これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode137 断言と問題 〜Affirmations and problems〜

会場は相変わらず盛り上がっている。

 

それに対し、まさかタスクも驚いてしまい、半ばポカーンとしているキリト一行。

 

「あ、あの人……確か……」

「ああ……キリトとタスクの決闘の時にいたよな」

 

すると、そんな彼らを見てアリシャとサクヤも勘づく。

周りにいるお付きの者も、うんうんと頷いていた。

 

ただ唯一、置いていかれているのは、スリーピング・ナイツの面々である。

 

「ァ、アスナ?」

「ん……? あ、そうか、そうよね」

 

アスナは、ユウキ達の不思議そうな顔に慌てて向き直る。

 

「えっと……ねぇ」

「う……うん」

「え、えぇーっとぉ〜……う、うーんとね」

「うう、ううん……?」

 

明らかに言葉を選び、言いあぐねているアスナに、ユウキは相づちを打つことしか出来ない。

 

他のスリーピング・ナイツの面々も、頭の上に?を浮かべているかのような、明らかな謎状態である。

 

「あの人は、僕たちの仲間です」

「!!」

 

すると、不意にタスクが声をかけてきた。

アスナが振り向き、ユウキたちの視線がタスクに移る。

 

「名前はタモンと言います。彼、ああ見えて、結構強いですよ……」

「え……!!」

 

タスクの口から強い、という言葉が出るなんて。

思わずアスナが声を出してしまう。

 

スリーピング・ナイツの面々も、同じくそう思ったのか、目がいくらか見開いている。

 

「……な、なんです、そんな驚かなくても」

「……」

 

それに対するタスクは、意外な反応だと思ったのか、手を振って彼らの視線を遮る。

 

そしてそれと同時に……

 

「ほら……もうすぐ始まりますよ」

「あっ」

ブーッ!!

 

開始の前になる、予告ブザーが鳴り響く。

 

アスナたちが慌てて前に向き直り、タスクは首を回し前を見て……

少し奥から聞いていたサクヤ達も前を向いた。

 

そして、カウントダウンが始まる。

 

3……2……1……!!

「さあ、見せてもらおうか。そのお手並みを……!!」

 

それに合わせて、サクヤが前のめりになってそう呟いた。

 

キリト達やユウキ達も、そう言わんばかりの目をして闘技場のタモンを見る。

 

 

 

 

ビーーッ!!

「「「「「「オオオオオオ!!!!」」」」」」

 

 

 

 

スタートのブザーと共に、会場が最高に湧いた。

 

 

するとその時、キリトがコソッとタスクに問う。

 

「なあ、タスク」

「はい?」

 

キリトの声の低さに合わせて、タスクも小声で答える。

 

「ぶっちゃけ、どっちが勝つと予想する?」

「……」

 

すると、キリトのそんな問いに、タスクはにこりと笑って返した。

キリトは、そんなタスクの笑顔に不思議な感覚を抱く。

 

「はは、キリトくん。そんなの、予想も何も」

「?」

 

 

 

 

()()()()()()()()()()。問題はそこじゃない」

 

 

 

 

 

「なっ……!?」

 

その瞬間。

その場が凍りついた。

 

コソコソ話なんてもはやあったもんじゃなくなっていた。

 

というより、こんな話、一度耳に入れば、それは振り向いてしまうだろう。

相手はあのユージーンだ、優勝候補ですらあるユージーンである。

 

名前を顔も知らない、ポッと出てきた温厚なケット・シーが、あのユージーンに勝つと断言するなんて、なんなら失言とも捉えられるほど。

 

そしてしかもそれがCブロック優勝のタスクが、言っているのだからそりゃぁもう。

コソコソ話で済むわけがなかった。

 

気づけば、アスナもリズたちもスリーピングナイツも、少し離れたサクヤたちもこちらを見ている。

 

何気に、周りの観客もこちらを見ている気がする。

というか、見ていた。

 

「か、勝つって……ユージーンは……あの、ユージーンだぞ?」

「ええ、分かってます。でも、勝つんですよあの人」

「……!!」

 

どこからそんな断言できるほどの確証が……と言わんばかりに、キリトがタスクを不思議そうに見つめる。

 

すると、そんな周りを見て、タスクがふふ、と笑った。

そして一言。

 

「彼と本気でやりあったことが2回あります」

「!!」

 

そう言って、キリトを見た。

加えて一言。

 

「勝敗は一勝一敗です。僕が一度、彼が一度」

「な……!?」

 

 

 

 

「僕は一度、本気で本気の彼に負けている」

 

 

 

 

 

「…………!!」

 

その瞬間。

またその場が凍りついた。

 

まさか、タスクから「負けた」という言葉が聞こえてくるとは。

そう言わんばかりに、キリトはマジマジとタスクを見つめる。

 

「ですから、そこが問題ではないんです」

「問題……?」

 

すると、そう言いつつタスクが闘技場に顔を戻す。

キリトも釣られて闘技場を見る。

 

「問題なのは、あの人が()()()()()()()()()()

「……なるほど」

「彼は白兵戦は引退しました。向こうの銃の世界でも、半ば拠点担当です。しかし、()()()()()となれば、そこそこ力を戻しててもおかしくない」

「……!!」

「もし全盛期に近いなら……」

「……まさか」

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()、十分に」

 

タスクの意図することは、誰もが察した。




何個か前の後書きはなんだったのか。

いや、その、あれの投稿直後、時間が出来てしまうというね。
はは……(笑)

え、あ、はいそうです。
もうそろそろまた空白になってしまいそうです。

あと2〜3話ギリギリねじ込めたらいいなぁ。

それか、文字数減らして何とか空白を少なくするか……
んむむむむ……

ーーーーー

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