これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「ついたー!!!!」
闘技場下のバーから離れて数分後。
彼らは闘技場の正面通りを歩き、最寄りの街に来ていた。
目的を知らされず、ただ着いてきたシノンは、今更ながら聞いてみる。
「ねぇ……タスク?」
「はぁい?」
何やらご機嫌に前を歩いていたタスクが、ピタリと止まって振り返る。
「そういえば、なんで街に来たの?」
「んぇ、ああ、言ってませんでしたっけ」
すると、タスクが頭を掻いて笑いつつ、ゆっくり歩き出しながらシノンを見た。
「いや、その、武器を新しく買おう、と思って……」
「!!」
「キリトくんとやった時、もう少し良い奴ほしいなって思ったんですよね。そこら辺の店で適当に選んだやつだったので……」
そう言いつつ笑うタスク。
……ただ、シノンの顔は。
「……シノンさん?」
「っ……!!」
その異変に気づき、体を反転させてシノンに駆け寄るタスク。
慌てて顔を覗き込み、肩を掴む。
「だ、大丈夫ですか!? どうしたんです!!」
「いや、えと……」
そんなタスクに、つい目をそらすシノン。
間近に迫ったタスクの顔が見れない。
「……!?!?」
そんなシノンを見て、タスクは分からないと言ったような顔を見せる。
……すると、その時だった。
「……っ、えと!!」
「!!」
シノンが、意を決したように左手ウィンドウを操作し始めた。
タスクはその動きを邪魔しぬようにと、少し下がる。
そして。
「こ、これ」
「!!!!」
シノンが、実体化した
「えっ……!!」
「い、いつもの……感謝」
「!!」
「それと……その……」
そこまで言って、シノンは口ごもる。
タスクは、今目の前に起こっている事を信じられないと言うような顔で、呆然としている。
そしてそんな彼を前に。
シノンはついに、口を再び、開いた。
「勝って、帰って……きて」
✣
「あっ!! みんな!!」
同刻、闘技場下のバー。
突然、リズが円卓を囲む戦士達に声を上げた。
皆が驚いた顔をして、リズを見る。
するとリズは、そんなみんなを見据えて、大きくVサインを出した。
そして一言。
「シノノン、渡せたって!!!!」
すると次の瞬間。
「おおお!!!!」
「やったぜ!!!」
アスナとクラインが飛び上がって喜んだ。
キリトはにっ、と微笑み、シリカとピナは目を合わせて微笑む。
「やったぜシノノン!! 頑張った甲斐があったなキリト!!」
「ああ……」
クラインが感慨深そうにジョッキを仰ぎつつ、キリトもそれに準ずる。
そう、実は。
アスナがGGOに乗り込んできた翌日。
今度はシノンが、ALOに乗り込んできたのである。
と言っても、いつも休みの日にはALOに来ていたシノンだ。
別にみんなからしてみれば、普通のことである。
ただ唯一違ったのは。
シノンが、皆と合流して放った一言目であった。
✣
「「「「「タスクにプレゼント!?」」」」
時はアスナGGO侵攻の翌日。
いつも通りのALO内アスナ宅にて、そんな声があがった。
「そ、そう……えと……その……」
あまりの周りの驚きように、シノンは恥ずかしそうに斜め下の床を見る。
珍しく獣耳も垂れ下がり、手も太ももの上にあり。
実に縮こまって、座っていた。
皆、あまりの驚きに沈黙する。
あのキリトでさえ。
……しかし。
その沈黙を破ったのは、意外にもクラインだった。
「んんー、俺はいいぜ、協力する」
「クラインさん……!!」
「いいじゃねぇの、そういうの!! やれることならなんだってするぜ。なぁキリト、みんな」
「……!!」
クラインの明るい性格は、ここで発揮されるのか。
シノンは意外な目付きでクラインを見上げる。
そしてそんなクラインにつられ。
「やらない訳にはいかないわ!!」
「そうですね、やりましょうか!!」
リズとシリカが立ち上がった。
かくして、彼らの計画が始動したのである。
今回は少し短めでした!!
予選開始まで、あと少しだけ、物語が入ります……
乞うご期待!!
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