これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
時は、エムがレンを南に逃がした直後。
ズダダダダ!!!!!
「くっ……!?」
室内は、既に戦場と化していた。
ただその様子は……『戦闘』というより『掃討』の方が正しいかもしれない。
なぜならそれは、ベネットとギフトの連携攻撃に、エムは為す術がないから。
エムの武器は『M14 EBR』、対する2人の武器はどちらともアサルトライフル。
継戦能力に圧倒的な差があるのである。
「……ふん!」
ただそこはエム。
おいそれと負けるような男ではない。
スガンズガン!!
「ぐあっ……!!」
突如、ギフトの右太腿に重たい弾丸が2発、飛び込んできた。
そしてそのまま、太腿を持っていく。
「ごめん……下がる!!」
「了解!!」
ギフトはたまらず後ろに倒れると、そのままの体勢ですぐ側にあった机の足をつかみ、そちらに自らの体を引きずった。
一方ベネットは、ずんずん進んでいく。
「多分、そこの裏から撃ってきたよ」
「……!!」
「そこ木製でしょ? 貫通だよ、やられた!!」
すると不意に、そんなギフトの声が、後ろから飛んできた。
その声に、ベネットは躊躇うことなく自分の意思を固める。
そしてその直後、左手をついて、勢いよくカウンターを乗り越えた。
それと同時に、右手の銃を容赦なくぶっ放す。
いわゆる「決め撃ち」、だ。
変に詮索するより、こうした方が結果的に被害が少ない。
……だが。
「チッ……そういうことか!!」
ベネットは、カウンターの奥に脚がつく前に、自分の不幸を呪った。
左手をついてカウンターを飛び越えると、必然的に体は左に向き、視界も自ずとそちらへ向く。
ベネットの左へ向いた眼が映したもの。それは……
奥に続く廊下、その先に無造作に開かれた扉、そしてその奥に見える、
✣
「……ふぅ、なんとか、だな」
腰を落としたエムは、そう呟いて息を吐いた。
それと同時に、ゴン、と
先ほどいたところより、明らかに空気が硬い。
それもそのはず、そもそもこの空間を仕切る素材がガラリと変わったから。
そこはいわゆる、「ガレージ」と呼ばれる空間である。
先ほどまでいたキッチン、大きく括れば家とは違い、フローリングや木の壁なんてものはない。
ただコンクリートで形を作っただけの、快適性皆無の空間。
ここへは、キッチンの奥の通路から、恐らく荷物搬入口なのだろう、扉一枚を介して入れる。
「さて、貫通弾がどれだけ時間を稼げるか……」
するとエムは、そう呟いて大きめのバンから扉の方を覗き見た。
キッチンの入口に入られたと悟ったエムが放った、賭けの2発。
せいぜい牽制程度に、と思ってやったことだったが、未だガレージに敵が入ってきていないあたり、案外効果はあったのか? と自画自賛したくなる。
「ひとまず……だな」
少しだけ覗き、すぐ顔を引っ込めたエム。
腰を上げ、しゃがみの状態に体勢を変えた。
残弾は心配に及ばないほどある。
体力もまた同じく。
問題は、どこまでやれるか。
「……よし」
エムが、そう自分に問いかけて気を引き締めた時。
バババババ!!!!!!
「!!」
キッチンの方向から、銃声が響いてきた。
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