これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
まさか自分たちが、
✣
「ほんとにこうしてていいんですかぁ、タウイさぁん?」
「せ、せめて警戒ぐらい……」
眠たそうなライトの声と、今すぐにでも何かしたそうなベネットの声が、タウイの背後から聞こえてくる。
「んー? いいのいいの、休んでおきな」
するとその声を聞いたタウイが、ゆっくり振り返ってそう声をかけた。
「っ……て、はは」
「……?」
ただその瞬間、視界に入ってきた仲間の
レックスとギフトは地べたにぺったり足を組んで座り、その間をレックスのテイムモンスター、スコーンがテテテ、と走り回っている。
その前では、あんな声をかけてきたライトが足を無造作に投げ出して、後ろに手を着いて空を見上げている。
そしてその少し右で、左膝を立て、右膝を寝かして腰を下ろしたプルームが銃を弄っていて、唯一、ベネットだけが不安そうな顔をこちらに向けて、銃を携えて立っていた。
「……いいんだって、座りな」
「え、で、ですが……」
するとプルームが、ベネットの腰のベルトを引っつかんで腰を下ろさせる。
ベネットが、小さくうわっ、と言いながらドスン、と腰を地面に落とす。
「タウイに援護はいらない。いるのは護衛だけだ」
「そ、それってどういう……?」
「見てればわかる」
プルームの言葉に、首を傾げるベネット。
そんな彼らにまた苦笑しながらも、タウイは前へと視線を戻す。
「……さて」
時刻は、15:02。
回数にして、6回目のサテライト・スキャンの直後である。
ピンクの悪魔は南に、随伴するスナイパーは北に逃げた。
予測するにピンクの悪魔は、南の砂漠・荒野での乱戦に生き残った1チームと交戦する。
北に逃げたスナイパーは、ベネットが「絶対に来ない」と豪語した。
理由は分からないが、ここは信じることにする。
となると、残るは西のチーム、『MMTM』。
今自分達は居住区をぬけ、広大な池のほとりにいる。
ついさっきのスキャンで、『MMTM』は
「乗り物……か。むしろ好都合だよ」
タウイはそう呟いて、池の奥を睨む。
「……撃ち合いは面倒。
そしてにいっ、と、少し笑った。
✣
「ひゃっはー!! 気持ちいい〜!!」
一方、こちらは『MMTM』である。
彼らは今、広大な湖の上を、「ホバークラフト」なるもので疾走していた。
「いやぁ、まさかこんな運に恵まれるとはねぇ、リーダー?」
「ふん、天が我らに味方した……のかもな」
彼らは、気分上々でそんなことを言い合いながら、東へぐんぐん進んでいく。
宇宙船の残骸での籠城戦を見事耐え抜き、相手がいなくなったが故、しぶしぶ出てきてみたら、目の前に広がる湖、そして人数分の半数のホバークラフト。
操縦士と射手に分かれて乗り込んでみれば、ちょうどスキャンが始まる。
そして反対側のほとりに煌々と光る、敵チームの点。
これはもう、「討ち取りにいけ」という神の思し召しにほかならない。
そう解釈した彼らの気分が上がるのは、仕方がないことであった。
「よし!! 総員よく聞け!!」
「!!」
すると、真ん中に位置するホバークラフトの射手席に座ったリーダーが、無線を通して凛々しい声を張り上げる。
「我々はこれから、反対側の岸にノコノコと居座る
「おお!!」
「……しかし、ただ単純に突っ込むのではこちらが不利になりかねない。撃ち合いも面倒である。よって!!」
「……!!」
「狙撃手を用い、
「「「「おおおお!!!!」」」」
チームの指揮が、ぐん、と高まるのを本人達はもちろん、それを見ている観客らも感じたであろう。
……しかし。
「リ、リーダー!!」
「……なんだっ!?」
「あ、あれ……!!」
「……なっ!?」
グワーン!!!!!
「た、待避!! 回避行動を……!!」
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