を被りたくないから閉じ込めたんでしょ?
ーーー違う……違う違う違う!!!
━━━所詮アンタもその程度の奴なのよ
ーーー違う違う違う違う違う違う!!!
━━━自分の平穏が大切なのよ
ーーー黙れえええええええ!!!!
━━━お嬢様
ーーー!?咲夜ッ!?
━━━お嬢様、妹様の事ですが……
━━━何時も通りにしておきなさい
ーーー待って!!そうじゃない!!
━━━了解しました
ーーーお願い!!待って!!私はフランを!!
━━━どうしたいの?
ーーー私は……私は……
━━━アンタに家族なんて言葉、よく口に出せるわね
ーーーただ……ただ……
罪……己が持つ後悔を人は耐えきれなくなった際、どの様な行動に移すだろうか?
最初は否定し続ける。否定して自分の存在を保とうとする。例え真実を告げられたとしても、自分が信じる真実を信じ続ける。
しかし次第に……心が削られていき、ついには
認め……枯れ果てる。
その少女は何処かで自分の存在を、自分の罪を認めた時初めて……ただの少女に戻るのだった。
どうも皆さん。うぷ主の鬼の半妖です。
最初に言っておきます。レミリアファンの皆様すんませんっした!!!
いや、こうでもしなければチートであってチートでない照平君の実力があれですし。何より照平君人げn(殴
ね、ネタバレ回避かッ!!
茶番を失礼しました。では、次回もお楽しみに