これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「リーファ……ちゃん……!!」
手をきつく握りしめ、闘技場中央を見つめるアスナ。
その先にいるのは、文字通り手に汗握る闘いを作り上げている二人の妖精。
大勢の観客のいる中。
皆がタスクに期待を寄せる中。
あんなにはっきり、まさに凛と宣言したリーファは、アスナの目にはとても輝いて見えた。
あの宣言の瞬間、ユウキも心を掴まれたようで、あからさまに興味を引かれた顔をしていた。
それはアスナ達だけではないようで。
観客もいつしか、タスクよりリーファを応援している。
「リーファさん……いい感じですね!!」
「う……うん!! あの子今、めちゃめちゃノってるわ……!!」
シリカとリズは、そんなことを言い合いつつ、アスナらがいる席の前の欄干で前のめりになっている。
……しかし。
「……キリトくん?」
「……アスナ」
キリトだけは、険しい顔をして中央を睨みつけていた。
「顔怖いよ……キリトくん」
「あ、ああ……すまん、でもな」
「……?」
アスナの指摘に思わず口を緩ませるキリト。
だが彼の不安げな様子は抜けない。
「何か……感じるのよね」
「ああ……」
すると、意外にもアスナが意味ありげな言葉を投げかけた。
キリトはそれに呼応するようにこくりと頷く。
タスクと戦った時に感じた「
キリトはもちろんだが、アスナも少しは感じるようであった。
そう。「
✣
一方タスクら。
ヴォンヴォン!!
「っ……と」
リーファのX字の太刀筋を一瞬で読み、横にではなく後ろに飛んだタスク。
読み違えて横に飛べば必ず当たる軌道。
流石は剣道習得者と言える。
しかしタスクにそれは通用しない。
「くっ……!!」
「……ふふ」
軌道を読まれ避けられたタスクを睨み、苦い顔を見せるリーファ。
タスクはその顔に少しのドヤ味を乗せた微笑みを返す。
逆にあの時、ただの袈裟斬りだった場合。
相手は後ろに下がった反動の体勢を立て直すための時間を要する。
その隙をつかれることのないよう、袈裟斬りと読んだ場合は横に避けて反撃に移る訳だが、読みを外しXだった時、2本目に当たってしまう。
対して放つ方は、もしXであるという読みを外せて後ろに下げれれば、そのまま逆袈裟を放つのが定石であるが、逆に当てられると2本目の時に体制を整えられてしまう。
つまりは袈裟斬りかXかの賭けになる訳だが、そこはリーファ。
なるべくギリギリまで判別がつかないよう、袈裟斬りの軌道をなるべく引き伸ばしてXの2本目に入ったはずだったが。
タスクはそもそも、
Xの1本目。
袈裟斬りと判別がつかないものの時。
タスクは足の位置を全く変えず、膝から上のみが太刀筋と逆に傾いた。
そして2本目を悟ると、そこから後ろに飛んだのである。
普通、1本目を避ける時は体ごと横になる。
そう。つまりこの時
それ故に2本目が避けれなくなるのだが、タスクはその一枚上手であったのだ。
「なんで……そんなことが……くっ!!」
「んー……、ふふ」
しばらく睨み合っていた2人だが、顔があからさまに違う。
タスクはにっとした笑みを保ち、リーファはギリッ、と歯を食いしばり睨みつけている。
すると、そんな顔に少し引け目を感じたのか、タスクが体勢を変えつつ……
「……ひとつだけ、教えてあげましょう」
「!?」
そう言って、刀を前に突き出した彼らしからぬ構えを見せた。
タスクの構えの中の刀は、普通なら下に下がり、前に出ている右足の横あたりにあるものだ。
それはキリトとの戦い、格闘技を使う際も、リーファとの剣術のみの際も変化はなかった。
しかし今は違う。
しかと両手で握りしめた刀の先端は、リーファの胸と同じ高さにある。
今までとは異なり、上に上がった状態。
リーファはもちろん警戒する。
……するとしばらくの沈黙の後。
「剣というのはですね」
「……!!」
「
「……!?」
そう呟いたタスクは動く。
そして次の瞬間。
当たり前すぎて、言葉の本当の意味が分からず、疑問に感じるリーファは一瞬にして……。
「なっ……あっ……!!」
その意味を、
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