これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode99 お手柄 〜credit〜

「ふぅ……」

ジャリッ……

 

ため息をつきつつ、ライトが建物の一階のドアから出てくる。

 

そこは、つい数十秒前までけたたましい銃声が鳴り響いていたとは到底思えないほど、静寂に包まれていた。

 

「お疲れライト」

「どうも」

 

すると、レックスがライトを出迎え、トントンと彼の肩を叩く。

それを見つつ、ギフトも笑って背伸びをしていた。

 

「んーっ……初戦闘でこれかぁ、なかなかハードだね」

「まあまあ、それが楽しいじゃん?」

 

そんな会話をしつつ、各々戦闘の後処理を行っていた。

 

「よいしょ……」

 

ライトは、ゴーグルを外して額に付けると、使用した銃器のリロードをする。

 

「バレル大丈夫かな……全弾ブッパは流石に……」

 

レックスは、そんな小言を言いながら、F-2000のマガジンを交換していた。

 

「えーと……あ、あったあった」

 

1番動いているのは彼、ギフトで、彼は使用武器をフラッシュバンに切り替える際、愛銃を放り投げていたので、今いる場所から少し動き回らねばならなかった。

 

「ん〜、キズはともかく、ガタはない……よね。よしよし」

 

ギフトは、そんなことを言いつつ愛銃のG36を上から横からと眺めている。

すると、その時だった。

 

「……あれ」

 

大部分、銃を映している視界の奥に、大きな鉄の板が転がっていた。

例の……

 

「タウイの甲板じゃないか!!」

 

 

「あ、タウイ!!」

「大丈夫でした!?」

 

しばらくして、タウイら一行が奥の建物から出てくる。

タウイはいつの間にか回復した手足で、ピンピンして立っていた。

 

「ベネットさんも大丈夫でした?」

「最後尾の不運だったね……」

 

すると、ライトが今度はベネットの心配をしてそちらへ顔を向ける。

それに続き、レックスもそちらへ顔を覗かせた。

 

「あー、いや、ほぼ無傷でした……」

「そっか……それなら良かった」

 

それに対し、笑顔で答えるベネットに、2人はほっ、と安堵する。

そうして5人が安心しきった顔をする中。

 

「おーい!! みんなー!!」

 

ギフトの声が、少し遠くから聞こえてきた。

 

 

「ほい、俺からのプレゼント」

「あー!! ありがとうギフト!!」

 

遠くからやっと合流してきたギフトが、タウイにどデカい物体を差し出す。

 

そう、タウイの装甲甲板だ。

 

たまたま、ギフトが銃を放った方向と同じ方向に、爆風で飛ばされていたのである。

 

「キズは……おお、ほとんどなし!!」

「着艦に問題は?」

「この程度なら全然ないよ。あってないようなキズしかないからね」

 

タウイが思わず喜び、プルームが横から甲板を覗く。

 

するとギフトは、そんな二人をしり目に、今後はレックスの方へ向いた。

そしてにっと笑うと、手をレックスの方に向ける。

 

「ほい、レックスおにーさん!!」

「え?」

「君にも僕からプレゼント!!」

ギィー!!

「うわぁ!?」

 

その瞬間、ギフトの背中から、レックスのテイムモンスターのコー君が飛び出した。

 

「こ、コー君!! おかえり!!」

 

レックスは驚きつつも、肩に乗っかりピョンピョン飛ぶコー君を迎え入れる。

 

「……しっかり任務も果たしてきたようだね」

「……!!」

 

すると、脇からタウイがそう声を掛けてきた。

彼の前には、いつの間にかサテライトスキャン端末の拡大マップが広がっている。

 

そしてちょうど、レックスがそのマップを見た時。

10分おきの、そして回数にして3回目の、サテライトスキャンが終わった。

 

「見て……これ。漁夫の利作戦の前にここにいたチームのリーダーが死んでる」

「あ……ほんとだ」

「道の脇で死んでるってことは……恐らく彼、上にいた人らを落としたんだね」

ギィー!!

 

タウイの笑顔に、コー君は嬉しそうに反応する。

 

「あの建物にいたのは4人だから、同一チームと仮定して残り2人。ま、さしずめリーダー兼観測手と狙撃手でしょうね」

「なるほど……」

 

すると、ライトはそう言って、激戦を繰り広げた建物を見やる。

 

合計6人。

ちょうど1チーム分な上、リーダーマークが赤から灰色に変わっている。

 

勝利と言ってもいいだろう。

それが彼らの感想だった。

 

「コー君お手柄だね」

「全くその通り」

 

彼らの間には、そんな緩い空気が流れていた。

 

そう、実はコー君、漁夫の利作戦開始直前に、いきなりレックスの背中から飛び出してきたのだ。

 

普段はS12Kに変形している彼が、突如変形を解除し、()()()()()()、レックスに一声鳴いたのである。

 

レックスはもちろん、その声にGOサインを出した。

 

ただまさか、2名とも屠って帰ってくるとは。

できても狙撃の妨害くらいだろうなと思っていたが、彼なりに奮闘してきたようであった。

 

「……それで? 旗艦(リーダー)。次の進路は」

「……!!」

 

するとプルームが、そうタウイに尋ねる。

他のメンバーも、自ずとそちらの方を向く。

 

それに対しタウイは、ニヤリとした笑みと共に、こう返した。

 

「予定通り、居住区へ向かう。そして……」

「……!!」

 

そして話しつつ、拡大マップのある一点をタップして……

 

 

 

 

 

 

()()()()を、叩く」

「!!」

 

そう、宣言した。

 

その指の指す所、そこは……

 

 

 

 

 

居住区中央に位置する、『LM』のマークであった。




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